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「フォールアウト 76」は最速級SSDで快適になる?WD Black NVMe SSDでPCを強化
癖のあるオンラインゲームのロード時間、SSDで遅れを最小に text by 坂本はじめ
2018年12月20日 06:05
SSDの優れたデータ転送速度は、大容量化が著しい大作ゲームのロード時間を短縮するのに有効だ。
特に4K解像度でゲームを遊ぶ際などは扱うデータ量も多くなるので、SSDを使用した際の恩恵はより大きくなる。大作ゲームにはより高速なSSDを使用すべきだ。
前回は「アサシン クリード オデッセイ」を使用しNVMe SSDの性能を検証したが、今回は「フォールアウト 76(Fallout 76)」を使用してNVMe SSDの性能をテストしてみた。
シリーズ初のオンライン専用タイトルとして登場した「フォールアウト 76」。このゲームをコンシューマーSSD最速クラスの「WD Black NVMe SSD」にインストールするとどの程度快適になるのか、HDD環境と比較しつつ確かめてみよう。
リード最大3.4GB/sの高耐久ハイエンドSSD「WD Black NVMe SSD」
ゲームでのパフォーマンスを確認する前に、今回使用するWD Black NVMe SSDについて紹介しよう。
Western DigitalのハイエンドSSDであるWD Black NVMe SSDは、3D TLC NANDを採用したNVMe対応のSSD。最大で3.4GB/sに達する優れたリード性能と、3D TLC NANDならではの高耐久を兼ね備えており、ゲーム用途でも高いパフォーマンスを発揮するモデルだ。
今回はWD Black NVMe SSDの1TBモデル「WDS100T2X0C」をフォールアウト 76のインストール用SSDとして利用する。
フォールアウト 76が4K/60fpsで動作する高性能PCを用意GeForce RTX 2080 + Core i9-9900Kでテスト
今回のテストでは、GeForce RTX 2080搭載ビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 AMP」と、Intelの8コアCPU「Core i9-9900K」を組み合わせた高性能ゲーミングPCを用意した。
このPCは、4K解像度(3,840×2,160ドット)で描画品質プリセットを「ULTRA」に設定したフォールアウト 76で、60fps以上での動作が可能な性能を備えている。
WD Black NVMe SSDの比較用ストレージとして、ハイエンドHDDである「WD Black」の6TBモデル「WD6003FZBX」を用意した。最高クラスの性能を持ったHDDとNVMe SSDの間にどの程度の差があるのかにも注目だ。
ディスクアクセスが発生する3つの場面でロード時間を比較SSDの性能をフルに引き出すには回線速度も重要?
11月15日に発売されたフォールアウト 76は、オープンワールドRPGとして高い評価を獲得しているフォールアウトシリーズの最新作。
今作はオンライン専用タイトルとなっており、プレイヤーはVault 76の一員として、他のプレイヤーと協力したり、しなかったりしながら、ウェイストランドを冒険することになる。
フォールアウト 76のマップは基本的にシームレスマップであり、ゲームがスタートしてしまえば、エリア切り替えの度にロードが発生するといったことは無いが、ゲーム開始時やファストトラベルなどでディスクアクセスを伴うロードが発生する。今回はそのような場面でのロード時間をチェックした。
ゲーム起動時のロード時間を比較、SSDが高速だがストレージ以外の要因も大きい?
まずはゲーム起動時のロード時間をみてみよう。
Bethesda.net Launcherにて「プレイ」をクリックした瞬間から、「Press any button to start」が表示されるまでの時間を3回ずつ測定。平均値を比較した。
WD Black NVMe SSDのロード時間は平均18.5秒で、平均20.9秒のHDDよりも2.4秒高速な結果だった。それほど大容量のデータをロードするシーンでは無いが、それでも確実にロード時間は短縮されている。
ロードを短くするには回線環境も重要、プレイ再開時のロード時間を計測
オンライン専用タイトルであるフォールアウト 76では、メインメニューの「PLAY」を選択することでオートセーブされた地点からゲームを再開できる。
今回はPLAYをクリックしてから、ロード画面が終了するまでの時間を10回ずつ測定し、平均値を比較した。
測定の結果、WD Black NVMe SSDの平均ロード時間は63.8秒で、HDDの平均70.9秒より7.1秒速かった。
ただし、以下に掲載した個々のロード時間を見ればわかるように、プレイ開始時のロード時間は毎回バラバラであり、個々を比較すればHDDの方が早い回もある。
なぜこのような測定結果になっているのかといえば、プレイ再開時にはサーバーに接続するためのネットワークアクセスが発生しているためだ。
すんなり接続出来ればロード時間は短くなり、接続に時間を要すればロード時間は長くなる。フォールアウト 76のロード時間は、通常のディスクアクセスロード時間 + ネットワークアクセスの待ち時間の合算となっているのだ。
このネットワークアクセスの影響を除外して、ストレージからの読み出しが発生している時間だけを抜き出した結果が以下のグラフだ。
ストレージからの読み出しが発生した時間は、HDDの平均22.2秒に対し、WD Black NVMe SSDでは平均約13.7秒と6割程度にまで短縮している。この時間はネットワークアクセスを含めたロード時間の長さに関わらずほぼ一定だった。
これは、「ストレージからのロード時間」自体はWD Black NVMe SSDの方が大幅に早いことを示すものだ。今後、サーバーに接続するためのネットワークアクセスがよりスムーズに行われるようになれば、プレイ再開時のロード時間を短縮する効果はより大きなものとなる可能性がある。
ファストトラベル時のロードは順当にSSDが高速
フォールアウト 76では、マップの拠点間を瞬時に移動するファストトラベルが用意されている。このファストトラベルには原則として移動距離に応じたキャップ(ゲーム内通貨)が必要だが、自身の拠点と初期地点であるVault 76には無料で移動できる。
今回は、ヘムロックホールズ付近に設置した自身の拠点からVault 76へのファストトラベルを行った際のロード時間を3回計測して平均値を比較した。
測定結果は、WD Black NVMe SSDが平均8.4秒で、HDDの11.7秒より3.4秒早かった。今回測定したロード時間の中でも、特に素直にストレージ性能の差が出ている結果であり、拠点へのファストトラベルを多用するユーザーにとって、高速なSSDを使うことによって短縮されるロード時間は大きなものとなりそうだ。
高性能SSDはフォールアウト 76のディスクアクセス時間を短縮サーバーとのアクセス速度が改善されればSSDの恩恵はさらに大きなものに
オンライン専用タイトルとなったフォールアウト 76では、サーバーに接続する際に生じるネットワークアクセス由来の待ち時間も生じており、ロード時間はサーバーとの接続状況に大きく左右される。
それでもWD Black NVMe SSDを利用したことで、ファストトラベルや起動時間は短縮され、プレイ再開時のロードにおいてもディスクアクセス自体の時間は大きく短縮されていた。ネットワークアクセスにも左右されるとはいえ、平均すれば高速なSSDを用いた方がロード時間は短い。
また、ネットワークの状況が良好だった場合、HDDではそれがスポイルされてしまう場合もある。SSDであれば、ネットワーク状況が良好だった場合には高速さをより活かすことが可能であり、逆にネットワークの状況が悪いケースでは、その状況をカバーして遅れを最小にしてくれることもある。
フォールアウト 76は記事執筆時点でも積極的に機能改善が図られており、アップデートも頻繁に行われている。サーバーとの接続状況が改善されれば、SSDによるロード時間短縮効果はより大きなものとなるだけに、今後のアップデートで環境がより改善されることを期待したい。
[制作協力:Western Digital]