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ゲーミングPCが4万円チョイで手に入る方法、教えます ~ 中古PC+新品ビデオカード活用術 ~
MSI GeForce GTX 1650 4GT LP編 Text by 芹澤正芳
2019年12月2日 00:00
激安ゲーミングのキーワードは“中古PC”と“新品ビデオカード”
しかし、製品選びには注意点が
eスポーツが盛り上がっていることもあり、PCゲームを楽しんでみたいと思っている方は多いのではないだろうか。「でも、お高いんでしょう?」そのとおり、一般的にゲーミングPCは高性能である分、高価だ。家庭用ゲーム機とは比べ物にならない。
しかし、格安で売られている“中古PC”と“新品ビデオカード”を組み合わせれば5万円以下でゲーミングPCを手に入れることが可能。人気のフォートナイトだってバリバリ快適に楽しめる。
意外と落とし穴が多い中古PC選び
ここで注意。低価格の中古PCとビデオカードを組み合わせれば何でもよいわけではない。それぞれ選び方にはポイントがある。うかつに手を出すと、ゲームのパフォーマンスが十分に出ないどころか、最悪の場合、起動しないということもある。
そんなわけで、まず「中古PCの選び方」から解説していこう。中古PCは中古を扱っているPCショップの店頭や通販サイトで購入できる。ただし、ショップで売られていると言っても、中古の状態は製品によりけり。なかには動作確認されていない“ジャンク品”が混じっていることもある。そのため、「動作確認済み」であることが明記されている個体を選ぶこと。また、最近では中古PCにクリーニングやメンテナンスを施し、OSを新規にインストールし直した「リファービッシュ品」と呼ばれるものも流通している。予算に余裕があればこちらを選ぶのがベターだ。
そして、スペック面で必ず確認しておきたいのが「拡張スロット」、「CPU」、「メモリ」、「Windows 10」の4項目だ。
拡張スロット
「拡張スロット」はビデオカードを取り付ける場所。PCI Express x16(ピーシーアイエクスプレス かける じゅうろく)と呼ばれる細長いスロット(写真の例では黒色)に装着する。x16スロット自体はほとんどのPCに用意されているが、問題になるのはスロットの空きスペース。ある程度の性能を持ったビデオカードはスロット2本分のスペースを使う製品がほとんどなので、少なくともPCにはx16スロット1本とその横にもう1本分のスロットが用意されている必要がある。“もう1本”分のスロットはPCI Expressであれば何でも(x16、x4、x1などがある)よい。これは非常に重要なので必ず確認しておこう。
CPU
次は「CPU」。最新のPCゲームはCPU性能がそれなりに必要とされるため、第4世代以降のCore i7またはCore i5を搭載したPCがオススメだ。第4世代以降のCore i7/i5ならば4コア以上で動作クロックも高めなので現在でも十分ゲームを快適に動かせる性能を持っている。また、この世代以降ならばBIOSの対応状況などで最新のビデオカードが動かないというトラブルがほとんどなくなるのもポイントだ。
メモリ
「メモリ」は容量をチェックしたい。最近は8GB以上のメモリ搭載を求めるゲームが増えているが、安価な中古PCは4GBしか搭載していないものが多い。購入を検討している中古PCのメモリが4GBでメモリスロットに空きがあるなら、4GBを1枚追加して8GBまで容量を増やしておきたい。なお、メモリスロットが2本しかなく、2GBのメモリが2枚搭載されている環境では、その2枚のメモリを外し、4GBのメモリ2本と交換するのがよいだろう。もちろん、予算に余裕があれば8GBのメモリを2枚搭載するのもアリだ。
購入の際にはメモリの規格にも注意が必要だ。第5世代のCoreシリーズまでは「DDR3」、第6世代以降は「DDR4」と対応するメモリが異なる。はじめから搭載されているメモリと同じ規格のもの買うようにしよう。
ビデオカードは“細かいことを考えないでよい製品”を選ぶ
「ビデオカードの選び方」に移ろう。格安の中古PCは電源出力が小さめで、冷却能力もあまり高くないことが多いため、ハイエンドクラスのビデオカードを搭載することは難しい。一方で、1万円以下の低価格ビデオカードでは性能が低過ぎてグラフィックス品質の高いゲームを満足に遊ぶことは難しいのが現実だ。
そこで狙い目なのがフルHD解像度なら最新ゲームを十分遊べる性能を持ちながら、コストパフォーマンスと使い勝手に優れる「NVIDIA GeForce GTX 1650」を搭載したビデオカードだ。GTX 1650を搭載したビデオカードは多くが1万5,000円から2万円と比較的手を出しやすい。
とはいえ、そのGeForce GTX 1650搭載カードにもいろいろな製品があって、いざ購入してみたら「うちのPCには取り付けられませんでしたよ……」という心配は残る。そこで詳細な仕様を勉強して……という考えが通用するのはPC自作マニアだけ。「PCやパーツ選びにそんなに時間はかけられない! オレは安くて速いゲーミングPCが今すぐ欲しいんだよ!」という多くの若い狼たちにオススメしたいビデオカードが、MSIの「GeForce GTX 1650 4GT LP」。Low Profile対応のコンパクトなサイズで、スリム型のデスクトップPCにも搭載しやすく、拡張電源ケーブル不要なので、PC側の電源の細かい仕様を気にする必要もない。さらに、2基のファンを備えているのでハードな長時間ゲームプレイ時でも安定稼働する冷却性能も確保されている。これなら「中古PCの選び方」で挙げた条件に当てはまるPCのほとんどで動作が可能だ。
本当にゲームが満足に遊べる性能なのか?
人気ゲームで検証!
さて、格安ゲーミングPCの性能はどれほどのものなのだろうか。ここで性能をチェックしてみよう。今回は実際に中古PCとしてHPのEliteDesk 800 G1 SFを購入した。第4世代のCore i5を搭載したスリム型のビジネス向けのデスクトップPCだ。OSは64bit版のWindows 10が搭載されていた。メモリはDDR3-1600の4GB、ストレージは500GBのHDDだ。これで価格は2万円以下だった。ネットや店頭で探せば同じような性能と価格のPCを見付けられるだろう。
また、ビデオカードはPCパーツショップや家電量販店の通販や店頭で購入できる。通販だと最安値のショップを探しやすいが、PCパーツショップの店頭ならば店員がパーツの増設などに詳しいことが多く、分からないことがあれば聞いて確かめられるというメリットがある。不安があるなら中古PCと新品のPCパーツ、その両方を扱っているショップの店頭に行くのが一番確実と言える。
このEliteDesk 800 G1 SFにMSIのGeForce GTX 1650 4GT LPとメモリ4GB(実売価格3,000円前後)を追加する。それでもトータルの費用は4万円ちょっと。コストパフォーマンスに優れたゲーミングPCと言えるのではないだろうか。
【購入したPCとパーツの価格(すべて税込)】
・HP EliteDesk 800 G1 SF……18,800円
・増設メモリ(DDR3-1600 4GB)……3,000円
・MSI GeForce GTX 1650 4GT LP……21,000円
合計: 42,800円
ここからは性能チェックだ。複数のゲームを用意し、解像度はすべてフルHDに統一した。性能を見る上でポイントになるのはフレームレートまたはfpsと呼ばれる数字だ。これは1秒間に画面を書き換える回数で、ゲームがなめらかに動く基準は秒間60回の書き換え、つまり60fpsとなる。
まずは大人気バトルロイヤルゲームの「フォートナイト」。ビデオカード増設前は最低画質でもプレイできなかったが、GeForce GTX 1650 4GT LP搭載後は最高画質のエピック設定でも平均61.3fpsを達成。画質が中設定なら平均152.9fpsにアップし、144Hzなど高速な画面書き換えが可能なゲーミング液晶と組み合わせれば、さらになめらかな動きを体験できる。
次は発売されてから3年以上経過しながら、いまだに大型アップデートが行なわれ、根強い人気を誇るリアル系FPSの「レインボーシックス シージ」。ビデオカード増設前でも動作するものの、低画質でも平均13.9fpsと動きはガクガクでプレイできるレベルにはない。しかし、増設後は最高画質でも平均113.7fpsと非常に高いフレームレートを記録。快適に遊べることが分かる。
高い性能を要求する重量級のゲームではどうなのか。美しいグラフィックスと多彩なミッションで人気のFPS「Far Cry New Dawn」を使って確かめてみた。ビデオカード増設前は動作しなかったが、画質が中なら平均60fpsを達成。最高画質でも51fpsとプレイできるレベルにある。
最後は定番MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」だ。これは平均fpsではなく、スコアでの比較。7,000以上が「非常に快適」という評価になるが、ビデオカードを増設すれば最高品質でも8,590のスコアを記録。平均フレームレートを確認しても約59.3fpsとほぼ60fpsを達成しており、快適にプレイできることが分かる。
これらの結果から、格安の中古PCと新品ビデオカードを組み合わせれば5万円以下の低予算でもフルHD解像度で十分最新ゲームがプレイできる環境を構築できることが実証できた。正直言ってコストパフォーマンスはかなり高い。
【実践編】ビデオカード増設に挑戦
手順は簡単!これで憧れのゲーミングPCが手に入る!!
最後にビデオカードとメモリの取り付け手順を解説しよう。例として使うPCとパーツはパフォーマンス検証で使ったものと同じだ。必要な工具は1番サイズのプラスドライバーと5mmの六角ボルト・ナット用のソケットドライバーだ。ソケットドライバーがなければ、ラジオペンチでも代用できる。
今回購入したPCの拡張スロットはLow Profileサイズなので、まずはビデオカードのブラケットをLow Profile仕様のものに交換する。ブラケットを固定している六角ネジとプラスのネジを外し、Low Profile仕様のブラケットに交換して同じ六角ネジとプラスのネジで再び固定する。なお、六角ネジはラジオペンチで回すことも可能だ。あとは、PCのカバーを外し、ビデオカードを取り付けていく。その手順は画像で紹介していこう。
ビデオカードのドライバは、Windows 10が起動し、インターネットに接続されていれば、自動的にダウンロードされて導入される。この状態でもゲームをプレイすることは可能だが、NVIDIAのWebサイトから最新版をダウンロードして導入することをオススメしたい。最新版では各ゲームへの最適化が進むなどしており、より快適な動作環境を作ることができるためだ。
手順は以上。これでゲーミングPCが手に入る。キーボードやマウスはPCに付属しているし、ディスプレイがなければテレビにHDMIケーブルで接続すればよいので、追加のコストはゲーム代以外かからない。データの読み出しが高速になるSSDを導入したい方は、予算に余裕が出てから手を付ければよい(AKIBA PC Hotline!で“SSD換装”で検索すればヒントが見付かる)。まずはPCゲームのダイナミックな世界を楽しんでほしい。これからPCゲームをプレイしてみたい人だけではなく、子供用のゲーミングPCとして検討してみるのもよいだろう。
[制作協力:MSI]