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27型/WQHDで普段使いも快適!ゲーミング液晶「GIGABYTE AORUS FI27Qシリーズ」の実力
165Hz/1msのIPSでHDR対応、高速高画質でG-SYNCにも対応 text by 芹澤 正芳
2020年5月15日 00:00
高リフレッシュレートのなめらかな描画と応答速度の高さでPCゲーマーにとっては必須アイテムの一つになりつつある「ゲーミング液晶」。最近では高輝度、高コントラストによる鮮やかな描画が魅力の「HDR」に対応する製品が増えている。
これは、バイオハザード RE:3やボーダーランス3などHDR対応ゲームが増えているのに加え、Amazon Prime VideoやNetflixなどの動画配信サービスでもHDRに対応するコンテンツが増加しており、ゲームにとどまらないトレンドを反映している。
一方で、多くのゲーミング液晶では、このHDRコンテンツへの対応が万全ではないことも少なくない。描画速度に優れることから多くのゲーミング液晶で採用されてきたTNパネルでは、パネルの特性から色域が広くないものが多く、HDR対応の製品でもHDRコンテンツ表示を十分には行なえないためだ。このことは、TNパネルのゲーミング液晶にHDRの標準規格「DisplayHDR」を満たすものがほとんどないことからも明らかだ。
しかし、その状況はIPSパネルの進化により変わりつつある。色域が広く、色の再現度が高いIPSパネルは高速表示を苦手としてきたが、技術の進歩により高リフレッシュレートへの対応が可能に。これにより、DisplayHDRに対応する高画質とゲームを快適にする高リフレッシュレートを両立する液晶が登場した、というわけである。
普段使いにも適した27型WQHDという選択
また、ゲーミング液晶と言っても、ほとんどの人はゲームプレイ専用ではなく、普段使うディスプレイとしての役割も兼ねるはずだ。
となれば、解像度はゲームをプレイするにはよいが、それ以外の作業領域が不足しがちなフルHD(1,920×1,080ドット)よりも、多くのウィンドウや複数のアプリを並べやすいWQHD(2,560×1,440ドット)を選びたい。高解像度イコール広いデスクトップとなり、普段使いの快適度が圧倒的に高くなるためだ。
そしてWQHDを選ぶなら、Windowsの表示スケーリング100%(拡大表示なし)でも多くの人が問題なく視認できると思われる27型をオススメしたい。
27型なら4K解像度のゲーミングディスプレイも視野に入ってくるが、4Kで高フレームレートを出すのは最高クラスのスペックを持つPCを用意しても厳しいほど。WQHD解像度で高リフレッシュレートの液晶が最新ゲームでも現実的な選択肢と言える。
このDisplayHDR準拠、IPSパネル、高リフレッシュレート、WQHD解像度、27型、という条件すべて満たすゲーミング液晶がGIGABYTEの「AORUS FI27Qシリーズ」だ。同社が“戦術的ゲーミングディスプレイ”と銘打った、その実力をチェックしていきたい。
DisplayPortのHBR3サポートでWQHD、165Hz、10bitカラーの同時使用を実現
AORUS FI27Qシリーズは、27型でWQHD解像度のゲーミング液晶。178度の広視野角を持つIPSパネルを採用し、10bitカラー(8bit+FRC)をサポート、主に映画撮影に用いられている色空間「DCI-P3」のカバー率95%、DisplayHDR 400対応と高い表示品質が特徴だ。
さらに、165Hzの高リフレッシュレート、1ms(MPRT)の応答速度と高速表示にも対応と、映像を見るのにもゲームをプレイするのにも最適と言えるスペックを持っている。
また、テアリング(画面ズレ)を防ぐAMDの「FreeSync Premium」とNVIDIAの「G-SYNC Compatible」の両方をサポートし、どちらでも同時にHDRコンテンツの表示が可能だ。
上位モデルのFI27Q-PではDisplayPortが32.4Gbpsの広帯域幅を持つバージョン1.4/HBR3(High Bit Rate 3)に対応しており、165Hzのリフレッシュレート、WQHD解像度、10bitカラーの同時使用が可能だ。
一般的な8bitカラーのディスプレイは各RGBが256階調で約1,677万色表示、一方10bit(8bit+FRC)カラーは、各RGBが1,024階調で約10億7,374万色表示が可能だ。2bitだけの違いと考える方もいるかもしれないが、色の表現力は格段に変わる。
10bitカラーはWindows 10のディスプレイ設定でHDRを有効にすると自動的に8bitから10bitへと切り換えられるほか、HDR無効で10bitカラーを使いたい場合は、ビデオカードにNVIDIA GeForceシリーズを使っているならNVIDIAコントロールパネルを開き、「解像度の変更」から「NVIDIAのカラー設定を使用」にチェックを入れ、「出力の色の深度」を「10bpc」に設定することで有効になる。
なお、FI27QではDisplayPortがバージョン1.2/HBR2仕様のため、10bit/HDR表示時はリフレッシュレートが制限される。
HDRに暗部補正、残像軽減とゲーマー向け機能がズラリ
ここからは実際のゲーミング液晶としての機能について検証してみたい。DisplayHDR 400規格を準拠しているため、もちろんHDR対応のゲームでは、より高輝度、高コントラストでプレイできる。
実際に「ボーダーランス3」や「ファークライ ニュードーン」、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」などでHDRをONにしてプレイしてみたが、明るい部分と暗い部分のメリハリがアップしたのが分かった。写真では若干分かりにくいが、空の明るさや建物に暗い部分に注目すれば違いが分かると思う。
ゲームプレイを快適にする機能は多数用意されているが、注目したいのは暗部を明るくする「ブラックイコライザー」だ。
この手の機能は、暗い部分は見やすくなるが、明るい部分は白飛びして逆に見えにくくなってしまうケースも少なからずある。FI27Qシリーズの場合、上位モデルのFI27Q-Pは画面を1,269分割して、それぞれ同時に調整する「ブラックイコライザー 2.0」を搭載。画面を細かく分割して調整するので、明るい部分はそのままに暗い部分だけをキッチリと明るくしてくれる。いくつかのゲームで実際に試して見たが、その効果は確かだ。暗い場所に隠れている敵を探しやすくなる。
なお、FI27Qでは「ブラックイコライザー 1.0」を搭載。2.0ほど細かな暗部補正機能は備えていないが、暗部を補正する機能を備えている。
また「エイムスタビライザー」にも注目したい。これは、フレーム間に赤色を挿入することで映像の残像感を軽減するというもの。同種の機能では黒を挿入するタイプのゲーミング液晶が多いが、本製品では赤色のフレームが挿入されている。
リフレッシュレート100Hz以上の設定で利用でき、フレーム間に挿入される赤色は人の目には認識できない。残像感を減らすのに有効な機能だが、画面全体に色を挿入するため明るさは少し下がる。
FreeSync Premium/NVIDIAのG-SYNC Compatibleと同時に利用はできないため、テアリングを軽減するか、残像感を軽減するかはプレイヤーしだい。好みやゲームタイトルに合わせて最適なものを選べる、ということが重要と言える。
高機能スタンドで使いやすさも◎ SNS映えする背面イルミネーションも搭載
ディスプレイの物理的な使い勝手や映像入力に関してもチェックしたい。
背面はハヤブサが獲物を狙いダイブするイメージをもとにデザインされており、ゲーミング液晶らしい力強さを感じさせるものだが、使い勝手にも優れている。
スタンドは、高さを13cmの間で調整でき、スイベル(-20度から+20度)、チルト(下方向-5度、上方向+21度)も備えている。ピボットもあるので、縦に回転も可能だ。
向きや角度を自分好みに調整しやすいのは、ボイスチャットやゲーム実況のためにWebカメラやマイクを設置する人にとって重要なポイント。普段使いやクリエイティブユースにおいても、疲労軽減や作業効率アップに繋がる。
また、背面にはRGB LEDも搭載されている。GIGABYTEの発光コントロール規格「RGB Fusion 2.0」に対応しており、対応アプリを使って発光色や発光パターンを自由に決められる。
さてここで、「待て、液晶の背面にLEDがあっても見えないでしょ」とつっこみたくなる方がいることは承知している。だが、こうした背面LEDは直接見せることよりも、壁に光を当ててPC周辺の雰囲気を出すために使うものと考えて欲しい。間接光なので落ち着いたインテリアとなるのだ。同規格対応のマザーボードやビデオカードと組み合わせて、SNS映えを狙うのもよいだろう。
映像の入力はHDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×2を備える。スピーカーは内蔵していないが、後述する独自機能「アクティブノイズキャンセリング2.0」対応のヘッドホン出力とマイク入力を搭載。このほか、USB 3.0対応のハブ(2ポート)も用意されている。
なお、PCとのUSB接続はハブのほか、アクティブノイズキャンセリング2.0やOSDサイドキックを利用するのにも必要だ。
ボイスチャットを快適にするアクティブノイズキャンセリング
ユニークながら実用的な機能が「アクティブノイズキャンセリング」だ。ボイスチャット時のマイク音声に乗る環境ノイズを消してくれるというもの。ディスプレイとPCをUSBで接続し、ディスプレイ側のマイク入力端子にマイクを接続することで有効になる。
具体的な仕組は、ディスプレイ中央の下部にある集音マイクでノイズを検出して打ち消すというものだ。実際に試してみたが、キーボードの打鍵音はかなり軽減された。ボイスチャットやゲーム実況でキーボードなどの操作音が入るのを防ぎたい、という用途にはピッタリと言える。
上位モデルのFI27Q-Pは「アクティブノイズキャンセリング2.0」を採用。2Vrms以上の出力、S/N最大120dbのヘッドホンアンプ出力を搭載し、最大600Ωの高インピーダンスのヘッドホンもサポート。高音質でゲームを楽しみながら、ノイズキャンセルも使える環境が整っている。もちろん、高音質なヘッドホンアンプ出力は映画視聴や音楽鑑賞にも向いている。
なお、FI27Qは「アクティブノイズキャンセリング1.0」を搭載。ノイズキャンセル機能はあるが、ヘッドホンアンプ出力はFI27Q-Pのほうが強力だ。
なお、ディスプレイに関する設定はディスプレイの下部にあるスティックで呼び出しと操作ができるOSDメニューからも行なえるが、OSDメニューをWindows上から操作できるアプリ「OSDサイドキック」が便利だ。
ブラックイコライザーやエイムスタビライザー、アクティブノイズキャンセリングのon/offはもちろん、PIP/PBPのON/OFFや表示位置、CPUやGPUの情報を表示するダッシュボードのON/OFFや表示位置、リフレッシュレート表示のON/OFFなどを、マウスで手軽に設定できる。
高画質と高速表示を両立、買い換え候補にしたい1台
同社が戦術的ゲーミングディスプレイと位置付けているだけに、ゲーミング液晶に求められている機能を揃え、しかもIPSパネルによる高画質も両立。これからゲーミング液晶の購入を考えている人はもちろん、TNパネルのゲーミング液晶からの買い換えにも有力な候補となってくれるはず。
AORUS FI27Qシリーズの2機種は、どちらもWQHD、165Hzのリフレッシュレート、IPSパネルを備えているが、機能の充実度を考えると上位モデルのFI27Q-Pをオススメしたい。
[制作協力:GIGABYTE Technology]