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ノートPCの常識を超えた性能、MSI「GT75VR 7RF Titan Pro 4K」の魅力に迫る

4K液晶や10GbE LANを搭載した最強ゲーミングノート

 “吹っ切れた”スペックのゲーミングノートPC。MSIの「GT75VR 7RF Titan Pro 4K(008JP)」は、こうした表現がしっくりくる製品の一つだ。

 GT75VR 7RF Titan Pro 4Kが採用しているのは、ハイエンドのクアッドコアCPU、ハイエンドのGPU、4K対応の17.3型ディスプレイ、RAID対応のPCI Express接続SSD、そしてノートPCとしてはかなり特殊なメカニカルキーボード搭載など、とにかくパフォーマンスを追求したらこうなった、という製品だ。

GT75VR 7RF Titan Pro 4K(008JP)

デカく厚いのは快適さ追求の結果である

 GT75VR 7RF Titan Pro 4Kは、とにかくデカい、重い、分厚い。これぞゲーミングノートPCの王道を行くスタイル、と無言で主張するかのような佇まいだ。ゲーミングノートPCでは昨今、スリムなモデルも登場してきているが、本製品の場合はもっとも厚い部分で58mm、比較的薄い部分でも31mm以上ある。テーブル面との間には豪快な段差が生まれる。

メカニカルキーボードを搭載していることもありボディは厚い。モバイルを求めるヤワなものではなく、性能を追求したゲーミングノートPCだ

 17.3型ディスプレイを採用していることからもわかるとおり、専有面積は428×314mmも必要となる。しかし、17.3型の大画面は、眼とディスプレイとの距離を少しゆったりとっても問題なく、ゆとりをもって操作ができる。同社がIPSレベルタイプ液晶パネルとよぶIPS相当の視野角を持つパネルを採用しており、視野角、色彩ともに良好だ。

 解像度は製品名にもあるとおり4K(3,840×2,160ドット)だ。スケーリングを100%とすれば、フルHD×4画面分の情報量を一画面に表示することができる。ただし、本製品の17.3型パネルであっても、100%スケールで表示するとフォントが小さい。実際の利用ではWindowsで150%以上のスケーリングをかけるとよいだろう。それでもフルHD以上の情報量を表示することができる。大きな画面で情報量も豊富と、ここが本製品の快適さのポイント1だ。

17.3型ディスプレイは4K解像度のIPSレベルタイプ液晶パネルを採用

 快適ポイント2はキーボード。このキーボード、まずはRGBバックライトを搭載したハデな演出に目がいってしまうが、前述の通りメカニカルキーボードだ。ノートPC向けにスリムになってはいるのだが、ストロークが3mmあるうえに、カチッカチッ……と小気味よい、ノートPCらしからぬしっかりとした打鍵感が味わえる。このキーボードは、ゲーミングデバイスブランド「SteelSeries」とのコラボ品。いわば、ゲーミングキーボードをスリム化したものと思えばよい。

キーボードは日本語配列でRGBバックライトを搭載
ノートPCでありながらメカニカルキーならではのカチッとした打鍵感と十分なストロークが味わえる

次世代のネットワークインターフェース 10Gbps LANを採用

 快適ポイント3はLANだ。……と言ってもこれは将来的な快適ポイントになるだろうか。有線ネットワーク端子(RJ45)は、現在1Gbpsのギガビットイーサネットが主流だが、本製品は次世代規格の10Gbpsをいち早く取り入れている。もちろん、これを活かすためにはルータやスイッチングハブも10Gbps LAN対応のものを揃える必要があるほか、インターネット接続サービスも検討する必要がある。

 ただし、当初数十万円した10Gbpsに対応するスイッチングハブが昨今では1ポートあたり1万円以下まで下がってきており、インターネット接続サービスにも10Gbps対応のものが登場してきている。そう遠くないうちにその速さを実感できる時が来そうな状況だ。

中央左のLAN端子は、まだデスクトップPCでも採用例が少ない次世代10Gbps対応ポートだ
ネットワークアダプターの項目から10Gbit対応が確認できる

 10Gbpsはまだ少し先の話となるが、今現在でもより速いネットワークを利用できるのが「Killer DoubleShot Pro」機能だ。有線LANと無線LANを一つの束にして、それぞれに流すデータをプロセスごとに分散させてよりスムーズに通信しようという機能である。本製品は有線も無線もKiller LANを採用しているがゆえ、こうした機能が利用可能だ。

 そのほかのインターフェースから特徴的なものを紹介しておこう。まずはThunderbolt 3(USB Type-C)。対応周辺機器と最大40Gbpsでの接続が利用できるほか、USB 3.1 Type-Cとしても利用可能だ。DisplayPort over Type-Cにも対応し、外部 ディスプレイなどもここに接続できる汎用性の高いインターフェースとして利用できる。ディスプレイ出力という点では、そのほかにHDMI端子とMini DisplayPortも搭載しており、様々な外部ディスプレイに対応できる。

左右合わせて5つのUSB 3.1 Gen 1 Type-Aポートを搭載。そのほかオーディオ入出力はS/PDIFにも対応している

 サウンド機能も本製品が力を入れているところ。スピーカーは「DYNAUDIO」と提携、ステレオ+ウーファの2.1ch構成だ。DACには「ESS SABREオーディオDAC」を採用しており、ハイレゾ再生にも対応する。16オームのヘッドホンにも対応する本格的なDACだ。ソフトウェアではMSI製品でお馴染みの「Nahimic」が利用可能。VRゲームタイトルと7.1chサウンド対応ヘッドセットを組み合わせれば、3Dサラウンドによってゲーム中の周囲の状況を把握することが可能になる。

MSI製品ではお馴染みのNahimicにも対応している

ゲーミングノートPCのなかでも一つ上のパーツを厳選

 快適ポイント4はやはりパフォーマンスだ。まずはCPU。本製品はノートPC向けでクアッドコアのIntel Core i7-7820HKを採用している。Core i7-7820HKは、同じモバイル用のCore i7-7700HQと同じTDP45Wでありながら、さらにクロックを高めたモデルだ。定格では2.9GHz、ブースト時は3.9GHz駆動となる。

CPUはモバイル向けクアッドコアCPUのなかでもクロックが高めのIntel Core i7-7820HK

 GPUにはNVIDIA GeForce GTX 1080 8GB GDDR5X(モバイル版)が採用されている。NVIDIAのコンシューマー向けモバイルGPUとしては最上位のGPUである。そのパフォーマンスはデスクトップ版GeForce GTX 1080に迫るとされ、高いゲーミングパフォーマンスを持っている。

GPUにはモバイル版GeForce GTX 1080を採用している

 ストレージは、SSDとHDDのハイブリッド構成となる。SSD側は128GBのPCI Express 3.0 x4接続NVMe対応M.2 SSDを2基、RAID 0(ストライピング)構成で搭載しており、HDD側は1TBの2.5インチSerial ATA 3.0接続モデルの組み合わせだ。

メインストレージは128GBのM.2 NVMe SSDをRAID 0構成としている
HDDは十分なゲームデータを保存できる1TBモデルを採用
CドライブのCrystalDiskMarkのスコア
DドライブのCrystalDiskMarkのスコア

 メモリはDDR4-2400のSO-DIMMで、8GB×2で合計16GBを搭載している。スロット自体は4基あるので、例えば16GBのSO-DIMMを用いれば最大64GBまで拡張可能だ。ただし、増設は指定販売店のみのサポートとなるため、個人で増設することはサポート外となる。

 以上のようなハイスペックパーツを冷却する技術にはMSIの「Cooler Boost Titan」が採用されている。ノートPCはもちろん、ビデオカードでもお馴染みのヒートパイプは合わせて10本用いられており、左右2基のファンによって冷却する。

 快適ポイント5に挙げたいのがOC機能だ。OCというとデスクトップCPUを思い浮かべるが、前述のCore i7-7820HKの末尾に「K」が付くのはデスクトップPC向けCPUと同様、CPUの動作倍率を固定していないことを意味している。本製品では専用ユーティリティ「Dragon Center」を用いてパフォーマンスチューニングが可能だ。定格動作ではCPUの最大クロックが3.8GHzだが、OC動作のTurboモードでは4.2GHzまで引き上げられる。こうなるとデスクトップPC向けのCPUとほとんど変わらないレベルと言えるだろう。

「Dragon Center」のシステムチューナーでは、「Shift」で動作クロックを、「ファン速度」でファンの回転数を調節可能だ。ShiftではTurboがOC状態を示し、ファン速度ではCooler Boostにすると全開になる

フルHDならかなり快適、軽めのゲームなら4K最高画質も狙える

 それではパフォーマンスをベンチマークで測っていこうと思うが、まずはOC動作するTurboモードの性能について確認しておこう。

 最初にCPU性能をCINEBENCH R15で計測した。製品定格でのスコアは、CPUが750cb、CPU(Single Core)が143cbだ。CPU側のスコアは、クアッドコア/HTTに対応しているためにノートPCとしては高めのスコアだ。デスクトップPC向けのCore i7には敵わないが、Core i5よりは高く、この点でデスクトップのゲーミングPCのメインストリームは超えている。

 Turboモードに設定してみると、CPUが852cb、CPU(Single Core)が169cbに上昇した。さらにファンを全開にするオプション「Cooler Boost」で回してみたところ、さらにTurbo Boost状態が維持されるようで、CPUが859cb、CPU(Single Core)が171cbに向上した。このあたりになるとデスクトップの4コアCore i7に限りなく迫るスコアだ。ただし、Turboモードまでならまだ実用できるが、ファンを常時全開で回すCooler Boostモードはかなりうるさい。本製品の動作音は、アイドル時で35dB前後、高負荷時は50dB台まで上昇し、これがCooler Boostとなると60dBに達した。60dBとなると深夜には気が引けるほどの音量だ。とはいえ、いざという時には有効な手段だろう。

CINEBENCH R15の結果。左から定格、Turboモード、TurboモードにCooler Boostを用いたものの順

 Turboモードの効き具合について、3DMarkのFire Strikeを用いて3D性能面からも見てみよう。3DMarkでは、GeForce GTX 1080を搭載しているだけにOverallが14,837ポイントと高めだ。Turboを有効にすると、Overallも上昇するが、細かく見ていくとGraphicsは大きな変動はなく、PhysicsおよびCombinedのようにCPUが関わる部分が向上した分でOverallに上積みされているようだ。また、PhysicsおよびCombinedは、Turbo自体で向上するものの、Cooler Boostを有効化しても伸びるわけではなかった。このベンチではCooler Boostを用いたとしても熱量と冷却の限界に近くなるのだろう。

3DMarkのFire Strikeの結果。左から定格、Turboモード、TurboモードにCooler Boostを用いたものの順

 以降は定格クロックで計測を行った。3DMarkのFire Strike以外の結果を先にまとめておくと、Fire Strke Ultraが4,789、Time Spyが6,410、Time Spy Extremeが2,918だった。Fire Strike Ultraの結果を見るかぎり、4KはさすがにGeForce GTX 1080でもやや荷が重い。4Kでゲームを楽しみたいなら、比較的軽量なタイトルで若干画質を落として楽しむことになるだろう。

【3DMarkのスコア】
Fire Strike UltraTime SpyTime Spy Extreme
4,7896,4102,918

 一方、DirectX 12については、Time Spyの結果から望みがあると言える。そのあたりをゲームのベンチマークで検証してみたい。

 まずはファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク。フルHDでは、最高品質設定で14,364ポイントを記録し、フレームレートも103.495fpsだった。そのまま4Kにしてみると、スコアは6,511ポイントで「とても快適」という評価、フレームレートは43.412fpsだった。60fpsこそ割り込んだが、ファイナルファンタジーXIVクラスであれば確かに十分に快適だ。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク、フルHD
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク、4K

 Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsでは、フルHDならウルトラ画質で60.21fpsあり、同4Kでは28.25fpsだった。また、Assassin's Creed OriginsはフルHD、Ultra High画質で60fpsを記録した。これらの重めのゲームタイトルでは、フルHDとすることで高画質を狙うほうが、ムリに4Kを狙って画質を落とすよりも楽しめるだろう。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands、フルHD、ウルトラ。最低fpsも40fps台なので映像は十分に滑らかと言える
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands、4K、ウルトラ。30fps近く出ているものの、多少カクつくシーンがある
Assassin's Creed Origins、フルHD、Ultra High。若干、フレームレートが低下するシーンがあるものの、概ねプレイできる範囲

 システム性能を見るPCMark 10では、Essentialsが7,818、Digital Content Creationが7,069、Productivityが6,592、Gamingが13,124だった。ゲーミング性能がもちろんもっともよいスコアだが、そのほかも偏りがない。

PCMark 10 Extended

 VR関連のテストでは、VRMarkのOrange Roomが8,078、Cyan Roomが6,997、Blue Roomが2,251だった。Blue Roomで2,000ポイントを超えるというのはノートPCで考えればかなり高いスコアである。Orange Roomの8,000ポイント超えも同様だ。また、Steam VR Performance Testももちろんレディであるとともに、忠実度は落ち込みなしでフラットなまま、平均忠実度の値も11で非常に高いという評価だった。

VRMarkの結果。左からOrange Room、Cyan Room、Blue Roomの順
Steam VR Performance Test

ノートPCの常識を超えたゲーミングパフォーマンス

 このように、GT75VR 7RF Titan Pro 4Kは、形状こそノートPCだが、デスクトップPCに迫るパフォーマンスのモンスターマシンだ。キーボードの打鍵感といった、ゲーミングノートPCでさえも多少あきらめられがちな部分にもメスを入れたところは大いに評価できる。快適ポイントを5つ挙げたが、ゲームを快適に楽しむためのPCとして良くまとまっている。

 ただし、パフォーマンスと価格はトレードオフだ。価格はおよそ45万円と、ゲーミングノートPCの中でもかなりの高価格帯に属する。購入された方は、ノートPCでもここまでできるのだという快適さと愉悦を味わってみてほしい。

[制作協力:MSI]