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魅せる高性能デスクトップPC、MSI「Infinite X 8RC-067JP」を試す

WQHD液晶「Optix MPG27CQ」と組み合わせて快適ゲーム環境を作る!Text by 芹澤 正芳

 自作PC派にはマザーボードやビデオカードでおなじみのMSIだが、ゲーミングPCのラインナップも充実している。

 今回は「魅せる」と「高性能」を合わせ持つInfinite Xシリーズの8RC-067JPをテストする。さらに同社の144Hzの高速27型WQHD液晶「Optix MPG27CQ」や、SteelSeriesのキーボード、マウス、マウスパッドを合わせた、実用的かつルックスも抜群のゲーミング環境の構築も紹介したい。

強化ガラスのサイドパネル&LED制御で“魅せる”

Infinite X 8RC-067JP。実売価格は20万円前後

 MSIのゲーミングデスクトップPC「Infinite X」シリーズは、2018年の3月に空冷と水冷の4モデルが登場。その魅力は、“高性能”に加えてミドルタワーとしてはコンパクト、かつ強化ガラス製パネルも付属するなど、“魅せる”ことにもこだわっている点だ。

 ここで紹介する8RC-067JPは空冷モデルで、CPUに6コア12スレッドのCore i7-8700、メモリに16GB(8GB×2)のDDR4-2400、ストレージに256GBのNVMe SSDと1TBのHDDを組み合わせ、ゲーミングPCの心臓部と言えるビデオカードにはGeForce GTX 1060を採用している。詳しい性能については後述するとして、まずは筐体をチェックしていこう。

 筐体は幅21cm、奥行き45cm、高さ48.8cmで、いわゆる昨今流行の“小さめミドルタワー”だ。奥行きが短い自作向けPCケースでは光学ドライブを搭載できないパターンが多いが、本製品ではスリムタイプのDVDスーパーマルチドライブを上部に備えている。最近光学ドライブの出番は減ってはいるが、やはり搭載されていると安心感がある。

幅21cm、奥行き45cm、高さ48.8cmとミドルタワーとしてはコンパクト
本体の上部にはスリム型のDVDスーパーマルチドライブを搭載

 一番の特徴と言えるのが、“魅せる”ことへのこだわりだ。本製品には標準のスチール製パネルに加えて、強化ガラス製パネルも付属しており、こちらに交換すれば内部のパーツを目で楽しむことができるようにできる。

 ビデオカードはライザーケーブルを使ってファンが正面に見えるように設置されているほか、CPUクーラーはレッドLEDで発光。ケース内の天板と前面にもLEDが設置されており、光の効果でマシンをハデに演出できる。ケース前面と天板のLEDテープに関しては、付属ソフトのMystic Lightで発光色を変更したり、ランダムに点灯させたりと制御可能だ。CPUファンがレッドLEDで固定なので、赤系で調整すると美しくまとめやすい。ホワイトやブルーなどコントラストの強い配色もアリだろう。

初期状態ではスチール製のサイドパネルが取り付けられているが、付属の強化ガラス製パネルに交換することで、側面から中が見えるようにできる
それぞれのエリアをカバーで区切ることで効率のよいエアフローを確保している
前面と上部に制御可能なLEDを搭載。CPUクーラーはMSIのイメージカラーの赤で光る
LEDをホワイト系に設定するとガラリとイメージが変わる

 このほか、ケース内の空間を、CPU、ビデオカード、電源ユニットの3エリアに分けることにより効率よく冷却する「Silent Storm Cooling 3 PRO」を採用。長時間負荷のかかるゲーミングPCらしく、冷却にも力が入っている。

 インターフェースは、前面にUSB 3.1(Gen1なので速度はUSB 3.0と同じ)のType-AとType-Cが1ポートずつ、USB 2.0が1ポート、サウンド入出力を装備。背面にはUSB 3.1(Gen1)が4ポート、USB 2.0が2ポートのほか、Intelのギガビットイーサ(WGI219V)、ビデオカードにはHDMI、DisplayPort、DVIが1基ずつ用意されている。

Type-AとType-CのUSB 3.1(Gen1)のポートやUSB 2.0、マイク入力とヘッドホン出力を備えている
背面にはギガビットイーサやUSB 3.1(Gen1)のほか、ビデオカードの出力が用意されている

 そしてデスクトップPCにはめずらしく、IEEE802.11b/g/n/ac対応の無線LANとBluetooth 4.2もサポート。オンラインゲームをするにはデータ転送速度の面から有線LAN接続が一番だが、設置場所に有線LANを引けない場合にはありがたい装備だ。

テストのために144Hzの高速液晶「Optix MPG27CQ」を用意

 ここからはスペックのチェックと実際の性能テストとするが、そのテストを行なうにあたり、同じくMSIのリフレッシュレート144Hzの高速液晶「Optix MPG27CQ(4月中旬発売予定)」を用意した。

Optix MPG27CQ。リフレッシュレート144Hz、応答速度1msの高速描画が魅力

 Optix MPG27CQはWQHD解像度(2,560×1,440ドット)の27型液晶ディスプレイ。時代は4Kに移りはじめているが、ゲームプレイを考えると、4Kの液晶ディスプレイには60Hzを超える高速液晶がまだなく(発売予定はある)、それに4K解像度だと負荷が大き過ぎて、GTX 1080 Tiを搭載する最高峰のビデオカードでもスペック不足を感じるほど。ゲームを大画面&なるべく高解像度で快適にプレイ……となれば、現状WQHD解像度の高速液晶がベターなチョイスと言える。

 Optix MPG27CQがユニークなのは、16:9比率のワイド液晶で湾曲パネルを採用していることだ。湾曲パネルは、横に広い画面でも端々が見渡しやすいこともあり、21:9比率のウルトラワイド液晶で採用例が多い。

 27型の一般的なワイド液晶では湾曲しても、あまり意味がないのではとも思ったが、実際にゲームするとこれがかなりの没入感で、FPSをプレイすると視界全体がゲーム画面のような感じになり、臨場感たっぷり。これは使ってみる価値があるなと、ちょっと感心してしまったほどだ。

高さ調整とスイベルがあるスタンドは便利だが奥行きは37.93cmと長めなので設置場所はやや選ぶ
湾曲型のパネルが没入感をアップさせる

 また、Optix MPG27CQには前面の下部と背面にRGB LEDが搭載されており、SteelSeries Engine 3によって発光パターンを制御できる。本体と合わせてLEDを発光させれば、さらなるライトアップが可能というワケだ。CS:GOやDOTA2、MinecraftなどのGameSense対応ゲームでは、ゲームイベントに合わせてLEDの発光パターンを変更することもできる。

 さらに、MSIのGamingOSDというツールを使えばWindows上でディスプレイに関する設定を行なうことが可能。リフレッシュレートを144Hzへ切り換えたり、輝度やコントラストなどの調整、PIPの入力ソースや表示サイズ、位置の指定もできる。FPSやレーシングなどゲームジャンルごとのプリセットも用意されており、プレイするソフトにマッチしたディスプレイ設定への切り換えも簡単だ。

正面の下部と背面にRPG LEDが内蔵されている。LEDの発光はSteelSeries Engine 3で制御できる

 SteelSeries Engine 3では、SteelSeriesのRGB LED対応のキーボードやマウス、マウスパッドの制御ももちろん可能。今回、軽いキータッチが特徴的なQX2スイッチを採用するゲーミングキーボード「Apex M750」、12,000CPI&350IPSという驚異的な光学センサーを備えるゲーミングマウス「Rival 310」、滑りのよい面と正確なコントロールを重視した面の両面仕様でLEDも内蔵するマウスパッド「QcK Prism」を組み合わせて試しに使ってみた。プレイ時に演出にもこだわりたい人にはピッタリの組み合わせではないだろうか。

SteelSeriesのRGB LED対応キーボード、マウス、マウスパッドならばSteelSeries Engine 3で一括制御が可能だ

ベンチマークで気になる性能をチェック

 プレイ環境も整ったところで、スペックと性能のテストに移ろう。CPUは、6コア12スレッドのCore i7-8700。定格クロックで3.2GHz、Turbo Boost時で4.6GHzと文句なしの高性能だ。12スレッドもあれば、マルチスレッドへの対応が進んだゲームに強いのはもちろん、最大4.6GHzならば、シングルスレッドの動作も十分高速。全方位でスキのないCPUと言える。

 ストレージは256GBのNVMe SSDと1TBのHDDという組み合わせ。OSやよく使うアプリケーションはSSDに、大容量のゲームはHDDに、と使い分けるのがオススメだ。最近では100GBを超えるゲームもあるだけに、速度は遅めでも大容量&低価格であるHDDは上手に活用したい。

 ちなみにCrystalDiskMark 6.0.0でSSDとHDDのデータ転送速度をチェックした。SSDはシーケンシャルリードが1,500MB/s超えと十分高速だ。最速クラスのNVMe SSDには一歩譲る速度ではあるものの、Serial ATA接続の限界値(550MB/s前後)を大きく超えている。当然、これだけ高速であればゲームのロード時間はHDDよりも大幅に短くなる。

 なお、HDDはシーケンシャルリードで約200MB/s。HDDとしては遅くはないスピードだ。

SSDのデータ転送速度
HDDのデータ転送速度

 ビデオカードはNVIDIAのミドルレンジGPUのGeForce GTX 1060が搭載されている。GPU-Zで動作クロックを確認したところ、ベースクロックが定格の1.506GHzから1.544GHzに、ブーストクロックが1.708GHzから1.759GHzにそれぞれOCされた仕様となっていた。

ビデオカードのクロックなどの設定を確認できるGPU-Z画面。ここで確認できる数値から、OC仕様のビデオカードが搭載されていることが分かる

 続いて総合的な性能とチェックしていく。PCMark 10、3DMark、VRMarkのスコアを見ていこう。PCMark 10はすべてのテストグループを実行するExtendedを実行した。6コア12スレッドのCPUが活きて高いスコアを記録している。

PCMark 10 v1.0.1457-Extendedのスコア

 3DMarkはFire Strikeが10,000超えと十分高いスコア。フルHDまでならば、ゲームプレイにおいては多くのタイトルで性能に不足を感じることはあまりないだろう。

3DMark v2.4.4264

 VRMarkでは、現在のVRゲームをプレイする上での指標であるOrange Roomで7,241という高いスコア。フレームレートを見ても、快適度の目安となる109fpsを超える157.84fpsと当分VRゲームでパワー不足になることはないだろう。DirectX 12対応のVRゲームを対象としてCyan Roomではターゲットとなる88.9fpsに迫る83.62fpsと十分な数値をマークしている。Blue Roomは将来的なVRゲームを見込んだ高負荷テストなので、参考として見てほしい。

VRMark v1.2.1701

 続いて実際のゲームでの性能を見てみよう。定番MMORPGの「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、大作RPG「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、世界中で人気のバトルロイヤルFPS「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」、同じくバトルロイヤルFPSとして人気が高まっている「Fortnite(フォートナイト)」でそれぞれテストした。今回はWQHD液晶と組み合わせてテストしているので、解像度は1,920×1,080ドットと2,560×1,440ドットの2種類で測定している。

 まずはファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマークは、最高品質設定かつWQHDの解像度でも最高の「非常に快適」という評価。軽めのオンラインゲームならば、WQHDでも十分快適にプレイできる。

ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは、WQHD解像度に設定できないため、フルHD解像度だけで測定。重いベンチとして知られる本テストの結果は、高品質で「やや快適」、標準品質だと最高の「快適」という評価となった。実際にゲームをプレイするときは、画質設定を調整し、若干下げめの設定にするとよいだろう。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDSは、プレイヤーが集まるロビーを移動している際のフレームレートを「Fraps」で測定した。画質は最高のウルトラに設定しているため、WQHD解像度では平均が60fpsを下回っている。144Hzの高速液晶を活かすならば、フルHDにするか、WQHDであれば画質を2段階ほど落としたほうがよいだろう。

PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS

 Fortniteはソロマッチを約3分プレイしたときのフレームレートを「Fraps」で測定した。PUBGよりは軽いゲームなので、画質を最高のエピックに設定してもWQHDで平均60fps近くをキープ。画質を1段階落とせば、WQHDでも十分快適に遊べる。

Fortnite

幅広いニーズに応えられる優れたゲーミングデスクトップ

 Infinite X 8RC-067JPは、フルHDなら多くのゲームが最高画質でプレイでき、画質を調整すればWQHDでも十分快適にプレイできる性能を持つ、バランスの高さが魅力の製品だ。PCパーツ全体が値上がり傾向にある現在、約20万円という価格も決して高くはない。

 ミドルタワーとしてはコンパクトで、しかも魅せる要素も充実。ゲーマーだけではなく、高性能で個性的なPCを求めている人にもオススメしたい1台だ。

[制作協力:MSI]