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CORSAIRの高コスパ水冷クーラーにLCDパネル搭載モデルが登場、「NAUTILUS RS LCD」を試してみた

光らないけどワンポイントアクセントは欲しい人向けの高性能モデル text by 坂本はじめ

 CORSAIRのオールインワン水冷クーラー「NAUTILUS RS シリーズ」に、2.1型LCD(液晶)パネルを搭載した新作「NAUTILUS RS LCD」が追加された。ラジエーターサイズは240mmと360mmの2種類で、それぞれ黒と白のカラーバリエーションが用意される。

 今回、NAUTILUS RS LCDの360mmホワイトモデルをテストする機会が得られたので、Ryzen 9 9950Xを搭載した白いPCに搭載して、2.1型LCDパネルのビジュアルや冷却性能をチェックしてみた。

2.1型LCDパネルを搭載したCORSAIRのオールインワン水冷クーラー

 NAUTILUS RSシリーズは、CORSAIRの水冷クーラーとしては導入コストを抑えたモデル群で、LEDやファンの制御をマザーボード側で行う方式の製品。サイズやRGB LEDの有無などでバリエーションモデルが複数投入されている。

 今回紹介する「NAUTILUS RS 360 LCD White(CW-9061030-WW)」は、360mmラジエーターにLED非搭載のファンを3基備え、ヘッド部分に2.1型のLCDを搭載したホワイトモデル。同タイプの製品には、同じく360mmラジエーターのブラックモデル「NAUTILUS 360 RS LCD Blck(CW-9061033-WW)」のほか、240mmラジエーターのブラックモデル「NAUTILUS 240 RS LCD Black(CW-9061031-WW)」およびホワイトモデルの「NAUTILUS 240 RS LCD White(CW-9061032-WW)」も用意されている。

NAUTILUS RS 360 LCD White
360mmサイズ(120mmファン×3基)のラジエーター
3基の120mmファンを標準搭載
磁気ドームベアリングを採用する120mmファン「RS120」。PWM制御により0~2,100rpmで動作する
RS120はデイジーチェーン接続が可能な短い電源ケーブルを採用。コネクタ形状は標準的な4ピンFAN。
4ピンFANコネクタを備える延長ケーブル。ショートケーブルを採用するRS120の配線に用いる
ファンと延長ケーブルを接続した状態。4ピンFANケーブル一本で冷却ファンを接続できる

 対応CPUソケットはAMDのSocket AM5/AM4、およびIntelのLGA1851/1700。各CPUソケットに合わせたリテンションが付属している。水冷ヘッドの取り付けに使うネジは黒だが、ファンやラジエーター固定用のネジは本体カラーのホワイトに合わせたシルバー系のものとなっている。

リテンションキット。AMDのSocket AM5/AM4と、IntelのLGA1851/1700に対応
ファンおよびラジエーター固定用のねじ。ファン6基を固定できる分のねじが同梱されている

表示のカスタマイズが可能な2.1型LCDパネル搭載水冷ヘッド

 NAUTILUS RS 360 LCD Whiteの水冷ヘッドには、2.1型の円形LCDパネルが標準搭載されている。このLCDパネルはマザーボードのUSB 2.0 ヘッダーと接続することで動作し、ユーティリティソフトの「iCUE」で表示内容のカスタマイズが行える。前述のとおり、ファンとポンプの制御はiCUEでは行わない。

円形の2.1型LCDパネルを搭載する水冷ヘッド
LCDパネルの動作には、マザーボードのUSB 2.0 ヘッダーと接続する必要がある
CORSAIRのユーティリティソフト「iCUE」。LCDパネルの表示をカスタマイズできる

 iCUE起動中はCPU温度をはじめとするPCのステータス情報や時刻などを表示することが可能なほか、クーラー側に設定を保存するデバイスメモリモードを利用することで、iCUEを立ち上げなくても任意の画像(GIF画像を含む)を表示することができる。

iCUEを利用することで、CPU温度をはじめとするPCのステータス情報を表示することができる
LCDパネルの表示方向は90度単位で変更できる。取り付け方向に応じた最適な表示が可能だ
iCUEで「デバイスメモリモード」を設定しておくと、iCUEを起動していない状態でも任意の画像を表示できる

 なお、水冷ヘッドには冷却液を循環させるためのポンプが内蔵されており、ポンプへの電力供給は4ピンFANケーブルを介して行う仕様となっている。

CPUと接触するベース面は銅製で、サーマルグリスが塗布されている
ポンプ用の電源ケーブル。コネクタは標準的な4ピンFANで、PWM制御に対応している

Ryzen 9 9950XでNAUTILUS RS 360 LCD Whiteの冷却性能をテスト

 ここからは、Ryzen 9 9950Xを搭載したテスト環境でNAUTILUS RS 360 LCD Whiteの冷却性能をテストする。

 なお、冷却性能に直接影響する要素ではないが、今回のテスト環境は白いPCパーツを中心に構築してみた。デザインもシンプルで白が際立つモデルなので、白系のPCを構築する際におすすめのモデルだ。

白いパーツを中心に構築したNAUTILUS RS 360 LCD Whiteのテスト環境

 電力リミット=200WのRyzen 9 9950Xを冷やすにあたって、今回はNAUTILUS RS 360 LCD Whiteのファンおよびポンプの速度を最大の「PWM制御=100%」に設定した場合と、「PWM制御=50%」に絞った設定の2パターンで計測を行う。

 テスト時の室温は約26℃で、負荷テストはCinebench 2024の「CPU (Multi Core)」。その他の条件などは以下の表の通り。

 計測の結果、Ryzen 9 9950Xの温度リミット(TjMax)が95℃であるのに対し、PWM制御=100%設定時のCPU温度が平均74.4℃(最大75.9℃)、PWM制御=50%設定時は平均78.5℃(最大81.0℃)を記録。いずれも温度リミットまで十分に余裕のある温度を維持できていた。

 今回のテストにおいて、Ryzen 9 9950Xは電力リミットの200Wの枠内で許容される最大限のパフォーマンスを発揮している状況であり、それだけの発熱をPWM制御=50%に絞っても余裕で処理できるNAUTILUS RS 360 LCD Whiteの冷却性能は、相当に優れたものであると言える。

CPU温度
ファン速度とポンプ速度
ベンチマークスコア│Cinebench 2024
モニタリングデータの推移グラフ
PWM制御=100%設定時
PWM制御=50%設定時

冷却性能も十分、LCDパネル付きで手堅い水冷クーラーが欲しい人におすすめの1台

 NAUTILUS RSシリーズは、CORSAIR製水冷クーラーとしては低価格帯モデルでありながら、ハイエンドクラスに引けをとらない冷却性能が魅力の製品だ。今回テストしたNAUTILUS RS 360 LCD Whiteも優秀な冷却性能を備えることは、Ryzen 9 9950Xを余裕で冷やせていたことからも伺える。

 2.1型LCDパネルを標準装備するNAUTILUS RS LCDは、冷却性能やコストパフォーマンスの高さに魅力を感じながらも、ビジュアル面の物足りなさからNAUTILUS RSを選択肢から外していたユーザーにとって魅力的な製品となりそうだ。