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第12世代Core i9の性能をさらに引き出す!CORSAIRのDDR5メモリをテスト

新プラットフォームでも手堅いCORSAIRのOCメモリ text by 坂本はじめ

 CORSAIRから、新世代のメモリ規格「DDR5」に準拠したメモリモジュール「DOMINATOR PLATINUM RGB First Edition」と「VENGEANCE DDR5」が届いた。

 今回は、CORSAIRブランドのDDR5メモリがどのような製品なのかを写真で紹介しつつ、実際にAlder Lakeこと第12世代Intel Coreプロセッサーで動作させた場合のパフォーマンスについてもチェックする。

CORSAIRからやってきたレビュアー向けDDR5メモリの特別パッケージ

 冒頭で紹介した通り、CORSAIRからは2モデルのDDR5メモリが届いたのだが、このうちハイエンド仕様の「DOMINATOR PLATINUM RGB First Edition」は、レビュアー向けのスペシャルパッケージで到着した。まずはその内容から確認してみよう。

 レビュアー向けのDDR5メモリキットは、真っ白な箱にCORSAIRロゴがプリントされた大きなパッケージに収められており、フタを開けると緩衝材に囲まれたDOMINATOR PLATINUM RGB First Editionの製品パッケージが姿を現す。

白い箱に収められたCORSAIRのレビュアー向けDDR5メモリキット。
フタを空けるとDOMINATOR PLATINUM RGB First Editionの製品パッケージが姿を現した。

 DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionの製品パッケージを取り出すと、空いたスペースの底に、白いヒートスプレッダを搭載したDOMINATOR PLATINUM RGBらしきものが覗いている。

 緩衝材を取り払ってみると、箱の底に収められていたのは木材とレジンを組み合わせたプレートで、中央部のレジン部分にDOMINATOR PLATINUM RGBのホワイトモデルが埋め込まれていた。プレートにはCORSAIRのロゴと、「// CUTTING-EDGE PERFORMANCE」という一文が刻まれており、このメモリキットが最先端のパフォーマンスをもたらすものであることを示している。

製品パッケージを取り出した後のスペースからは、白いメモリのようなものが覗いている。
箱の底には収められていたのは、木材とレジンを組み合わせたプレートだった。
中央部のレジンに白いDOMINATOR PLATINUM RGBが埋め込まれており、右下には「// CUTTING-EDGE PERFORMANCE」という一文が刻まれている。

CORSAIR製DDR5メモリ2モデルのスペックをチェックRGB LED搭載モデルと落ち着いたデザインのヒートスプレッダ搭載モデル

 レビュアー向けメモリキットの開梱を終えたところで、今回紹介するDOMINATOR PLATINUM RGB First EditionとVENGEANCE DDR5を紹介する。

 DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionは、ハイエンド仕様のDDR5メモリ「DOMINATOR PLATINUM RGB」の初期モデルとして開発されたメモリで、今回届いたのはDDR5-5200動作に対応した16GBモジュール2枚組「CMT32GX5M2B5200C36FE」だ。メモリタイミングは36-38-38-74で、動作電圧は1.25V。

 DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionは、アルマイト処理を施した重厚なアルミニウム製のヒートシンクを搭載しており、その上部にアドレッサブルRGB LEDが配置されている。性能だけでなく、高級感と華やかさを兼ね備えたビジュアルも魅力的なメモリモジュールで、First Editionのヒートシンクにはシリアルナンバーが刻印されている。

DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionの製品パッケージ。
CMT32GX5M2B5200C36FEは、DDR5-5200(36-38-38-74)動作に対応する16GBメモリ2枚組だ。
メモリモジュール単体。左上に「FIRST EDITION」、右下にはシリアルナンバーが刻印されている。
本体上部にアドレッサブルRGB LEDを搭載しており、華やかなイルミネーション機能を楽しめる。

 一方、VENGEANCE DDR5は低背設計のヒートスプレッダを装備した、スタンダードなメモリモジュールだ。今回届いたのは、DDR5-5200動作に対応した16GBモジュール2枚組「CMK32GX5M2B5200C38-PK」。メモリタイミングは38-38-38-84で、動作電圧は1.25V。

 VENGEANCE DDR5はイルミネーション用のRGB LEDは搭載しておらず、ヒートスプレッダが低背設計なのでCPUクーラーなどとの干渉が起こりにくい。華やかさではDOMINATOR PLATINUM RGB First Editionに劣るが、より汎用性が高く扱いやすいメモリであると言える。

VENGEANCE DDR5の製品パッケージ。
CMK32GX5M2B5200C38-PKは、DDR5-5200(38-38-38-84)動作に対応する16GBメモリ2枚組だ。
メモリモジュール単体。低背設計のヒートスプレッダを搭載している。
LEDイルミネーション非搭載で華やかさは無いが、落ち着きのあるデザインからはスマートな印象を受ける。

 いずれのメモリも、CORSAIR独自のオーバークロック動作をスペック値に採用したオーバークロックメモリであり、Intel最新のメモリプロファイル規格「XMP 3.0」に対応している。マザーボード側がXMPをサポートしていれば、プロファイルを読み込むだけでメモリ設定を完了することが可能だ。

DDR5メモリをサポートするAlder Lake環境で動かしてみたOC動作のDDR5-5200でも安定、PCの性能をより引出すCORSAIRのDDR5メモリ

 2021年11月現在、DDR5メモリをサポートしているのは、Intel最新のデスクトップ向けCPUであるAlder Lakeこと第12世代Intel Coreプロセッサーのみだ。今回、CORSAIRのDDR5メモリを動作させるため、Alder Lake最上位モデルのCore i9-12900Kと、DDR5メモリ対応マザーボード「GIGABYTE Z690 UD」を用意した。

CPUクーラーには280mm水冷「CORSAIR iCUE H115i ELITE CAPELLIX」を使用した。
CORSAIR製の水冷クーラーはLGA1700対応スペーサーを用いることでAlder Lakeの冷却に使うことができる。国内正規代理店経由で購入者向けに無償配布が行われているのでチェックしよう。

実はかなり複雑なAlder LakeのDDR5メモリ対応状況

 世界で初めてDDR5メモリに対応したデスクトップ向けCPUであるAlder Lakeは、最大でDDR5-4800メモリに対応するとされているのだが、Intelによれば以下のような条件で最大対応メモリクロックが変化するとされている。

 上記の表では、SPC(Slots Per Channel)やDPC(DIMMs populated per Channel)といった、聞きなじみのない要素が使われているので、それぞれを簡単に紹介しよう。

 SPC(Slots Per Channel)とは、1チャネルごとのメモリスロット数のことで、「2 SPC」であれば1チャネルごとに2スロット、デュアルチャネルに対応する環境では2チャネル×2スロットで4本のメモリスロットを備えたマザーボードであることを意味している。

 DPC(DIMMs populated per Channel)とは、チャンネルごとに搭載されたメモリモジュール数のことで、「2 DPC」であれば1チャネルごとに2枚、デュアルチャネル環境であれば4枚のメモリモジュールを搭載した状態を意味している。

 これらを踏まえると、メモリスロットが2本のマザーボードのみDDR5-4800に対応し、4本のメモリスロットを搭載したマザーボードでは最大DDR5-4400までの対応ということになる。

新プラットフォームのAlder Lake環境でも安定動作、DDR5メモリの設定を確認

 今回テストに用いるGIGABYTE Z690 UDは、DDR5メモリスロットを4本備えているので最大DDR5-4400が最大メモリクロックとなるわけだが、実際にはどのように動作するのか確かめてみよう。

 まず、DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionを搭載して何もメモリ設定を行わなかった場合、メモリクロックは「DDR5-4800」、メモリタイミングは「40-40-40-76」に設定された。

DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionを搭載して起動したBIOS画面。メモリクロックを意味するMemory Frequencyは4,800MHzになっている。
HWiNFO実行画面。メモリタイミングは「40-40-40-76」で動作していた。

 続いて、VENGEANCE DDR5を搭載してみたところ、標準で設定されたメモリクロックは「DDR5-4800」で、メモリタイミングは「40-40-40-76」と、DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionと同じ動作設定が適用された。今のところ、Intelの対応リストは厳格に適用されるものでは無いようだ。

VENGEANCE DDR5を搭載して起動したBIOS画面。Memory Frequencyは4,800MHzになっている。
HWiNFO実行画面。メモリタイミングは「40-40-40-76」だった。

 何も設定を行わなければDDR5-4800で動作した両メモリをスペック通りに動作させるには、BIOS上でXMPに基づく設定を有効化する必要がある。

 GIGABYTE Z690 UDでは、BIOSの初期設定画面であるEasy Modeで「X.M.P. Disabled」と表示されたボタンを押すと、表示が「X.M.P. Profile」に切り替わる。この状態でBIOS設定を保存して終了すると、次回起動時からXMPに基づくメモリ設定が完了した状態になっている。

 CPUやマザーボード側がオーバークロックメモリの動作に耐えられない場合は、XMPを読み込んでも起動できない場合もあるが、今回の環境では特に問題なくあっさりDDR5-5200動作を実現できた。

▼XMP設定を適用したDOMINATOR PLATINUM RGB First Edition
XMP設定を適用したBIOS画面。「DDR5-5200、36-38-38-74、1.250V」という動作設定が読み込まれている。
HWiNFO実行画面。メモリクロック「2,600MHz(=DDR5-5200)」、メモリタイミング「36-38-38-74」であることが確認できる。
▼XMP設定を適用したVENGEANCE DDR5(CMK32GX5M2B5200C38-PK)
XMP設定を適用したBIOS画面。「DDR5-5200、38-38-38-84、1.250V」という動作設定が読み込まれている。
HWiNFO実行画面。メモリクロック「2,600MHz(=DDR5-5200)」、メモリタイミング「38-38-38-73」となっている。

Core i9-12900Kの性能をより引出すCORSAIRのDDR5メモリ、パフォーマンスをチェック

 今回用意したIntel Core i9-12900K環境では、CORSAIRの新作DDR5メモリをDDR5-5200で動作させることができた。このDDR5-5200動作によって、両メモリの標準設定だったDDR5-4800動作から、どれだけメモリのパフォーマンスが向上するのか、ベンチマークソフトを使って確認してみた。

 まずは、SiSoftware Sandra 20/21で計測した「メモリ帯域幅」の結果だ。

 DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionは、DDR5-4800動作時は41.15GB/sだったメモリ帯域幅が、DDR5-5200動作時は43.80GB/sに向上している。一方、VENGEANCE DDR5でも、DDR5-4800動作時の41.15GB/sから、DDR5-5200動作によって43.76GB/sに帯域幅が増加している。

 続いてのグラフは、SiSoftware Sandra 20/21で計測した「メモリレイテンシ」をまとめたものだ。

 どちらのメモリもDDR5-5200動作時は、標準のDDR5-4800動作時より、メモリタイミングが小さくなったうえでメモリクロックも向上しているので、メモリレイテンシは標準動作時よりも小さくなっている。

 最後に紹介するのはAIDA64の「Cache & Memory Benchmark」の実行結果だ。

 最上段に表示されている「Memory」の結果をみると、両メモリともにDDR5-4800動作よりDDR5-5200動作の方が、メモリ帯域幅が増加し、メモリレイテンシは小さくなっていることが確認できる。

 これらのベンチマーク結果から、CORSAIRのDDR5-5200メモリを用いることで、標準的なDDR5-4800メモリを使った場合よりも、Alder Lake環境のメモリパフォーマンスを向上させられることが確認できた。

▼DOMINATOR PLATINUM RGB First Editionのベンチマーク結果
DDR5-4800動作時 (CMT32GX5M2B5200C36FE)。
DDR5-5200動作時 (CMT32GX5M2B5200C36FE)
▼VENGEANCE DDR5のベンチマーク結果
DDR5-4800動作時 (CMK32GX5M2B5200C38-PK)。
DDR5-5200動作時 (CMK32GX5M2B5200C38-PK)

DOMINATOR PLATINUM RGB First EditionのLEDイルミネーション機能これまで通りの使用感でCORSAIR製機器との連動もバッチリ

 先に紹介した通り、DOMINATOR PLATINUM RGB First EditionはアドレッサブルRGB LEDを搭載している。このLEDは、CORSAIRの統合ユーティリティ「iCUE」でコントロールでのコントロールに対応しており、iCUEに対応する他のRGB LED搭載デバイスと連携したイルミネーションを構築することができる。

 VENGEANCE DDR5もしっかりした性能を備えるオーバークロックメモリだが、LEDイルミネーションを活用したビジュアル重視のPCを自作したいのであれば、DOMINATOR PLATINUM RGB First EditionとiCUE対応デバイスの組み合わせを要チェックだ。

iCUEの管理画面。複数のデバイスで連携したLEDイルミネーションを構成できる。
メモリスロットの配置に応じたイルミネーション設定を行うこともできる。
アドレッサブルRGB LEDならではのレインボーカラーはもちろん、全てのデバイスで色を統一したり、明滅を制御するなど、さまざまな表現に対応しているので、自分好みのイルミネーションでPCを彩ることができる。

DDR5メモリ時代でも「高性能メモリメーカー」のCORSAIRは健在

 近年は、数多くのPCデバイスを世に送り出しているCORSAIRだが、自作PCユーザーにその名を知られるようになったのは、高性能なオーバークロックメモリを扱うメモリメーカーとしてだった。

 それから20年近くがたった現在でも、最新規格のDDR5メモリ規格のオーバークロックメモリをいち早く市場に投入してみせたCORSAIRは、いまでも高性能メモリメーカーとして健在であり、より良いメモリパフォーマンスを求めるユーザーにその存在感を示している。

 オーバークロックメモリは、スタンダードメモリを上回る高速性が得られる一方、メモリの安定性や信頼性にメーカーの実力が大きく反映される製品だ。DDR5時代に確かなクオリティのオーバークロックメモリを求めるなら、CORSAIRの製品はぜひともチェックしておきたい。

[制作協力:CORSAIR]