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外付けSSDなら超簡単!PS4ゲームの起動・ロードをWD Black SN750で劇的改善

NVMe SSDをあえて導入、本体を分解せずにお手軽パワーアップ!! text by 芹澤正芳

 PS4ではシステムソフトウェアの4.50(2017年3月リリース)から、本体のUSBポートに接続したUSBストレージ機器を“拡張ストレージ”としてフォーマットすることで、ゲームのインストール先として指定することが可能になった。大容量の外付けストレージというと“外付けHDD”が広く知られているが、HDDよりもはるかに高速なSSDをUSB接続の外付けケースに装着することで、拡張ストレージとして使うこともできる。PS4の標準内蔵ストレージであるHDDは、SSDに比べるとはるかに低速。SSDを拡張ストレージとして使えば、ゲームの起動やロードが短縮できる、というワケだ。

 また、内蔵HDDにすでにインストールしているゲームを拡張ストレージに移動させたり、標準のインストール先を好きなほうに指定することもできたりと、柔軟な運用ができるのも魅力。高速化に加えて、PS4のストレージ容量アップにもつながるといいことづくしなのだ。

 現在外付けドライブ化が可能なSSDは、2.5インチのSerial ATAタイプと、M.2のSerial ATAタイプ、そしてこれらより高速なM.2のNVMeタイプの3種類がある。Serial ATAのSSDは手頃な価格が魅力で、2.5インチタイプなら外付けケースが1,000円以下と非常に手頃。一方、NVMe SSDを使う場合は、ピーク性能はSerial ATAタイプより上になるが、対応した外付けケースは少し高価な傾向。とはいえ、Serial ATAタイプとNVMeタイプの価格差はどんどん小さくなっている。また、M.2対応の外付けケースは2.5インチタイプよりもスリムでコンパクトなので、PS4と組み合わせて利用するときにスッキリとするのもポイントだ。

 今回は、高速なSSDのポテンシャルを突き詰めるため、Western Digitalの最新NVMe SSD「WD Black SN750 NVMe WDS100T3X0C」とUSB接続の外付けケースを組み合わせて、PS4の拡張ストレージとして使う方法の解説とその効果を検証していく。

 なお、PS4でSSDを外付けする場合、理論上の最大速度は500MB/s(USB 3.0接続時)になる。今回使用するWD Black SN750 1TBの最大リード速度は3,470MB/s(PCで使用した場合)で、PS4環境では真の性能を発揮することは出来ないが、PS4 + NVMe SSDという環境を実際に試す機会はあまりないと思われるので、今回あえてチャレンジしてみた。各ゲームのベンチ結果と合わせて、今後の参考にして欲しい。

Western Digitalの最新NVMe SSDの最上位、WD Black SN750 NVMe WDS100T3X0C(実売価格:29,000円前後)。250GB、500GB、1TB、2TBモデルがラインナップされているが、今回は1TBモデルを使用した。リードの最大速度は3,470MB/s(PCで使用した場合)
玄人志向のNVMe対応外付けケース「GWM.2NVMe-U3.1AC」(実売価格:6,000円前後)。コントローラの発熱対策としてヒートシンクも付属している。Type-CとType-A接続両方のケーブルを付属。USB 3.1 Gen2対応の高速モデルだが、PS4ではUSB 3.0(=USB 3.1 Gen1)接続になり、理論上の最大速度は500MB/s

PS4の拡張ストレージとして使うための手順に

 ここからはNVMe SSDをPS4の拡張ストレージとして使うための手順を紹介しよう。基本的なハードウェアの準備はSSDを外付けケースに取り付け、その外付けケースをPS4のUSB 3.0ポートに接続するだけ。ここで注意が必要なのは、USBハブ経由での接続には対応していないこと。必ずPS4のUSB 3.0ポートに直接挿し込もう。

 ハード的な準備ができたら、あとはPS4のメニューからフォーマットなどを行ない、拡張ストレージとなったSSDにコピーしたいゲームを選ぶだけと非常に簡単だ。

手順1:SSDをケースに装着する
付属のヒートシンクをNVMe SSDに貼り付け、外付けケースから基板を引き抜く。基板にNVMe SSDを挿し込み、付属のネジで固定。それをケースに入れれば準備完了だ
手順2:PS4のUSBポートに接続
手順3:USBストレージ機器を選ぶ
外付けケース付属のType-Aケーブルを使用してPS4のUSBポートに直接接続する。拡張ストレージはUSBハブ経由の接続には対応していないので要注意
ここからはPS4での作業になる。PS4のメニューから[設定]-[周辺機器]-[USBストレージ機器]と進む。USBポートに接続された外付けケース(今回は「PCIE NVMe」と表示)が表示されるので選択する
手順4:フォーマットを実行する
手順5:移動させるゲームを決める
ドライブを選ぶと[拡張ストレージとしてフォーマットする]ボタンが表示されるので、決定ボタンを押す。あとは画面の指示に従ってフォーマットを実行すれば拡張ストレージの準備は完了だ
次に、ゲームを拡張ストレージに移動する。[設定]→[ストレージ]→[本体ストレージ]→[アプリケーション]と進み、コントローラの[OPTIONS]ボタンを押して、「拡張ストレージへ移動する」を選び、移動させたいゲームを選択。あとは移動が終わるのを待つだけだ

ゲームの起動とロードがここまで高速化する!

 それでは、実際のゲームを例に、内蔵HDDおよび外付けSSDから、ゲームを起動、およびデータをロードした場合の所用時間を計測(ストップウォッチで計測。3回の平均値)した結果を見てみよう。テストに使ったPS4はスリムタイプのCUH-2100AB01だ。

 詳細な結果は各タイトルの解説をご覧いただきたいが、全体の傾向としては、いずれも外付けSSDを利用することで高速化が可能な結果となった。ゲーム自体のサイズ、その構造などにより、効果の大小が異なっている点は注目すべきポイント。今回テストした中では、拡張パックの発売を間近に控える「モンスターハンター:ワールド」がもっとも大幅な時間短縮を果たしている。

 PCのようにトータル性能のパワーアップは難しいPS4だが、もっとも体感差が感じやすいゲームの起動やロードに大きな効果が得られるストレージの強化が可能なのは、大きなメリットと言える。夏休みを控えるこのタイミング。PS4でバリバリ遊ぶための準備として、拡張ストレージの活用とSSDの導入をぜひ検討してみよう。

Apex Legends

(C)2019 Electronic Arts Inc.

 基本無料で楽しめる人気のバトルロイヤルゲーム「Apex Legends」。起動時間と、トレーニングモードのロードが完了す
るまでの時間を測定した。もともとロード時間の短いゲームなので劇的な効果は見られないものの、起動、ロードの両方で
改善が確認できた。これは、内蔵HDDでここまで短いロードを実現したゲーム側をほめるべきだろう。

Apex Legendsのテスト結果。軽めのゲームなので効果は小さいが、外付けSSDが高速に

フォートナイト

(C)2019, Epic Games, Inc.

 PS4版、PC版、Switch版、スマホ版のすべてでクロスプレイ(同時プレイ)が可能なこともあり、世界で大人気のバトルロイヤルゲーム。ロードではネットワーク接続が絡むため安定した計測ができないと判断。ここでは起動時間だけ測定している。起動に時間がかかるゲームだけに、外付けSSDのほうが10秒以上の短縮に成功。フォートナイトを快適に楽しみたいなら外付けSSD化がオススメだ。

フォートナイトは起動時間のみ計測(ロード時間はネットワーク状況に大きく左右されるため)。10秒以上の短縮を実現している

みんなのゴルフVR

(C)2019 Sony Interactive Entertainment Inc.

 シリーズ初のPS VR対応タイトルになった「みんなのゴルフVR」。起動時間は、PS4のメニュー画面からゲームのタイトル画面に到達するまでの時間、ロード時間は「コース」モードを選び、キャディのあいさつが終わって、実際のコース画面に切り換わるまでの時間を測定している。起動、ロードのどちらも大きな効果を確認できた。

いずれも外付けSSDを使うことで大幅に短縮している

モンスターハンター:ワールド

(C)CAPCOM CO., LTD. 2018 ALL RIGHTS RESERVED.

 巨大なモンスターとの戦いを描くアクションRPG。起動時間はゲームを起動させてから、ネットワークに接続するまでの時間を測定、ロードはセーブデータを選んでから、実際にプレイできる状態になるまでの時間を測定している。大きなマップを読み込むためか、ロード時間で40秒以上の短縮と劇的な効果があった。頻繁にプレイする人にとってはうれしい効果のハズだ。

ロード時間が非常に長いモンハンだが、SSDを使うことで40秒以上の短縮と劇的な効果が得られた

MLB The Show 19

(C)2019 Sony Interactive Entertainment LLC. MLB and MiLB trademarks and copyrights are used with permission of Major League Baseball.

 大谷翔平選手も登場する野球ゲーム「MLB The Show 19」(英語版)でもテストした。起動時間は起動時のデモムービーが終わり、タイトル画面が表示されるまでの時間、ロード時間はPLAY NOWを選び、試合が始まるまでの時間を測定している。このゲームはロード時間が短いほうだが、どちらも、5、6秒の短縮を確認。外付けSSD利用の効果が出ている。

起動が6秒、ロードは5秒の短縮を確認できた

PC環境で真価を発揮するWD Black SN750、PS4からPCへのステップアップのお供に

 WD Black SN750は、PS4が持つインターフェイスの上限速度を大幅に超えるモデルになるが、今回の検証では問題無く動作する事が確認できた。PS4のSSD導入と言えば、SATA SSDが一般的だが、PS4でゲームをプレイしている読者の中には、「いずれはゲーミングPCを導入して、高画質な環境でプレイしたい」という人もいるだろう。

 WD Black SN750であれば、PS4用に購入したSSDをゲーミングPCに入れ替えた時に、SATA SSD以上に快適なゲーム環境を構築することができる。PC環境で真価を発揮するWD Black SN750だが、ゲーミングPCの購入を検討している人は、まずはPS4でその能力を試してみてはどうだろうか。

[制作協力:Western Digital]