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「触覚フィードバック」で低音強化のヘッドセット「CORSAIR HS60 HAPTIC」を試してみた

豊かな重低音で臨場感を楽しめるUSB接続の有線ゲーミングモデル text by 白倉甲一

CORSAIR HS60 HAPTIC

 ゲーミングヘッドセットと言えば性質上低音が強めの物が多く、近年では一部の製品に「触覚フィードバック」と呼ばれる低音域に合わせてハウジング内で振動し、低音をよりいっそう強化する為の機構が組み込まれたものも現れている。

 FPS・TPSなどは音から状況を判断しなければならない事も多く、低音以外の音も重要なのだが、低音が弱すぎると壁越しの足音などが判別しづらくなったりするので、低音域が聞き取りやすいかどうかは勝敗に直接影響する。性能という面ではこだわるべきポイントだ。

 そんなゲームの勝敗に影響する低音域が強化ができる「触覚フィードバック機能」を備えた有線接続のUSBゲーミングヘッドセットがCORSAIRから登場した。モデルは「HS60 HAPTIC」で、店頭価格は税込16,390円。早速性能を試してみよう。

快適な装着感と派手すぎず地味すぎないデザインのゲーミングヘッドセット

 HS60 HAPTICは、楕円形のハウジングに迷彩柄、ヘッドバンド部分にも網目状のパターンが施されており、デザイン面でアクセントが付けられた外観になっている。形状などはオーソドックスなタイプながらも、全体が地味になりすぎないように配慮されたデザインだ。

楕円形のハウジングにマットな質感の迷彩柄プリントを施してある。金属部分は暗めのシルバーでカジュアルなデザインの割に雰囲気が軽くなりすぎないような配色になっている。
イヤーパッドやヘッドバンドのクッションは低反発素材を柔らかい合皮で包んでいて長時間使用でも疲れにくい。
触覚フィードバックの調節用ダイヤル。インジケーターが点灯している状態はオン、最小にするとオフで消灯。
ヘッドホン出力の音量調節ダイヤルとマイクミュートボタン。

 ヘッドホン部の性能は50mmの大型ネオジウムドライバを搭載し、周波数特性は20~20kHz、感度111dB (+/-3dB)、インピーダンス32Ω。接続方式はUSB有線接続でケーブル長は約1.8m。

バンド部分の根元が伸び縮みするタイプ。アルミニウム製でかなりしっかりした造りになっている。
ヘッドバンド部分には網目状のパターン、さりげないおしゃれの他耐久性にも貢献してくれそうだ。

 触覚フィードバックの機構が内蔵されている分、重量は約420gと有線接続のヘッドセットとしてはやや重たい部類だが、イヤーパッドやクッション部には低反発素材が使われており装着感にそれほど圧迫感は感じなかった。

 また、ヘッドバンド部分や各所にアルミニウム製の金属パーツが使用されており耐久性もばっちりだ。

付属のマイク、ウインドスクリーン。マイクブームはかなり自由に曲げられてピタッと止まるので位置調整がしやすい。
ウインドスクリーンを付けた状態、装着の影響で特に声が籠もったりと言ったことは感じなかった。
マイク部分は着脱可能で差し込み口にはカバーもついているのでマイクなしのヘッドホンとして運用する事も可能。

 マイクは単一指向性で着脱可能。周波数特性100~10kHz、感度-40dB (+/-3dB)に加えノイズキャンセリング機能にも対応。無言時のメカニカルキーボードの打鍵音などを気にせずボイスチャットを楽しむことができる。

 付属のウインドスクリーンは、試した限りでは音質に大きな影響は出なかったので、マイクに吹きかかる息が気になる人は積極的に利用できる。

低音域をより豊かに、迫力のあるサウンドを体感出来る触覚フィードバック

Taction Technology社製の触覚フィードバックを搭載。ハプティックエフェクトと呼ばれる低音域の強調機能が特徴で、HS60 HAPTICは他のハプティックヘッドセットと比較しても低~中音域にかけてより豊かな音域表現が可能になっている。

 ゲーミングヘッドセットにおける「触覚フィードバック」とは、ハウジング内に搭載されたタクタイルフィードバックが低音域に合わせて振動する事で皮膚感覚に作用し、低音をより迫力のある物にする機能の事だ。

 振動と言ってもコントローラーに搭載された振動機構のように、ダメージ描写などの表現で振動が伝わるような直接的なものではなく、重低音での空気の揺れを再現したようなもので役割としてはサブウーファーに近いものである。

 今回のHS60 HAPTICにはTaction Technology社の触覚フィードバック機構が搭載されており「20~80Hz」の低音域が特に強化されている。

爆発音や破砕音が聞き取りやすい!エーペックスレジェンズの臨場感もアップ

 触覚フィードバックを強めに設定して「エーペックスレジェンズ」で数戦試してみたところ、特に爆発音や破砕音などでの効果がわかりやすく、例えばアドベンチャーゲームのムービーシーンなどにはもってこいの機能だ。臨場感が増すと言う意味ではゲームのみならず映画鑑賞などでも活躍が期待できる。

ゲーム展開の速さが人気のバトルロイヤルFPS「エーペックスレジェンズ」3人1組でチームを組み様々なキャラクターの固有スキルを駆使しチャンピオンを目指す。
HS60 HAPTICは低音重視のヘッドセットではあるものの、高~中音も出ており、定位感もしっかりしているので初動の乱戦などでも敵の位置はきっちりと判別できた。

 映像を楽しむという点では触覚フィードバックの効果を最大にして使いたいところだが、音を聞き分けて状況を判断しなければならないゲーム中では、出力を強くしすぎると爆発音に他の音がかき消されてしまい、他の音が判別しづらくなってしまう状況もあるだろう。

 HS60 HAPTICは、イヤーカップについているダイヤルを回すだけで触覚フィードバックの強弱を簡単に変更する事ができるので、ゲームプレイ時の状況に合わせて音が聞き取りやすい状態に調節しよう。

マイクはクリアな音質、エーペックスレジェンズで有利に立ち回る

 マイクの性能の方だが、Discordで通話を試してみたところ、音質はクリアな印象。ノイズキャンセリングの効果もあり、メカニカルキーボードで本格的にプレイしてもさほど打鍵感が邪魔に入ってくることも無く、スムーズに会話することができた。

HS60 HAPTICは人気のボイスチャットツールDiscordの認定を取得済み。
ボイスチャットで味方との連携を取りつつ試合を優位に進め、無事にチャンピオン獲得することができた。

 エーペックスレジェンズのように、チーム行動が重要なゲームではプレイヤー同士で意思疎通をとることが大事だ。マップ移動や敵への集中砲火タイミングなど、連携の良し悪しが勝敗に直結する。声がクリアに聞こえるかどうかいった性能部分は妥協したくないプレイヤーも多いことだろう。

音質の細かい調整はユーティリティ「iCUE」から調整可能

 HS60 HAPTICは、音量や触覚フィードバックの調整、マイクのミュートなど、メインの機能はハードウェア側のダイヤルやボタンで調節可能だ。こうしたタイプのモデルは操作がわかりやすく、初心者にもおすすめしやすい。さらに細かく音質を調整したいといった場合は、CORSAIRの統合ユーティリティ「iCUE」を使用して好みの設定を作り込むことができる。

イコライザは用意された5種類の他にもカスタムプリセットを作成することも可能だ。
立体音響の項目では無料の「Windows Sonic for Headphones」が選べる。MicrosoftストアからDolbyやDTSを購入し追加する事も可能。
イコライザの調整の他、プロファイルの作成やソフトウェアとの紐付け、マイク音量、トークバックなどの設定が可能。
マイクミュート時などに音声案内が流れるようになっている。離席から戻る際などのミュート解除忘れなどの対策になるが、音量がシステムに依存するのでうるさく感じる場合はソフトウェア上からオフにすることもできる。

 「iCUE」からは、イコライザの設定、マイク音量、トークバック機能、音声案内のオンオフなどをこだわりに合わせて変更する事ができる。サイドトーンをオンにすることでリアルタイムに自分の声を確認できるのもマイク設定を調整する上でなかなか便利な機能だ。

 また、HS60 HAPTICにはドライバ側で用意されたサラウンド機能はないが、Windows10標準機能の立体音響をサポートしているので、必要に応じてサウンドの設定内から立体音響の項目をオンにしよう。

臨場感満点の重低音を楽しめるゲーミングヘッドセット

 HS60 HAPTICは売りである重低音の豊かさを存分に発揮したゲーミングヘッドセットだ。

 低音寄りに特性が尖っている分、音の感じ方に個人差が出るところではあるが、ゲームの臨場感を楽しみたいのであればこのモデル選んでおけば間違いなく迫力あるサウンドを体験できる。

 「触覚フィードバック」という一風変わった機能が備わっていることに目が行きがちだが、シンプルなデザインに抑えつつもハードウェア側に調節機能などを盛り込み、煩雑になりがちなソフトウェア設定を最小限に抑えられるように配慮されている点を見ると、しっかりと練り込まれたヘッドセットだというのが感じられるのではないだろうか。

[制作協力:CORSAIR]