特集、その他

エロゲー+VR=男の夢?「カスタムメイド3D2」を楽しむには、どんなPCを選ぶべきなのか? メーカーに聞いてみた

text by 関根慎一

VR対応の成人向けゲーム「カスタムメイド3D2」(リンク先は18禁サイト)
今回は、ユニットコムのゲーミングPC「LEVEL∞」の“VR向けPC”でテストしてみた。検証結果はこちら

 HTC ViveやPS VRの登場以降、徐々に普及が進んできたVR。

 家庭向けだけでなく、アミューズメント施設などへの導入も進んでおり、ある程度「どんなものか」を知っている読者も多いだろう。実際、VR動画を体験するだけなら、数千円のスマホ向けゴーグルでも体験できる。

 しかし、本格的なVRコンテンツとなると、高度な描画が必要になるため、ゲーム機やPCの独壇場。そして、その「VRならではの臨場感」を最大限に生かせるコンテンツとして、「アダルト向けゲーム」………いわゆる「エロゲー」に注目している人も多いようだ。

 そして、PCの成人向け「VRゲーム」はいくつかあるが、いち早くVR化を手掛けたのがKISSブランド。

 そこで今回は、同社の最新作「カスタムメイド3D2」を開発する「ねい」氏に、「アダルト向けVR向けソフト」をプレイするための環境整備の方法や、そもそもの開発の苦労、そして「なぜVR化したのか?」などのお話をおうかがいした。世の男性が長年「ロマン」として夢見ていた環境を現実化する苦労や、「ロマンをかたちにすること」の面白さも語ってもらえたので紹介したい。

 なお、記事の後半では、ユニットコムの協力のもと、「カスタムメイド3D2」を快適に遊ぶ環境を軽く検証してみた。

 今回は、予算25万円前後(HTC Vive + ゲーミングPCの合計)をターゲットに、LEVEL∞ブランドのデスクトップPCとノートPCを使用して「どのような体験ができるか」を評価している。これからVRを楽しみたい読者は是非参考にしてほしい。


「男のロマン」を現実に、開発者の興味で始まったVR化

「カスタムメイド3D2」開発チームの ねい氏
キャラクターはかなり細かいところまで作り込める

――「カスタムメイド3D2」とは、どんなゲームなのでしょうか?

[ねい氏]タイトルの通り、3Dキャラクターの体型や服装、髪型や顔のタイプ、瞳などのパラメータを調整して、好みの女の子をデザインし、会話を楽しんだり、一緒に遊んだり、お酒を飲んだりできます。

もちろん、アダルトゲームなので「夜伽」のシーンもあります。プレイ内容もハードなものからソフトなものまで、プレイヤーの嗜好に合わせて遊べます。キャラクターのステータス値の伸長によって遊べる内容が増える成長要素の存在も、特徴の一つです。

体型の部分では、胸やお尻のサイズなども細かく設定可能ですし、3Dモデルがアニメ調であることや、「メイドさん」ということでいろいろご奉仕してくれる点も売りのポイントです。

また、特に人気が高いコンテンツとして「作ったキャラクターが曲に合わせてダンスを踊ってくれる」というモードもあります。

――他メーカーやブランド、メディアなどとのコラボも積極的に実施されていますね。

[ねい氏]他のブランドが出しているタイトルのキャラクターが着ている衣装や髪型などを出させていただくことがあります。

本作のプロデューサーが横の繋がりを大事にする人で、他ブランドと一緒に何かを作ることで、業界全体が盛り上がれたらいいな、と思って取り組んでいます。

試しに「Oculus Rift」へソフトを対応させてみたところからVR向けの本格開発がスタート
視線を検知機能をもつ「FOVE」での実験も行っているそう

――本作をVRデバイスに対応させたきっかけは、どういったことだったのでしょうか。

[ねい氏]僕が個人でOculus RiftのDK1(最初のDevelopment Kit、2012年提供開始)を入手したことが始まりですね。実際にVR HMDをかぶってみて、「技術はここまできたか!」という驚きがありました。当時はちょうど、前作にあたる「カスタムメイド3D」(2011年発売)の開発も一段落しており、リソースに余裕があったので、DK1へ対応させてみたところ、メディアさんやSNSで結構な反応がありまして。

当時はOculus Riftを持っている方がかなり少なかったこともあり、VRに対応しても直接ゲームユーザーに大きな影響を与えるようなことはできませんでしたが、メディアに露出したことで、成人向けのゲームにも「未来が来ている」、いち早くVRに対応することで「カスタムメイド3D2が先進的なゲームである」ということは大きくアピールできました。これをきっかけにできた繋がりもありますし、そこでできた流れが、今も続いている感じです。

――VRという新しい技術とアダルトコンテンツを組み合わせる意義については、どうお考えでしょうか。

[ねい氏]やはり3D空間の中に没入して、キャラクターとエッチなことができるところは、世界中の男性のロマンなんじゃないかなって思います。自分自身が画面の中に入って、アニメ調のキャラクターとコミュニケーションができる。触れる。そして反応がある。2Dの画面越しでは決して成し得なかったことです。それはみんなの夢だったと思うし、今はそれを叶えることができるようになりました。

コンテンツという面で見ても、昔だったら3Dモデルは滑らかではなかったし、3D空間で動かすにもコンピュータの性能が足りなかったかもしれない。でも今は開発環境も恵まれていて、Unreal EngineやUnityなどを使うことができますよね。

時代と機器のタイミングが噛み合った結果、VRというセンセーショナルな話題に乗ることができました。やらないわけにはいかなかったんです。世の男性の夢、僕の夢を叶えるためにやりました。

――新しいVR機器にも次々と対応されていますよね。

[ねい氏]これはほぼ僕の趣味なんですけど(笑)、対応したら面白いだろうな、と思って取り組んでいます。確か最初にHTC Viveに対応したのも業務時間外だった気がしますね。あと、LeapMotionの時も。FOVEもかな?視線を検知できるので、何かを見て反応する、といったことはFOVEじゃないとできないことですし、その点は面白いデバイスだと思っています。

デバイスとしてはまだ成長段階の様子なので一般の方にはお奨めしていませんがテクニカルデモとして自社イベント向けに実装しました。

僕はこういう新しいガジェットが好きなので、デバイスを入手したら居残り……「社内VR部」と言っておきましょうか(笑)でこつこつ対応させて、次の週くらいにはみんなに見せて「おぉ!」となる感じで続いています。全てが会社の方針で次々と対応しているわけではないです(笑)

バケーションパックVRはそれらが積み重なって、知見が溜まったところで本格的に開発に入ったパックですけどね。

VR HMDと組み合わせて使う操作デバイスとしては、先ほど触れた「Leap Motion」(ハンドジェスチャー操作ができる入力デバイス)にも対応させていますね。当社のユーザーさんには、コントローラを使わずに、自分の手を動かしてキャラクターを触れる点がウケています。実際は何もない空間を掴んでいるだけなのに、視覚と聴覚によって脳が錯覚を起こし、触っている気がする(クロスモーダル)現象は、アダルトコンテンツとの相性も良いですしね。

――VRイベントも実施されていますが、どういった経緯で開催に至ったのでしょうか。

[ねい氏]イベント自体、VRに対応したことがきっかけという部分もあるのですが、やはりVRは体験してみないと、本当の意味で良さを理解できないと思っていますので、その点をユーザーの皆さんに知っていただくには、自分たちでイベントをやってしまうのが手っ取り早いと考えて、実施しました。

声優さんのトークショーや歌手の方のライブなども併催し、ファンイベントとしての側面もあります。VRに関する講習会なども行い、VRについて広く知ってもらう場にできたのではないかと思っています。


実はメモリやSSDも重要、キャラ数が増えるとハイエンドGPUでも苦戦

カスタムメイド3D2の拡張パックを導入することで、キャラクターの見た目などの選択肢が大きく広がる。ちなみに、画像は拡張パックをすべて入れた状態で製作したキャラクター。
こちらも拡張パック全部入りで製作したキャラクター。拡張パックを導入しないと表現できない部分もある。
ちなみに、拡張パックをすべてインストールした状態のゲーム総容量は約60GB。VRはGPUが注目されがちだが、データ量が多いゲームはメモリ容量やSSDの速度も快適性に影響を与える。

――カスタムメイド3D2の場合、VRプレイ時の推奨スペックはどのくらいなのでしょうか。

[ねい氏]やはり最も重要なのはビデオカードですね。最低でもGeForce GTX 970以上のビデオカードは必要です。本作はキャラクターを複数出すことも可能なので、ある程度のメインメモリもあった方がいいです。できれば64bitのPCをお使いいただくのが望ましいですね。

ゲームエンジンとして採用しているUnityの仕様上、テクスチャで使うメモリはビデオメモリだけではなく、重い処理をする場合はメインメモリ容量も影響してしまいます。メインメモリは8GBあれば動きますが、16GBほどあれば余裕を持って遊べると思います。逆に4GBだとメモリ不足になった際にゲームが落ちる場合があるかもしれません。このあたりで影響が目立つのは、シーンの切り替えやダンスモードのロード時間です。メインメモリの容量が足りずにスワッピングが発生してしまうと、より遅くなってしまいます。

ストレージの性能が影響するのは、キャラクターモデルの読み込みですね。本作ではキャラクターに服やアクセサリーなどのパーツを細かく設定できるので、ストレージの読み込みが速い方がエディットの時にも快適です。もちろん、複数のキャラクターが登場するダンスモードの読み込みも、HDDよりSSDの方が速いです。カスタムメイド3D2はDLCも大量にあるので、それらを全部導入すると、大体60GBくらいですね。なお、ゲーム的な要素をカットし、アダルト方面に特化したChu-B Lip版もインストールすると、ゲームの総容量は約120GBくらいになります。

ゲーム中はその中から容量の小さいパーツを多く読み出すため、シーケンシャルリードよりはランダムリードの強いSSDを使った方がローディングは速いです。SSDでは3秒で済むローディングが、HDDでは10秒かかったりもしますので、体感で3倍くらいは違うはず。メモリよりはストレージの方が重要かもしれないですね。

ちなみにVRモードで遊ばない場合は、Core i5(4Core、2.5GHz)と8GBのメインメモリ、GeForce GTX 550以上のビデオカードがあれば快適に遊べます。

――VRモードを快適に遊ぶためには、やはり総合的に高スペックである必要がありそうですね。

[ねい氏]カスタムメイド3D2の場合は、開発開始当初からVRで動かせるようにしよう、という方針が念頭にあったので、最初から軽めに作っています。なので、そこまで高いスペックが必要というわけではありません。元が軽いので、処理が倍近く重くなるVRにも対応できたところはあります。

最低でもGPUが先程の基準に達していれば動くとは思いますが、CPUもある程度は必要ですね。キャラクターエディットでリアルタイムに3Dモデルをモーフィングさせたりするので、その時の演算はゲームの都合上、CPUの仕事です。

――開発時には、必要なスペックをどのようにして見極めているのでしょうか。

[ねい氏]あえてスペックの低いPCを組んで、開発しています。VRモードを搭載して以降のバージョンでは、GeForce GTX 960を積んだPCを使っていますね。スペックが低いからといって不具合が起こるとかではなく、そうならないように作っているので、フレームレートが低かったり、レスポンスやローディングが遅くなるくらいの差ですね。まあ、あまりにもビデオメモリが足りないとテクスチャが剥がれてしまうくらいのことは起きるかもしれません。クオリティ重視でテクスチャは圧縮していませんので、それなりには使いますが、VRAMは1GBくらいあれば問題ないはずです。

――特定のCPUやGPUに対する最適化はされていますか?

[ねい氏]特にどのパーツをリファレンスとして最適化している、ということはないのですが、GPUについては、VR当初から対応にも力を入れているNVIDIA社製のGPUの利用を推奨しています。

いわゆる「エロゲー」は低スペックでも動くというのが業界全体での認識です。ユーザーさんとしてもそのグレードのPCをメインに使われていることの予想は立ちましたので、発売当時(2015年)に推奨スペックを出したときは、みんなに渋られたところはあります。「結構スペックが必要なんだね」という口コミを見たこともありますが、PC性能側の問題は時が経つにつれて解消されていくので、それほど大きな問題という認識はありません。

ただ、Steamでゲームを遊んだり、オンラインゲームをプレイされる方々は、ひとつのターゲット層として意識している面はあります。

メーカーサポート外の行為となるが、解像度などは設定ファイルを書き換えることで自由に変更することできる
ゲーム中最も負荷が高くなるのはダンスシーン。4つのキャラクターを表示した場合、最高画質で90fpsを維持できるGPUは今のところ無いという

――一番重いシーンをVRで遊ぶ際に必要なPC性能の目安はありますか?

[ねい氏]今のところ、4人のキャラクターが踊るダンスシーンを90fps張り付きで動作できるビデオカードはありません。Oculus Riftの場合は「TimeWarp」(非同期タイムワープ)というフレーム補間機能があるので、見かけ上のカクつきはありませんが、見る人が見れば、これはフレームレートが出ていないな、と悟られてしまうと思います。HTC Viveの場合はカクつきが目立って厳しいかなという感じです。

――変わった遊び方や、おすすめの設定などはありますか?

[ねい氏]たびたび話の中に出てくるダンスモードもそうですが、スクリーンショットを撮るための撮影モードが充実しているので、「エロゲー」として買った人にも是非触っていただきたいですね。

設定に関しては、アダルトゲームということで、ゲーム内のコンフィグで設定できる項目は多くしていません。

ただ、4K解像度をはじめ、解像度を自由に設定できるようにはしてあります。普通のエロゲーって、画面のサイズを自由にできたりはしないと思うのですが、そこをあえて対応していくのが僕のこだわりです。例えば「縦型のモニターで、キャラクターの全身を表示したい」というニーズにも応えられるようにしています。

そういったハードウェア的な楽しみ方は僕としてもアリだと思っていて、例えばいつか、現行機種よりも遥かに性能の高いビデオカードが出たときに「カスタムメイド3D2をこの解像度で起動したら、このくらい軽くなった」といった話ができたらいいなと思っています。僕はハードウェアが好きなので、このゲームを切り口として、いわば"ハードウェア的"なユーザーさんにもこちらを向いてもらえたら嬉しいです。将来登場するハードウェアに、あらかじめソフト側で対応しておく、いわば未来へのチャレンジですね。


「拡張パック」で拡張可能、将来はさらなる改良も………

VR系の機能を大幅に強化する拡張パック「カスタムメイド3D2 バケーションパックVR」も用意されている
「VRに対応する」だけで無く、VR時に扱いやすい専用UIも用意されている。

――今後出てくるであろうVRに関連する技術で、注目しているものはありますか?

[ねい氏]触感や嗅覚のVRには期待しています。触感VRはクラウドファンディングでも色々なものが出てきていて、注目を集めています。いろんなものが出てきてほしいです。どんなものが出てくるかはわかりませんが、面白いハードウェアが出てきたら対応したいと思っています。

嗅覚についても先進的な試みだと思うので、メジャーになってほしいです。現状は匂いの種類も少ないですが、出せる匂いの種類が増えたらいいですよね。

――将来的に実装したい機能や試みなどはありますか?

[ねい氏]今はビデオカード性能的に厳しいのですが、やはりひとつの場面に同時に登場させられる人数を増やしたいと思っています。これはユーザーさんの側からも要望があります。

VR空間であればキャラクターたちを自分の視界で好きなように眺められるし、人数が増えれば、プレイ内容にも幅が出ますよね。ハードウェアの制約がなければ、やりたいことはたくさんあります。

ユーザーさんからの要望としては、多岐にわたっていろんなご意見をいただいています。DLCの内容から、シチュエーションやプレイ内容に関するものまで、こちらも多岐にわたって開発しているので、精査するのが大変ですが、特にVRに関しては、コアとなるエロの部分のUIに手を入れてほしいという声は多く聞こえています。

確かにゲーム自体はVRに対応しており、VR時に操作しやすい専用のUIも拡張パックで提供していますが、究極系としてユーザーが求めている操作方法とは隔たりがありと思うんですよね。そういった点で、パネルを呼び出して操作するUIベースのインターフェイスは現時点での折衷案としてはベストですが、VRに完全に特化しているとはいえません。この点は今後も研究・改善していきたいポイントですね。

――ねいさんが考える、VRアダルトの究極形とは、どういったものなのでしょうか。

[ねい氏]"まさにキャラクターが目の前にいるかのような状態"です。現状ではハードウェア的に実現が難しいことばかりですが、まずVR HMDの視野角が増えて、視界に網目が見えず(スクリーンドア効果)、解像度が高く、酔わない状態。触覚や嗅覚もシミュレートできたらいいですね。

もう一つの展望としては、MR(Mixed Reality、複合現実)という形もありえます。日常生活の中に自然にキャラクターが存在するような状態です。実現可能性という点では、こちらの方がVRの究極系よりも近いと思います。

――最後に、これからVRでカスタムメイド3D2を始めてみたいユーザーに一言お願いします。

[ねい氏]カスタムメイド3D2では多くの拡張パックをご用意しています。じっくりとプレイされたい方は、DLCの導入もご検討いただけたらうれしいです。

なにぶん大量にありますので、ユーザーさんからもどれを買えば良いのか判断がつきかねる、といったご意見をいただくこともあるのですが、ことVRに関していえば、無印の「カスタムメイド3D2(注:リンク先は18禁サイト)」に加えて「バケーションパックVR(注:リンク先は18禁サイト)」を導入いただくのが手っ取り早いと思います。バケーションパックVRにはVRを前提としたコミュニケーションイベントやミニゲーム、新作ダンスなどが含まれますので、最低限これがあれば、本格的にVRを楽しめるでしょう。

このほか、シチュエーション、イベント、NPCなどを追加できるパッケージや、追加するメイドの性格を増やせるパッケージもあります。ある程度まとまった数で追加の服装や髪型、ダンス曲などが入った「ビジュアルパック」がおすすめです。DLCは種類が増えるほどに迷ってしまうものですが、自分が何がやりたいかに合わせてDLCを選び、お楽しみいただければと思います。

――ありがとうございました。


「VR向けのゲーミングPC」でカスタムメイド3D2を動かすとどうなのか?想定予算は約25万円(HTC Vive込み)

 さて、ここからは、「VR向けのゲーミングPC」でカスタムメイド3D2をプレイしたとき、具体的にどの程度の性能が出るのかを見ていきたい。

 VRで遊ぶ際は、通常の液晶ディスプレイで遊ぶ際のざっくり2倍程度の性能が必要になることや、複数キャラを表示させてのダンスシーンはかなり重い処理とのことなので、今時のゲーミングPCでどのくらい快適に遊べるのかチェックする。

 今回は、ユニットコムの協力を得ることができたので、コストパフォーマンスに有利なデスクトップPCと、設置スペースの点で有利なノートPCの2機種でテストしている。テスト機種については、VRを始めるユーザーが目安にしやすいよう、「HTC Vive込みで25万円前後」という条件で選定した。

 というわけで、今回使用する機材は、ユニットコムがVR対応を謳うゲーミングPCとして販売しているクラムシェル型ノートPC「LEVEL-15FX093-i7-RNF-HVR [Windows 10 Home]」(HTC Viveとのセットで税抜き243,780円)と、デスクトップPC「LEVEL-R027-i7-VNR-HVR」(HTC Viveとのセットで税抜き264,780円)の2機種だ。

 いずれも第7世代Core i7のCPUを搭載し、メインメモリは8GB、ビデオカードはノートがGeForce GTX1060、デスクトップがGeForce GTX 1080を装備。ストレージはデスクトップのみSSDを採用しているので、インタビューの中でも話に出た、ローディング速度の違いも見てみたい。

LEVEL-15FX093-i7-RNF-HVR [Windows 10 Home]
LEVEL-15FX093-i7-RNF-HVR [Windows 10 Home]は、Core i7-7700HQにメモリ8GB、GeForce GTX 1060、500GB HDDといった構成のノートPC。HTC Viveとのセット価格は税抜き243,780円。
VR性能を測るベンチマーク「VRMark」では上から2番目の「高い」となった。なお、ベンチマーク結果の「システムのスペック」欄にはGPU名が「Intel HD Graphics 630」と出てしまうが、性能的にはGeForce GTX 1060としての性能が出ており、VRMarkの表示上の問題と思われる。
LEVEL-R027-i7-VNR-HVR
LEVEL-R027-i7-VNR-HVRは、Core i7-7700にメモリ8GB、GeForce GTX 1080、240GB SSDといった構成のデスクトップPC。HTC Viveとのセット価格は税抜き264,780円。
VR性能を測るベンチマーク「VRMark」では最高性能の「非常に高い」となった

 それではカスタムメイド3D2を動作させた際の性能を紹介しよう。

 VRモード時は常時90fps出ていることが理想だが、ハードウェアのスペックとシーンの違いにより、体感でどのくらい変わってくるかを見ていく。使用したVR HMDはHTC Vive。フレームレートの計測にはFrapsを用いている。

 fps計測の際にサンプルとして採用したシーンは「デフォルト設定時の通常プレイ」、「ゲーム内最高画質設定時の通常プレイ」、「3人ダンスシーン」の3つ。ダンスシーンの楽曲は、キャラクターを3人表示した状態の「ドキドキ☆Fallin’Love」を選択した。ダンスシーン再生時の画質は最高設定にしてある。

 ゲーム内で設定できる画質関連の設定項目はそれほど多くなく、解像度設定を除くと「アンチエイリアス」、「テクスチャのクオリティ」、「影のクオリティ」、「ブルーム効果」の4つ。スペックに余裕があればそれほど違いは出ないはずだが、結論から言えばノートで計測した際に結構な違いが出た。

複数キャラを表示してのダンスシーンはゲーム中最も処理が重い部分になる
「カスタムメイド3D2」をVRで遊んだ際のフレームレート
デフォルト設定で通常プレイを行った際のフレームレート、上がノート型、下がデスクトップ型
画質を最高設定にし、通常プレイを行った際のフレームレート、上がノート型、下がデスクトップ型
ダンスシーンで3キャラクターを表示させた際のフレームレート、上がノート型、下がデスクトップ型
デスクトップPCなら「最高設定」でも快適、ノートPCならば「デフォルト」で

 まず、デスクトップPCでのプレイは、デフォルト設定はもちろん、最高設定でもほぼ常時90fps張り付きという印象。平均fpsも設定による違いはほぼなく、快適に遊べるだろう。「重い」とされた3人ダンスシーンではさすがにfpsは落ちるが、それでも平均70以上をキープしており、眺めている限りは違和感もほとんどない。

 一方、ノートPCの場合は、デフォルト設定でプレイするのがいいだろう。デフォルト設定ならば、あまり違和感なくプレイできるのだが、さすがに最高設定にすると目に見えて負荷がかかっていることがわかり、視点移動時や操作時のひっかかりが気になるようになってくる。フレームレートが出ていないときは、一瞬コマ落としになる動きになりやすいため、感覚としては、視点移動時に違和感が大きくなる印象だ。

 ちなみに、上記ベンチマーク結果の見方だが、fpsの最高値はあまり重要ではなく、平均FPSが最も体感に近い。個人的な感覚では、60fps程度出ていれば「ほぼ違和感なく遊べる」と感じるので、平均の数字がこれ以上になっているのが重要だ。ただし、VRに関しては個人差も大きく、また、よく言われるように「理想は90fps以上」というのも否定できない。VRコンテンツを"快適に"遊べるPCの導入を検討しているならば、ビデオカードに多めのコストを配分し、ビデオカードを節約せねばならない場合でも、できるだけビデオカードはGeForce GTX 1060以上にすることをお勧めしたい。

 なお、インタビューでも言及があったストレージの違いについては、今回試した限り、シーン遷移のローディングで若干の違いが出た。具体的には、SSD搭載のデスクトップPCでは3秒程度で済むところが、ノートPCでは5~6秒程度かかる。これはキャラクターエディット時にプリセットを読み込む場合で特に気になった。エディット画面ではプリセットを選ぶと同時にキャラクターモデルが切り替わっていくのだが、ストレージが遅いと、この切り替わりに時間がかかるように感じた。これが気になる人はやはりSSDを検討するのがいいだろう。

 なお、今回は検証していないが、「ノートPCでももっといい設定で遊びたい」と思うなら、よりハイスペックなノートPCが必要になるだろう。LEVEL∞シリーズのゲーミングノートPCで選ぶなら、例えば税抜き323,780円の「LEVEL-15FX098-i7K-TNR2-HVR」でCore i7-7700K/GeForce GTX 1070/240GB SSDといったスペックになる。設置場所の制約や使い方、予算にあわせてこうした製品を選んでいくのがいいだろう。

[制作協力:ユニットコム]