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10コア「Core i9-10900K」をTSUKUMOのゲーミングPCでテスト、全コア5GHz超え動作の場面も

高フレームレート狙いのゲームに適した「G-GEAR GA9J-J201/ZT」 text by 浅倉吉行

TSUKUMOのゲーミングPCブランドG-GEARの最新モデル「GA9J-J201/ZT」。
Intelが「世界最速のゲーミングプロセッサ」をうたう「Core i9-10900K」を搭載。

 Intelは5月20日に“Comet Lake-S”ことデスクトップ向けの第10世代Coreプロセッサファミリーの販売を開始した。

 CPUの販売解禁に合わせて、TSUKUMOでは同社のゲーミングBTO PCブランド「G-GEAR」より、10コア/20スレッドで最大クロック5.3GHzの最上位モデル「Core i9-10900K」を搭載したゲーミングPC「G-GEAR GA9J-J201/ZT」の販売を開始している。

 Intelは、Core i9-10900Kについて「世界最速のゲーミングプロセッサ」をうたっており、Intelのメインストリーム向けCPUとしては最高性能モデルといえる。今回のレビューではG-GEARの最新ゲーミングPC「GA9J-J201/ZT」を使い、Core i9-10900Kの実力をチェックしてみよう。

最大5.3GHz動作の10コア/20スレッドCPU「Core i9-10900K」

Core i9-10900Kプロセッサ

 Core i9-10900KはComet Lake-Sの最上位で、前世代のCoffee Lake-Sで同ポジションにあたる「Core i9-9900K」からコア数が2つ増えて10コアとなっているほか、ベース/ブースト時クロックともに引き上げられている。それに合わせてTDPも95Wから125Wへと高く設定されている。

 ブースト時の動作も手が加えられており、「Turbo Boost Max Technology 3.0」による一部コアの高クロック動作や、CPU温度と電力に余裕があればシングルおよび全コアを高クロックで動かす「Thermal Velocity Boost」を新たに備えている。

 Core i9-10900Kの場合、Turbo Boost Max 3.0の最大クロックは5.2GHzだが、Thermal Velocity Boost有効時はシングルコア5.3GHz、全コア4.9GHzまで上昇する。

CPU-Zの情報
CPU-Zのキャッシュ容量
HWiNFOのプロセッサ情報(パワーリミット)
HWiNFOのプロセッサ情報(動作倍率)

 製品仕様の違いは以下の表のとおりだ。なおCoffee Lake-Sでは、8コア/16スレッドでベースクロック4GHz/ターボクロック5GHz(TDP127W)の特別モデル「Core i9-9900KS」も販売されているため、比較表に含めている。

モデルCore i9-10900KCore i9-9900KCore i9-9900KS
製造プロセス14nm
プロセッサファミリーComet Lake-SCoffee Lake-S
コア/スレッド数10コア/20スレッド8コア/16スレッド
ベースクロック3.7GHz3.6GHz4GHz
シングルコアターボクロック5.3GHz5GHz
全コアブーストクロック4.9GHz-
L3キャッシュ20MB16MB
内蔵GPUIntel UHD Graphics 630
TDP125W95W127W
ソケットLGA1200LGA1151

バランスよく上位パーツを採用するG-GEARブランドのBTO PC「GA9J-J201/ZT」

 今回検証に使用するPCは、TSUKUMOのゲーミングPCブランドG-GEARのミドルタワーゲーミングPC「G-GEAR GA9J-J201/ZT」。おもな仕様の一覧は以下の通りだ。

 なお、SSDは標準仕様では500GBのNVMe SSDが搭載されているが、テスト機はSamsung 970 EVO Plus MZ-V7S1T0B(1TB)を搭載した構成のモデルを使用している。BTOモデルなので、SSD以外にもメモリやビデオカード、HDDや電源なども好みに合わせてカスタムできる。

G-GEAR GA9J-J201/ZTの仕様(BTOカスタム済み)
OSWindows 10 Home
CPUCore i9-10900K(10コア/20スレッド、ベースクロック3.7GHz/ターボ時クロック最大5.3GHz)
GPUZOTAC製 GeForce RTX 2080 SUPERカード(8GB GDDR6)
メモリDDR4-3200 8GB×2(センチュリーマイクロ CD8G-D4U3200)
マザーボードIntel Z490搭載ATXマザーボード(ASUS TUF GAMING Z490-PLUS WI-FI)
ストレージ1TB NVMe SSD (Samsung 970 EVO Plus MZ-V7S1T0B)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ(ASUS DRW-24D5MT)
電源750W ATX電源(Seasonic FOCUSシリーズ/80PLUS GOLD)
ケースG-GEAR ATXミドルタワーゲーミングケース(69JD)
サイズ幅190×奥行き475×高さ435mm

 テスト機の構成だが、搭載CPUは前述のCore i9-10900Kで、Comet Lake対応のIntel Z490チップセットを搭載したTUF GAMINGブランドのASUS製ATXマザーボード「TUF GAMING Z490-PLUS WI-FI」を採用。パッケージには無線LAN用のアンテナも同梱されている。

ASUS製ATXマザーボード「TUF GAMING Z490-PLUS WI-FI」

 CPUクーラーにはCooler Master製サイドフロークーラー「Hyper 212X」を搭載。Cooler Masterによれば、同クーラーはTDP 150Wを目安としているため、TDP 125WのCore i9-10900Kも許容範囲に収まっている。

 ビデオカードには、デュアルファンクーラーを備えたZOTAC製GeForce RTX 2080 SUPERカードが搭載されている。メインメモリにはセンチュリーマイクロ製のDDR4-3200 8GB DIMM×2を搭載。Micron製チップを備えた日本製DIMMだ。

 ストレージはPCIe 3.0 x4接続のSamsung製NVMe SSD「970 EVO Plus」の1TBモデルを搭載。マザーボード側のヒートシンクでカバーされている。ATX電源には80PLUS GOLD認証を取得した750W電源を搭載する。

 CPUはフラッグシップモデルで、他パーツもハイエンド寄りながら高値になりすぎないパーツ構成でバランスよくまとめられている印象だ。

CPUクーラーはCooler Master製サイドフロークーラー「Hyper 212X」
ビデオカードはZOTAC製のGeForce RTX 2080 SUPER
センチュリーマイクロ製DDR4-3200メモリ
Samsung製NVMe SSD「970 EVO Plus MZ-V7S1T0B」、今回は標準仕様からこの部分のみカスタムしている

 ケースはG-GEARのオリジナルケース「69JD」。

 フロントはメッシュパネル仕様で、電源/リセットスイッチ、USB 3.0ポート×2、音声入出力のほか、防塵フィルタが設けられている。空冷ファンはフロントに120mmファン×1、リアに120mmファン×1を標準で備える。

フロント
リア
フロントパネルのインターフェイス
G-GEARのエンブレムとCoreステッカー

 ベイ構成は5インチオープン×2、3.5インチシャドウ×3、2.5インチシャドウ×4で、DVDドライブが搭載されている。

 サイドパネルには通気孔が設けられているが、シースルーではないため基本的に内部は見えない。「光モノ」を省いたシンプルな外観で、「今のゲーミングPCは主張が激しすぎる」というゲーマーには嬉しい仕様だ。配線もケーブルタイでまとめられ、エアフローを阻害しないように配慮されている。

DVDドライブ搭載
トップには滑り止めを備える
サイドパネルを外した状態
ストレージベイ

前世代ハイエンドCPUを着実に上回るCore i9-10900KベンチマークソフトでPC性能をチェック

 ここからはCPU性能の計測を中心としたベンチマークと、実ゲーム内ベンチマークを使って性能をチェックしていく。

 検証にあたっては、フルHD解像度の液晶ディスプレイと組み合わせて検証を行なっている。またWindows 10バージョン1903アップデートを適用し、GeForce Game Ready Driver 445.87をインストールした。UEFIの設定は以下のスクリーンショットの通りで、出荷時設定から変更していない。

 使用したベンチマークソフトは「Cinebench R15」、「Cinebench R20」、「3DMark」、「PCMark10」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」で、「Apex Legends」の動作フレームレートも計測した。すべて室温24.8~25.7℃の環境で測定している。

HWiNFOのシステム概覧

 まずはCPU性能を計測するCinebench R15、Cinebench R20の結果だ。R15ではシングルコアで228、マルチコアで2,610を記録。R20ではシングルコアで543、マルチコアで6,362を記録した。

 参考までに、僚誌『DOS/V POWER REPORT』の240mm簡易水冷クーラーを使った計測では、Cinebench R20でCore i9-9900Kがシングル507/マルチ4,931、Core i9-9900KSがシングル522/マルチ5,180を記録している。

 今回のCore i9-10900Kの計測結果はCore i9-9900K比でシングル+7%/マルチ+29%、Core i9-9900KS比でシングル+4%/マルチ+23%となり、マルチのみならずシングルでも既存製品を上回るスコアとなった。

Cinebench R15
Cinebench R20

 システム全体の性能を計測するPCMark 10のスコアは、総合スコアが7,722、Essentialsが11,236、Productivityが9,084、Digital Content Creationが12,242を記録。

PCMark 10

 3DMarkのTime Spyテストの結果は、Time Spyで総合スコア11,640/CPUスコア12,773、Time Spy Extremeで総合5,471/CPUスコア6,408を記録。

3DMark Time Spy
3DMark Time Spy Extreme

 Fire Strikeテストの結果は、総合スコアがFire Strikeで24,692、Fire Strike Extremeで13,684、Fire Strike Ultraで7,025を記録。CPU性能のみを測定する物理スコア(Physics Score)は3テストともに、29,255~29,909に収まっている。

3DMark Fire Strike
3DMark Fire Strike Extreme
3DMark Fire Strike Ultra

 GPU負荷が低くCPUのシングルコア性能による差が現れやすいSky Diverテストでは、総合スコア62,657、物理スコア26,399を記録。8スレッドテスト時では426.56fpsという非常に高いフレームレートで動作した。

 さらにGPU負荷の低いNight Raidテストは総合スコア64,257、CPUスコア16,204で、グラフィックステスト時には766.13fpsという超高フレームレートを記録している。

3DMark Sky Diver
3DMark Night Raid

実ゲームでも性能をしっかり発揮、Apex Legendsの最高画質で平均183fpsを記録

 ここからは実ゲームの性能を見ていこう。

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、高品質(デスクトップPC)設定で21,740、最高品質設定で21,188を記録。CPU性能的には十分すぎるといったところだろう。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク 高品質(デスクトップPC)
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク 最高品質

 Apex Legendsでの動作検証にはフレームレートを記録。射撃練習場にてレジェンドにジブラルタルを選択し、無操作状態から一通りの移動と射撃操作を行った後、ゲーム内で描画負荷が特に高い防衛爆撃(アルティメット)を発動して爆撃が終わるまでの一連のフレームレートを記録した。

Apex Legends

 結果は、手動のグラフィックス設定(ラグドール以外すべて最高)で平均183fps、1パーセンタイル値(実プレイ中の最低FPS)で107fpsを記録。

 グラフィックス最低設定では、平均で281fps、1パーセンタイル値145fpsを記録。非常にスムーズなプレイが可能だ。

Apex Legends動作フレームレート

ファイナルファンタジーXIVベンチ時は全コア5GHz超も記録10コアをしっかり冷却し性能を引出す「G-GEAR GA9J-J201/ZT」

 最後に、CPUに負荷を与えた状態の動作クロックや温度などを見ていきたい。データ取得にはHWiNFOを利用した。

 全コアに高負荷がかかる環境を想定したCinebench R20 (Multi)実行時の結果は、コア使用率100%時に全コア平均クロック4,915MHzを記録。Thermal Velocity Boostでクロックがしっかりブーストされていることが分かる。

Cinebench R20実行時の平均コアクロックとCPU使用率の推移

 ブースト間のCPU Package Powerは196~210Wまで上昇しており、その後Power LimitによってTDPの125Wまで制限されているが、その制限下でも全コア平均クロックは4,277MHz前後で推移した。

 パッケージ温度は同じくThermal Velocity Boost動作時で75~86℃を記録。Cinebench R20は3Dゲームなどに比べて非常に高いCPU負荷を与えるためサーマルスロットリングが発生しやすいが、本PCではサーマルスロットリングなしにベンチマークが実行できた。前述の通りターボ時はかなりの消費電力となるため、Core i9-10900Kは扱いが難しいCPUといえるが、GA9J-J201/ZTは冷却面でもしっかりカバーしていると言えるだろう。

 TSUKUMOでは、システムダウンを起こさない設計と低い故障率を目指してBTOマシン製品開発を行っており、本製品もその思想の下開発が行われている。製品評価の際には高温環境下での長時間フルロード試験も実施されており、長時間の高負荷作業でも安定して動作するはずだ。

Cinebench R20実行時のPackage Powerとパッケージ温度の推移

 ゲーム中の例として、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークおよびApex Legends射撃練習場での測定も実施。

 まずファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、全コアの平均クロックで最高5,082MHzを記録し、実ゲームにおいて全コア5GHz超で動作するシーンが見受けられた。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク実行時の平均コアクロックとCPU使用率の推移。クロックが大きく上下しているのは途中のロードシーンなどで一部コアがアイドル動作に入るためだ

 Apex Legendsでは、平均コアクロックで最大4,912MHzを記録。CPU使用率は18%前後を推移しているが、平均コアクロックが4.9GHz超に張りついており、常に高クロック全コアが動作している。CPU使用率に余裕があるため、ストリーミング配信などでエンコード処理を同時に実行することも可能だろう。

Apex Legends実行時の平均コアクロックとCPU使用率の推移

 またCPU Package Powerは64~82Wで、設定TDPまでまだまだ余裕のある状態だ。パッケージ温度も57~67℃で推移しており、長時間のゲームでも問題なく遊び続けられる温度に収まっており、ファンの回転数を抑えてノイズを小さくすればよりゲームに集中できる環境も構築できる。

Apex Legends実行時のPackage Powerとパッケージ温度の推移

 なお、ベンチマーク実行時の騒音については、搭載ファンがCPUクーラーも含め120mm×3基という構成のおかげか、高負荷なCinebench R20実行時でも「TDP 125WのCPU」という単語から連想する動作音よりも静かだった。ファン回転数が最高値でも足元にあれば問題になるほどの音ではなく、ゲームなどでヘッドセットを装着すれば無視できるレベルというのは、ゲーマーに嬉しい仕様だ。

高フレームレートが狙える高速ゲーミングPCシンプルな見た目も魅力な「G-GEAR GA9J-J201/ZT」

 ここまで、「G-GEAR GA9J-J201/ZT」でIntelの最新CPU「Core i9-10900K」を見てきたが、クロックが引き上げられたことで、超高フレームレートゲーミングでもボトルネックにならないCPU性能を発揮できている。

 また9900Kおよび9900KSから2コア/4スレッドが追加されたことで、ストリーミング配信などを行なった場合のゲーム動作への影響も低減が見込めるため、2020年のゲーミングPC向けCPUに求められる要素を満たしていると言える。

 そしてG-GEAR GA9J-J201/ZTは、GeForce RTX 2080 SUPERをGPUに搭載し、ストレージに高速NVMe SSDを採用するなど、このクラスの高速CPUにマッチした、2020年上半期時点における最新ゲーミングPCとして相応しい基本パーツ構成のマシンとなっている。

 240Hzなどの高リフレッシュレート対応ゲーミングディスプレイと組み合わせて、最高速のゲーミング環境を構築したいというユーザーにオススメの1台だ。

[制作協力:TSUKUMO]