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手軽に「美少女Vtuber」になれる時代がもう来る?ゲームイベントで開発中ソフトのデモが実施

成人向けVR対応ゲーム「カスタムオーダーメイド3D2」のファンイベント開催 text by 関根慎一

ゲーム用VR HMDで最も重視したいのは視野角と軽さ無線化・軽量化・広視野角化など、今後登場するVRデバイスのポイントをゲーム開発者視点で解説

KISSの技術担当ねい氏

 VRのトレンド解説では、今後一般販売が予定されるVRおよびMR機器が紹介された。

 いま普通に購入できるVR HMDは「HTC VIVE」と「Oculus Rift CV1」が主流だが、HTC VIVEについてはまもなく直系の後継機「HTC VIVE Pro」が発売される。Oculusの新製品としては現在「Oculus Go」と「Santa Cruz」が発表されており、直近ではスタンドアロンヘ向かう方向性が明確になっているという。

[ねい氏]:Oculus Goは199ドル(約2万1,000円)という低価格が魅力ですね。解像感を良くするために、CPUとGPUも高性能なものを積んでいるようです。

 ただ、スタンドアロンということで独自プラットフォームなので、対応するソフトにも気をつける必要があります。またポジショントラッキングもないので、頭の位置によってVR空間内で前後、垂直、水平方向に動くことはできません。ゲーム用というよりは、周囲を見回す映像を楽しむ使い方が多くなるんじゃないかなと思っています。

Oculusは当面、スタンドアロンのVR HMDをリリースする。ねい氏は「ゲーミングデバイスとしての完成度はVIVEよりもOculusの方が優れている」と話す

 Santa Cruzは詳細なスペックの全貌がいまだ明らかになっていませんが、おそらくOculus Goの上位機種という位置付けになるでしょう。ポジショントラッキングにも対応しています。

 安価なOculus Goでプラットフォームを開拓して、Santa Cruzを売り込む流れになるんじゃないかと予想しています。

 なお、KISSではアダルトコンテンツを扱う関係上、いまのところOculus Storeへのコンテンツ供給予定はないという。

 HTC VIVE Proについては、現行機種と比較してディスプレイ解像度が大きく向上(2,160×1,200ピクセルから2,880×1,600ピクセルへ)していることに言及。本体のみで10万円前後という高価格帯に属する点については「業務用というカラーが強い」と話している。

[ねい氏]:現在、施設体験型のロケーションベースVRの分野では、ほとんどがHTC VIVEを採用しています。

 ただ、HTC VIVE Proは一般販売もするし、値段の割にスペックが良いのは確かなので、PCスペックと予算に余裕があれば、ご自宅用に買ってもいいでしょう。僕もかぶった事があるのですが、ドットの網目模様(スクリーンドア効果)もだいぶ目立たなくなっていました」

 HTC VIVE Proでは、新世代のトラッキング技術として『Steam VR 2.0』を採用しています。ベースステーションの運用台数が2台から4台まで増えて、トラッキング範囲と精度が共に向上しました。ここまでくると、ルームスケールでトラッキングが外れることはほとんどありません。こうしたスペックを見ると、HTC VIVEは業務用途の方向を向いてるんだろうなあという印象を受けますね。

 このほか、今年発売見込みのオプションとして、VR HMDを無線化するオプションや新コントローラーなどを紹介した。

 無線化オプションはサードパーティ製の「TPCast」が存在するが、HTC公式のオプションも秋頃に発売する見込み。ねい氏は無線化オプションの問題点として「サイズが大きすぎること」を挙げていた。

[ねい氏]:無線化はVR HMDが抱える課題の一つですが、現時点で使える無線化オプションは、どうしてもHMDの装着感を変えてしまいます。具体的には『寝転がれない』。無線化と装着感がトレードオフになってしまうのです。

 我々が作っているコンテンツの性質上、寝転がって使いたいニーズは必ずあるので、このあたりは技術の進歩を待つしかないのがつらいところです。

 ナックルズと呼ばれる、開発中の新しいコントローラは、5本の指すべてを検知可能になっています。手の甲を包むようにして押さえるサポーターが付いており、手を『パー』の形にしても、コントローラが落ちません。『チョキ』の形にもできるかもしれません。指トラッキングができるのはちょっとすごいですね。

最近になってようやく製品のビジュアルが解禁されたMR機器「Magic Leap」

 ねい氏は今後登場するMR(Mixed Reality、複合現実感)デバイスの位置付けについても言及していた。

 特に低価格帯のWindows MR対応機器については、現在のところ「廉価なVR機器と思った方がよい」という。国内未発売のサムスン製HMD「Odyssey」なども紹介された。

 現行MR機器は、MR機器が内蔵するカメラやセンサーによって外界の状況を把握し、取得した映像情報を元にポジショントラッキングを行なう「インサイドアウト方式」を採用している点が特徴になっているという。

[ねい氏]:MR HMDでは、視野角が広くて解像度も高い『Odyssey』や、アイトラッキングや音声認識も備えた『Magic Leap』といった機器が今後出てきます。

 用途もゲーミングというよりは、シミュレーションとか、トレーニングとかの業務用途が主でしょう。MRでは視界に広がる現実の空間上に仮想のオブジェクトを配置できますが、いかんせん視界の広さに対して仮想オブジェクトを表示できる範囲が狭い。

 HoloLensにしろMagic Leapにしろ、表示できる範囲はだいたい同じくらいなので、現時点で製品に落とし込める技術としてはこのあたりが落としどころなのでしょうね。

普及価格帯のVR機器としてねい氏が有望視している「Dlodlo V1」

 今後、国内販売が見込まれるVR機器の中で、特に期待している製品としては、中国のVR NEW WORLD社がリリースしている『Dlodlo V1』を挙げていた。

 ポジショントラッキングやコントローラは非搭載だが、使用時にスマートフォンの装着が不要で、88gの軽さを実現。両目ごとのピント調節機能も備えている。

[ねい氏]:僕はVR HMDで大事なことは、解像度よりも視野角と装着感だと考えていて、視野角なら120度くらいあればかなり実際の視界に近くなるし、重量は軽ければ軽いほど装着感が良いです。そういう点ではDlodlo V1には強く期待しています。

 試させていただいた限りでは解像感もまあまあ良いし、『かぶる』というよりは『かける』感覚で装着できる手軽さがすばらしい。他社のVR HMDと比べてなぜこれほどまでに薄型なのかというと、『折り返し光学系』を使ってディスプレイとレンズの距離を稼いでいるようです。これは特許も取っているようですね。

会場の様子

女性の来場者も複数見かけた。アダルトゲームというよりは、純粋にキャラクターや楽曲を楽しむコンテンツとして遊んでいる人が多いようだ
VRコンテンツを体験中の様子
VR画面上でキャラクターをエディットしているところ
新機能「VRダンスゲーム」の体験デモも行われた
サイリウムのような両手の棒を使って、音楽とともに流れてくるターゲットに触れて遊ぶ
コンボ数なども設定されており、上手くプレイするとゲーム内マネーが獲得できる
物販ではアダルトゲームブランド「KISS」の20年を振り返る主旨の冊子も販売された
ファンイベントらしく、ユーザーによる気合いの入ったスクリーンショットが多数貼り出されていた