プロダクトレビュー・ショーケース

ASRockマザーのWi-Fiカード用M.2スロットにカードを後付けして無線機能を追加してみた

チョイ前のお安めマザーにIntel AX210モジュールを導入する text by 芹澤 正芳

ASRockマザーボードの「M.2 Wi-Fi 向け Key Eスロット」へのWi-Fiカード増設を試してみた

 ASRockのマザーボードは、Wi-Fi/Bluetooth非搭載モデルでも後から追加できるように「M.2 Wi-Fi 向け Key Eスロット」を用意しているケースが多い。バックパネルカバーにもアンテナ取り付け用の穴が用意されている。

 では、実際に増設する場合の手順はどうなのか。「B650 Pro RS」を例に試してみた。

安さ優先でWi-Fiなしにしたけど、やっぱりあったほうが使いやすい

 ASRockの「B650 Pro RS」は、B650チップセットを搭載するATXサイズのマザーボード。ネットワーク機能は2.5Gの有線LANは備わっているが、Wi-Fi/Bluetoothは非搭載だ。筆者が機材のテスト用に購入したもので、そのときは「安いし、有線LANだけあれば十分」と思っていたが、場所を選ばずネットワークに接続したり、ゲームパッドやヘッドセットのテストにも使えたりするので、やはりWi-Fi/Bluetoothがあったほうが便利だなと最近では考えるように。

ASRcokのB650チップセット搭載マザーボード「B650 Pro RS」。2022年発売で現在の実売価格は2万3,000円前後。2024年に追加されたWi-Fi標準搭載モデルも近い価格なので、今買うならこっちがオススメだが、今回の記事の意図は「当時買ったマザーをパワーアップする」というもの

 手っ取り早くUSBタイプのWi-FiやBluetooth子機を追加してもよいのだが、せっかく「M.2 Wi-Fi 向け Key Eスロット」があるのだから、それを有効活用するのがスマートというものだ。

Wi-Fi/Bluetooth非搭載だが、Wi-Fiカード増設用の「M.2 Wi-Fi 向け Key Eスロット」があるので後から追加が可能。しかし、肝心のカードの純正品は入手ハードルがやや高め

 ところがここで一つ難点が。ASRock純正のWi-Fiキットは、Intelチップセット向けの「Intel 802.11ax Wi-Fi 6E Kit」は国内でも流通しているが、AMDチップセット向けの「AMD 802.11ax Wi-Fi 6E Kit」は国内では発売されていないのだ。

 ないものはどうにもならないし、Key E対応のWi-Fiカードなら大丈夫だろうという見込みで製品を探すことにした。バックパネルカバーの穴からアンテナを出すことを考えると、Wi-Fiカードだけではなく、アンテナやケーブルがセットになっているものがベスト。ということで選んだのがOKNの「AX210 WiFi 6e lanカード」だ。

OKN「AX210 WiFi 6e lanカード」。実売価格は4,000円前後だ

 IntelのWi-Fi 6E対応モジュール「AX210」を搭載したカードと長さ30cmのアンテナケーブル2本、アンテナ2本、拡張スロットに取り付けるためのブラケットがセットになったもの。カードは、2230サイズでKey EとKey Aに対応している。ワイヤレス機能はWi-Fi 6E(最大2.4Gbps)とBluetooth 5.3をサポートする。

Intel AX210モジュールを備えるカードは、2230サイズでKey EとKey Aに対応。アンテナケーブルは最初から取り付け済みだった
ちなみに、技適マークはパッケージに入っているのを確認できた

M.2カードなので取り付けは簡単

 早速取り付けてみよう。カードを固定するネジはマザーボードに付属しており、取り付けにはSSDと同じくプラスの精密ドライバーが必要になる。

 マザーボード上で「M.2 WiFi」と印字されているのが「M.2 Wi-Fi 向け Key Eスロット」だ。ネジ穴にはオレンジのフィルムが貼られているのでそれをはがしてカードを取り付けてネジで固定。アンテナケーブルはカードに取り付けたままでOKだ。

「M.2 Wi-Fi 向け Key Eスロット」のネジ穴にあるオレンジのフィルムを外してWi-Fiカードを取り付ける
カードを固定するネジはマザーボードに付属する。精密ドライバーで取り付けよう。アンテナケーブルは取り付けたままで大丈夫だ

 続いて、マザーボード裏面にあるバックパネルカバーを固定しているネジを外して、カバーを取り除く。そして、アンテナケーブルをバックパネルの裏側を通して引き出す。このとき、ケーブルの先端にある六角ナットも外しておく。バックパネルカバーのアンテナ用の穴からアンテナケーブルの先端を出す。そして、六角ナットでケーブルを固定し、バックパネルカバーを戻してアンテナを取り付ける。これでハードウェアの作業は完了だ。

バックパネルの外し方は製品により異なるが、B650 Pro RSの場合は、マザーボードの裏側にあるネジを外すと外せるようになる
バックパネルの裏側からアンテナケーブルを引き出す
アンテナケーブルの六角ナットを外し、バックパネルカバーのアンテナ用の穴に裏側から挿し込む
表から六角ナットを戻してアンテナケーブルをバックパネルに固定する
バックパネルカバーを戻す。スッキリとアンテナケーブルを取り付けられる
バックパネルにアンテナを取り付ける。これでWi-Fiを使う準備は完了だ

 Windows 11 Pro(23H2)では、OSのインストール時に自動的でWi-Fiカードを認識した。OSインストール後に追加する場合も自動的に認識。Bluetoothドライバはインターネットに接続されている状態ならば、自動的に導入された。すんなり使えるようになるのはありがたい。

OSインストール時点でWi-Fiカードは使用可能になっている
OSインストール後に追加する場合も自動的に認識する。Bluetoothのドライバはインターネットに接続されれば自動的に導入された

 ちなみに、ASRockに確認したところ、AX210などPCI Express接続のWi-Fiモジュールであれば原則として対応できるそうだ。ただし、アンテナケーブルがバックパネルカバーまで届くかには注意してほしい、とのこと。B650 Pro RSでのアンテナケーブルは、筆者の実測では20cmでバックパネルカバーの穴までギリギリ、22cm以上あれば確実に大丈夫だった。Wi-Fiカード選びの参考にしてほしい。