借りてみたらこうだった!

Plextor M6 PROの「付属キャッシュソフト」をテストしてみた

キャッシュONなら3,000MB/s超に

 今回は、PlextorブランドのSSDの中でもフラッグシップと言える「M6 PRO」を国内正規代理店の株式会社リンクスインターナショナルから借りてみた。

 PlextorブランドのSSDは、高性能でかつ信頼性が高い製品としてハイエンドユーザーに人気のある製品のひとつ。「M6 PRO」は「6Gbps SATAの限界」を追求したという性能や耐久性、安定したパフォーマンスが特徴とされている。

 下位モデルのM6Sシリーズと比較して最大性能が高いのもウリで、M6 PRO専用の高速化ツール「PlexTurbo」やデータ移行ソフトの「NTI Echo3」、バックアップソフト「NTI Backup Now EZ3」が付属するなどの差別化が図られているのも特徴。

 今回は、その「PlexTurbo」を中心にベンチマークの性能を紹介していこう。

SATA 6Gの限界性能に到達、専用ユーティリティで差別化

 まず、ハードウェアのおさらいから。

 搭載コントローラは同社お得意のMarvell製のサーバグレード品。ただし、M6Sシリーズとは型番が異なり、M6Sシリーズが採用していた(廉価版とみられる)「88SS9188」ではなく、8ch接続の高性能品となる「88SS9187」を採用している。

 NANDメモリは、M6Sシリーズ同様にA19世代と呼ばれる東芝の第二世代19nmプロセスで製造されたToggle DDR対応のNANDメモリを採用、バッファ用のDRAMは今回お借りした256GBモデルでは512MBを搭載している。

東芝製の第二世代19nmプロセスで製造された高性能NANDメモリを採用。このNANDメモリは、Toggle DDR 2.0規格(400MB/s)に対応した高性能品だ。
サーバーグレードを謳うMarvell社の「88SS9187」を採用。SATAの制御用とNANDメモリの制御用に別々のCPUを利用するデュアルコアを採用し、高い処理能力を実現している。
搭載するバッファメモリはSKhynix製のDDR3タイプ

 なお、製品のラインナップは容量別に128GB、256GB、512GB、1TBの4種類。実売価格は税抜き10,000円弱(128GB)、17,000円前後(256GB)、35,000円前後(512GB)、65,000円強で、モデルによる主な仕様差は以下の通りだ。

型番容量バッファ用メモリSeaquential Read/WriteRandom Read/Write(IOPS 4KB)
PX-1TM6Pro1TB1,024MB545MB/s・490MB/s100,000・88,000
PX-512M6Pro512GB768MB545MB/s・490MB/s100,000・88,000
PX-256M6Pro256GB512MB545MB/s・490MB/s100,000・86,000
PX-128M6Pro128GB256MB545MB/s・330MB/s100,000・82,000

PlexTurboはソフトウェアによるライトバックキャッシュ6Gbps SATAの限界突破

Plextoolsの起動画面。「DRIVE STATUS」では、M6 PROの健康状態やSerial ATAのリンク速度、温度、TRIMの有効/無効などを確認できる。
PlexTurboを利用するには、Plextoolsを起動して「PlexTurbo」ボタンをクリックして、この機能を有効に設定する必要がある。
PlexTurboをオンに設定すると、OSの再起動を行う必要がある。逆にオフにする場合もOSの再起動が必要になる。

 さて、M6 PROは、実測で最大読み出し速度「542.8MB/s」をマークするなど、その性能は、6Gbps SATAのほぼ限界に達している。その限界を打ち破り、更にM6 PROを快適に利用するために付属しているのが、M6 PRO専用の高速化ツール「PlexTurbo」だ。

 PlexTurboは、システムメモリをキャッシュに利用することでM6 PROの性能を高めるツール。PlexTurboは、ライトバックキャッシュとして動作しており、この機能を利用することで6Gbps SATAの限界を突破する超高速な読み書き性能を実現できる。

 また、実際の書き込みは、一旦データをキャッシュに蓄えてから、M6 PROへ書き込まれるため、書き込み効率が最適化される。これによって、M6 PROの寿命を延長できるというメリットもある。

 PlexTurboは、寿命推測やTRIM機能のオンオフ、Secure Eraseなどの機能を提供する「Plextools」の機能の一部として搭載されており、この機能のオン/オフは、Plextoolsから行う必要がある。Plexturboをオンに設定すると、OSが再起動されて、この機能が有効になる。

Plextoolsの「DIAGNOSTIC SCAN」をクリックすると、読み書き速度の計測が行える。
Plextoolsの「SMART DETAILS」をクリックすると、ドライブの自己診断情報の詳細を閲覧することができる。
バックアップソフト「NTI Backup Now EZ3」の起動画面。ドライブ全体のバックアップを作成できるだけでなく、クラウドに必要なデータをバックアップすることもできる。

PlexTurboオンなら3,000MB/s超も

 PlexTurboの効果は、以下のベンチマーク結果を見ても解るようにかなり大きい。

 最大読み書き速度は、いずれも3,000MB/sオーバーを記録し、4KBのランダムリードライトも大幅に高速化。キャッシュに利用されている容量は「1GB」ほどで、この容量に収まるデータを扱っている限り、データの読み書きが大幅に高速化される、という寸法だ。

 なお、グラフにはしていないが、Microsoft RichCopyで3.7GB分のファイルコピーを行ったところ、検証環境ではPlexTurboオンで124秒、PlexTurboオフで128秒だった。こうしたキャッシュ機能は、「キャッシュに収まらない場合の効果」も気になるものだが、少なくともある程度の高速化の効果はあるようだ。

 8GB以上のメモリをパソコンに搭載しているなど、メモリ容量に余裕があるユーザーは、Plexturboをオンにしておくと良さそうだ。

【ベンチマーク結果】

【検証環境】CPU:Intel Core i5-4460(3.2GHz)、マザーボード:ASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)、メモリ:ADATA Technology XPG Gaming Series AX3U1600GC4G9-2G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB ×2)、グラフィックス機能:CPU内蔵(Intel HD Graphics 4600)、シス
テムSSD:Samsung Electronics 840 MZ-7TD250B/IT(6Gbps SATA、TLC、250GB)、OS:Windows 8.1 Enterprise Update 64bit版。フ
ァイルコピー:Microsoft RichCopyを使用。1GBのファイル1個、4KBのファイル1.2GB分(30万個)、5MBのファイル1.5GB分(300個)の計
3.7GBのファイルのコピー時間。ファイルのコピーは、Microsoft Richcopyを利用し、コピー時のスレッドはすべて32に設定して計測