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持ち運べるソーラーパネルに実用性はあるのか?防災グッズとしても使えるポータブルソーラーパネルを試してみた

 防災といえば、真っ先に挙がるのは食料と飲料水の確保だが、今の情報化社会では「電源の確保」も大事な要素。スマートフォンなど情報端末の充電もさることながら、明かりの確保にも電源は必要だ。

 停電している状況で電気を確保するには発電機が必要となるが、大掛かりなものは邪魔になるため、個人で用意するならソーラーパネルというのが現実的な選択肢になるだろう。

 しかし大掛かりな発電機よりは安価とはいえ、大型のソーラーパネルを買うのはスペースや価格を考えると躊躇してしまう。

 ということで今回は、手頃に購入できてサイズも大きすぎない、ポータブルソーラーパネルを購入してみた。果たして緊急時のデバイス用電源として実用性はあるのか?を本稿では確認してみたい。

最大出力30Wならソーラーパネルでもコンパクトなサイズ

 今回購入したのは、「BigBlue Solarpowa30(SP30)」という製品。販売価格は8,000円前後。

 100W級ソーラーパネルだと1万円超になるので、それに比べると手頃な価格と言える。

 本体サイズは668×357mmで、3つ折りに折り畳める構造のため、収納時は225×337mmまで小さく畳める。厚みはゲーミングノートほどあるものの、畳んだ際の大きさは13.3インチノートPCより一回り大きい程度なので、カバンに収納することも可能だ。

 重さは約1kgとそこそこあるため、ハンドキャリーでの持ち運びも簡単とまではいかないが、自転車や自動車などであれば、アウトドアのお供として持って行くにも邪魔にならず丁度よい。

展開状態
折りたたみ時
13.3インチノートPCより一回り大きいくらいのサイズ
ソーラーパネルはコーティングされているため防水設計

 ソーラーパネルは太陽に対して垂直に近い角度で設置することで発電量を最大化できる仕様だが、本製品はスタンドを内蔵しているため、設置角度をある程度調整できるのも特徴だ。

スタンド内蔵

 製品仕様ではIP65の防水防塵設計となっているため、万が一天候が急変しても即壊れるということは無いだろう。とはいえ、そもそも雨天では発電がないため、雨が降ってきたら早々に片付けてしまったほうが良いだろう。

意外に少ないUSB出力対応ソーラーパネル

 出力インターフェイスはUSB-AとUSB-C、DC出力の3ポートを搭載。

 USB-Aは最大5V/2.4A(12W)、USB-Cは5V/3A(15W)、9V/2.2A(19.8W)、12V/1.6A(19.2W)、DC出力は18.2V/1.6A(29.12W)対応となっている。

出力ポート

 調べてみると、100Wなど本製品より大型で高出力のソーラーパネルの場合、ポータブル電源の充電用に設計されているものが多く、意外にも汎用的な電源端子を備えている製品が少ない。USB-Cポートを搭載していても、5V/3Aや9V/2Aまでというパターンも多く、折角の大面積パネルの発電性能を活かしにくいものも多い。

 USB出力を目当てに買うならば、大きさ/出力のバランスは本製品のような30W程度のものが良さそうだ。

オートリトライ機能は必須!

 ソーラーパネル選びで大事なポイントとして、「オートリトライ」機能の有無がある。

 ソーラーパネルは光エネルギーを電力に変換する仕組み上、太陽に雲がかかったりパネルに影が重なるなどした際に出力が大きく低下する。出力が下がって発電が止まったあと、「オートリトライ」に対応していない製品の場合、給電を再開するためにケーブルの再接続が必要となる。

 本製品の場合、出力が回復すると自動で再接続してくれるオートリトライ対応のため、日中に放置していおいても充電を継続してくれる。実用性を鑑みると、同機能はソーラーパネルに必須だ。

実際の発電量は?ワットチェッカーで検証

 ここまではサイズと機能面について紹介してきたが、持ち運べるサイズのソーラーパネルで実際どこまで発電できるのだろうか?

 結論から言えば「“時間と天候で大きく左右される”のがソーラーパネルの特性」ということになるのだが、実際の発電量を詳しく見ていこう。

 今回はデバイス用の電源として使うことを想定し、DCコネクタではなくUSB-CからPD急速充電対応のタブレットと接続し、間にワットチェッカーを挟んで給電情報を記録している。

 午前6時から午後6時過ぎまで、約12時間ほど屋外に設置してタブレットを充電した。また発電量を最大化するため、4時間おきに設置角度を調整している。記録データは以下の通りだ。

 ご覧の通り、時間帯によって発電量は大きく変動しているが、日中には最大で17W前後を記録しており、しっかり陽に当たっている状態であれば、ほぼ公称値通りの出力が確認できた。

 日中でも出力にかなりブレがあるが、これは直射日光がなんらかの要因でパネル全面に当たっていないのが原因だ。具体的には、太陽に雲がかかっていたり、設置場所の関係で電信柱の影にかかっていたりしたタイミングで出力が落ち込んでいる。

日中は変動はあれど公称値に迫る高出力
雲が全くない晴天(計測日と別日)の日中には約19Wを出力した

 日中は好調な一方、明け方や夕方の発電量は微々たるものとなった。太陽の低い時間帯ではそもそも光量が足りず、角度調整の効果もあまり大きくはないようだ。

明け方の発電はかなり低い
日が傾くと発電量も落ちていく

 充電量を見ると、今回の検証では約6,200mAhとなった。iPhoneシリーズのバッテリーで3,000~5,000mAh前後なので、6,000mAh以上給電できればスマートフォンや小さめのタブレットなら満充電まで賄える。

充電量の推移

 天候次第とはいえ、持ち運べる大きさのソーラーパネルで「スマートフォン/タブレットが満充電になる」というのは、当初考えていたより実用性のある結果だった。

「万が一の備え」に十分実用性のある、ポータブルなソーラーパネル

 今回導入するまで、持ち運べる程度の大きさのソーラーパネル発電量には懐疑的だったのだが、晴天時にスマートフォン/タブレットがキッチリ充電できるという結果には驚かされた。

 今回の検証では日中の2時間程度で2,000mAhが充電できているため、キャンプやBBQ、ビーチでの海遊びなど、アウトドアレジャー中に短時間だけ使うというシーンでも活躍するはずだ。

 万が一の備えにも役立つ1台として購入する価値はあると言えるだろう。