特集、その他
機能性・デザイン性・耐久性を兼ね備えたUSBドッキングステーションを開発、j5createにこだわりを聞く
薄型PC向けのスタイリッシュなデザイン、1台あると便利な多機能デバイス text by 平澤寿康
2019年2月25日 00:02
USB接続のディスプレイアダプターやUSBハブなどを中心とした、USB周辺機器を開発・販売している「j5create」。
どの製品もスタイリッシュなデザインを採用し、品質も優れることから、USB周辺機器の中でも人気の高いブランドとなっており、特に北米では大きなシェアを獲得しているという。日本でも量販店などを中心に製品が販売されているので、見かけたことがあるユーザーもいるだろう。
話を聞いてみると、製品の外観は当然として、内部に使用しているICチップの開発も自社グループで行っており、機能面やサポート面での品質にもこだわりを持っているという。
j5createはどういった思想のもとに製品を開発しているのか、台湾本社のディレクターAllen Yen氏と、日本エリアの営業担当Steve Hou氏に詳しく話を聞いてきた。
薄型軽量モバイルPCとマッチするだけでなく、安定動作にもこだわったデザインを実現
――まず始めに、j5createがどういった会社か教えてください。
[j5create]j5createは、2011年に設立しました。創立当初は、USBディスプレイアダプターやUSBハブなどが中心で、現在はさらに多くのカテゴリーの製品を開発しています。
近年のモバイル向けノートPCのトレンドは、薄型・軽量化です。それに伴い、薄型軽量のノートPCでは搭載されるコネクタの数がどんどん減ってきています。
このような背景もあって、ここ数年でUSB接続のドッキングステーションやディスプレイアダプターの需要が大きく高まっています。そうした中、我々にはニーズに合わせた開発力と技術力に強みがあり、着々とシェアを伸ばしているといった状況です。
――技術力といった部分ではどのあたりが優れているのでしょうか
[j5create]例えば、我々はUSBディスプレイアダプターのICチップを自社グループで開発しています。ICチップの開発を行うには高い技術力が必要となるため、多くのメーカーが外販のICチップを利用して製品を開発していますが、この部分は他社との大きな違いと言えます。
もちろん、ICチップを自社開発できなくてもUSB周辺機器は製品化できますが、最終的な製品の安定性や完成度、サポート体制などに差が出てきます。外販チップを使用する場合、ファームウェアの更新なども簡単にはいきません。
また、自社グループで開発したICチップは、現在では第6世代まで進化しており、蓄積されたノウハウもアドバンテージなっています。
このほか、製品デザインも全て自社で行っており、この点でもクオリティを優先した開発体制を整えています。デザインや機能のこだわりと、優れた技術力があるからこそ、USBディスプレイアダプターやUSBハブなどで多数のモデルを製品化できているのです。
実際にこうした部分が評価され、北米市場ではUSBディスプレイアダプターをはじめとしたUSB周辺機器トップ5のカテゴリーでシェアNo.1を獲得しています。
――j5createの製品は、主に金属を用いたスタイリッシュな外観が特徴となっていますが、こうしたデザインの部分でこだわっているポイントを教えてください。
[j5create]デザインでは、スタイリッシュで高級感があり、小型軽量であるという点にこだわっています。
素材にアルミニウムを使用しているのは、AppleのMacBookやMicrosoftのSurface、ASUSのZenBookなど、アルミニウムを採用した薄型のノートPCとのデザインをマッチさせるためなのと、放熱性の高い素材を使用することで、動作時の安定性を高めることが目的です。
市場にはデザインが優れていても安定動作しない製品も存在しますが、我々は安定動作するようしっかり検証したうえで本体をデザインしています。
高い冷却性能が必要になった際には側面にさり気なくスリットを設けるなど、デザインを崩さずに放熱性を高めているモデルもあり、デザインと機能の両立にはかなりこだわりを持っています。
――アルミニウムを使ったスタイリッシュなデザインだけでなく、小型の製品も多く販売されていますが、製品サイズにもこだわりがあるのでしょうか。
[j5create]小型で軽量なノートPCと一緒に持ち運ぶ周辺機器は、携帯性を損なってしまっては意味がありません。ですので、PCと一緒に持ち運びやすいように、小型軽量という部分にこだわった製品を多く用意しています。
ICチップを自社グループで開発、迅速なサポート体制と優れた品質を確保
――USBディスプレイアダプターのICチップを自社グループで開発しているとのことですが、そのICチップはどのような特徴があるのでしょうか。
[j5create]ICチップは、様々なディスプレイ出力規格への変換機能を備えるものです。USBから入力された信号を、アナログRGB、HDMI、DVIなどで出力可能なほか、マルチディスプレイ出力への対応も実現しています。
今後も新たな機能を追加したICチップを開発していく予定です。
――ICチップを開発することのメリットとはどのような部分なのでしょうか。
[j5create]USBディスプレイアダプターは、WindowsやMac OSなど、さまざまなOSとの互換性を確保するのも重要な部分となります。OSがアップデートされればドライバの更新を行わねばなりませんし、相性などが発生した場合はファームウェアの調整などが必要になる場合もあります。
我々はドライバなどソフトウェアも自社グループで開発していますので、OSのバージョンアップなどで対応が必要になった際に、いち早く対応することが可能です。
外販のチップを使用している場合、まずチップメーカーと対応を協議する必要があり、その分時間がかかります。品質管理という点で、ここは非常に大きな強みとなっています。
――サポート面でICチップを開発することが有利なのは確かですが、反面コストでは不利なのではないでしょうか。
[j5create]確かにICチップの開発費がかかる分コストは上がりますが、それでも競争力を持った製品を開発することは可能です。また、許容できる範囲のコスト増であるなら、品質重視の製品開発を行い、優れた製品を提供したいという考えが我々にはあります。
――他社のICチップに比べて機能面などで優れている部分はありますか。
[j5create]機能的には、他社製のICチップも似ているものが多いと思います。しかし、我々は、自社グループで開発したICチップを様々なソリューションに合うようにカスタムし、品質を確保して製品を開発しています。また、アフターサービスもしっかり提供しています。そういった部分も含めた、トータルの品質では競合製品より優れていると考えています。
――開発したICチップをドッキングステーション以外にも応用することは考えていますか。
[j5create]我々が開発しているICチップは、ディスプレイソリューション全般での活用を考えて開発しています。先ほど紹介した、ネットワーク経由でディスプレイ出力を実現するICチップを用いた無線会議システムや、デジタルサイネージ、リモートデスクトップ機器などに応用する計画があります。それらの製品は今年中に発売する予定です。
日本に最先端の製品を、2019年はUSB Type-C対応機器とワイヤレス充電器に注力
――j5createの製品は、ラインナップが非常に多岐に渡っています。なぜこのように多くの製品を揃えているのでしょうか。
[j5create]我々は、PC周辺機器の専門メーカーとして、この分野で世界のトップになるという目標を掲げています。そして、ラインナップを細かく分けることで、多くのユーザーのニーズに対応できますので、豊富なラインナップを用意したいと考えています。
また、地域によって製品需要に差異があります。ですので、豊富なラインナップを用意することで、様々なニーズにも柔軟に対応できるよう製品開発を行った結果でもあります。
――そういった中で、日本市場はどのようにお考えでしょうか。
[j5create]日本のIT市場は、最先端の市場のひとつと考えています。USB Type-C搭載のPCがどんどん増えていますし、スマートフォンも同様です。ですので、日本市場に向けては最新、最先端のPCに合わせて、最新のインターフェイスや機能を備えた製品を提供したいと考えています。
今年は、USB Type-C対応のハブ製品や、スマートフォン向けのワイヤレス充電機器を重点製品として位置付けています。また、会社と自宅でノートPCを便利に利用するためのドッキングステーションも、需要が伸びると考えています。
――日本で販売されている製品で特徴的なモデルをいくつか紹介してもらえないでしょうか。
[j5create]それでは日本向けに投入しているいくつかのモデルをご紹介しましょう。
[j5create]こちらは「JCD381-A USB Type-C Dual HDMIマルチドック」で、2つのHDMIを備えていて、1つのUSBポートからマルチディスプレイ出力が可能という点が大きな特徴です。
USB Type-Cの機能として用意されているディスプレイ出力では1画面のみの出力となりますが、1つのUSB Type-Cから2つのディスプレイ出力が可能となっているのは、自社のICチップを利用することで実現しています。また、USB PDにも対応していますので、USB PD対応のACアダプターを接続することで、PCを充電しながら利用できます。
[j5create]こちらはやや大型のドッキングステーション「JUD531-A Piccolo Dualドッキングステーション」です。
1本のUSBケーブルでディスプレイ出力やイーサネットなどを利用できる製品で、自宅や会社に置いておくことで、ノートPCを便利に利用できるようになります。なお、今後は次世代のICチップを採用した製品の発売を予定しています。
[j5create]これまではPC向けの製品を中心に販売していましたが、2018年からはスマートフォン向けの製品の販売も始めました。
こちらの「JUPW1102W-A 10W 2-coilスタンド型」は、iPhoneなどのワイヤレス充電対応スマートフォン向けのワイヤレス充電スタンドです。こだわりはデザインで、家庭のどこにも溶け込みやすい木目調のデザインとなっています。金属ボディよりも木目調の方がどういったインテリアにも合うと考えて採用しました。今後は、木目調のデザインの製品が増えていくと思います。
[j5create]「JCDP385 USB Type-C Powered Mini Docking Station」は、USB Type-Cハブと、USB PD対応ACアダプターを組み合わせている点が大きな特徴となっています。
これ1つで、出力最大35WのUSB PD対応ACアダプターと、USB Type-Cハブとして利用できますので、それぞれを別々に持ち運ぶ必要がありません。まだ他社も発売していない革新的な製品です。
[j5create]「JCD384 USB Type-C 10 in 1 マルチドック」は、USB PD対応USB Type-Cポートを備えるノートPC向けの製品です。
これ1つで、HDMI、VGA、USB 3.0、ギガビットイーサネット、SDカードスロットなどの機能を網羅していますし、USB PD対応ACアダプターを接続してPCへの給電も可能です。小型ボディに多くの機能を詰め込んでいますが、アルミニウムを採用するなど内部の熱を外に放出しやすいデザインで、安定性も確保しています。
Amazonなど販路を広げ、日本での認知度や販売数を拡大したい
――教えていただいた製品も含めて、j5createの製品には日本で注目される製品が多く存在していると思いますし、日本でも薄型軽量モバイルPCが続々登場していて、こういったポートリプリケーターやハブなどの需要も高まっていくと思います。今後、日本市場にどのように取り組んで行きたいと考えていますか。
[j5create]j5createは日本市場に参入して5年半ほどになります。これまでは家電量販店で多く販売してきましたが、今年はAmazonなど大手通販サイトでの販売も強化していきたいと思います。また、法人向けマーケットにも注力していきます。
今年は日本での販路を強化して、j5createのブランドをもっと知ってもらって、認知度を高めたいと思っています。そして、日本の方々に、革新的でユーザーに寄り添った高機能製品を販売していきます。
また、販売代理店のテックウインドとの関係も重視しています。テックウインドは日本市場で強い代理店と思っていますし、販路や売上げの拡大にも期待しています。今後もテックウインドをパートナーとして、我々j5createの製品を日本に広げて行きたいと考えています。
我々にとって日本は大事なマーケットのひとつです。日本のユーザーのみなさんの声を聞きながら、日本のユーザーに向けた製品を開発していきたいと思います。
――最後に、日本のユーザーにメッセージをお願いします。
[j5create]すでに製品を購入し、愛用していただいている皆様にはとても感謝しております。
j5createは、PCやスマートフォンの周辺機器を作っていますが、これからも、最先端のPCやスマートフォンに最適な、高機能な周辺機器を提供していきたいと考えています。ですので、今後の製品展開にも期待して頂けると嬉しいです。
――ありがとうございました。
[制作協力:j5create]