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4GB/s級のUSB4増設カードで超高速な外付けSSDが身近に。ASUS「USB4 PCIE GEN4 CARD」を買ってみた

ASMedia ASM4242チップ搭載の最新USB4カード text by 坂本はじめ

USB4 40Gbpsに対応するASUSの拡張カード「USB4 PCIE GEN4 CARD」

 USB4 40Gbpsポート2基増設可能なASUSの拡張カード「USB4 PCIE GEN4 CARD」を今回購入してみた。購入時の価格は14,980円。

 最新鋭のUSB4コントローラー、ASMedia「ASM4242」を搭載し、PCIe 4.0×4接続と帯域もしっかり確保。USB4 40Gbps本来の速度を発揮することが期待できる製品という本製品の実力を見てみよう。

USB4正式対応の「ASM4242」を搭載した拡張カード

 USB4 PCIE GEN4 CARDは、バスインターフェースにPCIe 4.0×4を採用したUSB4拡張カード。USB4コントローラーはASMedia「ASM4242」で、最大40Gbps接続が可能なUSB4ポートを2基搭載している。

 2基のUSB4ポートは、最大5台のUSB4機器とのデイジーチェーン接続に対応しているほか、20V/3Aの急速充電や、ディスプレイへの映像出力に対応している。映像出力を利用する場合、ブラケットに配置されているDisplayPort 1.4対応の映像入力端子にビデオカードやマザーボードから映像信号を入力する必要がある。

ブラケット部。40Gbps対応のUSB4ポートと、映像入力用のDisplayPort 1.4を2基ずつ搭載している
カード裏面。バックプレートは搭載していない
表面のカバーを取り外したところ。USB4コントローラーは黒いヒートシンクの下に配置されている
USB4コントローラー「ASM4242」

 USB4 PCIE GEN4 CARDの利用には、PCIe 6ピン補助電源ケーブルによる電力供給が必要。また、USB4 PCIE GEN4 CARD対応BIOSを導入したマザーボードの対応PCIeスロットに搭載し、同梱の14-1ピンUSB4ケーブルとUSB 2.0ケーブルをマザーボードに接続しなければならない。

カード後部の内部接続用コネクター。電源供給用のPCIe 6ピンと、マザーボード接続用の14-1ピンUSB4とUSB 2.0
付属のケーブル。映像入力用のDisplayPort 1.4(2本)と、マザーボード接続用の14-1ピンUSB4とUSB 2.0

 対応BIOSが必要な時点でUSB4 PCIE GEN4 CARDが利用できるマザーボードはASUS製品のみであり、2024年8月時点で対応BIOSがリリースされているのは、Intel 700系チップセットを搭載するLGA1700対応マザーボード、AMDのSocket AM5対応マザーボード、AMD TRX50チップセット搭載マザーボードの一部に限られる。購入前にUSB4 PCIE GEN4 CARDの互換性リスト(リンク先はpdfファイル)で対応マザーボードを確認しておきたい。

 なお、USB4 PCIE GEN4 CARDに対応したマザーボードのBIOSには専用のメニューが用意されており、そこでUSB4カードのサポートを有効化することで、ようやくUSB4 PCIE GEN4 CARDが利用可能となる。

USB4 PCIE GEN4 CARD対応BIOSが導入されたマザーボードは、BIOSメニューに専用の設定項目が追加されている
USB4 PCIE GEN4 CARDを利用するには、USB Host Controller Supportを有効(Enabled)にする必要がある
14-1ピンUSB4ケーブルは、マザーボード上のUSB4ヘッダーに接続
USB4ヘッダーは、Thunderbolt 4拡張カード用として実装されていたTBヘッダーと同じものだ
記事執筆時点でのIntelチップセット搭載マザーボードの対応リスト(対応する全モデルは拡大画像を参照のこと)
記事執筆時点でのAMDチップセット搭載マザーボードの対応リスト(対応する全モデルは拡大画像を参照のこと)

USB4外付けSSDケースとの組み合わせで実測3.7GB/s超を実現かなり高速なUSB4拡張カード

 はたして、ASMedia ASM4242とPCIe 4.0 x4を採用したUSB4カードの最大速度はどの程度のものなのか。

 USB4 PCIE GEN4 CARD対応BIOSが提供されているASUS「ROG MAXIMUS Z790 APEX」と、USB4 40Gbpsにネイティブ対応するASMedia ASM2464PDコントローラーを搭載した“真の”USB4外付けケースであるSatechi「ST-EU4NPM」を使って検証してみた。

 なお、Satechi ST-EU4NPMにはPCIe 4.0 SSDのSamsung「990 PRO」の1TBモデルを組み込んでおり、テスト時はデバイスマネージャーでSSDの書き込みキャッシュを有効化している。

USB4 PCIE GEN4 CARD対応BIOSが提供されているASUSのマザーボード「ROG MAXIMUS Z790 APEX」
USB4ネイティブ対応の外付けケース、Satechi「ST-EU4NPM」に、Samsung 990 PROの1TBモデルを搭載
テスト時はデバイスマネージャーでSSDの書き込みキャッシュを有効化している
USB4でPCIeトンネリング接続したSSDは、書き込みキャッシュを有効化しないと書き込み速度が大きく低下する

 CrystalDiskMarkを実行した結果、USB4 PCIE GEN4 CARDに接続したSatechi ST-EU4NPMの最大速度はリード・ライトともに約3.7GB/sに達した。

 これはUSB4の40Gbps接続が確立しており、なおかつPCIeトンネリングがPCIe 4.0 x4で成立していなければ出ない速度だ。USB4 PCIE GEN4 CARDのスペックから期待できる最大限に近い速度が発揮された結果であると言える。

USB4接続時のCrystalDiskMark実行結果。リード・ライトともに最大3.7GB/sを実現した

USB 3.2 Gen 2x2接続にも対応するUSB4 PCIE GEN4 CARD従来規格との下位互換性を確認してみた

 USB4はUSB 3.2以前のUSB規格との下位互換性を有している。ただし、20Gbpsを実現するUSB 3.2 Gen 2x2(マーケティング名=USB 20Gbps)に関してはオプション対応とされており、USB4(Thunderbolt 4)ポートを備えていても、必須対応とされているUSB 3.2 Gen 2(USB 10Gbps)対応止まりとなっている製品が多い。ASUS USB4 PCIE GEN4 CARDの下位互換対応がどのようになっているのかも確かめてみた。

 今回はUSB4 40Gbpsの検証でも利用したSatechi ST-EU4NPMに下位規格のUSBケーブルを接続し、ケーブルの対応規格相応の速度が出るのか検証する。用意したケーブルはUSB4 20Gbps、USB 3.2 Gen 2x2、USB 3.2 Gen 2、USB 2.0の4種類。なお、USB 3.2 Gen 1(USB 5Gbps)に関してはケーブルでの速度制限ができなかったため、同規格に対応するUSBハブを中継して接続した。

USB4 20Gbps接続(書き込みキャッシュ有効)
USB 3.2 Gen 2x2(20Gbps)接続
USB 3.2 Gen 2(10Gbps)接続
USB 3.2 Gen 1(5Gbps)接続
USB 2.0(480Mbps)接続

 結果としては、USB4 PCIE GEN4 CARDが備えるUSB4ポートはUSB 3.2 Gen 2x2にも対応しており、今回テストした5つのUSB規格と下位互換性を有していた。

 当然、USB4 PCIE GEN4 CARDに期待するのはUSB4 40Gbps接続ならではの高速通信だが、下位規格のUSB外付けケースを接続しても最大限の速度を引き出せるというのも魅力の一つであると言える。

最新コントローラーとPCIe 4.0接続で高速なUSB4カード超高速な外付けSSDを利用するなら導入の価値あり

 ASUSのUSB4 PCIE GEN4 CARDはASMedia ASM4242とPCIe 4.0 x4の採用から期待されるとおり、USB4 40Gbps接続における最大限の速度を実現可能な拡張カードだった。USB 3.2 Gen 2x2にも対応する下位互換性もありがたい。

 USB4 PCIE GEN4 CARDが利用できるマザーボードは限定的だが、マザーボードを新調するよりは低コストでUSB4 40Gbpsを追加できるのは魅力的だ。ASUS製マザーボードを使用しているユーザーで、最大40Gbpsを実現するUSB4の速度に興味があるなら、まずはUSB4 PCIE GEN4 CARDの互換性リストをチェックしてみるとよいだろう。