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モバイル液晶「On-Lap」がフルHD&Mini DP直結で実用性アップ、
メインでも使えるその実力をチェックしてみた
text by 清水 理史
(2014/12/1 00:00)
GeChicから、USBバスパワーで動作する13インチのモバイルモニタ「On-Lap 1303H」が登場した。
13インチの従来モデル「On-Lap 1302」の改良版にあたる製品だが、数々の改善によって、まるで別物と言えるまでに進化。ノートPCのサブモニタや持ち運び用のモバイルモニタとして、一切の妥協なく利用できる本格派となった。
新しい用途も広がる本製品を実際に使ってみた。
「モバイル向け」だけど本格的な13インチ液晶ディスプレイフルHD+3系統入力+VESAにも対応
解像度も、接続も、表現力も、携帯性も、今回の製品には目立った欠点が見当たらない。
GeChicから新たに登場した「On-Lap 1303H」は、従来モデルから大幅に進化した実用性の高いモバイルモニタだ。
モバイル向けのノートPCやタブレット、リーズナブルな通信環境の充実で、外出先で作業をすることが多くなったという人も少なくないかと思われるが、そういったシーンで少なからず感じるのがモニタ環境への不満だ。
もちろん、ノートPCやタブレットの画面も大きく高精細になりつつあるが、PDFやWebページの情報を広げつつWordの文書を作ったり、SNSの情報をチェックしながら写真を整理したりと、複数の作業を同時に実行しようとすると、表示領域の狭さからウィンドウ切り替えなどが発生し、作業効率が低下してしまう。
オフィスや自宅では、2画面、ともすれば3画面を駆使するようなケースも珍しくないだけに、同じような作業効率をモバイル環境にも求めたくなるのも当然のことだろう。
このような用途に早くから着目し、USBバスパワーで動作する軽量モニタを販売してきたのがGeChicだ。2011年にOn-Lap 1301を国内で販売開始後、翌年には薄型軽量化を実現し、ユーザーから大きな評価を得たOn-Lapを1302を投入。そして、今回、大幅な進化を遂げたOn-Lap 1303Hの販売を開始したことになる。
今回登場したOn-Lap 1303Hの特徴は、あらゆる部分で進化したスペックの高さだ。以下は、最新のOn-Lap 1303Hと、同じ13インチの従来モデル On-Lap 1302の主な仕様を比較した表だが、あらゆる点が進化していることが確認できるだろう。
On-Lap 1303H | On-Lap 1302 | |
---|---|---|
サイズ | 13.3インチ | ← |
解像度 | 1920×1080 | 1366×768 |
色数 | 16.7M | 256K |
明るさ | 300nit | 200nit |
視野角 | 水平178度/垂直178度 | 水平90度/垂直65度 |
映像入力端子 | micro HDMI Mini Display Port VGA | アダプタ使用 |
スピーカー | 1Wスピーカー×2 | × |
ヘッドホン端子 | ○ | × |
カバー/スタンド | カバースタンド付属 | スタンド付属 |
VESAマウント | VESA 100+三脚穴(オプション) | × |
重量 | 599g(カバースタンド320g) | 654g |
サイズ(mm) | 幅345×高さ226×厚さ10.5 | 幅334×高さ227×厚さ8 |
注目すべき4つのポイント
それでは、具体的なポイントを見ていこう。On-Lap 1303Hの特徴は大きく4つ挙げられる。
フルHD対応
まず注目したいのは解像度だ。
サイズは同じ13.3インチながら、解像度は1,366×768からフルHD対応の1,920×1,080へと向上している。これにより、同じWebページ、同じPDF資料を広げても一度に多くの情報を表示できるうえ、複数のウィンドウで多くの資料を開くような使い方をしても余裕で対応できるようになった。
単純に広く使えるだけでなく、サブモニタとして使ったときのバランスもいい。最近ではPC側の解像度も向上しつつあるが、同等の1,920×1,200やさらに高い2Kクラスのサブモニタとして利用した際、違和感なくモニタ間でウィンドウを移動させることなどができ、スムーズに利用することも可能だ。
Micro HDMI/Mini DP/VGAポート搭載
続いて注目したいポイントは、接続の手軽さだ。
On-Lap 1303Hは、Micro HDMI、Mini Display Port、VGAの各接続に対応しているが、これら複数のポートが本体左側面に、直接、搭載されている。
これにより、同梱のHDMI(オス)-Micro HDMI(オス)ケーブル、もしくはオプションのVGAケーブルやMini DPケーブルを利用して、簡単に機器を接続することが可能になった。従来のOn-Lap 1302では、接続方式を変えるためには、ケーブルだけでなく本体側に装着するアタッチメントごと交換する必要があったため、大きな進化と言えるだろう。
これにより、あるときはHDMIでPCやゲーム機、スマートフォンに接続したり、あるときはDPでSurface Pro 3やMacbookについだり、あるときはVGAでサーバー機器の表示に使ったりと、自在に接続先を変えることができるようになった。
高い表現力
3つめのポイントは表現力の高さだ。
表示色が従来の265Kから16.7Mへと進化したことも大きいが、視野角が水平(H)、垂直(V)ともに178度に向上した(1302は水平90度、垂直65度)。
この進化の効果はてきめんで、例えばノートPCのサブモニタとして本体の隣に設置した場合でも、角度によって見にくくなることがなく、自由にレイアウトできるようになった。外出先などで利用する場合、どうしてもデスクの広さや電源のレイアウトなどで、思い通りの場所に配置することができないが、本製品なら、このような場合でも視認性は犠牲にならない。
明るさも200nit(200カンデラ)から300nitに向上し、見やすいため、長時間の使用にも耐えうる品質と言えるだろう。
また、スピーカーも2機(1W)搭載されており、HDMI入力の機器からの音声もOn-Lap 1303Hのみで再生することができる。ヘッドホン端子も搭載されているので、画面だけでなく、サウンドも楽しめるモバイルモニタとなっている。
カバースタンドが付属
最後のポイントは、携帯性の高さだ。
サイズとしては、幅345×高さ226×厚さ10.5mmと、実は従来製品から若干厚く、大きくなっているのだが、重量は本体のみで599g(1302は654g)と軽くなっている。
また、液晶面の保護と設置スタンドを兼ねたカバースタンドが同梱されており、これを利用することで、背面のマグネット式のスタンドを使って簡単に自立させることが可能になった。従来の樹脂製のスタンドを両脇に挟み込むようなスタイルからは考えられないほどスマートで、便利な方式だ。
使わないときは、液晶面側にはめ込むことで、しっかりと画面を保護することもできるため、カバンやスーツケースなどに入れて持ち運ぶ場合でも故障の心配をしなくて済むようになった。
カバーは320gほどあるので、本体と合わせると900g近くなってしまうが、その代償に見合う利便性と安心感を手に入れられるのは大きなメリットと言えるだろう。
このほか、オプションで「VESA 100 Kit」も提供されており、VESAマウントのディスプレイアームなどで利用することも可能だ。この「VESA 100 kit」には、底面に三脚穴も用意されており、一般的なカメラの三脚に固定することで、デジタルカメラで活用することもできる。
様々な利用シーンで活用OKモバイルPCのサブ液晶、ゲーム機の「持ち運び化」、さらにChromecastとの連携も…
実際の利用シーンとしては、さまざまな形態が考えられるが、やはり定番となるのはPCのサブモニタとしての用途だろう。たとえば、Surface Pro 3では、本体側にMini DPポートが搭載されているため、オプションのDPケーブルを使って、簡単に接続することができる。
On-Lap 1303HはPCのUSBポートが1つだけでも動作するが、今回試したSurface Pro 3など、一部のPCでは、輝度が100に設定されていると、USBポート1つでは給電できないことがある。Surface Pro 3では、輝度を50前後に落とすことで、正常に動作させることができた。
移動中などのモバイル環境では輝度を落としてPCからのUSB給電で、宿泊先など電源が確保できる場所では同梱のコンセントアダプタを使って明るい環境で利用するといいだろう。
実際に使ってみると、予想以上に快適だ。もともとSurface Pro 3は解像度が高いPCだが(2,160×1,440)、標準設定では拡大率が高く、作業スペース的にはさほど広くない。しかし、On-Lap1303Hを利用することで、一気に作業領域が拡大され、外出先での作業がとてもはかどる。この環境に慣れてしまうと、もう元には戻れない印象だ。
続いて、ゲーム機に接続してみよう。PS4やXbox Oneなど、HDMI出力に対応したゲーム機であれば、付属のケーブルを使って簡単に接続することができる。
試しに、Xbox Oneを接続してみたが、つなぐだけですぐに画面が表示されたうえ、内蔵スピーカーを利用してサウンドも問題なく再生できた。TITANFALLをプレイしてみたが、さすがに大画面の家庭用テレビほど迫力はないものの、十分なクオリティを確保できており、問題なくゲームをプレイすることができた。
リビングのテレビをなかなか使わせてもらうことができない場合でも、別の部屋などにゲーム機ごと持ち込んで、ゆっくりとゲームを楽しむことができるだろう。場合によっては、友人宅にゲーム機本体とOn-Lap 1303Hを持ち込んで、一緒にゲームを楽しむことなどもできる。仲間で集まって、ゲーム合宿、などというのも面白そうだ。
このほか、スマートフォン用のモニタとして活用する手もある。たとえば、micro HDMI-HDMI(メス)の変換アダプタを別途用意して、Chromecastを接続すれば、スマートフォンの外部モニタとして、YouTubeの映像を再生したり、Playストアから購入した映画などを再生して楽しむことができる。
このような環境は、少々、極端な話ではあるが、外出先でも実現することもできる。あらかじめモバイルWi-FiルーターにChromecastを接続しておき、モバイルバッテリーを利用してOn-Lap 1303HとChromecastに電源を供給すれば、公園などの屋外、新幹線などの移動中でも、大画面で映画を楽しむことができる。
大きな画面で見やすいのはもちろんだが、スマートフォン側はディスプレイを消灯させた状態で映画などを再生できるので、スマートフォン単体で再生するよりバッテリーの消費を押さえられるのもメリットだ。
一台あると便利な万能モニタ
以上、GeChicのOn-Lap 1303Hを実際に使ってみたが、従来モデルの不満がことごとく解消されており、非常に完成度の高いモバイルモニタとなっている。
出張や旅行などに持って行くと重宝するうえ、ゲーム機やスマートフォンなどでも活用できるので、一台、持っておくと便利だろう。このほか、サーバーなどのディスプレイが搭載されていない機器のメンテナンスなどにも活用できるので、企業の部署単位で一台買っておくのも賢い選択だ。
モバイル環境の整備というと、通信環境に考えが偏りがちだが、実際に外出先で作業するときは、モニタ環境の違いが作業効率に大きく影響することを、改めて考えさせられた製品だ。この機会に購入することを強くおすすめしたい製品と言えるだろう。