借りてみたらこうだった!

上位譲りの静音、MSI製GTX 960の下位「GTX 960 2GD5T OC」をテスト

白×黒の"Armor 2Xクーラー"搭載

GTX 960 2GD5T OC

 今回はMSIより、NVIDIA GeForce GTX 960を搭載したビデオカード「GTX 960 2GD5T OC」をお借りしました。


独自クーラー搭載のオーバークロック版GTX 960

 GTX 960 2GD5T OCは、Maxwellアーキテクチャを採用するNVIDIA最新のミドルレンジGPU「GeForce GTX 960」を搭載するビデオカード。

 2スロットを占有するMSIオリジナルのGPUクーラー「Armor 2X」を採用し、カード長273mmという、ATX基板の横幅よりやや大きなサイズのビデオカードです。

GPUクーラー取り外し時
裏面
ディスプレイ出力端子。DVI-I×1基、HDMI 2.0×1基、DisplayPort×3基。
補助電源コネクタは6ピン1系統
VRAMはSAMSUNG「K4G41325FC-HC28」

 型番に含まれる「OC」が示す通り、GTX 960 2GD5T OCはオーバークロック仕様のビデオカードであり、GeForce GTX 960をリファレンス仕様の1,127MHz(ブーストクロック 1,178MHz)から、1,178MHz(ブーストクロック 1,241MHz)にオーバークロックして搭載しています。VRAMは7,010MHz動作の2GB GDDR5で、こちらはリファレンスモデルと同じ仕様になっています。

 ビデオカードの動作に必要な補助電源コネクタは6ピン1系統。ディスプレイ出力端子には、3系統のDisplayPortの他、Dual-link DVI-I、HDMI 2.0を1系統ずつ装備。最大で4画面への同時出力が可能です。


セミファンレスに対応したGPUクーラー「Armor 2X」を搭載

GPUクーラー「Armor 2X」。白と黒のモノトーンカラーが印象的な2スロット占有型クーラー。
エアフローを20%増加させるというPropeller Blade Technology採用した100mm径ファンを2基搭載。

 GTX 960 2GD5T OCが採用したGPUクーラーのArmor 2Xは、100mm径の大口径ファンを2基搭載した2スロット占有タイプの大型クーラー。

 ヒートシンクを覆う樹脂カバーは白黒のモノトーンカラーを採用しており、MSIがマザーボードで展開している「Krait Edition」にぴったりなルックスをしています。

 ヒートシンクは、2本の6mm径ヒートパイプとアルミニウム製の放熱ユニットで構成されており、ベース部はヒートパイプがGPUコアに直接接地するダイレクトタッチ方式を採用しています。

 また、GTX 960 2GD5T OCに採用されたArmor 2Xでは、動作状況に応じてファンを完全に停止する「セミファンレス機能」をサポート。これまでのMSI製品では、Armor 2Xより上位のGPUクーラーである「Twin Frozr」でのみサポートされていた機能です。

 GTX 960 2GD5T OCでは、単純にGPU温度だけでファンの動作を決定している訳では無く、GPU使用率もファンの動作に影響しているようで、ゲームなどをプレイしていると、GPU温度が低くてもファンの回転がスタートします。一度動き出したファンは、GPU使用率が低い状況が一定時間以上経過するか、GPU温度が30℃前後になるまで回り続けます。

 なお、筆者の検証では、GPUに負荷を掛けない状態でファンが回転し始めるGPU温度は60℃前後となっていました。室温28℃の環境下で放置し続けた際のGPU温度は45℃程度だったので、ゲームなどの負荷を掛けない限り、ファンを停止したままの状態を維持することは可能なようです。

ヒートシンクは、2本の6mm径ヒートパイプと、アルミニウム製の放熱ユニットで構成されている。
ベース面はヒートパイプダイレクトタッチ方式を採用。2本並んだヒートパイプの幅は、GPUのダイサイズとほぼ一致している。
ベンチマーク実行後のGPU温度とファン回転数

 上のグラフは、ファイナルファンタジーXIVベンチマークを実行した際のGPU温度とファンの回転数。テストは室温28℃の環境下で行い、GPU温度とファン回転数はGPU-Z 0.8.2で計測しています。

 動作を確認してみたところ、ファンはベンチマークを開始した直後に回転をはじめ、停止したのはベンチマーク終了から290秒が経過してからでした。

 なお、Armor 2Xのファンを強制的にフル回転で動作させた場合、回転数は約2,700rpmに達するのですが、ベンチマーク実行中の高負荷状態でも、ファンの回転数は1,000rpm前後に抑えられています。この状態でファンから生じる風切り音などのノイズは、ごく小さなものであり、GTX 960 2GD5T OCのArmor 2Xは、静粛性に優れたGPUクーラーであると言えます。


安価でも優れた静粛性が得られるGTX 960 2GD5T OC

 MSI GTX 960 2GD5T OCの実売価格は28,000円前後。GeForce GTX 960を搭載するビデオカードの中でも比較的安い価格ですが、高い冷却能力を持つGPUクーラーを採用したことで、静粛性に優れた製品に仕上がっています。

 また、4K解像度での画面出力が可能なDisplayPortやHDMI 2.0を複数備えているので、高解像度ディスプレイを複数台用いたマルチディスプレイ環境の構築にも適しているのも特徴です。

 カードサイズは特別コンパクトという訳ではないので、小型のPCケースへの組み込みには向きませんが、より安く静粛性に優れたGeForce GTX 960搭載ビデオカードが欲しい方にとって、GTX 960 2GD5T OCは安心して選べる製品であると言えるでしょう。

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