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最新世代QLC SSD、Nextorage「Gシリーズ EEA」1TB版を試す――リードは7,000MB/s超、パフォーマンスや得手不得手をチェックする

厳しい状況が続くストレージ市場、QLC SSDをどう活かす? text by 芹澤 正芳

 SSDの高値傾向が続く昨今、容量単価を抑えやすいQLC NAND採用製品に改めて注目が集まっている。Nextorageが新たに発売した「Gシリーズ EEA」もそのひとつだ。大容量SLCキャッシュとQLC NANDで性能と容量のバランスを追求したという。今回は1TBモデルを使い、基本性能、ゲーム系ベンチマーク、連続書き込み時の速度と温度などをチェック。最新QLC SSDの実力を見てみよう。

 ミドルレンジ帯でのピーク性能は、TLC NANDとQLC NANDの差はほとんどなくなってきている。ただ、「TLC NANDのSSDに比べて寿命が短いのが心配」、「SLCキャッシュが切れた後の書き込み速度が遅い」といったように、実際に構造上の不利もあるため(一部は誇張された表現ではあるものの)、できることならTLCで……という人も少なくないだろう。しかし、今の市場は選り好みができる状況ではないのも事実。また、それでもQLC NANDのSSDは継続的にリリースされている以上、代を重ねたことでデメリットを上回るメリットが伸びているのではないだろうか。

QLC採用ながらリード最大7,000MB/sをうたうGen 4 SSD

 Nextorage Gシリーズ EEAは、M.2 2280フォームファクターのNVMe SSDだ。インターフェースはPCI Express 4.0 x4で、1TB/2TB/4TBモデルは片面実装、8TBモデルのみ両面実装となる。NAND型フラッシュメモリは3D QLC、DRAMキャッシュは非搭載で、HMB(Host Memory Buffer)に対応する。

QLC NANDを採用するNextorage「Gシリーズ EEA」
【Gシリーズ EEAの主なスペック】
容量8TB4TB2TB1TB
フォームファクターM.2 2280
インターフェースPCI Express 4.0 x4
プロトコルNVMe 1.4NVMe 2.0
NAND型フラッシュメモリ3D QLC
DRAM非搭載
コントローラーINNOGRIT IG5222
シーケンシャルリード7,000MB/s
シーケンシャルライト6,400MB/s6,100MB/s
総書き込み容量(TBW)4,000TB1,600TB800TB400TB
保証期間5年

 QLC NANDは、1セルあたり4bitを記録することで、大容量化や容量単価の低減には向いている。ただ、登場当初は耐久性や速度の面でTLC方式との差が大きかったが、近年はコントローラーやファームウェア、キャッシュ制御の進化によって実用性能が向上。実際に、Gシリーズ EEAでもシーケンシャルリード最大7,000MB/sとPCI Express 4.0 x4接続のSSDとしてトップクラスの速度に到達できている。

3D QLC NANDを2チップ搭載。4TBまでは片面実装なので、今回テストする1TBモデルの裏面には何もチップはない
コントローラーはDRAMレス向けのINNOGRIT「IG5222」を採用。2025年3月に発表された比較的新しいコントローラーだ

 なお、1TBモデルのTBWは400TB。TLC採用の上位SSDと比べると控えめではあるが、一般的な用途でこの数値を使い切るのは簡単ではない。参考例として、筆者や編集部の手元にある仕事や日常生活に使っているSSDの実際の使用状況を調べてみたところ、以下のようになった。データの確認には「CrystalDiskInfo」を使用し、各SSDの「総書込量(ホスト)」と「使用時間」をまとめた。

【(参考)普段使いSSDの使用状況】
主な用途使用時間総書込量(ホスト)
(1)NVMe SSD
(2TB、PCI Express 4.0 x4)
OS用20,151時間(約2年4カ月)98,097GB(約98TB)
(2)NVMe SSD
(2TB、PCI Express 5.0 x4)
ベンチで酷使→
OS用
8,657時間(約361日)92,024GB(約90TB)
(3)NVMe SSD
(2TB、PCI Express 4.0 x4)
データ置き場8,624時間(約360日)6,934GB(約6TB)
(4)NVMe SSD
(4TB、PCI Express 4.0 x4)
ゲーム用4,131時間(約172日)9,291GB(約9TB)
(5)2.5インチSSD
(4TB、SATA)
ゲーム用19,778時間(約2年3カ月)47,913GB(約48TB)
(6)2.5インチSSD
(2TB、SATA)
バックアップ
保管場所
8,624時間(約360日)12,968GB(約12TB)

 今回取得した“総書込量(ホスト)”の値は、CrystalDiskInfoの説明によると「発行された書き込み命令の総量」とのこと。これはバッファのみに書き込む場合もカウントされるため、実際にNANDに書き込まれた総量とは一致しない場合もあるという。“総書込量(NAND)”のデータも取得できた(6)では、NANDのほうが約1TB少なかった。

 (3)、(4)、(6)はPCに取り付けてからまだ2年程度、ほかのSSDについてはかなり「使い込んだ」と感じているものだったのだが、ツールで読み取った“総書込量”は意外にもこの程度。いずれも、各製品のTBWにはまだまだ残存がある状態だった。

 SSDの使い方によって書き込み量は大きく変わる。「使い込んだSSD」と認識しているSSDでも、実際には“総読込量”が“総書込量”の2倍近いというものもあった。OS、アプリ、ゲーム、一般的なデータ置き場として使う範囲なら、QLCだからといってNANDの寿命・耐久性に過度な不安を持つ必要はないだろう(端子や基板、SATA SSDならコネクター類の経年劣化や破損のほうが怖いかも?)。

 むしろ注意すべきは、SLCキャッシュを使い切るような大容量の連続書き込みをどれだけ行うか、という点だ。これについては、次項からの各種ベンチ結果を見ていただきたい。

ベンチマークで性能をチェック

 ここからは性能テストに移ろう。テスト環境は以下のとおり。比較対象として、PCI Express 4.0/3.0世代のSSDをいくつか用意した。いずれも1TBモデルだ。AGI AI818、Micron Crucial P3 Plusは筆者による検証でQLC NAND採用と見られるもの、SanDisk WD Green SN350はQLC NAND採用をスペックに明記している。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-14900K(24コア32スレッド)
マザーボードASRock Z790 Nova WiFi(Intel Z790)
メモリDDR5-6000 32GB(PC5-48000 DDR5 SDRAM16GB×2)
システムSSDM.2 NVMe SSD 2TB(PCI Express 5.0 x4)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 5060
CPUクーラー簡易水冷クーラー(36cmクラス)
電源1,000W(80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro(25H2)

 まずは定番の「CrystalDiskMark 9.0.3」から見ていこう。

CrystalDiskMark 9.0.3の結果

 Nextorage Gシリーズ EEAは、シーケンシャルリードで7,111.38MB/s、シーケンシャルライトで6,088.25MB/sを記録した。1TBモデルの公称値はリード最大7,000MB/s、ライト最大6,100MB/sなので、ほぼ公称どおりと言ってよい。比較対象の中ではシーケンシャル性能が頭ひとつ抜けており、PCI Express 4.0 x4の帯域をしっかり使えている。QLC採用SSDというとエントリー寄りの印象を持たれがちだが、少なくともSLCキャッシュが効いている範囲では、最新製品のピーク性能はかなり高い。

 続いて、実使用に近いストレージ性能を見るPCMark 10のFull System Drive Benchmark、ゲーム用途を想定した3DMarkのStorage Benchmarkを実行した。

PCMark 10 Full System Drive Benchmarkの結果
3DMark Storage Benchmarkの結果

 いずれもGシリーズ EEAがトップを獲得した。アプリの起動やファイル操作を含む総合的なレスポンスでも良好な結果と言える。また、3DMark Storage Benchmarkは2,500以上なら高速なSSDと言ってよい水準となっており、それを大きく上回った。ゲームのインストール先として十分な性能を持っている。

 次に、3DMark DirectStorage feature testを試そう。NVMe SSDから読み込んだ圧縮データをCPUを経由せず、直接GPUメモリへ転送することでゲームのロード時間を劇的に短縮するDirectStorageに対する性能を確かめられるベンチマークだ。

3DMark DirectStorage feature testの結果

 Gシリーズ EEAが13.2GB/sと2位のAGI AI818を約1.6倍も上回る速度を記録。DirectStorageは対応タイトルが限られるものの、今後のゲーム用途を考えるうえでは見逃せない要素だ。Gシリーズ EEAはピークのシーケンシャル性能だけでなく、こうしたゲーム向けの読み出しでも強さを見せている。

温度は最大48℃、発熱面の不安は小さい

 高負荷時の温度も確かめよう。TxBENCHを使って5分間連続でシーケンシャルライトを行ったときの温度をモニタリングアプリのHWiNFO Proで追った。マザーボード付属のヒートシンクを装着した上で、バラック状態でテストしている。グラフ中の“アイドル時”はベンチマーク開始前の温度だ。

温度はマザーボード付属のヒートシンクを装着してテストを行っている
5分間連続でシーケンシャルライト時の温度

 シーケンシャル速度、アプリのレスポンスでトップの性能を見せたGシリーズ EEAだが、平均温度は2番目に低かった。INNOGRIT IG5222コントローラーは低発熱で高性能と言える。まだ採用SSDは少ないが、注目のコントローラーだ。なお、比較対象も十分低い温度。マザーボード付属のヒートシンクを使う一般的な環境であれば、温度面で神経質になる必要はなさそうだ。

SLCキャッシュ切れ後は約138MB/sまで低下

 5分間の連続書き込みと合わせてSLCキャッシュ容量と切れた後の平均速度も計測した。あくまでHWiNFO Proで追った値なので参考として見てほしいが、QLC SSDらしい弱点が見えてくる。

5分間連続でシーケンシャルライト時の速度推移
【SLCキャッシュ】
SLCキャッシュ容量速度低下後平均速度
Nextorage Gシリーズ EEA約279GB約138MB/s
AGI AI818約261GB約154MB/s
Micron Crucial P3 Plus約248GB約73MB/s
SanDisk WD Green SN350約230GB約108MB/s

 SLCキャッシュが効いている範囲では5,000MB/s前後の高速な書き込みを維持するが、キャッシュ切れ後はHDDに近い速度まで落ちる。この落差は大きく、数百GB規模の動画素材やバックアップデータを頻繁に一気に書き込む作業用ドライブとしては向いていない。

 ただし、1TBモデルで約279GBのSLCキャッシュが確保されている点はGシリーズ EEAを高く評価したい。何度も頻繁に行うわけではないゲームやアプリのインストール、通常のファイルコピー程度であれば、この範囲に収まることも多い。キャッシュ切れ後の速度低下は明確な弱点だが、発生する場面を理解して使えば大きな問題になりにくい。

QLCの弱点はあるが、ゲーム用・普段使い用としては魅力的

 Nextorage Gシリーズ EEAの1TBモデルは、QLC NAND採用のDRAMレスSSDながら、シーケンシャルリード7,111MB/s、ライト6,088MB/sと、PCI Express 4.0世代のSSDとしてトップクラスのピーク性能を示した。PCMark 10や3DMark Storage Benchmark、DirectStorageの結果も良好で、OSやアプリ、ゲーム用のSSDとして十分な速さを備えている。

 QLCの宿命とも言える“SLCキャッシュ切れ後の速度低下”という特性を理解したうえで、ゲームやデータ保存、普段使いのSSDとして導入するなら、Nextorage Gシリーズ EEAは低発熱、高性能と非常に扱いやすい。2026年9月上旬現在の1TB SSDとして性能から考えれば手頃な価格なのも大きなポイントだ。QLCだから耐久性が不安、という先入観だけで避けるのはもったいない。今まで以上に、用途を見きわめて賢く買って、最適な場所に投入することを心掛けていきたいところだ。