特集、その他
PlayStation 5にM.2 SSDを増設!内蔵SSDとロード時間に差があるのか試してみた
SSDの増設は簡単、CFD販売の7GB/s SSDを追加搭載 text by 佐藤岳大
2021年9月18日 00:00
「PlayStation 5」のシステムソフトウェアアップデートが実施され、待望のM.2 NVMe SSDの増設機能が解禁された。
公式の動画でM.2 SSDの増設方法が紹介されているが、今回は自作PC向けに販売されているCFD販売のPCIe 4.0 SSD「CFD PG4VNZシリーズ」の1TBを使い、増設方法と本体内蔵SSDとの性能差があるのかを確認してみよう。
PlayStation 5で使えるM.2 SSDの要件とは?ヒートシンクの厚みに注意!
増設可能なSSDに関しては、公式サイトで要件が詳しく紹介されているが、PlayStation 5で利用できるSSDについて簡単に確認していこう。
まず最初に、M.2規格のNVMe SSDであることが必須条件。接続インターフェイスはPCIe Gen4 x4で、容量は250GB~4TBまで。ソケットはKey M(Socket 3)のため、SATA接続SSDは利用できない。SSDの長さは2230/2242/2260/22110規格に対応している。推奨転送速度は「シーケンシャルリード5,500MB/s以上」とされているため、相応の性能のSSDを用意しよう。
また、キャッシュ用のDRAMをSSDに搭載せずシステム側のメモリを利用する「HMB (Host Memory Buffer)」技術を採用した製品は、サポートページにてPlayStation 5はHMB非対応と明記されているため、避けた方が良いだろう。
1つポイントとなるのが「ヒートシンクなどの放熱構造が必要」とされている点。PlayStation 5のSSD増設用のスペースはコンパクトなため、搭載SSDのサイズに制約があることは注意したい。
装着可能なSSDは、ヒートシンクを装着した状態で110×25×11.25mm未満(長さ×幅×厚み)となっているので、このサイズをオーバーしたSSDは搭載できない。特に気にしたいのは11.25mmという厚みの要件で、SSDの裏面から2.45mm/表面から8mmまでという制約がある。
デスクトップPC向けに販売されているSSDはヒートシンクを装着しているものも多いが、全高11.25mm未満のヒートシンク搭載SSDというのは案外少ないので、SSDやヒートシンクを選ぶ際は十分にサイズを確認してからにしよう。
今回の検証では、ヒートシンク非搭載のSSDと、要件を満たしているヒートシンクを別途用意する形で進めていく。
PCIe 4.0の高速NVMe SSD「CSSD-PG4VNZ」をPS5に増設
今回用意したSSDは、CFD販売のゲーミング向け高速NVMe SSD「CSSD-PG4VNZシリーズ」の1TBモデル「CSSD-M2M1TPG4VNZ」だ。
PG4VNZシリーズはPCIe 4.0 x4に対応した高速SSDで、NVMeコントローラーにはPhison「PS5018-E18」、NANDフラッシュにはMicron製の3D TLC NAND(B27B)を採用する。
キャッシュメモリとしてDDR4メモリも備えており、シーケンシャルリード最大7,000MB/s、ランダムリード最大65万IOPSの高速なデータ転送が可能となっている。
CSSD-PG4VNZシリーズは500GBから2TBまで3製品がラインナップされているので、PlayStation 5への増設用途で購入する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
CSSD-PG4VNZシリーズ | |||
---|---|---|---|
容量 | 2TB | 1TB | 500GB |
型番 | CSSD-M2M2TPG4VNZ | CSSD-M2M1TPG4VNZ | CSSD-M2M5GPG4VNZ |
NANDフラッシュ | Micron 3D TLC NAND (B27B) | ||
コントローラー | Phison PS5018-E18 | ||
キャッシュメモリ | DDR4 2GB | DDR4 1GB | DDR4 512MB |
シーケンシャルリード | 7,000 MB/s | 6,500 MB/s | |
シーケンシャルライト | 6,850 MB/s | 5,500 MB/s | 2,850 MB/s |
ランダムリード | 650,000 IOPS | 350,000 IOPS | 170,000 IOPS |
ランダムライト | 700,000 IOPS | 600,000 IOPS | |
インターフェース | PCI Express 4.0 x4 | ||
フォームファクター | M.2-2280 両面実装 | ||
耐久性 (TBW) | 1,400 | 700 | 350 |
製品保証 | 5 年 |
購入したSSDがメーカー最新のファームウェアではなかった場合、PCで最新版にアップデートしてからPlayStation 5に装着しよう。安定性の向上が図られたり、より性能が発揮しやすく改良されていることが多いので、なるべく最新版のファームウェアに更新してから使用することをおすすめしたい。
今回使用しているCFD販売のCFD PG4VNZシリーズであれば、製品の公式サイトからファームウェア更新用のユーティリティがダウンロードかのうで、Windows上から更新できる。
高性能熱伝導シートが付属したM.2 SSDヒートシンクThermal Grizzly「TG-M2SSD-ABR」
SSDに搭載するヒートシンクは、Thermal GrizzlyのM.2 SSD用ヒートシンク「TG-M2SSD-ABR」を用意した。M.2 2280サイズのSSDに対応し、SSDを上下から挟み込む両面タイプのヒートシンクとなっている。
熱伝導シートとして、8W/m・Kの伝導率を謳う同社の「minus pad8」が付属しており、PCへの組み込みで十分な冷却性能を発揮している実績のある製品だ。熱伝導シートは1mmと0.5mm厚の2枚が付属し、SSDの両面を冷却をアシストしてくれる。
SSD組み込み時のサイズは約75×24×10mmで、今回のPlayStation 5搭載への要件もクリアしている。
なお、CFD販売からはPlayStation 5に搭載可能なサイズのM.2 SSD用ヒートシンク「HSN-TITAN」を10月に販売すると告知が出ているので、CFD販売のSSDを使用するのであれば、こちらとの組み合わせも検討したい。
M.2 SSDへのヒートシンク装着はツールレスの簡単作業
ここからは、実際にSSDへ取り付ける手順を紹介しよう。
まずは熱伝導シートの保護フィルムを剥がして、SSDの裏面に貼り付ける。厚みが異なる2枚のうち、薄いものが裏面への貼り付け用だ。
SSDへ貼り付けたら青い保護フィルムを剥がす。ある程度の粘着性はあるが、シールほど強くないため、剥がれないように気をつけよう。
保護フィルムを剥がしたら、ヒートシンク本体(ケース側)と位置を合わせて載せよう。軽く押して圧着したら、SSD表面に厚みのある方の熱伝導シートを貼り付けよう。
最後に、表面側のヒートシンクを位置を合わせてSSDと熱伝導シートを挟むように載せたら作業完了だ。しっかりケース側のツメで固定されていることを確認しよう。
PlayStation 5へのM.2 SSD増設はかなり手軽ノートPCのSSD換装より簡単な初心者にも優しい親切設計
ヒートシンクをSSDに取り付けたら、PlayStation 5にSSDを増設していこう。
まずはPlayStation 5の外装パネルを取り外していく。PlayStationロゴが無く、横置き時に底面側のパネルが取り外すパネルだ。通常モデルではBDドライブ側のパネルとなる。
外し方はパネルの端を持ち上げて、スライドさせれば簡単に外すことが出来る。より詳細な取り外し方については、ソニー公式のM.2 SSD装着方法の動画を参考にするとわかりやすい。
パネルを外すと金属製のM.2スロットカバーにアクセスできる。ネジ1本で固定されているので、プラスドライバーで取り外そう。
カバーを外すとM.2スロットが見えるはずだ。スロット内にはSSD固定用のネジも用意されているため、別途用意する必要はない。
SSD固定用ネジを外したら、スロットに先程ヒートシンクを取り付けたCSSD-M2M1TPG4VNZを取り付けていこう。このとき、M.2スロットにしっかりとSSDが装着されているかを確認するのがポイントだ。
SSDを取り付けたら、固定用ネジを戻してSSDを固定する。しっかり固定したら、金属カバーをもどしてネジ止めしよう。
最後に外装パネルをもとに戻せば作業は完了だ。全体を通してコツが必要なポイントもないため、増設作業は5分もかからず終えることができた。
内蔵SSDと増設SSDでロード時間に違いは生まれるのか?SIEワールドワイド・スタジオ開発のゲームで検証
増設を終えたところで、増設の効果のほどを見てみよう。
実際にゲームでの変化を検証するため、今回は『Marvel's Spider-Man: Miles Morales』と『Ghost of Tsushima Director's Cut』のPlayStation 5版をそれぞれ用意した。
いずれもSIEワールドワイド・スタジオの開発タイトルのため、PlayStation 5の内蔵ストレージへ最適化されたロード時間が期待できる。内蔵SSDと増設SSDの違いを見るのに適しているはずだ。
『Marvel's Spider-Man: Miles Morales』で検証
まずは『Marvel's Spider-Man: Miles Morales』から見ていこう。ロード時間の計測に利用したのは、タイトル画面からセーブデータを選択してから、ゲームがロードされるまでの時間だ。
上のグラフが計測結果だが、内蔵SSDと増設したCSSD-M2M1TPG4VNZのロード時間は見事に一致した。60フレーム単位での計測のため1フレーム未満の33ms以内での差はあると思われるが、ほぼ無視できる値だ。
本タイトルでは、CSSD-M2M1TPG4VNZは内蔵SSDと全く遜色ないゲーム体験が可能と考えて良いだろう。
『Ghost of Tsushima Director's Cut』で検証
続いては『Ghost of Tsushima Director's Cut』での結果を見ていきたい。
こちらでは、セーブデータのロード時間計測に加えて、黄金寺から小川道場へファストトラベルで移動した際のロード時間も計測している。
まずセーブデータのロード時間を計測した結果が上のグラフだ。
こちらはわずかに内蔵SSDのロード時間が短いという結果となった。ただし、34ms差は前述のように測定誤差の範疇なので、事実上同じロード時間であったと言える。
続いて、ファストトラベルを利用した際のロード時間が上のグラフだ。
こちらも、CSSD-M2M1TPG4VNZより内蔵SSDがわずかながら高速となった。ただし50ms差(うち33msは測定誤差範囲)に過ぎないため、体感できる差はない。
いずれにせよ、セーブデータロードとファストトラベルともに、CSSD-M2M1TPG4VNZと内蔵SSDのロード時間はほぼ同一であると言って良いだろう。
内蔵SSDと変わらないゲーム体験が可能!PlayStation 5にCSSD-PG4VNZを増設で容量問題を解消
換装手順と実ゲームを使った検証結果を紹介してきたが、増設SSDでも内蔵SSDと遜色ないゲームプレイ体験が得られるというのは、ユーザー視点からするとかなり嬉しいポイントだ。
もちろん増設するSSDの性能次第で変わっている部分はあると思われるが、今回使用しているCFD販売の1TB NVMe SSD「CSSD-PG4VNZ」であれば、内蔵SSDとほぼ同じ快適さでゲームが楽しめるといえるだろう。
交換手順もドライバー1本で行える簡単なものとなっており、容量不足に悩むPlayStation 5ユーザーなら挑戦する価値は大いにある。
[制作協力:CFD販売]