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ゲーミングPCが4万円チョイで手に入る方法、教えます ~ 中古PC+新品ビデオカード活用術 ~

MSI GeForce GTX 1650 4GT LP編 Text by 芹澤正芳

中古PCと新品ビデオカードを組み合わせれば格安でゲーミングPCを手にできる

激安ゲーミングのキーワードは“中古PC”と“新品ビデオカード”
しかし、製品選びには注意点が

 eスポーツが盛り上がっていることもあり、PCゲームを楽しんでみたいと思っている方は多いのではないだろうか。「でも、お高いんでしょう?」そのとおり、一般的にゲーミングPCは高性能である分、高価だ。家庭用ゲーム機とは比べ物にならない。

 しかし、格安で売られている“中古PC”と“新品ビデオカード”を組み合わせれば5万円以下でゲーミングPCを手に入れることが可能。人気のフォートナイトだってバリバリ快適に楽しめる。

高額賞金の大会で注目を集めるフォートナイトも高画質、ヌルヌル高fpsで快適に楽しめるPCに仕上げられるのだ
【ゲーミングPCが4万円チョイで手に入る方法、教えます ~中古PC+新品ビデオカード活用術~】
中古PC+MSI GeForce GTX 1650 4GT LPの性能とビデオカード増設手順を動画で分かりやすく解説しました。記事と合わせてご覧ください

意外と落とし穴が多い中古PC選び

 ここで注意。低価格の中古PCとビデオカードを組み合わせれば何でもよいわけではない。それぞれ選び方にはポイントがある。うかつに手を出すと、ゲームのパフォーマンスが十分に出ないどころか、最悪の場合、起動しないということもある。

 そんなわけで、まず「中古PCの選び方」から解説していこう。中古PCは中古を扱っているPCショップの店頭や通販サイトで購入できる。ただし、ショップで売られていると言っても、中古の状態は製品によりけり。なかには動作確認されていない“ジャンク品”が混じっていることもある。そのため、「動作確認済み」であることが明記されている個体を選ぶこと。また、最近では中古PCにクリーニングやメンテナンスを施し、OSを新規にインストールし直した「リファービッシュ品」と呼ばれるものも流通している。予算に余裕があればこちらを選ぶのがベターだ。

 そして、スペック面で必ず確認しておきたいのが「拡張スロット」、「CPU」、「メモリ」、「Windows 10」の4項目だ。

拡張スロット

厳密に言えば”もう1本分”のスペースさえあれば、スロット自体はなくてもOK。意味が分からないという方は、本文に書かれているスペックのPCにしよう

 「拡張スロット」はビデオカードを取り付ける場所。PCI Express x16(ピーシーアイエクスプレス かける じゅうろく)と呼ばれる細長いスロット(写真の例では黒色)に装着する。x16スロット自体はほとんどのPCに用意されているが、問題になるのはスロットの空きスペース。ある程度の性能を持ったビデオカードはスロット2本分のスペースを使う製品がほとんどなので、少なくともPCにはx16スロット1本とその横にもう1本分のスロットが用意されている必要がある。“もう1本”分のスロットはPCI Expressであれば何でも(x16、x4、x1などがある)よい。これは非常に重要なので必ず確認しておこう。

CPU

第4世代以降のCore i7またはCore i5を搭載したPCを選びたい

 次は「CPU」。最新のPCゲームはCPU性能がそれなりに必要とされるため、第4世代以降のCore i7またはCore i5を搭載したPCがオススメだ。第4世代以降のCore i7/i5ならば4コア以上で動作クロックも高めなので現在でも十分ゲームを快適に動かせる性能を持っている。また、この世代以降ならばBIOSの対応状況などで最新のビデオカードが動かないというトラブルがほとんどなくなるのもポイントだ。

メモリ

メモリが4GBでメモリスロットに空きがあるなら、もう4GBを追加したい。4GBのメモリは2,000円から3,000円で手に入るので、ケチらず購入すること

 「メモリ」は容量をチェックしたい。最近は8GB以上のメモリ搭載を求めるゲームが増えているが、安価な中古PCは4GBしか搭載していないものが多い。購入を検討している中古PCのメモリが4GBでメモリスロットに空きがあるなら、4GBを1枚追加して8GBまで容量を増やしておきたい。なお、メモリスロットが2本しかなく、2GBのメモリが2枚搭載されている環境では、その2枚のメモリを外し、4GBのメモリ2本と交換するのがよいだろう。もちろん、予算に余裕があれば8GBのメモリを2枚搭載するのもアリだ。

 購入の際にはメモリの規格にも注意が必要だ。第5世代のCoreシリーズまでは「DDR3」、第6世代以降は「DDR4」と対応するメモリが異なる。はじめから搭載されているメモリと同じ規格のもの買うようにしよう。

OS

64bit版のWindows 10が搭載されていることを忘れずにチェックしておこう

 OSについては、64bit版のWindows 10が搭載されていることを確認しておきたい。これは64bit版のWindows 10が動作条件になっているゲームが増えているためだ。

 なお、Windows 10への無料アップグレード期間があったことや一部の中古ショップではWindows 10の正式ライセンスが付属したリファービッシュ品を扱っていることもあり、スペック的に古いPCであっても64bit版のWindows 10が搭載されていることが多い。

ビデオカードは“細かいことを考えないでよい製品”を選ぶ

 「ビデオカードの選び方」に移ろう。格安の中古PCは電源出力が小さめで、冷却能力もあまり高くないことが多いため、ハイエンドクラスのビデオカードを搭載することは難しい。一方で、1万円以下の低価格ビデオカードでは性能が低過ぎてグラフィックス品質の高いゲームを満足に遊ぶことは難しいのが現実だ。

 そこで狙い目なのがフルHD解像度なら最新ゲームを十分遊べる性能を持ちながら、コストパフォーマンスと使い勝手に優れる「NVIDIA GeForce GTX 1650」を搭載したビデオカードだ。GTX 1650を搭載したビデオカードは多くが1万5,000円から2万円と比較的手を出しやすい。

 とはいえ、そのGeForce GTX 1650搭載カードにもいろいろな製品があって、いざ購入してみたら「うちのPCには取り付けられませんでしたよ……」という心配は残る。そこで詳細な仕様を勉強して……という考えが通用するのはPC自作マニアだけ。「PCやパーツ選びにそんなに時間はかけられない! オレは安くて速いゲーミングPCが今すぐ欲しいんだよ!」という多くの若い狼たちにオススメしたいビデオカードが、MSIの「GeForce GTX 1650 4GT LP」。Low Profile対応のコンパクトなサイズで、スリム型のデスクトップPCにも搭載しやすく、拡張電源ケーブル不要なので、PC側の電源の細かい仕様を気にする必要もない。さらに、2基のファンを備えているのでハードな長時間ゲームプレイ時でも安定稼働する冷却性能も確保されている。これなら「中古PCの選び方」で挙げた条件に当てはまるPCのほとんどで動作が可能だ。

MSIのGeForce GTX 1650 4GT LP。実売価格は21,000円前後
ブラケットを交換すればLow Profileタイプの背が低いスロットにも対応できるので多くのPCに搭載可能。通常の背の高さのスロットにも装着可能だ

本当にゲームが満足に遊べる性能なのか?
人気ゲームで検証!

今回購入した中古PCはHPの「EliteDesk 800 G1 SF」。第4世代のCore i5を搭載しながら、2万円以下で購入できた

 さて、格安ゲーミングPCの性能はどれほどのものなのだろうか。ここで性能をチェックしてみよう。今回は実際に中古PCとしてHPのEliteDesk 800 G1 SFを購入した。第4世代のCore i5を搭載したスリム型のビジネス向けのデスクトップPCだ。OSは64bit版のWindows 10が搭載されていた。メモリはDDR3-1600の4GB、ストレージは500GBのHDDだ。これで価格は2万円以下だった。ネットや店頭で探せば同じような性能と価格のPCを見付けられるだろう。

 また、ビデオカードはPCパーツショップや家電量販店の通販や店頭で購入できる。通販だと最安値のショップを探しやすいが、PCパーツショップの店頭ならば店員がパーツの増設などに詳しいことが多く、分からないことがあれば聞いて確かめられるというメリットがある。不安があるなら中古PCと新品のPCパーツ、その両方を扱っているショップの店頭に行くのが一番確実と言える。

ビデオカードは店頭だとこのように並んでいる。価格のほか、細かいスペックも分かるようになっていることが多い
店頭では店員にスペックの確認や手持ちのPCに取り付け可能か、といった相談ができるのが大きなメリット

 このEliteDesk 800 G1 SFにMSIのGeForce GTX 1650 4GT LPとメモリ4GB(実売価格3,000円前後)を追加する。それでもトータルの費用は4万円ちょっと。コストパフォーマンスに優れたゲーミングPCと言えるのではないだろうか。

【購入したPCとパーツの価格(すべて税込)】

 ・HP EliteDesk 800 G1 SF……18,800円
 ・増設メモリ(DDR3-1600 4GB)……3,000円
 ・MSI GeForce GTX 1650 4GT LP……21,000円
合計: 42,800円

 ここからは性能チェックだ。複数のゲームを用意し、解像度はすべてフルHDに統一した。性能を見る上でポイントになるのはフレームレートまたはfpsと呼ばれる数字だ。これは1秒間に画面を書き換える回数で、ゲームがなめらかに動く基準は秒間60回の書き換え、つまり60fpsとなる。

 まずは大人気バトルロイヤルゲームの「フォートナイト」。ビデオカード増設前は最低画質でもプレイできなかったが、GeForce GTX 1650 4GT LP搭載後は最高画質のエピック設定でも平均61.3fpsを達成。画質が中設定なら平均152.9fpsにアップし、144Hzなど高速な画面書き換えが可能なゲーミング液晶と組み合わせれば、さらになめらかな動きを体験できる。

世界中で人気の「フォートナイト」
(C)2019, Epic Games, Inc.
プレイグラウンドのリプレイデータを再生した際のフレームレートをFrapsで測定
(※ベンチマーク結果は“チャプター2”アップデート公開前に計測したもの)

 次は発売されてから3年以上経過しながら、いまだに大型アップデートが行なわれ、根強い人気を誇るリアル系FPSの「レインボーシックス シージ」。ビデオカード増設前でも動作するものの、低画質でも平均13.9fpsと動きはガクガクでプレイできるレベルにはない。しかし、増設後は最高画質でも平均113.7fpsと非常に高いフレームレートを記録。快適に遊べることが分かる。

リアル系FPSで根強い人気を誇るレインボーシックス シージ
(C)2015 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.
内蔵ベンチマーク機能で測定

 高い性能を要求する重量級のゲームではどうなのか。美しいグラフィックスと多彩なミッションで人気のFPS「Far Cry New Dawn」を使って確かめてみた。ビデオカード増設前は動作しなかったが、画質が中なら平均60fpsを達成。最高画質でも51fpsとプレイできるレベルにある。

とある土地の平和を取り戻すため戦う「Far Cry New Dawn」
(C)2019 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.
内蔵ベンチマーク機能で測定

 最後は定番MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」だ。これは平均fpsではなく、スコアでの比較。7,000以上が「非常に快適」という評価になるが、ビデオカードを増設すれば最高品質でも8,590のスコアを記録。平均フレームレートを確認しても約59.3fpsとほぼ60fpsを達成しており、快適にプレイできることが分かる。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
(C)2010 - 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
人気MMORPGの最新大型アップデート版が、どれくらい快適に動作するかを判定してくれるベンチマーク
念のため、3Dゲームベンチマークとしてよく使われている3DMarkのスコアも掲載しておく。ほかの環境と比較する際の参考にしてほしい
高性能である分、電気代がかかってしまうのでは?と心配になる方もいるかもしれないが、ご安心を。グラフでは高負荷時の消費電力のバーの長さが倍近くになっているが、その値を見ると60Wほど増えただけ。毎月の電気代の請求が気になるレベルではない

 これらの結果から、格安の中古PCと新品ビデオカードを組み合わせれば5万円以下の低予算でもフルHD解像度で十分最新ゲームがプレイできる環境を構築できることが実証できた。正直言ってコストパフォーマンスはかなり高い。

【実践編】ビデオカード増設に挑戦
手順は簡単!これで憧れのゲーミングPCが手に入る!!

 最後にビデオカードとメモリの取り付け手順を解説しよう。例として使うPCとパーツはパフォーマンス検証で使ったものと同じだ。必要な工具は1番サイズのプラスドライバーと5mmの六角ボルト・ナット用のソケットドライバーだ。ソケットドライバーがなければ、ラジオペンチでも代用できる。

 今回購入したPCの拡張スロットはLow Profileサイズなので、まずはビデオカードのブラケットをLow Profile仕様のものに交換する。ブラケットを固定している六角ネジとプラスのネジを外し、Low Profile仕様のブラケットに交換して同じ六角ネジとプラスのネジで再び固定する。なお、六角ネジはラジオペンチで回すことも可能だ。あとは、PCのカバーを外し、ビデオカードを取り付けていく。その手順は画像で紹介していこう。

ビデオカード標準のブラケットを固定しているプラスのネジと六角ネジを外し、Low Profile仕様のブラケットと交換する。同じネジで固定すればOKだ
次はPCの右側面カバーを外す。カバーのレバーを引き上げれば簡単に外れる
ビデオカードを黒く細長いPCI Express x16スロットに挿し込む
スロットの後部にあるフックがビデオカードにかかっていることを確認する
固定具を戻してビデオカードを固定する。PC内部のケーブルがビデオカードのファンに当たっていないか確認して、右側面のカバーを戻す
ビデオカード側の映像出力端子にディスプレイケーブルを接続する。PC本体側の映像出力端子にケーブルをつながないように注意。あとはWindows 10を起動してドライバをインストールする

 ビデオカードのドライバは、Windows 10が起動し、インターネットに接続されていれば、自動的にダウンロードされて導入される。この状態でもゲームをプレイすることは可能だが、NVIDIAのWebサイトから最新版をダウンロードして導入することをオススメしたい。最新版では各ゲームへの最適化が進むなどしており、より快適な動作環境を作ることができるためだ。

インターネットに接続されていれば、自動的にドライバはインストールされる
最新版のドライバは、NVIDIAのWebサイトからダウンロードできる。製品(ビデオカードに搭載されているGPU)のシリーズや使用しているOSを指定してダウンロードするが、重要なのがWindowsドライバの種類。自動的にドライバがインストールされた環境では「DCH」に設定する。ダウンロードタイプは「Game Readyドライバー」を選ぼう
ダウンロードしたファイルを実行するとドライバのインストーラが起動する。インストールオプションは「高速」を選び、あとは画面の指示に従って進めていけばOKだ
GeForce Experienceというソフトも同時にインストールされる。これはゲームごとにPCの性能に応じた最適なグラフィックス設定を行なってくれるほか、新しいドライバが公開された際には通知してくれる便利なツールだ

【メモリを増設する場合】

PCのカバーを開けた状態で、メモリスロットの両端にあるツメを開く
メモリとスロットの切り欠きの位置を合わせる
スロットにメモリを挿し、垂直に力を入れてスロットの両端のツメがカチッとメモリにかかるまで押し込む

 手順は以上。これでゲーミングPCが手に入る。キーボードやマウスはPCに付属しているし、ディスプレイがなければテレビにHDMIケーブルで接続すればよいので、追加のコストはゲーム代以外かからない。データの読み出しが高速になるSSDを導入したい方は、予算に余裕が出てから手を付ければよい(AKIBA PC Hotline!で“SSD換装”で検索すればヒントが見付かる)。まずはPCゲームのダイナミックな世界を楽しんでほしい。これからPCゲームをプレイしてみたい人だけではなく、子供用のゲーミングPCとして検討してみるのもよいだろう。

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[制作協力:MSI]