買って試してみた!お買い得グッズ探訪

出張で使えるモバイルバッテリーの最適解は20,000mAh? 3,000円チョットで購入できるSilicon Power「QS55」を入手して使ってみた

飛行機利用時の注意事項もこの機会に整理 text by 野村シンヤ

20,000mAhのモバイルバッテリー、Silicon Power「QS55」

 ガジェットで持っていると大変便利なのがモバイルバッテリー。容量別のラインナップに加え、最近では急速充電可能なUSB PD(USB Power Delivery)への対応、ノートPCに充電可能な高W出力を備えた製品や50,000mAh以上の超大容量バッテリーが登場するなど、多種多様な製品が販売されています。

 遠出や小型冷却ガジェットの利用頻度も上がる夏休み時期ということもあり、そろそろ買い換えたいと考えている人も多いかと思いますので、今回は旅行や出張で使えるモバイルバッテリーとして、Silicon Power「QS55」(20,000mAh)を紹介します。

価格はもちろん、使い勝手、出力、アフターフォローも大切

 モバイルバッテリーを選ぶ際にはポイントがいくつかありますが、今回筆者がこの製品を選んだ理由としては、「スマホが3、4回ほど充電できる容量」、「USB PDが15W以上」、「JBRC会員企業であること」に加え、3,000円弱というコスパのよさが決め手になりました。Amazonでは、10,000mAhの製品が2,000~3,000円台、20,000mAhの製品は3,000~5,000円台が相場になっており、われながら魅力的な製品を見付けられたと思いました。

Amazonにて3,380円にて購入。サイズは幅69.5×長さ112.5×高さ27.5mm

 製品の紹介に入る前に厳格なルールを設けている飛行機への持ち込みについて解説します。出張や旅行で持っていけなくなるとショックですしね。航空会社はリチウムイオン電池を搭載したモバイルバッテリーは持ち込みに際して、容量「Wh」(ワットアワー)や個数で制限を設けています。

 具体的にはほとんどの航空会社で、100Wh以下は個数に関係なく持ち込み可で(航空会社によっては20個までの場合も)、100~160Whの製品は2個まで、160Wh以上の製品は持ち込み不可です。製品の容量は「mAh」(ミリ・アンペア・アワー)で記載されているのがほとんどなのでWhから換算(3.7Vで計算)すると、100Whは約27,027mAh、160Whは約43,243mAhになります。実際の製品に当てはめてみると「40,000mAhの製品なら2個までOK、50,000mAhの製品は持ち込めない」というのが現状です。

 そこで今回のQS55。20,000mAhの製品は約74Whなので個数制限にも該当しません。余談ですが、保安検査でモバイルバッテリーを確認されることが結構あります。もちろん、チェックポイントは容量です。その際に印刷がカスレて判別できない場合、その場で廃棄せざるを得ないので、使い古した製品は要注意です。

成田空港が発信しているモバイルバッテリーに関する注意事項

 筆者も軽さ第一で10,000mAhの製品をよく使っていましたが、数年前からは20,000mAhの製品を愛用しています。一つは価格がこなれてきて、容量単価が優れていること。重さは300gオーバーと軽くはありませんが、昨今の大容量バッテリー(4,000mAh以上)を搭載したスマホでも3回は充電できることが思いのほか便利に感じたからです。特に国外においてはバッテリー残量が心の余裕につながります。

 ご存じのとおり、20,000mAhと記載されているのはリチウムイオン2次電池の容量であって、実際には3.6/3.7Vから5Vに昇圧してから出力するので、変換ロスの15%ほどを差し引くと5Vの定格容量は12,580mAh前後です。今回購入したQS55は定格容量が12,600mAhと記載されていました。筆者がメインで使用しているスマホ「Xperia 5 III」は4,500mAhのバッテリーを搭載しているので、約2.8回充電できることになります。実際の使用感もそれに近い感じでした。

QS55は実測値で309g。以前使っていた同クラスの製品が330gだったので20gほど軽い。38.5Whの新型リチウム電池を採用することで軽くなったとWebに記載されていた

 忘れてはいけないのがUSB PDの有無。今ではUSB Type-Cが当たり前になり、USB PDで急速充電を行うのが主流と言ってよい時代になりました。ノートPCの充電も可能な45/65WクラスのUSB PDを備えた上位モデルもありますが、1万円前後と価格はお高めです。

 5,000円以下のボリュームゾーンでは、20W前後が目安になります。QS55はUSB PD 20Wに対応しており、実際にXperia 5 IIIで試したところ、残量10%の状態から80%まで1時間ほどで充電できたので、実用的な性能を有していると言えます。

 QS55への充電については、0%の状態から100%まで5時間45分で完了。マニュアルには約6時間(Webでは6.5時間と記載)と記されていたのでほぼ仕様どおりといったところ。寝ている間にフル充電してくれるのはありがたい限りです。

入力ポートとしてMicro USB、USB Type-C、Lightningを備える。出力ポートはUSB Type-Cに加え、USB Type-A×3備える。「USB1」、「USB2」は5V 2.4A、「USB3」は5V 4.5Aまで対応。Type-CとType-Aの3ポートを使った4ポート同時出力も可能(MAXで5V 3Aに制限)
充電を開始すると液晶に残量と雷マークが表示される

 最後に「JBRC会員企業であること」も購入の決め手になったことを紹介しておきます。

背面には「Li-ion00」というJBRCが会員企業に義務付けているリサイクル表示が記載されている

 モバイルバッテリーはリチウムイオン2次電池を搭載していることから、単なる家庭ゴミとして廃棄することができません。そのため、回収してもらう企業や団体にお願いする必要があります。そう、処分が意外とめんどうなのです。

 ですので、量販店などでの回収サービスや回収ボックスなどで引き取ってもらえるJBRC会員企業であることは“使い終わった後”のことを考えると重要なポイントです。安いだけなら名前の知られていないメーカーの製品が数多くありますが、こういう製品は現状“売っておしまい”という姿勢が見え隠れするので、個人的には購入しないようにしています(そもそもの安全性の疑念も払しょくしきれないわけですが……)。

しばらくの間は活躍してくれそうなQS55。ちなみにType-Cケーブルは、片方がL型プラグになっている製品が不意の衝撃に強くて安心できる