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2019年のフルHD~WQHDゲーミングはGeForce RTX 2060 SUPERで攻めろ!
静かで冷えて高クロックの「MSI GeForce RTX 2060 SUPER GAMING X」 text by 芹澤正芳
2019年7月22日 00:00
2019年7月2日に発表されたNVIDIAの新GPU「GeForce RTX 2060 SUPER」。スペック的には既存のGeForce RTX 2070とGeForce RTX 2060のちょうど間に入るポジションの製品で、7月9日より各ビデオカードメーカーから製品が発売されている。
ここでは、その中からMSIの「GeForce RTX 2060 SUPER GAMING X」を紹介する。
TWIN FROZR 7 Thermal Designによる強力な冷却
MSIのビデオカードと言っても、その数は非常に多く、性格もそれぞれ異なる。その中で「GAMING X」と冠するビデオカードは、OC動作でスペックよし、MYSTIC LIGHT対応のRGB LED内蔵と演出もよしのハイグレードタイプだ。GeForce RTX 2060 SUPER GAMING Xでは、ツインファンの大型クーラー「TWIN FROZR 7 Thermal Design」を採用し、ブーストクロックは1,695MHzと定格の1,650MHzより45MHzアップとなっている。
TWIN FROZR 7 Thermal Designは、2種類の羽根を交互に組み合わせて空気の流れを加速させるトルクスファン 3.0、アルミと銅を組み合わせたヒートシンク、60℃以下の低負荷時にファンを停止させるZero Frozr機能などを組み合わせたもの。これにより、高い冷却性と静音性の両立を実現しているのは、同社の得意とするところである。
カード長は24.8cmとOCモデルとしてはコンパクト。補助電源も一部ハイエンドモデルは8ピン+6ピンという構成も見られるが、本製品は8ピンだけと扱いやすい。ただ、厚みは3スロット分ある点は注意しておきたい。また、出力はDisplayPort 1.4が3基、HDMI 2.0bが1基の合計4系統だ。
GeForce RTX 2070に肉薄する実力を見せる
次は実際の性能をチェックしていこう。比較対象は、デュアルファン/定格仕様のGeForce RTX 2070搭載カード、NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 2060 Founders Editionの3枚だ。テストには、定番3Dベンチマークの「3DMark」、人気MMORPGベースのベンチ「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、人気バトルロイヤルの「フォートナイト」に加え、レイトレーシング対応タイトルとして「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」を使用した。
【検証環境】
CPU: Intel Core i7-9700K(3.6GHz)
マザーボード: Intel Z390マザーボード
メモリ: G.Skill F4-3600C19D-16GSXW(PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2、※PC4-21300で動作)
ストレージ: Lite-On Plextor M8Pe PX-512M8PeGN[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]
OS: Windows 10 Pro 64bit版
室温:24℃、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark-Time Spyデモモード実行中の最大値
電力計:ラトックシステム REX-BTWATTCH1、フォートナイト:プレイグラウンドのリプレイデータ再生時のフレームレートをOCATで測定、シャドウ オブ ザ トゥームレイダー:内蔵ベンチマークで測定
3DMarkはスペック順にキレイに並んでいるが、注目は本製品とGeForce RTX 2070のスコアが近いことだ。また、GeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionとはそこそこスコア差が開いており、さすがOCモデルと言える。これはファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマークでも同じ傾向だ。
やや軽めのゲームとしてフォートナイトの結果を見ていこう。プレイグラウンドのリプレイデータ再生時のフレームレートをOCATで測定した。フルHDでは負荷が低過ぎて大きな差は出ていないが、WQHD以上では明確な差が出ている。ここでもGeForce RTX 2070とほぼ同じ数字を出している。
シャドウ オブ ザ トゥームレイダー(内蔵ベンチマークを利用)ではGeForce RTX 2070とほぼ差がないと言ってよいほどだ。ちなみにこのゲームでは、DXRはレイトレースシャドウクオリティという項目で用意されている(影の表現でレイトレーシングが使われているため)。最高、高、中の設定があり、ここでは最高と中でテストを行なった。さすがに最高設定ではフレームレートがガクッと下がる。中設定ならWQHDでも平均60fpsをキープできるので、プレイする解像度に合わせて調整するとよいだろう。
静かで冷えて、高クロック動作も維持と文句なし
シャドウ オブ ザ トゥームレイダー(DXR最高設定、4K解像度)を約30分動作させたときの動作クロックと温度の推移を「HWiNFO」で追跡した。GeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionと比較している。動作クロックを見ると、本製品は1,905~1,935MHz辺りで動作、一方でGeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionは1,845MHz~1,860MHzで動作。スペック上のブーストクロックではわずか45MHzの差だが、実際の動作クロックでは大きな差が出ている。これがGeForce RTX 2070に肉薄するスコアを出している秘密と言えるだろう。
温度も本製品のほうが66℃前後で安定と70℃前後のGeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionよりも冷えている。さらに動作音もGeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionよりも静かだった。TWIN FROZR 7 Thermal Designの実力がよく分かる結果だ。
OS起動後10分後をアイドル時、3DMarkのTime Spyデモモード実行時の最大値を高負荷時としてシステム全体の消費電力も測定した。こちらは順当な結果だ。GeForce RTX 2070と性能も近いが消費電力も同等レベルにあることが分かる。
ここまでの検証で、本製品がRTX 2070に近い性能を持ちながら、比較的コンパクトで冷却力も高く、動作音も静かとまさにスーパーな1枚であることが分かる。クーラーのできのよさ、RTX 2070に匹敵する性能と扱いやすいサイズ感、MYSTIC LIGHTへの対応などを総合的に考えると、フルHDからWQHDの解像度でゲームをプレイするユーザーにとって魅力的な選択肢であることは間違いない。また、RTX 2060との性能面での差別化もハッキリしており、NVIDIAの言うところの「メインストリーム」向けのGPUをこれから狙うのであれば、選んで損のないハイポテンシャルな製品と言ってよいだろう。