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Ryzen 5 5600X+RTX 3060マシンと6年前のSkylake世代マシンでELDEN RINGの快適さはどれくらい違う?

イマドキゲーミングPC「AORUS GPC-03R3060」の威力 text by 加藤 勝明

Ryzen 5 5600X+GeForce RTX 3060という“フルHDゲーミングにちょうどいい”塩梅のスペックを備えたGIGABYTE製ゲーミングPC「AORUS GPC-03R3060」。実売価格は16万5,000円前後だ(3月15日時点)

 進学や就職などを機にPCを新調したい、せっかくの新PCはゲームやクリエイティブ作業を快適にこなせるものが欲しい、という方は多いはず。今なら、どんなPCがよいだろうか。機動性やハンドリングを考えると薄型軽量ゲーミングノートが思い浮かぶが、ノートPCはボディサイズが性能や将来の拡張性の面での制約となる。ほどほどの予算でゲームやクリエイティブ作業における高いパフォーマンスを持ち、かつ将来的な機能、性能強化の余地を考えたらデスクトップのゲーミングPCがベターなチョイスと言える。

 今回はこの条件を満たすGIGABYTEのゲーミングPC、「AORUS GPC-03R3060」(以下、GPC-03R3060)を評価してみたい。CPUにAMD Ryzen 5 5600X、GPUにNVIDIA GeForce RTX 3060という組み合わせで実売16万5,000円前後。デスクトップPCは別途ディスプレイやキーボードなどが必要となるが、ゲーミングPCの場合、自分の好みやプレイスタイルに合わせたデバイスを自由に組み合わせることができるのは最高のメリットと見るべきだろう。

GIGABYTE製パーツで構成したこだわり

 GIGABYTEは完成品PCのメーカーでもあるが、自作向けPCパーツメーカーの大定番でもある。それだけに、PC-03R3060は同社のこだわりのパーツを全面的に採用した構成。言うなれば“全身GIGABYTE”だ。1番目立つPCケース/マザー/ビデオカードのデザインテイストが揃えられており、統一感がある。CPUクーラーはAMD純正のWraith Stealth、マザーはGIGABYTE「B450M S2H V2」と落ち着いたデザインのものが使われているため、いかにも“ゲーミングPC”的なハデさはない。それでいてスモーク仕様のサイドクリアパネルを採用して内部のPCパーツが見えるようになっているのでインテリアとして十分に通用する格好よさがある。

PCケースはGIGABYTE製「C200 Glass」。通電時はフロントパネルの一部が発光する。これと合わせて上部のスリットがデザイン上のアクセントとなっている。なお、スリットの上部は5インチベイのように見えるが光学ドライブを仕込むことはできない
電源ボタンやフロントUSBポートは天板の手前に集中。本機のようなタワー型のPCは机の下に置くことが多いので、使い勝手は良好
バックパネルには必要なインターフェースが一通り揃っている。Type-Cデバイスを使いたい場合はType-A変換アダプタを用意しよう。下部に設置された電源ユニットは80PLUS Bronze認証の650W出力のものが搭載されている
見せることを意識して最小限のケーブルだけでスッキリとまとめられた内部。自作PCのトレンドを踏襲している。ATXケースだがマザーはmicroATXなので拡張スロットは少ない。無線LANの拡張カードを使う場合はビデオカードの上または下にあるPCI Express x1スロットを使おう
マザーボードはもちろんGIGABYTE製。「B450M S2H」というモデルだ。シンプルながら必要十分な機能が揃っている
CPUは6コア、12スレッド対応のRyzen 5 5600X。コストパフォーマンスにすぐれ、特にゲーマーに人気がある。クーラーは同CPUに付属のものだ。CPU周囲の電源回路はとてもシンプルな設計だが、消費電力の少ないRyzen 5 5600Xなら問題なく動かすことができるはずだ
搭載されているRTX 3060搭載ビデオカードもGIGABYTE製の「GV-N3060EAGLE OC-12GD」。HDMI出力が2系統あるのでマルチディスプレイ環境が構築しやすいのもよい
ストレージはPCI Express 3.0接続のSSDで容量は500GB。今回テストした機体にはCFD販売「CSSD-M2B5GEPC1VN」が使われていた。CPUはGen4対応ながらGen3対応モデルを選んでいるのはコストの要因もあるだろうが、発熱対策が容易ということもあるのではないかと推測する
空きストレージベイが用意されているので、3.5インチHDDや2.5インチSSDを増設する余地があるのはうれしいところ

 メモリはDDR4-2666規格のものを16GB搭載。Ryzen 5 5600Xが正式サポートするメモリでもっとも速いのはDDR4-3200だが、実際の性能差とコストのバランスからDDR4-2666に落ち着いたというところだろう。総じて、GPC-03R3060はフルHDゲーミングに必要なスペックをムダなく集めたという印象だ。

 細かいことだが試用機ではGPUのResizable BAR機能がデフォルトで有効になっていなかった。少しでもゲーミング性能を高めたいという場合はUEFI(いわゆるBIOS)設定でこの機能を有効化してみよう。

搭載されているCPUの情報を「CPU-Z」で拾ってみた。6コア、12スレッドのCPUなのでPCゲームの画面をCPUエンコードで高画質録画しながらプレイするのは難しいが、GPU側にハードウェアエンコーダが搭載されているので心配はいらない。ゲームの録画や配信をする場合はGPUエンコードを利用しよう
搭載メモリの情報。DDR4-2666で合計16GB搭載されている
こちらは「GPU-Z」による搭載GPUの情報。フルHDゲーミング向けのGPUだが、GeForce系は現状でフレームレートを稼ぐ技術(DLSS/FSR/DLDSR/NIS)においてRadeonより選択肢が多く、かつ入力→画面表示の遅延を減らす技術(NVIDIA Reflex)においても強い
「CrystalDiskInfo」で搭載されていたSSDの情報をチェック。ごく普通のPCI Express 3.0 x4接続のM.2 NVMe接続のものが使われていた。最新の4.0世代ではないが、広く普及しているSerial ATA接続のSSDより大幅に速い

実際の性能はどうだ? 2015年頃の定番スペックPCと対決させてみる

 そろそろGPC-03R3060の性能評価といこう。今回は比較用に以下のようなスペックのPCを用意した。一部パーツ調達の問題からすべてを同世代にすることはできなかったが、CPUは2015年頃に高い人気を得たCore i5-6600K(Skylake)、GPUがこちらも当時高性能で人気だったGeForce GTX 970と、2015年辺りのちょっといいゲーミングPCという感じの構成。今でもこれに近いスペックのPCを使っている方もいらっしゃるのではなかろうか? OSはともにWindows 10の最新ビルドにしている(GPC-03R3060の標準搭載OSもWindows 10だ)。

【比較用旧世代PCの構成】
CPU:Core i5-6600K(4コア、4スレッド)
マザーボード:ASUS Z170-A(Intel Z170)、
メモリ:DDR4-2666 8GB×2枚
SSD:Samsung SM951-NVMe MZVPV256HDGL-00000(M.2、PCIe 3.0、256GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit

 CPUパワーの力比べの定番「CINEBENCH R23」からスタートしよう。2015年と言えばまだRyzenすら存在しなかった時代であり、当時ミドルレンジで人気だったCore i5-6600KはHyper-Threadingのない4コア、4スレッドのモデルだ。かたや最新世代のRyzen 5 5600Xは6コア12スレッド。しかもコア数が多いだけでなく、1コアあたりの性能も飛躍的に向上している。わざわざ比較するまでもない気もするが、6年越しの“5の付く”CPU対決を見てみよう。

「CINEBENCH R23」のスコア

 マルチスレッドにおいてはCore i5-6600Kの約2.4倍。筆者もSkylake時代はゲームするならCore i5で十分と考えていたが、今の高フレームレート前提のゲーミング環境ではこの世代の4コア、4スレッドでは完全に性能不足。パワーのあるGPUを組み合わせてもボトルネックになってしまう。RTX 3060を使うのであれば、Ryzen 5 5600X程度のCPUパワーは欲しいものだ。

 一方、シングルスレッド性能はCore i5-6600Kの1.5倍弱。シングルスレッド性能は多くのアプリの処理で効果があるので、この差は大きい。

 続いてはPCの総合的な性能を測定する「PCMark 10」での検証だ。テストは“Standard”を使用した。総合スコアのほかにテストグループ別のスコアも比較した。

「PCMark 10」のスコア。一番上のStandardが最終的に提示される総合スコアで、それ以下はテストグループごとのスコアとなる

 Standardテストはゲーム以外の軽めの作業を中心に性能を評価する関係で、Webブラウジングやアプリの起動時間といった基本的作業を中心にみるEssentialsテストでは15%ほどしか上回っていないが、写真や動画編集といったCPUヘビーな処理を行なうDCC(Digital Content Creation)では2倍近い差が付いている。それらを総合するとライトユースでは旧世代PCの1.4倍程度のパフォーマンスという感じになる。

 ただ旧世代PCの1.4倍程度というのはあくまでゲームを除外したライトユースでの話。次はゲームグラフィックスのパフォーマンスを見る「3DMark」で試してみよう。ここではFire Strike/Time Spy/Port Royalの3テストで検証する。

「3DMark」のスコア

 Maxwell世代のGTX 970からすれば、Ampere世代のRTX 3060は実に2世代の隔たりがあるわけだが、その差は3DMarkではこのように評価された。レイトレーシングを使わないFire StrikeやTime SpyであってもGPC-03R3060は旧世代PCの約2.2〜2.4倍ものスコアを出している。そしてGPC-03R3060であれば旧世代のGTX 970では利用できないDXR(レイトレーシング)対応であるためPort Royalテストも通る。RTX 3060というGPUの性能を考えるとレイトレーシング設定全盛りでのゲームプレイは厳しいところがあるが、それでも最新技術を試せる・遊べるという点において大きな意味がある。

 基本性能テストの最後の項目としてGPC-03R3060に搭載されているSSDの性能を「CrystalDiskMark」でチェックしてみた。

「CrystalDiskMark」による内蔵ストレージのパフォーマンス。NVMeモードを使用した

 PCI Express 3.0接続のSSDであるためトップスピードとまではいかないが、ゲームのロード時間短縮という点においては十分過ぎる効果がある。GPC-03R3060はWindows 10で出荷されるが、Windows 11の用件を満たしているためアップグレードすること自体は可能。将来的な話になるが、Windows 11環境ではゲームの読み出しを高速化するとされるDirectStorage(あるいはRTX I/O)による恩恵もフルに受けられるだろう。

実ゲームでのパフォーマンスは? 話題のELDEN RINGも試した!

 ここから先は実ゲームにおけるパフォーマンス計測だ。今ゲーミングPCを試すのであれば、現在大人気のアクションRPG「Elden Ring」を試さないわけにはいかない。

 検証は画質“最高”と“中”設定の二通りでフレームレートを計測することとした。画面解像度はRTX 3060にあわせフルHDのみとする。最初にプレイヤーが訪れるオープンワールドマップ“リムグレイブ”で一定のコースを移動したときのフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「ELDEN RING」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 ELDEN RINGのPC版はPCハードに対する最適化の余地が残されており、フレームレートも60fpsで頭打ちになるためGPC-03R3060であっても平均fpsは60fpsを上回ることはない。GPC-03R3060でも60fpsベタ付きとまではいかなかったが、それでも2分程度のランにおいて90%(最高設定時)もしくは95%(中設定時)が60fpsを出せている。旧世代PCでは中設定でも平均30fpsは期待できず、とりあえず動き回れる程度のパフォーマンスしか得られていない。

 続いては軽めのFPS代表として「レインボーシックス シージ」で検証しよう。APIはVulkan、Reflexは“On+Boost”とし、内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。ここでも最高設定と中設定の二通りで比較するが、最高設定にはレンダースケール100%も追加している。

「レインボーシックス シージ」Vulkan、1,920×1,080ドット時のフレームレート

 描画の軽いゲームなので画質を中設定に落とせば平均60fpsのプレイでなんとかイケそうな感じではあるが、高リフレッシュレートのゲーミング液晶と勝ちを狙いにいくなら最高設定でも平均300fps弱、中設定なら平均450fps弱出せるGPC-03R3060のほうが好適だ。

 続いては「Apex Legends」で試してみよう。起動オプションで144fpsは解除(+fps_max unlimited)し、画質は最高設定と“中程度”の設定(奇数段階の設定なら真ん中、偶数段階の設定なら中央より上側の設定に統一した設定)で比較する。Reflexは“On+Boost”とした。

 テストは射撃訓練場内で一定の行動をしたときのフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Apex Legends」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 GPC-03R3060では視界の目の前にスモークが展開されるような描画負荷の高い状況でこそ100fps弱に落ち込むが、平均としては144fps前後でプレイが期待できる。CPUパワー増強やメモリのクロック増でもう少しフレームレートが稼げるだろうが、標準仕様が費用対効果的にはよい感じだ。

 続いてはやや重めの「Forza Horizon 5」で試してみよう。画質はエクストリームと中設定の二つで比較するが、GPC-03R3060はレイトレーシングの設定がオンのままだが、このゲームの場合レイトレーシングが効くシーンはガレージとVistaモード限定なので設定に大きな差はない。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測しているが、結果のうちGPU側で処理されるフレームレートのみを比較する。

「Forza Horizon 5」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 CPU負荷も高いゲームだけあって、Core i5-6600K環境ではゲームは起動するが、中設定ですらマトモに動かすのは難しい。だがGPC-03R3060であればフルHDでも60fps以上、中設定なら平均130fps程度でプレイできる。

強いゲーミングPCにはクリエイティブな作業にも強い

 あえて言おう。ゲーミングPCなどと言う呼称はマーケティング的なものに過ぎない。CPUもGPUも高い性能を持つ今のゲーミングPCは、写真や動画編集にも活用できるのだ。

 まずは「Lightroom Classic」を使ったファイル書き出し速度を見てみよう。補正の付いたDNG形式の画像100枚(61メガピクセル)を準備し、最高画質のJPEGに書き出す時間を比較する。書き出し時にはシャープネス(スクリーン用、適用量は標準)も付与した。

「Lightroom Classic」によるDNG→JPEG書き出し時間

 GPC-03R3060はCore i5-6600K搭載の旧世代PCの半分以下の時間で処理を終えることができた。Ryzen 5 5600XのパワーはRAW現像でも遺憾なく発揮されるだろう。

 続いては「Premiere Pro 2022」で編集した再生時間約3分の4K動画を「Media Encoder 2022」でMP4形式で出力する時間を比較する。コーデックはH.264とH.265の二通り、ビットレートは50Mbps、VBR/1-passでCPUエンコードとした。

「Media Encoder 2022」によるエンコード時間

 Media EncoderのエンコードはソフトウェアといえどGPUパワーも相応に使うため、短時間で処理を終わらせるためにはCPUもGPUもパワーが必要。GPC-03R3060なら6年前のPCの3分の1〜5分の1程度の時間で処理を終えることができる。動画編集にもトライしてみたい人にはGPC-03R3060はよいとっかかりとなるだろう。

消費電力はほぼ同じ

 最後にラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を使用してシステム全体の消費電力を比較してみた。システム起動10分後の安定値と「OCCT Pro」の“Power Supply”テストを10分回したときの安定値をそれぞれ比較した。

システム全体の消費電力

 旧世代PCはアイドル時の消費電力に勝っているが、高負荷時の消費電力はGPC-03R3060よりも高い。CINEBENCH R23や実ゲームのフレームレートから分かるとおり、GPC-03R3060のパフォーマンスは約6年落ちの旧世代PCを大きく上回っている。ライトユースでは大差ないかもしれないが、ゲームやクリエイティブ系アプリでヘビーに使えば使うほど、電気料金に対する働きはGPC-03R3060のほうが上。つまり使えば使うほど得をする(?)というわけだ。

ゲームにクリエイティブに、よい入門機となれるPC

 以上でGPC-03R3060の検証は終了だ。メモリの仕様やResizable BARの初期設定など、PCのスペックに詳しい人にとっては一言言いたくなるような部分も見られるが、総じて見れば、最新の現行Ryzen+GeForceの組み合わせで実売16万円台という値段(OS導入済み完成品として手に入る)はお買い得だ。快適なゲームプレイはもちろん、プレイ動画を編集してSNSやYouTubeに上げて楽しみたい、という人にはよいスタートラインになれるPCと言える。新年度を迎え新しいことに挑戦する人への贈り物としても最適だ。

お知らせ:ライブ配信でAORUS GPC-03R3060を激見せ!速さも格好良さも一気に伝えます

 3月23日(水)21時より、本記事を執筆したKTUこと加藤勝明氏がライブ配信でAORUS GPC-03R3060を紹介します。性能評価に加えて実動デモも実施。人気のゲームがどのように動くのかをご確認ください。同機の質感も4K映像でお届けします! 番組ホストはPC自作業界の重鎮“改造バカ”こと高橋敏也氏です。

【Ryzen 5 5600X+GForce RTX 3060のイマドキゲーミングPC「GIGABYTE AORUS GPC-03R3060」を6年前のSkylake世代ゲーミングPCと比較する】

[制作協力:GIGABYTE]