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最新NVMe SSDでちょっと前のPCを快適に、ストレージを「Plextor M9P Plus」に換装してみた

2年振りに登場するPlextor製最新NVMe SSDの性能をチェック text by 白倉甲一

Plextor M9PG Plussシリーズのヒートシンク付きモデル「M9PG Plus」。

 PCパーツの性能は日進月歩、とにかく高いパフォーマンスのPCが欲しいという事であれば本体ごと最新のモデルに乗り替えしてしまえば手っ取り早く性能が上がるのはまず間違いない。

 旧型PCを使用していてCPUやGPUの性能には満足している場合、延命のために「ストレージをアップグレードしよう」と考える人は多いのではないだろうか。コストを抑えて快適性を上げたいという人も初めに考えるのストレージの交換だろう。

 そこで、今回はPlextorの最新SSD、「M9P Plusシリーズ」を使用し、「数年前に組んだコスパ重視のPCをNVMe SSDへ換装してみると快適になるのか」を検証してみた。最新PCでなくても最新のSSDを導入する意味があるのか、アップグレードを検討しているユーザーはチェックしてもらいたい。

PCIe 3.0対応NVMe SSD「Plextor M9P Plus」、ヒートシンク付きやカード型などもラインナップ

 今回使用するPlextorの「M9P Plusシリーズ」だが、ヒートシンク非搭載の「M9PGN Plus」、ヒートシンク搭載の「M9PG Plus」、HHHL対応でRGB LEDライティングを追加したカード型の「M9PY Plus」の計3タイプあり、それぞれ容量は256GB/512GB/1TBの3種類ずつラインナップされている。

 M9P PlusはPlextorから出るNVMe SSDとしては実に2年ぶりとなる新シリーズだが、旧シリーズとの主な違いとしてはNANDフラッシュ、コントローラーなどの変更が上げられる。

 今回のレビューで紹介するのはヒートシンク搭載モデルの「M9PG Plus」だ。

「M9PG Plus(PX-1TM9PG+)」の表面。
本体裏面。
本体側面。
ヒートシンクは基板を包み込むように搭載されている。

 コントローラーは一般利用も想定した汎用的な「Marvell 88SS1093」から、より高いグレードで性能を発揮できるように「Marvell 88SS1092」へ変更、ストレージシステムを強化した。NANDフラッシュにはキオクシア(旧東芝メモリ株式会社)製96層3D NANDフラッシュ「KIOXIA BiCS4」を搭載し、シーケンシャルライトで従来製品から最大60%の速度向上を実現している。

 エラー訂正機能「LDPCテクノロジー」による信頼性や、Plextor独自の「PlexNitro」で容量を削減することなくSSDの読み書き速度を向上させるキャッシュ最適化技術など、旧モデルからソフトウェア面でもアップグレードされており従来製品同様に安定性と速度を両立したモデルとなっている。

 今回のテストで使用したのはヒートシンク搭載「M9PG Plus」の1TBモデル「PX-1TM9PG+」。ヒートシンクの分で厚みは9.2mm、特別厚い部類ではないが購入時には念のため他パーツとの干渉がないか確認しておこう。速度はリードが約3.4GB/s、ライトが2.1GB/sと、概ね公称値通りの性能が発揮されている。

PX-1TM9PG+のCrystalDiskMarkによるベンチマーク結果。おおむねスペック通りの結果が得られた。
CrystalDiskInfoにおけるステータス画面。各種テスト後でもヒートシンクの効果か温度はそれほど高くならなかった。

 また、公式サイトからダウンロードできる専用ユーティリティ「Plextool」を利用することで、詳細なステータス確認や、セキュアフォーマットの実行などが可能だ。

「Plextool」。
ステータスの確認やセキュアフォーマットなどを行うことができる。

Skylake世代のPCをアップグレード、最新世代SSDを使用すると快適になる?

テストに使用したCore i7-6700K + GeForce GTX 1060構成のPC。

 今回の検証に用意したPCは、CPUに「Intel Core i7-6700K」、ビデオカードに「GeForce GTX 1060」を搭載した数年前のPC。OS用に120GB SSD、データ用に3TB HDDを搭載したコスパ重視の構成だ。こうした構成で当時PCを組んだユーザーも多かったのではないだろうか。

 メモリのみ当時としては多めの16GB×2枚(DDR4-2400/オーバークロック動作)だが、ゲームを快適に遊びつつ、Photoshopなどのクリエイター向けの用途でもそれなりに快適に使える容量を確保した構成にしてみた。

Intel Core i7-6700K
MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6G
MSI Z170A MPOWER GAMING TITANIU
テストPCの構成
CPUIntel Core i7-6700K(4コア8スレッド)
GPUMSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6G(GDDR5 6GB)
メモリDDR4-2400 32GB(16GB×2/オーバークロック動作)
ストレージ(OS用)120GB 6GbpsSATA SSD
ストレージ(ゲーム/データ用)3TB SATA HDD(5,400rpm)
OSWindows 10 Pro 64bit

 冒頭でも触れたように、PCそのもののスペックは十分足りているが、数年経ってSSDの容量が120GBでは心許なくなってしまったので「大容量のNVMe SSDへと乗り換える事で、ストレージの増量とレスポンスの向上を図る」というのが今回の目的だ。

 ちょっと前のPCに最新SSDを搭載してどの程度の効果が出るのか、換装の前後での速度差を見てみよう。

システムドライブをSATA SSDからNVMe SSDにすると快適になる?OSやソフトウェアの起動時間を検証

システムドライブをNVMe SSDに換装。

 まず初めに試したのはSATA SSDからNVMe SSDへシステムドライブを差し替えた場合の起動時間の比較だ。

 SSDからSSDへの換装なのでそこまで劇的には変化しないと思われるが、どの程度の差が出るのか見てみよう。なお、使用OSはWindows 10 Pro 64bit版だ。

Windows10 Pro 64bitの起動時間をSATA SSDとNVMe SSDで比較。
計測タイミングは電源投入後からカーソルの読み込み表示がなくなる瞬間までとした。

 OSの起動速度は、電源投入後にOSが立ち上がり、デスクトップ画面が完全に表示されるまでを計測した。流石に数年前のモデルといえどSSDには違いないので、体感出来るほどの差は出なかったが2秒ほど起動時間を縮まる結果となった。

 続いて筆者が普段使用しているPhotoshopの起動時間を計測してみた。こちらはNVMe SSDがSATA SSDよりも3秒ほど時間を縮める結果となった。劇的に速くなったというわけではないが、最新SSDにアップグレードすることで着実に速度が向上することはわかった。

 ちなみに、Photoshopで作成ファイルはデータ保管用のディスクに書き出すと思うが、HDDに書き出すのと、M9PG Plusに書き出すのではSSDの方が速い。作業スペースなどもSSD化することで要所要所でのレスポンスは改善されたように感じた。

Adobe Photoshop CC 2020の起動時間をテスト。
こちらも操作可能になるまでを計測した。

 SATA SSDからNVMe SSDへの換装することで体感出来るほどの劇的な変化はないが、容量増加という点では大きな効果が得られる。

 もともと搭載していた120GB SSDでは、システムとちょっとしたソフトウェアのインストールだけでデータ容量がカツカツになっていた。容量が増えることで作成したファイルをシステムドライブ側に保存してもゆとりがあり、扱いやすさが一気に向上する。また、データ用のHDDにアクセスしにいかないで済む分のレスポンス向上もメリットだ。

 システムドライブをSATA SSDからNVMe SSDに換装する場合、容量の向上を主目的と考え、速度向上は副次的なものと考えてアップグレードすると良いだろう。

120GB SSDにOSをインストールし、ドライバや更新ファイルなどを適応し終わった直後の空き容量。約70GBの空きがあるので、アプリケーションなどをインストールする分には問題ないが、大作ゲームなどをインストールして使うにはゆとりがない。
こちらは換装した1TB NVMe SSDにOSをインストールし、ドライバや更新ファイルなどを適用した直後の空き容量。SATA SSDとは適応されるファイルなどに異なる部分があるのか、若干容量を多く消費しているが、約900GBも空き容量があり、これだけあればさまざまな用途に利用できる。大作ゲームなどをインストールしても問題ないゆとりだ。

容量のアップグレードでゲームをNVMe SSDへインストール!4タイトルの起動時間を検証してみよう

 1TBもの容量があれば、ストレージの都合でデータ用HDDにゲームを入れていたものをNVMe SSDへ移し変えることも容易だ。実際にいくつかのゲームをM9PG Plusへインストール、ロード時間などを比較してみた。

 今回は「モンスターハンターワールド:アイスボーン」「バイオハザード RE:2」「フォートナイト」「CS:GO」の4タイトルをインストールし、それぞれゲームの起動やストレージからデータをロードする場面などでかかる時間を計測した。

MHW:アイスボーン

友達と一緒にモンスターを狩る、マルチプレイアクションゲームのDLC追加版。PC版は2020年1月10日に配信開始となった。

 MHW:アイスボーンの(モンスターハンターワールド:アイスボーン)ゲーム自体の起動時間には差が出なかったものの、セーブデータの選択後に集会場を読み込むまでの時間が8秒ほど短くなり、クエストへの出発・帰還についてもそれぞれわずかながら短縮された形となった。

 各計測点での差はそれほど大きくないが、集計すると20秒近くタイムが縮まったことになる。素材集めなどで同じフリークエストを何度も受けたり、友人からの急な呼び出しでクエストに参加する際などには十分な効果が得られそうだ。

バイオハザード RE:2

1998年に発売された人気ホラーゲーム「バイオハザード2」のリノベーション版。原作の要素は残しつつUIほか大きく刷新している。

 バイオハザード RE:2は、ゲーム起動からタイトル表示、ニューゲームからレオン編を選択し本編が始まる2カ所を計測。起動時間に関しては差がなく、本編が始まるまでの時間もHDDとNVMe SSDの差はわずか3秒となった。

 HDDとSSDでこれだけ差が出にくいのはおかしいと思うかもしれないが、バイオハザード RE:2はゲームの設計が新しく、ムービーシーン中に裏で読み込みを行ったり、シームレスマップ故の影響からロードをユーザーに感じさせないようになっている。ゲームそのものの進歩を感じる反面、ストレージの影響が見えにくいタイトルだ。

FORTNITE

ポップなデザインのゲーム画面と、独特な建築要素が人気のバトルロイヤルTPS。

 FORTNITE(フォートナイト)は、ソフトウェアが立ち上がり「ロード中」の表示が消えた時点までを起動時間として計測した。実際にはアップデートチェックなどが入るため、ゲームが立ち上がるまではもう少しかかるが、ネットワーク状況の影響などが大きく出てしまうためここまでとした。

 計測時間はHDDが59秒、NVMe SSDが37秒と、起動時点で約22秒と大きく差が開いた。これはNVMe SSDであれば、ゲームサーバーにトラブルさえ無ければ1分以内に起動からマッチングまで行える計算になる。これはなかなかの快適さだ。

 また、マッチを終了してロビーに戻るまでの時間にもHDDとNVMe SSDで4秒ほど差があるので、次のマッチに行く前に「ロッカーの設定を変えたい」「フレンドをパーティに誘いたい」などと言った場合にもササッと変更して次のマッチングに望める。

CS:GO

世界的に人気のある古参マルチプレイFPS。プレイスキルや知識が勝敗を大きく分ける上級者向け。

 CS:GO(カウンターストライク:グローバルオフェンシブ)は、NVMe SSDに換装することで、起動時間では約17秒、トレーニングモードへの移行は約3秒、マップ「Nuke」への読み込み時間では約8秒と、それぞれ大幅なタイム短縮となった。

 もともとのロード時間もそこまで長いものでは無いが、各所のロード時間が短くなる分体感的にも速度向上がわかりやすい印象だ。

 NVMe SSDへのゲームインストールは、古めのゲームやデータロードの短縮があまり考慮されていないゲームほど、ストレージそのものの性能差が如実に現れる傾向にあるようだ。

 また「バイオハザード RE:2」のようにロードが苦にならないように工夫しているゲームも中にはあるので、そういったタイプのゲームはHDDに入れておくなど状況に応じて容量を節約するのも良いだろう。

コストを抑えつつPCを快適にするならNVMe SSD導入はアリシステムディスクの大容量化もゲームの高速化も効果は十分

 数年前ではなかなか手が出なかった大容量NVMe SSD。容量対比でのコストパフォーマンスではまだHDDの方に分があるが、ようやく現実的な価格で手に入れられるようになり、高速なレスポンスを手軽に享受できると考えれば、かなり有力な選択肢になり得る。

 また、昨今のPCパーツ事情的な観点から見ると、低価格帯のマザーボードに搭載されているSATAポートの数は削減傾向にあるので、専用ポートを利用するNVMe SSDを導入することで少ないSATAポートを効果的に扱えるという面も一つの魅力と言えるだろう。

 システムドライブの大容量化や、ゲームドライブの高速化などであれば、多少古いPCでも最新SSDを導入する価値はあるので、アップグレードの際はM9P Plusシリーズを候補として検討してもらいたい。

[制作協力:Plextor]