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Discordで通話しながらPS4のゲームが遊べるヘッドセット、「TurtleBeach ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro」を試す

家庭用ゲーム機でも自由なボイスチャットアプリが使える、便利な音声ミックス機能付き text by 白倉甲一

TurtleBeach ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro

 ゲームを遊ぶ際、仲間内だけでボイスチャットを使って遊びたいと思うことはないだろうか。

 PCゲームであれば、ゲーマー向けチャットシステムの「Discord」などを使うことで、ゲームに縛られない自由なコミュニケーション環境が利用できるが、家庭用ゲーム機の場合、ゲーム内のボイスチャットやコミュニケーションツールを利用するしかない。仲間内だけでボイスチャットを行いたい時などはちょっと困ったりする。

 今回紹介する「TurtleBeach ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro」は、本来であれば家庭用ゲーム機と併用しづらい、DiscordをはじめとしたLINEやSkype、FacebookMessengerなどのボイスチャットサービスを好みに合わせて併用できる音声ミックス機能の付いたゲーミングヘッドセットだ。PCと同様に、家庭用ゲーム機でもゲームに縛られない自由なボイスチャット環境を利用したいユーザーは、是非チェックしてもらいたい。

老舗かつアメリカトップレベルブランドの「TurtleBeach」、ゲーマー・ストリーマー向けモデルを多数展開

 レビューに入る前に「TurtleBeach(タートルビーチ)」に関して簡単に紹介しておこう。

 コアな自作ユーザーであれば名を耳にしたことがあるのではないかとおもうが、古くはサウンドカードを扱っており、DTM用途にプロが使用するレベルの製品を比較的安価に出していた。当時、秋葉原でも取り扱っていた店舗があり、マニアにとってはある種の憧れのような存在であったメーカーだ。

 近年ではゲーミングヘッドセットを展開、2005年と早い段階から着手しており、国内では取扱いの数が少なかったものの海外ではライト層を初めてとして広く支持されている。海外プロストリーマーの配信内で見かけた事のあるFPSプレイヤーも少なくないことだろう。

 現在、アメリカでは大きなシェアを持つトップレベルのブランドとのことで、日本ではサイズが代理店を務めている。若いPCユーザーにはあまり馴染みがないかもしれないが、TurtleBeachは実績のある老舗メーカーだ。

シンプルながら堅牢、金属パーツをふんだんに使用したゲーミングヘッドセット

 まずは「ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro」の外観からチェックしていこう。

 全体的なデザインはシンプルなものでLEDライティングなどの装飾は無い。ハウジングは楕円形、ヘッドバンドは頭頂部に当たる部分がゴムで伸び縮みする最近主流のタイプだ。ヒンジ部分やヘッドバンドそのものは金属製になっているので、有線モデルとしてはやや重量があるが耐久性には期待が持てそうだ。

ヘッドセット前面、イヤーカップは大きめで耳が収まるサイズ。
頭に合わせて伸び縮みするヘッドバンド、もちろん長さ調節も可能。
左側面、ケーブルとマイクは着脱可能。
右側面。別売りのハウジングカバーと交換することでデザインを変更できるようだ。

 イヤーパッド部分は根元が蛇腹のようになっており、顔の側面に合わせて角度が変わるようになっている。合皮素材を使用しているが、直接耳に当たる部分はクーリングゲルを滑らかな布地素材で覆ったものになっていて長時間の使用でも疲れにくいように配慮されている。

 ドライバ径は50mm、周波数特性は12Hz~20kHzとやや低音よりのスペックとなっている。実際に音を聞いた感じとしてもBassブースト無しでかなり低音がしっかりと出ている印象で、爆発音や重低音を迫力満点に体感出来るだろう。

ドライバー系は50mm。イヤーパッドはクーリングゲルを布地素材で覆ったもの。
蛇腹状になっていて顔の側面に合わせて根元から変形する。
イヤーパッド内部のバンドを引っ張るとメガネのテンプルを圧迫しないように凹みを作ることが出来る。
イヤーパッドはマグネット式で着脱可能。

 スペックシートに詳細な仕様が記載されていないためマイクについては単一指向性であることしかわからないが、実用した限りでは目立ったノイズも無く環境音も必要以上に拾わないのでボイスチャット用途としては十分な性能だ。

着脱式のマイク、フレキシブルに角度を変えられる。
内側にはポップノイズ対策のスポンジが埋め込まれている。

 同梱のSuperAmpはアンプとしての機能の他は「音量ダイヤル」「Bluetoothペアリングスイッチ」のみのこれもシンプルな造りになっている。中央部の発光パターンで現在のモードや音量を確認することが出来る。

アンプ前面、ヘッドセット出力用の3.5mm4極ミニジャック。
側面、Bluetoothペアリングスイッチ。
背面。左からUSB、S/PDIF(光角型)、ライン出力。
アンプ上部。
中央ロゴはマイク入力時は青色、ミュート時には赤色に光る。デフォルトのロゴLEDカラーや明るさは設定用のスマホアプリから変更可能。
ロゴ周りのLEDは音量に合わせてゲージのように増減する。

特殊機能などが無いアナログ接続専用モデルもラインナップ

TurtleBeach Elite Atlas

 ボイスチャットのミックス機能などは使えないが、ヘッドセット性能は同等でアナログ接続専用の「TurtleBeach Elite Atlas」というモデルもある。

 音量調節などが可能なコントロールボックスが付属しているが、基本的に一般的なアナログ接続ヘッドセットと同様に使用できる製品で、既に別のアンプを使っていたり、音声ミックスやサラウンド機能が必要ない場合にはこちらを選べば導入コストを抑えられるだろう。

設定は接続したスマホからも手軽に変更可能、PS4への接続手順を紹介

 ここからは実際にヘッドセットを使用するまでの設定手順を紹介しよう。

 このモデルの目玉とも言える音声ミックス機能だが、使用方法はPS4からゲーム音声を有線接続で流し、ボイスチャットはスマートフォンをBluetooth接続し使用する仕組みになっている。双方の音声1つのヘッドセットにまとめゲーム音を聞きながらボイスチャットアプリを使用するという要領だ。

 使用するには、まずスマートフォンに設定用のアプリケーションを入れる必要がある。ユーティリティの「TURTLE BEACH AUDIO HUB」が提供されているので、ダウンロードしてインストールして欲しい。iOS端末であればApp Store、Android端末であればGoogle Playから導入できる。

ホーム画面、下段歯車1~3で音量バランスや簡易イコライザ、各機能の有効化など、かなり細かい設定が可能だ。
左上のメニューボタンをタップすることで、画面構成を各ジャンルで必要な設定だけをまとめた状態に変更できる。
機器情報、PCとPS4のモード切り替えはここから選択する。

 WindowsとMac OS向けにも同ユーティリティは提供されているが、主にファームウェアアップデートなどに使用するためのもので、実際の設定などは主にスマートフォン上から行うことになる。こうしたユーティリティはスマートフォン向けの簡易版になっていることもあるが、「TURTLE BEACH AUDIO HUB」はフル機能が利用可能で、PCを持っていない場合でもすべての機能が使えるように配慮された仕様となっている。

アンプからPS4 Proとの接続には角形光デジタルケーブルとUSBケーブルの2本を用いる。
PS4 Proの背面。PS4 Slimの場合S/PDIF(光角型)が無いので要注意。

 続いてゲーム機との接続だが、今回はPS4 Proを使用した場合の設定方法を解説する。

 まずはSuperAmpとPS4 Proを付属の光デジタルケーブル(角形)とUSBケーブルの2本で接続し、アンプとヘッドセットを接続する。

 各機器を接続したらスマートフォンアプリとSuperAmpをペアリングをしよう。ペアリングボタンを長押し、スマートフォンとBluetooth接続すれば即座に利用できるので煩わしさはなく、特段迷うこともないだろう。アンプ側の設定はデフォルトでPS4モードになっているが念のため確認しておこう。

スマートフォンでアプリの「TURTLE BEACH AUDIO HUB」を立ち上げ、アンプとペアリングを行う。
CONFIGRATIONの項目が「PS4」になっていることも念のため確認。

 次にPS4本体の設定を変更する。オーディオ機器の選択で「Elite SuperAmp PS4」が入出力機器として認識されていることを確認し、音声出力を「光デジタル出力」に。入力フォーマットは「ビットストリーム(Dolby)」、「音声フォーマット(優先)」の項目を「ビットストリーム(Dolby)」に変更すれば設定は完了だ。

 設定を誤ると上手く音声出力できないので説明書をもとに正しく選択する必要がある。また、PS4 Slimの場合はUSB接続となる。USBプラグインプレイでサラウンド機能が使えるデバイスは種類が限られるため、確実にサラウンドサウンドでゲームをやりたいという場合はPS4 Proまたは初期型のPS4での利用をおすすめしたい。

①オーディオ機器の選択画面で入力機器と出力機器が「USBヘッドセット(Elite SuperAmp PS4)」になっていることを確認。
②[設定]→[サウンドとスクリーン]→[音声出力設定]より主に使用する出力端子を「光デジタル出力」にする。
③入力フォーマットから「Dolby Digital 5.1ch」を選択。
④[音声フォーマット(優先)]を「ビットストリーム(Dolby)」に変更し、最後にオーディオ機器画面に戻り入出力のレベルなどを調整すれば設定完了だ。

 以上の手順を終えれば、あとはスマートフォンでお好みのボイスチャットアプリを起動するだけで、ゲーム音とボイスチャット音声が同時にElitePro2へ出力されるはずだ。ちなみに、マイク入力は排他利用となるため、外部ボイスチャットサービス利用時はPS4側へ音声は入力されないので、ゲーム内のボイスチャットを利用する際は切り替えて利用しよう。

 オーディオミキサーなど別途用意することで「TurtleBeach ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro」と同等の環境を構築することは可能だが、機材によって性能や価格がピンキリであったり、設置スペースを占有などのデメリットもある。

 また、ゲーム音をヘッドホンで聞きつつボイスチャットをスピーカーから流したり、イヤホンをスマートフォンにつなぎボイスチャットの音声を聞きながら、その上にヘッドホンを被って両方の音声を聞くなどと言った工夫をしているユーザーも少なくなかったりするのだが、こうした力技を駆使しなくても、「TurtleBeach ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro」であればスマートに便利な環境が導入できる。

実際にPS4の人気ゲームでDiscordを使ってみたエーペックスレジェンズ、レインボーシックス シージ、MHW:アイスボーンでテスト

 今回はPS4の人気タイトル「エーペックスレジェンズ」、「レインボーシックス シージ」、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」を利用し、「TurtleBeach ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro」を使ってみた。

 外部のボイスチャットサービスには「Discord」を使用したが、「Line」や「Skype」、「Facebook Messenger」などでも全く同様に使用できるので、外部のボイスチャットサービスがどのようにな時に便利なのかの参考にしてもらいたい。

エーペックスレジェンズ

スタート時の着地点をチームと相談。
リングの収縮が始まっている中チームと連携をとり索敵しつつ安全に行動できる。

 「エーペックスレジェンズ」はスピーディで爽快感のあるFPSバトルロイヤルで、キャラクター毎に固有スキルがあり派手な演出でカジュアル層からの人気も高い。ソロモードが無く3人1組でチームを組まなければならないため連携が肝心、なるべくフレンドとパーティを組んでプレイしたいところだ。

 コミュニケーションの面ではラジオチャットが充実しているので、ボイスチャット無しでもある程度の意思疎通は図れるが、戦況が目まぐるしく変わることもあり、ボイスチャットがないと苦しい場面も多い。やはりボイスチャットが利用できた方が快適だろう。

 こちらのゲームもゲーム内ボイスチャット設定は大まかにオンオフと音量調節のみとなる。ゲームを楽しむだけであればゲーム内のボイスチャットでも十分だが、フレンドとの交流なども考えると、外部ボイスチャットサービスを利用した方が使い勝手は良い。

レインボーシックス シージ

攻撃側、タイミングを計っての連携が取りやすくなる。
防御側、情報共有で罠設置や補強などを円滑に進められる。

 「レインボーシックス シージ」は5人1組に分かれてPvPをするリアル志向なFPSゲーム。攻撃側と防衛側で大きく立ち回りが変わり、罠の設置や突入タイミングなど戦術レベルで仲間との連携が必須。ボイスチャットがある方が非常に有利だ。こちらもゲーム内ボイスチャットはあまり細かく設定出来ない。

 フレンドとプレイする際に5人揃えてパーティを組めればベストではあるが、実際はフレンド数人と組んで残りの枠はソロプレイヤーとマッチングする事も多い。そうした場合、勝つことが最優先であればゲーム内のボイスチャットを利用するのが良いだろう。

 フレンドとのみボイスチャットをしたい場合や、5人フレンドが揃っている場合などはやはり外部チャットが便利なので、利用シーンに合わせて使い分けたい。

モンスターハンターワールド:アイスボーン

モンスターの位置情報などを素早く伝達。
攻略情報などを先輩プレイヤーから教わりながら楽しくプレイできる。

 「モンスターハンターワールド:アイスボーン」4人協力でモンスターを狩猟する人気のアクションゲーム。最新大型拡張コンテンツがPC版より先にPS4で追加された為、PS4ユーザーのプレイヤー人口も多いことだろう。

 元々が家庭用ゲーム機向けであるためテキストチャット、専用ロビーなどPS4のみでのコミュニケーション手段が豊富。こうしてみると不便は無いように感じるのだが、ボイスチャットを嫌う層もいるので、外部のボイスチャットを利用する方がトラブルが起きないという面もある。

 ゲームの性質上長時間プレイすることが多く、友達とプレイ時間を合わせたり雑談したりと結果的に外部コミュニケーションツールを使ってのやりとりが多くなりがちなゲームでもあるので、そのまま外部コミュニケーションツールが利用できた方が便利だ。

友達とのやりとりが発生するなら外部チャットツールがやっぱり便利

PS4標準のパーティチャット画面、フレンドの招待や音量バランスなどの設定も可能。

 PS4のパーティチャットを利用する場合の一番のメリットはPS4のみでボイスチャットを完結できると言う点が大きいのだが、実際にはフレンドの招待などにSNSや直接のやりとりが必要となる事がほとんどではないだろうか。

 今回は筆者が普段利用しているDiscordを例にするが、音声のやり取りだけではなく、総合的なコミュニケーションツールとして作られているので、テキストチャットで「何時に○○のゲームをやりたい」「○○のクエストを手伝って欲しい」などといったやりとりのあとにボイスチャットを利用したり、ボイスチャットとテキストチャットを併用したりと、サービスとして扱いやすいものになっている。また、独自のコミュニティを形成する事もできるので、ツールとして多機能だ。

 その他にも、個別の音量調節や、通話音質の補正などボイスチャット用に作りこまれた強力な機能も備えているので、ゲーマーであれば一度は使ってみる事をおすすめしたい。

フレンドへの打ち合わせなどもボイスチャットアプリ側で完結できる。画面共有やサーバー作成などコミュニティ機能も豊富だ。
ユーザーごとに個別で音量調整なども行えるので、複数人と通話しているときにありがちな音量差に悩むことも無い。

 また、外部のサービスを利用できるメリットとして、ゲームとボイスチャットを完全にわけて扱えるという面もある。ゲーム中にボイスチャットの設定変更したい場合に、いちいちゲームを中断する必要がなく、スマートフォン片手に音量調節などを手軽に行えるのは魅力的な点であると言えるだろう。

気の合う仲間と楽しくゲームをするために便利な家庭用ゲーム機向けヘッドセット

 協力対戦するゲームでは、仲間とのコミュニケーションを取るのが連携の重要なポイントになる。

 しかしながら、家庭用ゲーム機でそうした連携を図るには、ゲームごとに予め用意されたラジオチャットやボイスチャット機能を利用しなければならず、密に連携を取りたいときには必要不十分であったり、使い勝手が悪いと感じる事も多々あるだろう。

 家庭用ゲームでも、PCゲーム環境のように自由かつ利便性に優れた外部サービスを利用できる「TurtleBeach ElitePro2 + SuperAmp for PS4 and PS4 Pro」は、よりスムーズにコミュニケーションを取りたいユーザーにお勧めしたいモデルだ。ゲーム外でもやり取りする友達が多いなら活躍する場面は多い。

[制作協力:TurtleBeach]