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希少なサイズ感が目を引く「PNY GeForce RTX 5070 Ti 16GB OC SLIM」。準ハイエンドでも2スロット厚で長さ30cm切り!

スリムボディでもパフォーマンスと冷却は万全 text by 内田 泰仁

 2025年2月にGeForce RTX 5070 Tiが発売されてからまもなく1年半。そろそろ次の展開が聞こえてきてもよい頃合いだが、今のところ自作PC界隈で聞かれるGPUまわりの話は、次期/次世代の話題よりも下がらない価格や今なお不安のある流通状況のほうが多いようだ。

 そんな微妙な時期ではあるが、GeForce RTX 50シリーズ搭載カードの新製品はちらほらと登場しており、AKIBA PC Hotline!でもいくつかニュースとして取り上げている。今回、準ハイエンドクラスであるGeForce RTX 5070 Tiを搭載しつつデュアルファン&2スロット厚というサイズを実現した、「PNY GeForce RTX 5070 Ti 16GB OC SLIM」(型番: VCG5070T16DFSXPB1-O)の実機が入手できたので、簡単にレポートをお届けする。

小型ではないが、短め&スリムの最近では珍しいサイズ感

 トリプルファンに3スロット厚前後の大型カードが少なくない昨今の準ハイエンドGPU搭載カードだが、PNY GeForce RTX 5070 Ti 16GB OC SLIMは、デュアルファンでジャスト2スロット厚というスリムなサイズに抑えたビデオカードだ。GeForce RTX 5070搭載でデュアルファンというカードはこれまでにいくつか見かけることがあったが、1ランク上のGeForce RTX 5070 Tiとなるとごくわずかだ。

PNY GeForce RTX 5070 Ti 16GB OC SLIM。一部のロゴ以外はオールブラックでLED発光機能はなく、シンプルかつ精悍なデザインにまとめられている
金属製のバックプレートを備える背面。写真向かって右側には大きな開口部があり、ヒートシンクが露出している
バックパネルブラケット。見て分かるように厚さは2スロット分で、最近の上位GPU搭載カードに比べると「ずいぶん薄いなぁ」と感じる。端子構成は標準的で、DisplayPort 2.1b×3、HDMI 2.1b×1の4系統出力

 字面をパッと見ると「お、コンパクトなカードなのかな?」とも思ってしまいかねないが、実際には“小型”とか“コンパクト”という表現には当てはまらないサイズ感。製品名にあるとおり“スリム”ではあるが、十分な冷却能力を確保するため、2基のファンは直径約120mmと一般的なビデオカードよりも大きめ。ただし、カード長は多くのトリプルファンのものよりも短く、290mmに収まっている。前面に水冷クーラーを設置する場合、意外とビデオカードとラジエーター&ファンのクリアランスが確保できない(特に一昔前のケースを使っている場合)こともあるので、カード長の短さはビデオカードの換装時には重宝しそうだ。

カードサイズは長さ290×高さ150×厚さ40mm。正面から見るとそれなりの存在感の大きさだが、2スロット分相当という“薄さ”のおかげでかなりスリムに感じる
ファンの直径は約120mmと大きめ。アイドル~低負荷時には完全に停止し、ゲーム中の回転数は1,500~1,700rpm程度まで。ケースに入れてしまえば動作音はほとんど気にならない。強制的にフル回転させると3,150rpm前後まで上昇できた
2基のファンのうち、ブラケットから遠いほうのファンはヒートシンクに直接風を当てている。ファン側から吸気してヒートシンクを経由してバックプレート側に排気される構造だ

 サイズについて注意が必要なのは“高さ”で、PCIe端子部分からクーラーのもっとも高い部分で150mmもある。バックパネルブラケット側から見ると45mmほど頭が出ているので、幅の狭いPCケースを使う場合は若干注意が必要だろう。

 以前はよく“(サイズの)虎徹が入るケース”なんて表現をしたものだが、実は大型ビデオカードにも通じるものがあり、ある程度のサイズの空冷クーラーが入らないPCケースだと、高さのあるビデオカードや12V-2x6補助電源採用のものは、組み込みに難が出る可能性がある。

補助電源コネクターはカード天面から奥まったところにある

 ただ、本機の場合は12V-2x6コネクター自体がクーラーの天面にあるわけではなく、そこから40mmほど奥まったところにある(クーラーやバックプレートは巨大だが、基板自体はかなりコンパクトなことが功を奏している)。補助電源ケーブルに余計な負荷をかけることなく引き回す“ゆとり”を考えると、一般的な12V-2x6補助電源ケーブルを使う場合は、少なくとも高さ160mmの空冷CPUクーラーが入るくらいの内部スペースがあるPCケースを利用したい。曲げやすい補助電源ケーブルなどを使うならもうちょっと余裕はあるかもしれないが、いずれにしてもムリは禁物。

補助電源を接続し、カード下部から電源ユニットに接続するようにケーブルを引き回してみるとこんなイメージ。写真の例で使用したケーブルは曲げにくい固めのものだったこともあるが、ケースに収納するときにはケーブル分のクリアランスも意識しておこう
片方のファンが基板にかぶっていない、補助電源がカードの中腹にある、といったことからも分かるが、本機の基板はかなりコンパクト。PCIe端子部分を含めた実測で約170×112mmしかない

 ファクトリーOC仕様で、GPUクロックは、ベースクロックが2,295MHz、ブーストクロックは標準の2,452MHzから2,572MHzに引き上げられている。ややマイルド寄りのセッティングだが、総合的な扱いやすさとパフォーマンスのバランスという点では十分なスペックと言ってよいだろう。そのほか、GPUまわりの基本スペックは標準的なGeForce RTX 5070 Tiの仕様のとおり。

GPU-Zの画面。ブーストクロックは2,572MHzのOC設定、メモリクロックは定格、電力リミットの最大は110%

GeForce RTX 5070 Tiカードとして期待どおりのパフォーマンス

最後にベンチマークテスト結果をまとめておく。初登場から1年半近くが経過したGPUを搭載する新製品ではあるが、スコア的にはこれまでのGeForce RTX 5070 Ti搭載OCカードと大きな差はない。一般論にはなるが、高性能なGPUに16GBのビデオメモリを搭載した、4KゲーミングとAIの時代にフィットしたアッパーミドルクラスの理想的な製品と言ってよいだろう。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-12900K(16コア24スレッド)
マザーボードASUS ROG STRIX Z790-F GAMING WIFI
メモリMicron Crucial CT2K16G56C46U5 DDR5 32GB
(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
SSDNextorage NE5N2TB/FHNE SYM
[M.2(PCIe 5.0 x4)、PCIe 4.0 x4として動作]
CPUクーラーCORSAIR iCUE LINK TITAN 360 RX RGB
(簡易水冷、36cmクラス)
追加ケースファンCORSAIR iCUE LINK RX120 RGB×5(12cm角ファン)
電源ユニットCORSAIR RM850x SHIFT
(850W、80PLUS Gold)
3DMarkの計測結果
UL Procyon AI系ベンチの計測結果
Forza Horizon 6(内蔵ベンチマーク)の計測結果。画質設定は“Extreme+RT”+“DLSS SR バランス”とした
サイバーパンク2077(内蔵ベンチマーク)の計測結果。画質設定は“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、“DLSS SR”の項目のみ手動で“バランス”に変更している

 また、実際にケースに組み込んで負荷をかけた際のクロック、温度の推移を追ってみた。3DMarkのSpeedWay Stress Testで連続20回実行し、テスト開始から25分間(うち、Stress Testの実行時間は約20分間)の動きをHWiNFO 64で記録した。

3DMark SpeedWay StressTestを20回リピート実行した際のGPUクロック、GPU温度とビデオメモリのジャンクション温度の推移(25分間)。GPU温度については一部ツールが認識できる“ホットスポット温度”ではない

 GPU温度は上がっても70℃まで、GPUクロックは高負荷時のほとんどの時間帯を設定上のブーストクロックを上回る2,800MHz台後半で推移した。ログを確認してみると、高負荷時はほぼ電力リミット上限いっぱいで動作していることから、冷却は十分に足りていると言えそうだ。デュアルファンかつ2スロット厚とはいえ、十分なサイズが確保されたヒートシンクと大口径ファン、下から上にしっかりとエアが抜ける構造の効果によるところだろう。

なお、今回のテスト環境は、底面+側面吸気→天面+背面排気により十分なエアフローを確保したピラーレスのミドルタワーケースを使用しており、PC内部の冷却(排熱)にはだいぶ余裕がある状態に仕立ててある。よく冷えるカードとはいえ、GPUはTDP 300WのGeForce RTX 5070 Tiを搭載しているのだから、十分な冷却性能を発揮できるだけのエアフロー (およびそのためのスペース)はしっかりと確保するべきだろう。

短め&スリムという“独自色”を強く推し出す、1年半を経て登場した新顔

 GeForce RTX 5070 Tiをデュアルファンかつ2スロット厚にまとめてきた希少性を高く評価したいPNY GeForce RTX 5070 Ti 16GB OC SLIM。パフォーマンスと物理的な扱いやすさは期待どおりではあるが、7月末時点での実売価格は21万円前後で、一部のGeForce RTX 5080搭載カードの“激安製品”との価格差は小さい。ただ、上位ビデオカードの実売価格がじりじりと上昇傾向にもあるので、このあたりはタイミング次第か。

 いずれにしても、「サイズを優先したいけど性能も妥協したくない」という人には、かなりハイレベルな選択肢になる。対抗馬としては2~2.5スロット厚相当で高さの低いトリプルファン製品もあるが、こちらはカード長が長めで、しかも製品数はやはり限られている。使用環境に照らし合わせつつ検討してみるとよいだろう。

 なお、本稿の校了直前に、さらに1ランク上となる「PNY GeForce RTX 5080 16GB OC SLIM」が発売されている。実売価格は27万円前後。今回ご紹介したGeForce RTX 5070 Tiモデルの十分な冷却性能を考慮すると、こちらも十分に期待できそうだ。