特集、その他

サーバー管理もIoTも新「On-Lap」で! タッチ付きのモバイルディスプレイは想像以上に快適だった

11.6インチなのに全部入り、業務向けの改良も……GeChic「On-Lap 1102I」 text by 清水理史

 今やモバイルディスプレイの代名詞ともなったGeChicの「On-Lap」シリーズに多機能な新製品「On-Lap 1102シリーズ」が追加された。

 11.6インチモデルのコンパクトサイズながら、上位モデルで好評だったリアドックに対応し、用途に応じてマルチタッチ対応(1102I)とバッテリー搭載モデル(1102H)を選べる製品だ。

 今回のレビューでは、On-Lap 1102シリーズのマルチタッチ対応モデル「1102I」の使い心地をお届けしよう。

「On-Lap 1102I」のココがイイ! タッチ操作対応で軽く持ち運びやすい新モデル

タッチ対応の11.6インチモバイルディスプレイ「On-Lap 1102I」

 まずは「On-Lap 1102I」の優れた部分から紹介しよう。

・サイズが手頃で軽く持ち運びがとにかく楽
・タッチ対応で表示だけでなく操作も可能
・タッチ操作もキビキビ&ぬれた手でもしっかり反応
・ドックを使えばケーブルが邪魔にならない
・セキュリティスロット追加で置きっぱなしもOKに
・カバーの完成度アップで持ち運びが安全に
・ブルーライト軽減で暗いサーバールームでの疲労軽減
・パワーボタンロックで誤操作による突然の画面オフを回避
・困ったらリセット!が可能に

 ざっと挙げてみただけでも、On-Lap 1102Iのメリットは少なくともこれくらいはある。

 モバイルモニタの定番商品On-Lapシリーズに新たに追加された「On-Lap 1102I」は、タッチ操作に対応したコンパクトな製品だ。

 On-Lapシリーズのタッチ対応のモデルは、これまで15.6インチの1503I、13.3インチの1303I、10インチの1002の3製品が存在したが、今回登場した1102Iは1303Iと1002の間の隙間を埋めるモデル。13.3インチよりも持ち運びやすく、それでいて10インチよりも画面が大きいという、「ちょうどいい」ところを狙った製品になる。

 モバイルモニタのニーズは、どちらかというとノートPCなどのデュアルディスプレイ用途をイメージしがちだが、コンパクトでタッチにも対応した1102Iは、さらに幅広い用途への活用が期待できる。

 たとえば、サーバーに接続して状態確認や管理作業に利用するのにも便利そうなうえ、POSやKIOSK端末などの組み込み機器で使ったり、医療機器や工作機器などへの活用もできる。最近では、IoT関連のハードウェアを開発する企業も増えてきたが、ロボットなどのUIとして活用したり、機器の開発やデバッグに使うという手もありそうだ。

 同じく11.6インチのパネルを採用したモデルには、1102Hという製品もラインナップするが、こちらはタッチ操作に対応しない代わりに、バッテリーを内蔵し外部電源なしで約3時間の動作を可能にしている。三脚用のマウントも搭載されているので、カメラで撮影した写真の表示用などとして、用途によって使い分けるのが良さそうだ。

 なお、最大解像度は1,920×1,080となっている。組み込み機器などで利用する場合は、最大だけでなく、むしろ最低解像度が重要になることがあるようだが、本製品は試してみた限りでは800×600が最低解像度となっていた。

モデルOn-Lap 1102IOn-Lap 1102H
パネル11.6
ドットピッチ0.1335
最大解像度1,920×1,080
カラー16.7M
ブライトネス250cd/m2
コントラスト1000:1
視野角178度
タッチ静電容量×
ビデオ入力HDMI×2(MicroHDMI+DockPort)、VGA×1
HDCP
スピーカー内蔵
オーディオイヤホンジャック
サイズ294×194×12mm294×194×11mm
重量670g840g
バッテリー×○(7,800mAh)
ポートレイト表示
リアドック
三脚マウント×

ベゼル部分が小さくなり画面は大型化、カバーもロック機能を備えた改良型に上位モデルで好評だったドックにも対応

 それでは、On-Lap 1102Iの特徴を見ていくことにしよう。

  本体サイズは、幅294×高さ194×奥行き12mm(カバー装着時は299×209×21mm)で、重量は670g(カバー装着時920g)ほどとなっている。サイズとしては、ほぼA4サイズといったところで、一般的なビジネスバックやリュックなどに入れて持ち運ぶのに、まったく邪魔にならない印象だ。

正面
側面
背面
本体重量は670gと非常に軽く、片手で持ったまましばらく作業しても苦にならない

 重量は、カバーを付けると900gオーバーになってしまうが、カバーなしなら670gと厚めのハードカバーの書籍より少し重い程度で済む。持ち運びも苦労しないが、カバーなしなら片手で持ったまましばらく作業しても、さほど苦にならない。

 前述したように、On-Lapシリーズのタッチ対応モデルには、10インチの1002というもっともコンパクトな製品がラインナップしているが、実はサイズ的には、1002と1102Iは大差ない。1002のサイズは277×195×10.2mm。対する1102Iは前述した通り294×194×12mmとなっており、横幅が17mmほど大きい程度となる。これで画面サイズが一回り以上大きくなるのだから、1102Iのサイズ感がいかに優れているかがわかるだろう。

 カバーは、従来モデルから進化しており、本体がカバーから外れてしまうことを防止するためのカバーロックが新たに追加された。ロックはマグネットで固定されており、本体を取り外すときに簡単に回転させることができるだけでなく、ロックそのものを取り外すことも可能。これなら持ち運び時に、カバーから本体が抜け落ちてしまうようなことも防止できる。

 もちろん、カバーには、従来通り、可変式のスタンドも搭載されており、位置を調整することで数段階に角度を調整しながら、立てかけることも可能だ。

スタンドにもなるカバーが付属する
背面のスタンドは無段階に調整可能
本体落下を防止するためのロック機構を採用
ロックはマグネットで簡単に脱着できる

 インターフェースは、VGAとHDMIの2種類となった。従来モデルではDPもサポートされる場合があったが、本製品のようにサーバー管理や組み込み機器などでの利用の場合はVGAやHDMIでの接続の方が一般的なので、困ることはないだろう。

 注目したいのは、新たにリアドックに対応した点だ。リアドックは、15インチの従来モデルであるOn-Lap 1503シリーズ用に開発されたオプションで、背面の拡張コネクタに接続することで、HDMIとUSBを背面側に配線できるようにするデバイスだ。

 標準のビデオ端子は側面(1102Iでは正面から見て左側)にあるため、HDMIケーブルやUSBケーブルを装着すると、どうしても横方向にケーブルがはみ出してしまうが、リアドックを使えば背面にうまくケーブルを隠せるわけだ。

 店頭などのディスプレイとして使うときにケーブルを見せずにキレイに設置できるうえ、組み込機器などで利用する場合もケーブルがオペレーションの邪魔にならないようにできる。別途、購入が必要になるが、配線に気を配る必要があるときは必須と言えるオプションだろう。

 このほか、背面に装着するマルチマウントキットも別売りのオプションとして提供されており、VESAマウントなどで利用することも可能だ。

左側面の入力端子。電源、VGA、HDMIが用意される
ケーブルは電源がmicroUSB、ビデオ入力がmicroHDMIと一般的なケーブルを使用可能
背面の拡張コネクタに、オプションのリアドック(別売り)を装着可能
通常は側面にはみ出してしまうケーブルを背面にきれいに格納できる

快適なタッチ操作、水滴などがついても操作は思いのまま

 タッチ操作の完成度も高い。

 もしかすると、モバイルディスプレイのタッチは感度が悪い、という先入観を持っている人もいるかもしれないが、本製品のタッチ操作は、反応も速く、操作にも違和感がまったくない。

 試しに、Windows 10搭載のPCに接続してみたが、スタートボタンに触れればサッとスタート画面が表示されるうえ、ペイント3Dなどを使って画面に絵を描いても違和感がない。複数の指を使ったピンチ操作なども誤操作なくできる。

タッチ対応のため1102I単体で、サインインなどWindowsの操作も可能
Windowsの設定で方向を変更すれば縦表示も可能

 指で触れた印象も適度に抵抗がある(最近のスマートフォンのように妙にツルツルではない)ので、個人的には誤操作もしにくいように思える。

 最近では、子供の教育用にブロック式のプログラミングツールなどが提供されているが、これくらいタッチ操作が快適なら、こうしたツールの店頭デモや教育現場などで利用する端末のディスプレイ用途などにも活用できるだろう。

 また、本製品は防水ではないが、画面が水に濡れてしまった場合などでもタッチ操作ができるように工夫されている。画面に水滴が付いてしまったり、指がぬれている場合でも操作できるので、工場などの環境や飲食店などの現場を支える組み込み機器での利用も想定できるだろう。

 このほか、Creators Update以降のWindows 10ではタッチパッドボタンを表示して、画面に表示したタッチパッドをなぞることでマウス操作をすることもできる。細かな操作などタッチ操作がもどかしい場合に便利だ。

 組み込み用途の場合でも、OSにWindows 10を利用している場合は、開発者や運用管理者が、別途、マウスやキーボードをつなぐことなく、本製品のタッチ機能だけでOSの設定変更や機器のメンテナンスなどを実施することもできるだろう。

Creators Update以降のWindows 10なら、タッチパッドボダンでマウス操作も可能

サーバー管理用に使うとかなり便利、目にも優しいモバイルディスプレイ

 実際に、サーバー管理に使ってみると、これが予想以上に快適だ。

 Windows Server 2016などのようなタッチ操作対応のサーバーOSをGUIありで利用している場合は、サーバーにマウスやキーボードをつなぐことなく、本製品をつなぐだけで、画面も見えるし、OSの操作や文字入力も可能になる。

Windows Server 2016もデスクトップエクスペリエンスありならタッチでの管理もできる

 しかも、本製品には、ブルーライト軽減機能が搭載されているのだが、これが薄暗いサーバー室での利用に実に適している。周囲が暗い環境で、モニタが明るすぎると目が疲れてくるが、ブルーライト軽減機能をオンにすれば、一種の目に光りがささるような印象がなくなり、楽に作業できる。

 暗い場所でメニュー操作をしよとすると、ボタン表示が見えなくなり、うっかり電源ボタンを押して、一瞬にして真っ暗な世界になってしまうことがあるが、本製品に新たに搭載された電源ロック機能をオンにしておけば、うっかり電源ボタンを押してしまっても画面が暗くならない。現場での利用を想定した進化を続けるあたりは、さすがOn-Lapだ。

ブルーライト軽減機能をオンにすると明るさが抑えられて暗い場所での管理作業も快適
色合いを変えたくない場合は自動輝度調整で明るさを調整することもできる
ケンジントンスロットを採用。店頭やサーバー室などに常時設置しておく場合でも盗難を気にせず利用可能

 本体右下に新たに設けられたケンジントンスロットも地味にありがたい。これで、サーバー室や店頭、会議室など、本製品をどこか特定の場所に置きっぱなしで使いたい場合でも、盗難を心配する必要がなくなった。

 このほか、設定を一瞬で初期化できるリセット操作も可能になった。「Auto」+「Down」ボタンを一緒に押すと、明るさや電源ロックなどの設定がすべてクリアされ、一瞬で初期設定に戻る。自分以外の誰かが設定を変更して、よくわからない状態になったとしても、これですぐに戻すことができるだろう。この機能も地味にありがたい。

組み込み機器やサーバー、サブディスプレイにも適した一台

 以上、GeChicから新たに登場したタッチ対応のコンパクトモバイルディスプレイ「On-Lap 1102I」を実際に使ってみたが、コンパクトなサイズでありながら、上位モデルに匹敵する機能を備えた非常に完成度の高い製品だ。

 タッチ操作のメリットを活かして、組み込み機器やサーバー管理などの用途で使うのが適していると言えるが、普通にノートPCのサブディスプレイとして使ってもよさそうだ。

 スマートフォンやカメラとの組み合わせということであれば、バッテリー内蔵の1102Hという選択肢もあるので、アイデア次第でいろいろな使い方を試してみるといいだろう。

[制作協力:GeChic]