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予算をGPUに集中できる「GeForce + Ryzen」なゲーミングPCを組んでみた

GeForce RTX 2070でレイトレもOK、8コアのRyzen 7 2700XでCPUパワーも十分 text by 坂本はじめ

GeForce + Ryzenで今時なゲーミングPCを構築!

 リアルタイムレイトレーシングやDLSS(Deep Learning Super-Sampling)で注目を集める新GPU「GeForce RTX 20シリーズ」は、ゲームのグラフィック品質やパフォーマンスにこだわるゲーマーなら、ぜひとも手に入れたい新製品だ。

 しかし、最上位クラスのGPUとして投入されているため、今のところ高価なモデルに限定されている。そこで今回は、予算をなるべくビデオカード側にまわしつつ、最新のトレンドも抑えたゲーミングPCを今回は構築してみた。

 組み合わせるCPUに選んだのはRyzen 7 2700Xだ。8コアCPUとしては非常にコストパフォーマンスが高く、プラットフォームとしてもコスト面で優れているのが特徴だ。

 NVIDIA GeForce + AMD Ryzenの組み合わせで最新ゲームがどの程度遊べるのか、これからゲーミングPCの購入などを検討しているユーザーは是非参考にしてもらいたい。

予算をGPUに集中、GeForce RTX 2070搭載PCを高コスパに組もう

 現代のゲームはPCに対して総合的な性能の高さを要求する用途となっているが、最も重要なパーツがGPUを搭載するビデオカードであることは変わらない。従って、限られた予算の中でより良いゲーミングPCを構築するということは、予算の配分を出来る限りビデオカードに集中することであると言える。

 また、今からゲーミングPCを組むのであればリアルタイムレイトレーシング対応なども意識しておきたい。そこで、GeForce RTX 20シリーズの中ではもっとも手が出しやすい「GeForce RTX 2070」をベースに、低コストかつハイパフォーマンスなゲーミングPCを目指し、以下のパーツを集めてみた。

基板もクーラーもオリジナルデザインの「MSI GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G」

GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G。
背面にはバックプレートも搭載。

 今回選択したビデオカードは、MSIの「GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G」。実売価格は税込9万円前後だ。

 GeForce RTX 2070のブーストクロックを1,620MHzから1,830MHzに高めたオーバークロックモデルであり、オリジナルデザインの新型GPUクーラー「TWIN FROZR 7」と、豪華な電源回路を備えた独自設計の基板を採用することで、安定した動作と高いゲームパフォーマンスを実現する。

 Twin Frozr 7放熱設計のクーラーは性能だけで無く、静音性もウリとしているほか、カバー表面と側面のメーカーロゴ部分にはイルミネーション用RGB LEDを搭載してる。

2基のファンを備えたオリジナルGPUクーラー「TWIN FROZR 7」を搭載。高い冷却性能でGPUの温度上昇を抑え込み、安定した性能を維持する。
搭載ファンは独自形状の「トルクスファン3.0」。
出力端子はDisplayPort(v1.4)×3、HDMI 2.0b×1、USB Type-C×1を備える。
補助電源コネクタは8ピン+6ピンの2系統。8+2フェーズの電源回路を備えており、ブースト動作中のGPUに安定した電力を供給できる。
カード側面、本体は2.5スロット占有となっている。
イルミネーション機能も搭載している。

8コアCPU最高のコストパフォーマンスを誇る「Ryzen 7 2700X」

 税込4万円前後で購入できる8コアCPU「Ryzen 7 2700X」は、非常にコストパフォーマンスの高いCPUだ。

 シングルスレッド性能で競合に劣るためゲーミングに向かないと思われがちだが、マルチコアへの最適化が進んだ最新タイトルでのパフォーマンスも上々であり、60fpsをフレームレートの基準とすれば、多くのゲームで競合と遜色ないパフォーマンスを発揮する。

Ryzen 7 2700X。
LEDイルミネーション内蔵のCPUクーラーが付属しており、この点でもコストパフォーマンスは高い。

8コアCPUに相応しい電源回路を備える「MSI X470 GAMING PLUS」

 Ryzen 7 2700Xが利用できるSocket AM4マザーボードには安価な製品も少なくないが、今回は「MSI X470 GAMING PLUS」を選択した。実売価格は税込で約1.6万円。

 このマザーボードのポイントは、8コア16スレッドCPUに相応しい電源周りの設計だ。8ピン+4ピンの電源コネクタによる安定した電力供給と、VRMに搭載されたヒートシンクは、8コア16スレッドCPUであるRyzen 7 2700Xを長時間に渡って安定して動作させるのに役立つ。

MSI X470 GAMING PLUS。
CPU用補助電源は8ピン+4ピンで、VRMにはヒートシンクを装備している。

メモリは8GB×2枚セット、SSDは2.5インチSATAの500GBモデルあたりが高コスパ

 ビデオカードとCPU、そしてそれらのベースとなるマザーボード以外の構成で、ゲームに影響を及ぼすパーツとしては、メモリとSSDだ。

 近年のゲームはメモリの使用量も増加傾向で、16GB以上を推奨しているタイトルも珍しくないことを考えれば、メモリは16GB以上を搭載しておきたい。8GB×2枚セットあたりが過不足無くといったラインになるだろう。

 SSDはゲームのロード時間を短縮する効果があるので、なるべく高性能なものを選びたいところではあるが、ゲームのインストール容量も数十GBを必要とするため、まずは記憶容量の確保が重要だ。今回のようにコストパフォーマンスを重視する場合には、費用、容量、速度のバランスに優れたSATA SSDが好適だ。

Crucial CT2K8G4DFS8266。DDR4-2666動作対応の8GBメモリ2枚組。
Crucial CT500MX500SSD1。1万円前後で購入できる500GBの6Gbps SATA対応SSD。

GeForce RTX 2070 + Ryzen 7 2700Xはなかなか高性能最新ゲームも60fps/WQHD解像度でバリバリ遊べる

 GeForce RTX 2070とRyzen 7 2700Xを組み合わせた今回のゲーミングPCの実力を確認すべく、今年発売された「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」、「モンスターハンター:ワールド」、「アサシン クリード オデッセイ」の3タイトルでのパフォーマンスをチェックする。

 なお、NVIDIAによると、GeForce RTX 2070は「WQHD (2,560×1,440ドット)をターゲットにしたGPU」とのことなので、WQHD解像度で性能が発揮されていれば、ビデオカードの性能が引き出されていると見て良いだろう。

シャドウ オブ ザ トゥームレイダー
モンスターハンター:ワールド
アサシン クリード オデッセイ

シャドウ オブ ザ トゥームレイダー

シャドウ オブ ザ トゥームレイダー

 まずはリブート版トゥームレイダーの完結編として9月に発売された「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」でのパフォーマンスから見てみよう。

 グラフィックス設定のプリセットを「最高」に設定して実行したベンチマークでは、フルHD解像度で96fps、WQHD解像度でも70fpsという平均フレームレートを記録した。

 実際にゲーム本編をプレイしても確認したが、WQHD解像度でも60fpsを下回るシーンはほとんどなかった。GeForce RTX 2070とRyzen 7 2700Xの組み合わせは、シャドウ オブ ザ トゥームレイダーを高画質かつ滑らかな映像で楽しむことが可能だ。

画面解像度「WQHD (2,560×1,440ドット)」、グラフィックス「最高 (DirectX 12)」。60fpsターゲットで十分に遊べる。

モンスターハンター:ワールド

モンスターハンター:ワールド

 シリーズ最新作にして世界的な人気を獲得した「モンスターハンター:ワールド」。マップのエリア移動をシームレス化することで、過去作よりも狩猟生活に没入できるようになった一方、PCに要求する性能も高いタイトルだ。

 日中の調査拠点でフレームレートを測定した結果、グラフィックスプリセットを「最高」に設定した場合、フルHD解像度で79.6fps、WQHD解像度では56.2fpsを記録。グラフィックスプリセットを「高」に落とすとWQHD解像度でも60fpsを超える75.9fpsを記録した。

 フィールドに出てプレイもしてみたが、グラフィックスプリセットを「最高」に設定したWQHD解像度でも50~70fps程度のフレームレートが出ていた。プリセットを一段低い「高」にすれば60fpsの維持は容易だが、グラフィックスの詳細設定でわずかな調整を行えば、プリセット「最高」にかなり近い画質で60fpsの維持が可能だ。

画面解像度「WQHD (2,560×1,440ドット)」、グラフィックス「最高」。常時60fpsを狙うのであれば、若干画質設定を落とした方が良いかもしれない。

アサシン クリード オデッセイ

アサシン クリード オデッセイ

 古代ギリシアが舞台のオープンワールドRPG「アサシン クリード オデッセイ」。古代ギリシアを自由に闊歩できる本作を存分に楽しむ上で、高性能なGPUによる精緻なグラフィックスは欠かせない要素のひとつだ。

 グラフィックスプリセットの「最高」はかなり重く、フルHD解像度でもベンチマークの平均フレームレートは64fpsだった。ベンチマーク中のフレームレートがおおむね60fps以上となるのは、平均フレームレートが70fpsを超えている状態であり、フルHD解像度ならプリセット「超高」、WQHD解像度では「高」がそれに該当する。

 実際のゲーム中においても、60fpsを維持できる基準はベンチマークと同等だ。ただ、本作は家庭用ゲーム機では30fpsを基本としているタイトルであり、60fpsならではの滑らかさにこだわらなければ、30fpsでも快適にプレイできる。

 今回のPCは、WQHD解像度でプリセット「最高」設定でも30fps以上の維持は可能だ。30fpsで画質を追求するか、それとも60fpsで滑らかな描画を優先するのかはユーザーの好み次第だが、それを好みで選べるのはGeForce RTX 2070のパフォーマンスあってこそだ。

画面解像度「WQHD (2,560×1,440ドット)」、グラフィックス「最高」。最高画質の場合は50fps前後がターゲットになる。

最新タイトルをWQHD解像度でも楽しめるGeForce RTX 2070搭載PCコストパフォーマンス重視のユーザーにお勧め

 GeForce RTX 2070とRyzen 7 2700Xを組み合わせた今回のPCは、最新タイトルをWQHD解像度でも高画質で快適にプレイできるだけのパフォーマンスを発揮した。

 これは、予算をビデオカードに集中することの正しさと、Ryzen 7 2700Xがゲーム用途でもコストパフォーマンスに優れていることが証明する結果だ。ゲーミングPCではIntel製CPUが使われることが多いが、Ryzenもゲームパフォーマンスが高いことは覚えておいて損は無い。特にコストを意識した際は有力な選択肢になるはずだ。

 最新のトレンドを抑えつつ、コストバランスも良いゲーミングPCが欲しいといったユーザーには、GeForce RTX 2070とSocket AM4環境の組み合わせをお勧めしたい。

[制作協力:MSI]