借りてみたらこうだった!

X99で小型ハイエンドPCを組むならこのマザー、「GA-X99M-Gaming 5」をテスト

LGA2011-v3では貴重なmicroATX、ゲーミング仕様のコンパクトモデル

GA-X99M-Gaming 5

 今回お借りしたのは、GIGABYTE製のIntel X99 Expressチップセット搭載マザーボード「GA-X99M-Gaming 5」。244mm×244mmサイズのmicroATXフォームファクター準拠のLGA2011-v3対応マザーボードです。


希少なmicroATXフォームファクター採用LGA2011-v3対応マザーボード

マザーボード表面
マザーボード裏面

 GA-X99M-Gaming 5は、LGA2011-v3対応マザーボードの中では希少なmicroATXフォームファクター採用モデルです。GIGABYTEのゲーミング製品シリーズ「G1 Gaming」に属する製品であり、LANコントローラ「Killer E2201」や、オーディオ回路を分離したノイズガード設計など、最近のゲーミングマザーボードで定番となっている要素が採用されています。

 GA-X99M-Gaming 5が備えるLGA2011-v3ソケットには、Haswell-EベースのIntel Core i7 プロセッサーの他、Haswell-EPベースのXeon E5-2600v3/1600v3シリーズも搭載可能。CPUソケットの両脇には、最大DDR4-3000動作(OC動作)に対応したDDR4メモリスロットを4本備え、最大で32GBまでのDDR4メモリを搭載できます。拡張スロットにはPCI 3.0対応のx16スロットを2本備えており、AMDの2-way CrossFireおよびNVIDIAの2-way SLIをサポートが利用可能。

 ストレージ接続用のインターフェースとしては、SATA 6Gbpsポート10基の他、SATA Express、10Gbps M.2といった、最新のストレージ用インターフェースを1基ずつ装備。なお、SATA Express、10Gbps M.2、SATA 6Gbps×2ポートは、それぞれ排他利用となっており、同時に利用することはできません。

LGA2011-v3ソケット。Haswell-EベースのIntel Core i7と、Xeon E5-2600v3/1600v3シリーズを搭載可能。
CPUソケット裏面。CPUクーラー固定部直下の基板には穴が開けられており、従来のLGA2011対応CPUクーラーの大半が利用できる。
DDR4メモリスロット。クアッドチャンネル動作に対応し、OCメモリを用いることでDDR4-3000動作に対応。最大メモリ容量は32GB。
バックパネルIO。黄色いUSBポートは、USB DAC用にノイズの少ない電源を供給できる「GIGABYTE USB DAC-UP」対応のUSB2.0ポート。
拡張スロット。PCI Express 2.0 x1スロット以外、CPU直結のPCI Express 3.0スロットで、上からx16、x16、x8接続。Intel Core i7-5820K利用時はx16、x8、x4となる。
LANコントローラ「Qualcomm Atheros Killer E2201」。
オーディオ回路には、他の回路を分離するノイズガード設計を採用。ノイズガード部分にはLEDを搭載しており、音に合わせて発光、点滅させることなども可能なAmbient LED機能を備える。
交換可能なオペアンプを搭載。標準ではバーブラウンOPA2134を搭載。オペアンプ付近にはGain Boostスイッチが実装されており、全てOFFで2.5倍モード(標準)、全てONで6倍モードに切り替わる。
オーディオコーデックは「Realtek ALC1150」。オーディオ回路にはニチコンの音響用コンデンサを使用している。
M.2スロットは2基。下段がWi-Fi専用で、上段がストレージ用の10Gbps M.2。
SATA 6GbpsポートとSATA Express。10基のSATA 6Gbpsポートのうち2基は、SATA Expressと物理的にポートを共有している。


IR社製MOSFETを採用、オーバークロック動作にも対応可能

UEFIのCPU設定関連項目。

 Haswell-EベースのIntel Core i7プロセッサーは、いずれもCPU倍率ロックフリーのオーバークロック向けCPU。となれば、Intel X99 Express チップセットを搭載したマザーボードには、オーバークロック関連の機能も期待したいところ。

オーバークロックユーティリティ「EasyTune」。予め用意されたプロファイルから設定をロードする簡易OCが可能なほか、手動で細かく動作設定を行うこともできる。

 GA-X99M-Gaming 5では、UEFI上でのオーバークロック設定が可能な他、Windows上で動作するオーバークロックユーティリティ「EasyTune」が利用可能。基板上のスイッチ類に関しては、オーバークロック向けマザーボードほど充実している訳では無いものの、電源、リセット、CMOSクリアといった基本的なスイッチ、そしてPOSTコードLEDはしっかり実装されています。

 また、消費電力が増大するオーバークロック動作を支える電源回路には、International Rectifier社製のデジタルPWMコントローラとドライバ内蔵MOSFETを採用。1フェーズあたり50Aの電流を供給可能な「IR3556」を6基搭載しています。

GA-X99M-Gaming 5の電源部分。6フェーズのデジタル電源回路を搭載。
PWMコントローラ「IR3580」。
ドライバ内蔵MOSFET「IR3556」。
電源スイッチ、リセットスイッチ、CMOSクリアスイッチ。バラック組みなどで、CPUの耐性をチェックする際などに便利。
POSTコードLED。正常に起動しない場合などに、何が原因で起動しないのかを判別するのに役立つ装備。

 基板面積の限られたmicroATXマザーボードではありますが、ソフト的にもハード的にも、Haswell-Eの常用オーバークロックを狙うにあたって、なんら不足の無い製品であると言えるでしょう。実際、EasyTuneのSmart Quick Boostを利用して、CPUクロックを4.1GHzに引き上げる「エクストリーム」に設定してみましたが、なんら問題なく動作可能でした。

EasyTune Smart Quick Boostをエクストリームに設定した際の動作状況。定格動作クロック3.0GHzのIntel Core i7-5960X Extreme Editionが4.1GHzで動作している。
定格動作時(左)と4.1GHz動作時(右)で、CINEBENCH R15を実行した際のスクリーンショット。パフォーマンスの差は一目瞭然。


小さくパワフルなPCの自作にイチオシ

 記事執筆時点で、GA-X99M-Gaming 5の販売価格は税込36,000円前後。Intel X99 Express チップセット搭載のマザーボードとしては平均的な価格と言ったところ。

 ATXフォームファクターの製品に比べ、搭載可能な最大メモリ容量で劣るため、メモリの搭載容量に期待してLGA2011-v3対応マザーボードを選ぶ方には不向きですが、Haswell-Eの高いCPU性能をより小さな筐体で利用できるメリットは、メモリ容量と天秤に掛けるに値するものだと筆者は考えます。

 また、電源回路に発熱が少なく評価も高いInternational Rectifier社製のドライバ内蔵MOSFETを採用したGA-X99M-Gaming 5は、Haswell-Eの全モデル倍率ロックフリーという仕様を生かして、オーバークロックによるさらなるパフォーマンスアップが期待できるマザーボードです。「より小さな筐体で、より高いCPU性能を実現したい」と考えている方には、数少ないLGA2011-v3対応microATXマザーボードの中でも、特にオススメの一枚です。

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