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PCパーツ界にゴジラ上陸警報!ルックスも性能も怪獣級だ!!! MSI「GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLA」

MSI最強の冷却性能を持つクーラーを装備した強OCカードが異色のコラボ text by 芹澤 正芳

MSIの「GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLA」。実売価格は11万円前後

 MSIからあの大怪獣“ゴジラ”とのコラボレーションする異色のビデオカード「GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLA」が登場した。国内1,000台のみの限定モデルだ。ゴジラを意識したカラーリングは個性的で力強く、所有欲をそそられるが、仕様面もパワフル。高OC設定かつ大型3連ファンによる強烈な冷却力もあり、純粋なビデオカードとしても高い完成度を持っている。今回はそのデザイン、性能の両面に迫ってみたいと思う。

 ゴジラとのコラボとのことで、時期的には映画「ゴジラvsコング」を想像するが、この作品とのコラボ製品というわけではない。また、「ゴジラ〇周年!」といった記念碑的な存在でもない。MSIの日本市場のマーケティング担当がゴジラの熱烈なファンということであり、同担当の“ゴジラコラボPCパーツを実現したい”との思いが起点だという。映画のプロモーション企画ではなく、MSI側の熱烈なゴジラ愛の結晶というわけだ。

いつものドラゴンロゴに加えて「ゴジラ」ロゴ!
バックプレートには炎をまとったゴジラの姿が!!
ゴジラの迫力が伝わるパッケージ。恐竜っぽいハリウッド版ではなく、まさに怪獣と言える日本版なのがナイスだ

デザインも仕様も強力!日本が誇る大怪獣“ゴジラ”の名は伊達ではない!!

 迫力十分のパッケージとカードデザインが強烈だが、MSIのビデオカード最上位に与えられる“SUPRIM”の名を冠するだけあってスペックもパワフル。「GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLA」は、GPUにマイニング性能が制限されるLHR版のGeForce RTX 3070を搭載。クーラーのデザインから、同社の「GeForce RTX 3070 SUPRIM 8G」がベースになっている。ブーストクロックはデフォルト設定で1,770MHz、アプリによるExtreme Performanceモードで1,785MHzまで向上できる強力なOC仕様だ(RTX 3070の定格ブーストクロックは1,730MHz)。メモリバス幅は256bitで、GDDR6 8GBのビデオメモリを搭載する。

GPUにはLHR版のGeForce RTX 3070を採用
GPU-Zの画面。標準でブーストクロックが定格の1,730MHzから1,770MHzまでOCされている

 次はデザインをチェックしよう。デザインは、1995年に公開された東宝の映画「ゴジラvsデストロイア」に登場の体が赤い通称「バーニングゴジラ」を彷彿とさせるもの。それに合わせてカード全体もメタリックレッドに仕上げており、これが非常にカッコイイ。今までのMSIのビデオカードの流れを引き継ぎつつも、スペシャル感のある独特の仕上げになっており、SNS映えする個性的なPCを自作したい人にも向いていると思うほど。バックプレートは全面メタリックレッドで、力強いゴジラのロゴとイラスト入り。熱烈なゴジラファンではなくても、欲しくなるデザインだ。

中央部分がメタリックレッドの仕上げ。“SUPRIM”だけあってクーラーは巨大だ
バックプレートは全面メタリックレッド。ゴジラのイラストが力強さを感じさせる

 このほか、標準付属のPCケース内でビデオカードを支えるサポートステイやマウスパッドもゴジラのロゴ入りというこだわりよう。この辺りはファングッズとしてうれしいところだろう。

ビデオカードを支えるサポートステイにもゴジラのロゴが入っている
ゴジラの足跡とロゴが入った渋い雰囲気のマウスパッドも付属する

 ビデオカードとしてのハードウェア面を見ていこう。カード長は3連ファンということもあり、33.5cmとかなり大型だ。厚みも3スロット分を占有する。3基のファンは一対のブレードを外輪部で接合させることで風を集中させやすくする「トルクスファン 4.0」を採用、気流を分割してノイズを最小限にする「Wave-curved 2.0」フィン、ヒートパイプを四角形に加工することでGPUとの設置面積を増やす「Core Pipe」などで構成される冷却システム「TRI FROZR 2S」によって、高い冷却力を備えている。

サイズ感の比較用にATXマザーボードに取り付けてみた。カード長は33.5cmあるため、PCケース側の対応も忘れず確認しておきたい
フィンを一対ずつ外輪部で接合させることで風を集中させる「トルクスファン 4.0」を搭載
バックパネルにはMSIロゴもある。背面からファンからの風が抜けるフロースルー構造も採用
7本のヒートパイプを備える大型のヒートシンクを採用。メモリや電源回路部分にはサーマルパッドも貼られている

 電源回路は11フェーズと強力だ。同社のRTX 3070搭載カードの「GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」が10フェーズなので、さすがハイエンドモデルと言うところ。補助電源は8ピン×2で消費電力は240W、推奨電源は750Wだ。ディスプレイ出力はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1。上部には、BIOSの切り換えスイッチがあり、静音性重視の「SILENT」とパフォーマンス重視の「GAMING」モードの2種類がある。どちらのモードでもブートスクロックは変わらず、1,770MHzだ。

スペシャルなスペックのカードながら、基板は意外にシンプル(写真左)。ヒートシンクと基板のサイズを比較すると(写真右)、ヒートシンクのほうがかなり長い
補助電源は8ピン×2。コネクタの周囲はスッキリしていてケーブルは挿しやすい
上部には静音性重視の「SILENT」とパフォーマンス重視の「GAMING」のBIOS切り換えスイッチを用意
LEDはファンの中央部に2カ所と上部、背面のMSIロゴに搭載。メタリックレッドのカラーと相まって渋さを醸し出してくれる
総合ユーティリティの「MSI Center」で発光パターンや色を調整可能だ

ベンチマークではOC版RTX 3070カードとして高い性能と冷却力を発揮

 さて、ここからはベンチマークに移ろう。比較対象として、同社のRTX 3070カードの「GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」を用意した。こちらは2連ファンでブーストクロックは1,755MHz。モデルによる性能や冷却力の違いに注目してほしい。なお、Resizable BARはすべて有効にした状態でテストを行なっている。テスト環境は以下のとおりだ。

CPUAMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド)
マザーボードMSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570)
メモリMicron Crucial Ballistix RGB BL2K8G36C16U4BL
(PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2)※PC4-25600で動作
システムSSD2.5インチ SSD(Serial ATA 3.0、1TB)
データSSDM.2 SSD(PCI Express 4.0 x4、1TB)
CPUクーラー簡易水冷クーラー(28cmクラス)
電源Super Flower LEADEX V G130X 1000W
(1,000W、80PLUS Gold)
OSWindows 10 Pro 64bit版

 まずは定番3Dベンチマークの「3DMark」から見ていこう。GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAは、BIOSの切り換えスイッチを「GAMING」にした場合(ブーストクロック1,770MHz)と、MSI CenterでExtreme Performanceモードに切り換えてブーストクロックを1,785MHzに向上させた場合の2パターンを試した。

総合アプリの「MSI Center」でExtreme Performanceモードに切り換えできる
Extreme Performanceモードにするとブーストクロックが1,785MHzまで向上

 同じGPUなのでスコアに大きな違いは出ていないが、それでもキッチリとブーストクロックが高いほどスコアも伸びている。少しでも性能を引き出したいなら、Extreme Performanceモードに切り換えるべきだろう。

3DMarkの計測結果

 次に消費電力をチェックする。ラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用してシステム全体の消費電力を測定。OS起動10分後をアイドル時、3DMark-Time Spyデモモード実行時の最大値を3DMark時とした。

消費電力の計測結果

 動作クロックが高いだけあり、GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAがGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCを上回った。続いてカード単体の消費電力も確認する。サイバーパンク2077を20分間動作させ、モニタリングアプリの「HWiNFO64」の「GPU Power」の項目を追った結果だ。

ビデオカード単体消費電力の計測結果

 注目はGeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAのGAMINGモードだろう。ブーストクロックではExtreme Performanceモードよりも低くなるが、消費電力は多くの場面で上回っている。細かくチェックしてみると、GAMINGモードのほうがなぜかファンの回転数が若干高くなる傾向にあり、それが消費電力の増加につながっていると予測される。

 続いて実ゲームでの性能をチェックしていこう。ここからは、GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAをExtreme Performanceモードで動作させたときの結果を掲載する。まずは人気のバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」から、ソロプレイのリプレイデータを再生した際のフレームレートをCapFrameXで測定した。レイトレーシングを無効時、有効時のそれぞれを試している。

フォートナイトの計測結果
フォートナイト(DXR有効時)の計測結果

 レイトレーシングを使わなければ、最高画質でも4K解像度でなんとかプレイ可能。WQHDならほぼ快適、フルHDなら144Hzなど高リフレッシュレート液晶も活かせるフレームレートを出せる。その一方でフォートナイトは相変わらずレイトレーシングが重いタイトルだ。負荷軽減のDLSSを有効にしてもフルHDでようやく平均60fpsを超える。フルHDならレイトレーシングの美麗なグラフィックスを堪能しながら、十分プレイできるとも言える。

 続いて、レイトレーシング対応としてリメイクされた名作アドベンチャーゲーム「MYST 2021」を試して見よう。マップ内の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定した。

MYST(2021年版)の計測結果

 このゲームならレイトレーシングを有効にし、最高画質にしても4K解像度で快適に楽しめる。リメイク版ではMYSTの世界を自由に歩き回れる。美麗で不思議な世界を4K解像度で存分に楽しめるのはうれしいところだ。

 続いて、中~重量級ゲームとして「バイオハザード ヴィレッジ」と「サイバーパンク2077」をチェックする。「バイオハザード ヴィレッジ」はマップ内の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定した。、「サイバーパンク2077」は街の中で一定の動作をした際のフレームレートをCapFrameXで測定した。いずれもレイトレーシングは有効にしている。

バイオハザード ヴィレッジの計測結果
サイバーパンク2077の計測結果

 バイオハザード ヴィレッジは画質を最高、レイトレーシング関連の設定もすべて最高にしても4Kで平均60fps以上を達成。このビデオカードなら性能不足を感じることはないだろう。サイバーパンク2077はさすがに重量級ゲームだけあって、最高画質ではDLSSを有効にしても4Kでのプレイは厳しい。WQHDでやっと平均60fpsを達成できる。

高負荷時でもしっかり冷える強力なクーラー

 ゲームプレイ時のGPUクロックと温度の推移をチェックしていこう。サイバーパンク2077を20分間プレイしたときのGPUクロックと温度をモニタリングアプリの「HWiNFO64」で測定した。

GPU温度の推移
GPUクロックの推移

 温度は大型クーラーの威力がハッキリと分かる結果だ。GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAよりもブーストクロックが低いGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCが約69℃で推移しているのに対し、Extreme Performanceモードでも約64℃、GAMINGモードなら約62℃で推移と圧倒的に冷えている。長時間のゲームプレイでも安心だ。クロックに関しては、Extreme Performanceモードが1,920MHz~1,935MHz、GAMINGモードが1,890MHz~1,905MHzで推移、GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCは1,815MHz~1845MHzで推移となった。

イーサリウムのマイニングは制限される

 最後にGeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAはマイニング制限のあるLHR版ということもあり、制限のないGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCとイーサリウムのハッシュレートがどこまで変わるかチェックしてみよう。アプリはNanominer 3.3.8 CUDA11を使ってイーサリウムをマイニングしている。

マイニング ハッシュレートの計測結果

 GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCに対して約35%ハッシュレートが減少と確かに制限されているのが確認できた。LHR版はハッシュレートが半分程度に制限されるとしているが、GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAとGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCでは設計もブーストクロックが異なるので、参考結果として考えてほしい。

見た目だけじゃない! 性能も冷却力もゴジラ級のカード

 GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAはゴジラとのコラボが目を引くビデオカードだ。確かに、カラーリングは個性的でゴジラの力強いイラストも所有欲をそそるが、OC動作による高い性能と大型クーラーによる確かな冷却力も大きな強み。ゴジラ好きだけではなく、高性能なRTX 3070カードを求める人にもオススメしたい1枚だ。

[制作協力:MSI]