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最新VAIOの内蔵NVMe SSDを1TBに換装、ノートPCの容量不足を一気に解決!
Samsung 970 EVO Plusで書き込み速度も大幅に向上 text by 久保勇
2019年6月18日 06:04
ノートPCを使用しているユーザーであれば、内蔵ストレージの容量が足りなくなった経験をしたことがある人は多いのではないのでしょうか。
2.5インチHDDが全盛の時代であれば、ストレージの換装が簡単なノートPCも多々ありましたが、薄型ノートPCが増えるにつれてストレージの換装は難しくなりつつあります。そうなると、ストレージが足りなくなった際は、外付けストレージで容量不足を凌ぐことになりますが、内蔵ストレージの容量を増やせた方が快適なのは間違いありません。
そこで、今回は手持ちのVAIO SX14(VJS141)を使い、内蔵SSDのアップグレードに挑戦してみました。メーカー保証などがなくなるので万人にお勧めできるものではありませんが、M.2 SSDの換装の必要がある方は参考にしてもらえればと思います。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
まずは分解可能か調べる、内蔵ストレージが交換可能かチェック
まずは自分が使用しているPCが分解可能なのか、ストレージが交換可能なのかを調べる必要があります。
使用しているPCの「型番」と「分解」をキーワードに検索すると、レビューやメディアのインタビュー記事などでメイン基板の写真などが見つかることがあります。
そうした情報を参考に、現在使用しているPCのストレージが交換できるのか、基板実装で交換できないのかなどを判断します。
今回使用しているVAIO SX14は、幸いにも分解可能かつ一般的な2280形状のM.2 SSDが搭載されているようなので、ストレージの交換ができそうです。
仕事用に購入したVAIOのSSDを大容量にしたい!NVMe SSD 256GBからアップグレード
今回SSDの換装に使用するVAIO SX14は、今年1月に発売された14インチのノートPC。
主な構成はCPU Core i7-8565U、メモリ LPDDR3 16GB、ストレージ NVMe SSD 256GB。薄型軽量タイプのモデルになります。
購入時は仕事用なので、ストレージは256GBもあれば良いかと思いましたが、仕事に使用するアプリケーションやら画像やら資料やらを入れていくうちに、あっという間に残りの空き容量が20GBを切りました。
この容量でもやりくりできなくはありませんが、容量の大きいアプリケーションをインストールしたり、イベント時の取材スタッフ全員の写真データなどを置くと足りなくなる可能性は十分にありそうです。
最速クラスの1TB SSDに換装、Samsung SSD 970 EVO Plusで容量も性能も向上
という訳で、今回は換装用SSDとしてはSamsung SSD 970 EVO Plusの1TBモデルを選択。
コンシューマー向けでは最速クラスのモデルで、1TBモデルの公称値はリード3,500MB/s、ライト3,300MB/s。最新の3D V-NANDを採用することで高速性と高耐久性をウリとするモデルで、1TBモデルの総書き込み容量は600TBWとされています。
SSD換装をするためにノートPCのデータをコピーM.2 SSD外付けケースを用意
ノートPCのSSDを換装するためには、もともとノートPCに入っているOSやアプリケーションなどのデータを新しいSSDにコピーする必要があります。
今回使用しているSSD 970 EVO PlusはM.2タイプのNVMe SSDなので、これに対応したSSD外付けUSBケース「エアリア SD-M2NV」を使用してデータのコピーをとっていきます。
まずはSD-M2NVの本体を分解し、SSDを固定します。本体はネジ不要で分解可能なので、かなり手軽。SSDはネジを使わなくても固定できますが、今回はしっかりネジで固定しました。
SSDを固定したら本体を戻して完成。ケース側に熱伝導シートも備えており、データのコピーに使うには手軽かつ必要十分といった感じです。
なお、データのコピー中はSSDがかなり高温になるので、熱が籠るような場所において作業したり、手に持った状態でデータのコピーを行ったりしないように注意してください。
NVMe SSDのデータをクローンに対応したMiniTool ShadowMakerでデータを複製
新しいSSDを外付けSSD化し、PCに接続したらデータのコピーを行います。今回はデータ移行ソフトにMiniTool ShadowMakerを利用しました。
アプリケーションのダウンロードは、MiniToolのサイトにアクセスし、右端にあるShadowMakerを選択。クライアントPC向けの「For Home Users」とサーバーやワークステーションで使用する「For Busuness Users」の項目があるので、「For Home Users」の方からインストーラーをダウンロードします。
「For Home Users」は有償の「Pro Edition」のほかに、一部機能が制限された無料の「Free Edition」が用意されており、今回は「Pro Edition」を使用しています。なお、「Free Edition」でもデータクローンの機能は利用可能です。
ダウンロードしたインストーラーをダブルクリックするとインストールがスタート。この辺りは一般的なアプリケーションと変わりはありません。
インストールが完了したらアプリケーションを起動します。
アプリケーションを起動すると、有料版の場合はライセンスキーをアクティベートするか、ライセンスを購入するか選ぶ画面が表示されます。有料版を購入している場合はここで上段のスペースにキーを入力してアクティベートを行います。「Free Edition」の場合は有料版への移行のお勧め画面が出ますが、スキップして進められます。
アプリケーションを起動したら「Local」側の「Connect」ボタンをクリック。ShadowMakerのメイン画面が開きます
上段メニュー右側に「Tools」の項目があるので選択。「Tools」の中に「Clone Disk」の項目があるので、これを選択します。
「Clone Disk」を選択すると、元となるデータの入ったディスク(The Source Disk:)と、データを移行させる先のディスク(The Target Disk:)の選択画面が出てきます。
「The Source Disk:」の方をクリックし、コピー元のディスクを選択します。ディスクはC、Dといった表記ではなく、1番、2番といった表記になるので注意。ディスクを選ぶと、そのディスクのパーティション構成がどうなっているかわかるので、どちらにOSが入っているかは見てわかるようになっています。
「The Source Disk:」側でOSの入っているディスクを選択したら(今回のケースだと1 Disk)、「The Target Disk:」を選択し、今度はデータを移す側のディスクを選択します。今回の場合は「2 Disk」の「Samsung SSD 970 EVO Plus」になります。
ディスクの選択が済むとそれぞれどのディスクがコピー元か、コピー先になるのか表示されているので、間違いがなければ「OK」を選択します。コピー元とコピー先を間違えないように注意しましょう。
そのまま進めるとコピー先のデータがすべて消える警告が出ますが、「Yes」を選択してコピーの作業をスタートします。
コピーがスタートすれば後は待つだけ。今回200GB程度のデータをコピーしましたが、約16分ほどでコピーは完了しました。
ここまでがSSD換装の前準備になります。
分解用のヘラを使って慎重に本体を解体ネジを無くしたりケーブル類を切らないように注意
換装前の準備が整ったら、本体の分解作業に入ります。無理に分解すると外装が割れてしまったり、内部ケーブルの断線が起こったりするので、慎重に行う必要があります。
なお、こうした分解行為はメーカー保証外の行為となり、万が一壊れた場合は保証が受けられなくなります。このため、もし行うなら保証期間が過ぎてからの方が良いかもしれません。
それでは実際にVAIO SX14の分解作業に入っていきます。まずは本体裏面のネジをすべて外します。
外した際のネジはどの場所のものかわからなくなると困るので、ネジ止めされていた順に置いておいた方が良いです。
小さいドライバーで無理にネジを外すと、ネジを舐めてしまう可能性があるので気を付けましょう。
ネジがすべて外れたところで今度はカバーを外す作業にはいりますが、VAIO SX14はプラスティックのツメでもカバーが固定されているので、ヘラを使ってこじ開けていきます。
ドライバーで開けてしまう人もいますが、本体が傷つくので、右のような樹脂製のヘラを利用することをお勧めします。
VAIO SX14を開ける場合、パームレストの下あたりにヘラを入れ、隙間を広げていきます。
ヘラが入ってしまえば意外と簡単に外れていくので、手前側が外れたら左右のツメも外していきます。
VAIO SX14はキーボードと基板がケーブルで繋がっており、ツメが外れた際に勢いよく外すと断線の可能性があります。
注意してキーボード側のカバーを持ち上げ、メイン基板が見える状態に。幸い、液晶側にキーボード側のカバーを置く形にすると作業がしやすい状況になります。
メイン基板の右上側にNVMe SSDが搭載されています。
メモリは基板実装なので換装できませんが、NVMe SSDと無線LANモジュールはカードタイプなので、構造的には交換可能なものになっています。
今回のVAIO SX14に搭載されていたNVMe SSDは、Samsung MZVLB256HAHQ-0000(256GB)。こちらも世代的には最新世代のSSDになるので、高性能なSSDです。
余談ですが、CrystalDiskInfoのようなSSDのステータスを確認できるソフトであれば、搭載されているSSDの動作レーンを見ることができます。対応転送モードのところに表示されているのがその情報で、左側が現在動作している状態、右側がSSDが規格として対応している動作モードになります。
左右どちらもPCIe 3.0 x4表記であれば、SSDを換装してもしっかりスピードがでる可能性が高いといえます。SSD側がPCIe 3.0 x4の動作モードに対応していても、現在の動作モードがPCIe 3.0 x2などになっている場合はM.2スロット側の制約でSSDの速度がフルに出ない可能性があるので、注意が必要です。
搭載されていたSSDとSSD 970 EVO Plusを交換します。ネジ止めの仕方やスロットの構造はデスクトップPCと何も変わりません。
ネジを外してSSDスロットから引き出し、新しいSSDを差し込んでネジを止めれば交換は完了。
SSDの交換が終わったら、いったんキーボード側のカバーを戻し、正常にOSが起動するか確認。無事起動すればSSDの換装は成功です。
PCをシャットダウンし、ネジを元に戻して作業は完了です。
新旧SSDで速度を比較シーケンシャルライトは大幅向上、空き容量も一気に増大
換装も無事成功したので、SSD換装前と後で速度を比較してみました。
元々搭載されていたMZVLB256HAHQ-0000も世代的には新しいので高性能ですが、SSD 970 EVO Plus 1TBになりシーケンシャルライトが大幅に向上、倍近い2,913MB/sに。リードも公称値の3,500MB/sを超える値がでました。ノートPCでここまで速度が出るのはなかなか凄いかも。
当初の予定だった空き容量も大幅に確保できたので、満足行く結果となりました。
NVMe SSD換装の際の要注意点
今回のVAIO SX14 / Samsung SSD 970 EVO Plusの組み合わせは問題ありませんでしたが、製品によっては相性問題が発生することもあります。下はSkylake世代のノートPC「VAIO S13(VJS131)」にとある旧型のNVMe SSDを搭載してみた際の様子です。BIOS上で状態を確認するとストレージの欄が「None」になっており、認識できていません。SSDは相性問題が少ないと思われがちですが、特定の組み合わせで使用できない場合もあるので、この点は要注意。換装の際は成功報告のあるモデルから選ぶのが無難です。相性問題と同じく要注意なのが、デフォルトでインストールされているアプリケーションの扱い。自作PCユーザーであれば、OSをクローンして移行するよりもOSをクリーンインストールした方が手っ取り早いと思ったりもしますが、クリーンインストールしてしまうとプリインストールされていたメーカー純正のアプリケーションなどが手に入らなくなる可能性があります。VAIO SX14の場合、クリーンインストールしてしまうと本体の設定を行うユーティリティ「VAIOの設定」が手に入らなくなります。アプリケーション自体はMicrosoft Storeで公開されているのですが、OSをクリーンインストールしたVAIOからアクセスするとコードを要求されダウンロードできず、再インストールができません。本体のさまざまな設定が行えなくなり、不便なことになるので要注意です。NVMe SSD搭載ノートもストレージの換装は可能、容量不足に悩まされた際はチャレンジする価値あり
今回はあまり見かけないノートPCに内蔵されたNVMe SSDの換装に挑戦してみましたが、容量問題を改善するという面では大きな効果があります。
特に数世代前のノートPCであればNVMe SSDが高価だったこともあり、128GB SSD搭載モデルを使用している人もいるかと思いますが、容量的な面で不便しているのであれば、SSD換装でかなり快適性を向上させることができます。リスクはあるものの、本体の保証期間が切れているのであれば、挑戦して換装する価値はあります。
万人にお勧めするのは難しい面もありますが、NVMe SSD換装を検討している方の参考になれば幸いです。
[制作協力:Samsung]