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15万円の高コスパなゲーミングノートPC「MSI GF75 Thin」を試す、6コアCPUとGeForceを搭載
没入感が高まる17.3型、本体サイズは15.6型ノートPC相当 text by 石川ひさよし
2019年6月17日 00:01
MSIのノートPC「GF75 Thin」は、17インチの大画面、スタイリッシュな外観、そして6コアCPUを搭載しながら安価なショップでは税込15万円以下で販売されているコスパがウリの製品だ。
エントリークラスのゲーミングノートPCは15万円前後といったラインがボリュームゾーンになっているが、この価格帯のモデルとして、「GF75 Thin」はお買い得感のあるモデルなのか、性能的にはどの程度まで望めるものなのか、ベンチマークや人気ゲームソフトを使ってテストしてみた。
なお、GF75 Thinは2モデルあり、GeForce GTX 1050 Ti With Max-Qを搭載したGF75 Thin(GF75-8RD-031JP)
とGeForce GTX 1650を搭載した上位のGF75 Thin-9SC(GF75-9SC-062JP)が用意されている。今回レビューを行っているのはGF75 Thin(GF75-8RD-031JP)だ。
文字も見やすい17.3インチディスプレイ、まずは外観からチェック
スペックを紹介していく上で第一のポイントとなるのが画面サイズ。本製品は17.3型モデルで、一般的な15.6型モデルと比べると大きな画面でフォントサイズもひと回り大きい。
ゲームであれば没入感が高まる。そして普段使いなら文字が大きいため、より小型のノートPCで感じる窮屈感が和らぎ、肩の力を抜いて操作ができる。
画面サイズが大きいと、本体自体も大きくなるというのがこれまでの常識。大きすぎるノートPCは邪魔だなと諦めるのはちょっと待ってほしい。本製品のフットプリントは397×260mm。数値だけではイメージしづらいかもしれないが、これは従来の15.6型ノートPC相当のサイズだ。
それを実現するのが狭額縁ベゼルの採用。スマートフォンで「ベゼルレス」や「画面占有率」が液晶パネルスペックのポイントになっているがそれと同様。本製品もベゼル部分をできるだけ小さくし、画面占有率を88%まで高めている。
そして、ベゼルが目立たないほとスリムになるとゲームプレイ時、映像視聴時の没入感も高まる。大画面でリラックス、狭額縁で集中力もアップという感じで、液晶ディスプレイに関する満足度が高い。
液晶パネルの解像度は1,920×1,080ドットで、リフレッシュレートも60Hzと標準的だ。パネル駆動方式に言及はないが、手元の評価機で見る限り、普通に使う分には十分な視野角がある。ノングレアで、室内照明の反射もほとんど気にならないレベルだ。
また、Thinとあるように、スリムな設計でスタイリッシュだ。もちろん、17.3型としてスリムという意味だが、22~23.1mmというカタログ値よりも実際に実物を見たほうがスリム感がある。ゲーミングノートPCというと分厚いイメージだが、本製品はスタンダードノートPCよりもスリムなイメージだ。
液晶ヒンジはドロップダウン式というものを採用しており、最大まで開くとヒンジの角が本体底面を押し上げる。これによってキーボードに絶妙なチルト角がつき、パームレストを用意しなくてもタイピング時の手首の負担が軽減される。
キーボードは10キー付きの日本語配列だ。アイソレーションタイプであるのはスリムなノートPCでは一般的。各キーは赤く縁取られ、バックライトも搭載していて暗い室内でもキーを判別できる。もちろんバックライトは状況に応じてON/OFF可能だ。
ゲーミングノートPCという点で、プレイ中の押し間違え防止のためWindowsキーを右に置いているところが特徴的だが、そのほかは比較的クセがない。上部ファンクションキーは4つをまとめ、それらの間のスペースを広げて、ほか通常キーと10キーの間もスペースを広げており、判別しやすいと感じた。
インターフェースは、左側面にACアダプタ用ジャック、HDMI、USB 3.0×2、右側面にオーディオ入出力、USB 3.0×1、USB Type-C、GbE LANを備える。ポートの種類、数として見ればここも標準的だ。USB Type-CはUSB 3.0世代で、USB PDやAlt Modeによる映像出力は備えていない。
6コアのCore i7-8750HにGeForce GTX 1050 Ti With Max-Qを搭載ゲーム以外の普段使いでも快適な性能を確保
外観に続いてGF75 Thin(GF75-8RD-031JP)の搭載パーツをチェックしていこう。
CPUはIntel Core i7-8750Hを搭載。6コア12スレッドのCPUで、従来までの4コア8スレッドCPUと比べて高いパフォーマンスを実現する。10万円台半ばの価格でCore i7、それも従来のものよりコア数を増やした第8世代が搭載されているとなるとお得感が高い。
GPUはGeForce GTX 1050 Ti With Max-Qを搭載している。CPU内蔵GPUはメインメモリからグラフィックメモリを確保するが、外部GPUはメインメモリとは別にメモリを搭載しているので、搭載メモリの容量をフルに利用できる分パフォーマンス面で有利だ。
こうしたCPU + GPUの組み合わせによって、ゲームではない普段の使い方にも余裕が生まれる。
PCMark 10のスコアがその例で、特徴的なのがEssentials(家庭での普段使い)とDeigital Content Creation(写真補正や映像編集、ビデオチャットなど)。CPU内蔵GPUではスコアが低くなりがちだが、ディスクリートGPUを搭載する本製品ではこれが利用され、高いスコアを示している。
また、Productivity(業務アプリケーション)のスコアが高いのは6コア12スレッドの高性能CPUによるところが大きい。
3DMarkのスコアも計測してみたが、デスクトップ向けのGeForce GTX 1050 Tiと同等とはいかないものの、モバイル向けGPUのGeForce GTX 1050 Ti With Max-Qとしてみればまずまずのスコアとなっている。
ヘビー級タイトルや最高画質のプレイでなければそこそこ高画質かつ快適にゲームが楽しめそうだ。
メモリはDDR4-2666 16GB(8GB×2)。容量に関しては標準的かつゲームを楽しむには十分なものであり、クロックに関してもCPUがサポートしている上限なので不足はない。
容量のアップグレードは可能だが、同社の指定する販売店での増設のみサポートされている。大容量メモリが必要な場合は購入時にカスタムの相談などをすると良いだろう。
ストレージは、CドライブがPCI Express 3.0 x2接続M.2 SSDのKingston RBUSNS815P3256GJ(NVMe/256GB)を採用。
シーケンシャルリードは1.584MB/s、同ライトは895MB/s。数値としてはやはりPCI Express 3.0 x2接続に制限されていることもあり、PCI Express 3.0 x4接続SSDの半分程度の速度だが、通常使用する上でのレスポンスは十分に速い。
なぜなら、4KiB Q8T8のリード・ライトが600MB/s台後半、同Q32T1のリード・ライトが300MB/s前後、同Q1T1のリードが31MB/s、ライトが59MB/sと、一般的な用途で影響の大きい部分のアクセス速度が十分に高速なためだ。
DドライブはWesternDigitalのWD Blue HDD「WD10SPZX-17Z10T1」(6Gbps SATA/1TB)を搭載。
こちらは2.5インチHDDで、SATA接続。基本的にはアクセス速度がそこまで求められないデータやCドライブからあふれたデータの保存先、バックアップといった用途に用いることを想定した構成だ。
さて、こうした搭載パーツの性能をしっかりと引き出すには、冷却機構の性能が重要になるが、MSIのモデルはクーリング性能もウリとしているので、ここで紹介しよう。
まず、吸気を担当する底面は、全体の面積の1/3ほどをスリットが占めている。スリットの隙間からは銅製のヒートパイプも見え、それをたどるとCPU、GPUを左右個別の冷却系統で冷やしているようだ。排気スリットは背面左右および、左右側面に設けている。十分な数、効率のよいエアフローと言えるだろう。
動作音に関しては、スリムということで気になる方も多いと思われるが、CPUこそハイエンドだが、GPU側はほどほどとあって高負荷時も気になるほどの音量にはならなかった。とくに、ヒンジをドロップダウンしていると、底面スペースが拡大するのでより冷えるようでもある。
ここまで内部スペックを見てきたが、基本的にCPUがハイエンドで、ほかはスタンダードスペック中心、ストレージはPCI Express x2に絞っているものの実用面で問題なく快適といったあたりになる。
こうした選択は価格に反映されており、10万円台半ばという求めやすい価格が実現できたわけだ。10万円を超える高価な買い物であることは間違いないが、その価格以上の満足感が得られるだろう。
軽めの人気ゲームは画質を追求しても60fps前後で遊べる
ここで少し、実際のゲームでのパフォーマンスを見ておきたい。基本的には軽量なタイトルでいくつかテストを行ったが、カジュアルなオンラインゲームを楽しむ際に十分なスペックがあるのか参考にしてもらいたい。
マインクラフトは影MODを入れても実用的な性能を発揮
まずマインクラフト。マインクラフトを1,920×1,080ドットのフルスクリーン、通常の画質オプションで起動すると今回の計測では176fps。このまま楽しむなら高性能すぎるくらいだ。
そこで影MODのOptiFineを導入し可能なすべてのオプションを画質優先にしてみても54fpsが得られた。マインクラフトだとおよそ30fpsあれば快適に楽しめるところ、おおよそ2倍のフレームレートが得られている。
ワールド生成直後の計測のため、プレイを進めて大規模に作り込むとこれよりもフレームレートが落ちるが、これだけ余裕があれば作り込みもいっそう楽しめるだろう。マインクラフトはプログラミング教育にも取り入れられることが多いと聞くが、そうした用途で十分に通用するパフォーマンスを示している。
フォートナイトは最高画質でも50~60fps前後で遊べる
現在人気の高いバトルロワイヤルゲームと言えばフォートナイト。
フォートナイトも1,920×1,080ドット、最高画質の「EPIC」でフレームレートを計測して53fpsが得られた。EPIC画質は、プリセット中でもっとも高画質のオプションなので、これで60fps近くまで得られていればプレイも快適だ。
きっちり60fpsを出したいのであれば、画質を一段落とせば十分な性能が得られる。
ゲームもできる快適なメインノートPCとしてこの価格性能比はGOOD!
GF75 Thin(GF75-8RD-031JP)のゲームパフォーマンスは、ゲーミングノートPCとしてはややエントリーグレード寄りといえるもので、今回テストしたような比較的軽量なゲームタイトルを楽しむのに適している。
実際、このあたりがPCゲームでも人気が集中しているラインになるので、そこをカバーできる性能を15万円を割る価格帯で実現している点は好評価だ。
また、3D系のプログラミングの勉強などを行うにもコストパフォーマンスに優れているといえる。マインクラフトを使ってプログラミングの勉強をしたりといった用途には性能もコスト感もかなりバランスが良いといえるだろう。CPUのパフォーマンスはかなり高いので、当然普段使いであれば十分すぎる性能だ。
GF75 Thin(GF75-8RD-031JP)は、比較的予算が限られる状況でも、ゲームもできるが勉強や創作活動にも十分な性能が欲しいといったニーズにこたえてくれるモデルといえるだろう。
[制作協力:MSI]