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PCパーツ界にゴジラ上陸警報!ルックスも性能も怪獣級だ!!! MSI「GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLA」
MSI最強の冷却性能を持つクーラーを装備した強OCカードが異色のコラボ text by 芹澤 正芳
2021年9月21日 00:00
MSIからあの大怪獣“ゴジラ”とのコラボレーションする異色のビデオカード「GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLA」が登場した。国内1,000台のみの限定モデルだ。ゴジラを意識したカラーリングは個性的で力強く、所有欲をそそられるが、仕様面もパワフル。高OC設定かつ大型3連ファンによる強烈な冷却力もあり、純粋なビデオカードとしても高い完成度を持っている。今回はそのデザイン、性能の両面に迫ってみたいと思う。
ゴジラとのコラボとのことで、時期的には映画「ゴジラvsコング」を想像するが、この作品とのコラボ製品というわけではない。また、「ゴジラ〇周年!」といった記念碑的な存在でもない。MSIの日本市場のマーケティング担当がゴジラの熱烈なファンということであり、同担当の“ゴジラコラボPCパーツを実現したい”との思いが起点だという。映画のプロモーション企画ではなく、MSI側の熱烈なゴジラ愛の結晶というわけだ。
デザインも仕様も強力!日本が誇る大怪獣“ゴジラ”の名は伊達ではない!!
迫力十分のパッケージとカードデザインが強烈だが、MSIのビデオカード最上位に与えられる“SUPRIM”の名を冠するだけあってスペックもパワフル。「GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLA」は、GPUにマイニング性能が制限されるLHR版のGeForce RTX 3070を搭載。クーラーのデザインから、同社の「GeForce RTX 3070 SUPRIM 8G」がベースになっている。ブーストクロックはデフォルト設定で1,770MHz、アプリによるExtreme Performanceモードで1,785MHzまで向上できる強力なOC仕様だ(RTX 3070の定格ブーストクロックは1,730MHz)。メモリバス幅は256bitで、GDDR6 8GBのビデオメモリを搭載する。
次はデザインをチェックしよう。デザインは、1995年に公開された東宝の映画「ゴジラvsデストロイア」に登場の体が赤い通称「バーニングゴジラ」を彷彿とさせるもの。それに合わせてカード全体もメタリックレッドに仕上げており、これが非常にカッコイイ。今までのMSIのビデオカードの流れを引き継ぎつつも、スペシャル感のある独特の仕上げになっており、SNS映えする個性的なPCを自作したい人にも向いていると思うほど。バックプレートは全面メタリックレッドで、力強いゴジラのロゴとイラスト入り。熱烈なゴジラファンではなくても、欲しくなるデザインだ。
このほか、標準付属のPCケース内でビデオカードを支えるサポートステイやマウスパッドもゴジラのロゴ入りというこだわりよう。この辺りはファングッズとしてうれしいところだろう。
ビデオカードとしてのハードウェア面を見ていこう。カード長は3連ファンということもあり、33.5cmとかなり大型だ。厚みも3スロット分を占有する。3基のファンは一対のブレードを外輪部で接合させることで風を集中させやすくする「トルクスファン 4.0」を採用、気流を分割してノイズを最小限にする「Wave-curved 2.0」フィン、ヒートパイプを四角形に加工することでGPUとの設置面積を増やす「Core Pipe」などで構成される冷却システム「TRI FROZR 2S」によって、高い冷却力を備えている。
電源回路は11フェーズと強力だ。同社のRTX 3070搭載カードの「GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」が10フェーズなので、さすがハイエンドモデルと言うところ。補助電源は8ピン×2で消費電力は240W、推奨電源は750Wだ。ディスプレイ出力はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1。上部には、BIOSの切り換えスイッチがあり、静音性重視の「SILENT」とパフォーマンス重視の「GAMING」モードの2種類がある。どちらのモードでもブートスクロックは変わらず、1,770MHzだ。
ベンチマークではOC版RTX 3070カードとして高い性能と冷却力を発揮
さて、ここからはベンチマークに移ろう。比較対象として、同社のRTX 3070カードの「GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」を用意した。こちらは2連ファンでブーストクロックは1,755MHz。モデルによる性能や冷却力の違いに注目してほしい。なお、Resizable BARはすべて有効にした状態でテストを行なっている。テスト環境は以下のとおりだ。
CPU | AMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570) |
メモリ | Micron Crucial Ballistix RGB BL2K8G36C16U4BL (PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2)※PC4-25600で動作 |
システムSSD | 2.5インチ SSD(Serial ATA 3.0、1TB) |
データSSD | M.2 SSD(PCI Express 4.0 x4、1TB) |
CPUクーラー | 簡易水冷クーラー(28cmクラス) |
電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W (1,000W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
まずは定番3Dベンチマークの「3DMark」から見ていこう。GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAは、BIOSの切り換えスイッチを「GAMING」にした場合(ブーストクロック1,770MHz)と、MSI CenterでExtreme Performanceモードに切り換えてブーストクロックを1,785MHzに向上させた場合の2パターンを試した。
同じGPUなのでスコアに大きな違いは出ていないが、それでもキッチリとブーストクロックが高いほどスコアも伸びている。少しでも性能を引き出したいなら、Extreme Performanceモードに切り換えるべきだろう。
次に消費電力をチェックする。ラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用してシステム全体の消費電力を測定。OS起動10分後をアイドル時、3DMark-Time Spyデモモード実行時の最大値を3DMark時とした。
動作クロックが高いだけあり、GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAがGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCを上回った。続いてカード単体の消費電力も確認する。サイバーパンク2077を20分間動作させ、モニタリングアプリの「HWiNFO64」の「GPU Power」の項目を追った結果だ。
注目はGeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAのGAMINGモードだろう。ブーストクロックではExtreme Performanceモードよりも低くなるが、消費電力は多くの場面で上回っている。細かくチェックしてみると、GAMINGモードのほうがなぜかファンの回転数が若干高くなる傾向にあり、それが消費電力の増加につながっていると予測される。
続いて実ゲームでの性能をチェックしていこう。ここからは、GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAをExtreme Performanceモードで動作させたときの結果を掲載する。まずは人気のバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」から、ソロプレイのリプレイデータを再生した際のフレームレートをCapFrameXで測定した。レイトレーシングを無効時、有効時のそれぞれを試している。
レイトレーシングを使わなければ、最高画質でも4K解像度でなんとかプレイ可能。WQHDならほぼ快適、フルHDなら144Hzなど高リフレッシュレート液晶も活かせるフレームレートを出せる。その一方でフォートナイトは相変わらずレイトレーシングが重いタイトルだ。負荷軽減のDLSSを有効にしてもフルHDでようやく平均60fpsを超える。フルHDならレイトレーシングの美麗なグラフィックスを堪能しながら、十分プレイできるとも言える。
続いて、レイトレーシング対応としてリメイクされた名作アドベンチャーゲーム「MYST 2021」を試して見よう。マップ内の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定した。
このゲームならレイトレーシングを有効にし、最高画質にしても4K解像度で快適に楽しめる。リメイク版ではMYSTの世界を自由に歩き回れる。美麗で不思議な世界を4K解像度で存分に楽しめるのはうれしいところだ。
続いて、中~重量級ゲームとして「バイオハザード ヴィレッジ」と「サイバーパンク2077」をチェックする。「バイオハザード ヴィレッジ」はマップ内の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定した。、「サイバーパンク2077」は街の中で一定の動作をした際のフレームレートをCapFrameXで測定した。いずれもレイトレーシングは有効にしている。
バイオハザード ヴィレッジは画質を最高、レイトレーシング関連の設定もすべて最高にしても4Kで平均60fps以上を達成。このビデオカードなら性能不足を感じることはないだろう。サイバーパンク2077はさすがに重量級ゲームだけあって、最高画質ではDLSSを有効にしても4Kでのプレイは厳しい。WQHDでやっと平均60fpsを達成できる。
高負荷時でもしっかり冷える強力なクーラー
ゲームプレイ時のGPUクロックと温度の推移をチェックしていこう。サイバーパンク2077を20分間プレイしたときのGPUクロックと温度をモニタリングアプリの「HWiNFO64」で測定した。
温度は大型クーラーの威力がハッキリと分かる結果だ。GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAよりもブーストクロックが低いGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCが約69℃で推移しているのに対し、Extreme Performanceモードでも約64℃、GAMINGモードなら約62℃で推移と圧倒的に冷えている。長時間のゲームプレイでも安心だ。クロックに関しては、Extreme Performanceモードが1,920MHz~1,935MHz、GAMINGモードが1,890MHz~1,905MHzで推移、GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCは1,815MHz~1845MHzで推移となった。
イーサリウムのマイニングは制限される
最後にGeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAはマイニング制限のあるLHR版ということもあり、制限のないGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCとイーサリウムのハッシュレートがどこまで変わるかチェックしてみよう。アプリはNanominer 3.3.8 CUDA11を使ってイーサリウムをマイニングしている。
GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCに対して約35%ハッシュレートが減少と確かに制限されているのが確認できた。LHR版はハッシュレートが半分程度に制限されるとしているが、GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAとGeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCでは設計もブーストクロックが異なるので、参考結果として考えてほしい。
見た目だけじゃない! 性能も冷却力もゴジラ級のカード
GeForce RTX 3070 SUPRIM SE 8G LHR x GODZILLAはゴジラとのコラボが目を引くビデオカードだ。確かに、カラーリングは個性的でゴジラの力強いイラストも所有欲をそそるが、OC動作による高い性能と大型クーラーによる確かな冷却力も大きな強み。ゴジラ好きだけではなく、高性能なRTX 3070カードを求める人にもオススメしたい1枚だ。
[制作協力:MSI]