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SoundIDで音質カスタムも簡単に、7.1ch対応ゲーミングヘッドセット「CORSAIR HS65 SURROUND」を試す
USB/アナログ接続両対応の有線モデル text by 白倉甲一
2022年6月20日 00:03
「HS65 SURROUND」は、CORSAIRの有線接続ゲーミングヘッドセットの新モデル。
接続はUSB/アナログ両対応で、USB接続時はDolby Audio 7.1サラウンドも利用可能。また、付属のUSBアダプタを介して接続した際はSonarworksのSoundIDに対応し、好みに合わせて簡単に音質をカスタマイズすることもできる。
アナログとUSBどちらでも使えるヘッドセットとしては12,000円前後と比較的に手を出しやすい価格帯の本機だが、今回は実際にゲームや音楽鑑賞で使用してみて、特徴となるSoundIDの効果や、ゲーミングヘッドセットとしての基本性能を確認してみよう。
シンプルながらも飽きの来ない楕円形デザインと程よい装着感7.1ch バーチャルサラウンドにも対応した有線ゲーミングヘッドセット
HS65 SURROUNDの外観はシンプルな楕円形のカウルに、ヘッドバンド部分やハウジングなど要所に金属パーツを使った飽きの来ないデザインとなっている。
50mmの大型ネオジウムドライバを搭載し、ヘッドフォン部の性能は周波数特性は20~20kHz、感度111dB (+/-3dB)、インピーダンス32Ω。
重量は282gとゲーミングヘッドセットとしては平均的な重さ。マイクロファイバーとレザーを組み合わせた通気性がよく耳をすっぽり納められてフィット感が高い楕円形イヤーパッド。ヘッドレスト部分にも低反発のクッションが備わっており長時間の使用でも疲れにくく、ホールド感は強いが圧迫感はなくズレにくい。
マイク部には着脱式のノイズキャンセリングマイクを採用。単一指向性で周波数特性100~10kHz、感度-40dB (+/-3dB)とボイスチャットをクリアな音質で利用できる。
また、ブームマイクはフレキシブルな構造で、自由に位置を変えたり、なだらかににカーブを付けたりできる。跳ね上げ式になっているので使用しないときは収納できる上、跳ね上げ時にマイクミュートになるので通話中のミュート忘れ防止などにも役立つ。
PC接続時は付属のUSBアダプタを使い、ドライバソフトウェアと組合わせてDolby Audio 7.1 サラウンドや、音質のカスタムが可能なSoundIDなどの各種機能を使用できる。コンシューマーゲーム機やスマートフォンで使用する際には3.5mmステレオミニプラグでアナログ接続するかたちになる。
ゲーム利用時の音質はデフォルトのままでも良好マイク跳ね上げでのミュートはVC時に便利
HS65 SURROUNDの各種機能を使用する前に、まずはデフォルトの状態でのヘッドセット性能を見ていこう。設定変更などはせずに素のままでUSB接続、エーペックスレジェンズをプレイしての実際の使用感を確認した。
実際に使ってみると、音の来る方向がわかりやすい印象で、階下の袋小路に隠れている敵を見つけることもできた。こうした状況把握が早くできれば相手に対してアドバンテージを取ることが可能で、即座に味方と連携して優位に戦闘を進めることが出来た。ゲーミングヘッドセットとしての性能は良好な印象だ。
Dolby Audio 7.1ch バーチャルサラウンドにも対応しているので、ゲーミングヘッドセットとして音の方向がしっかりわかるのは勿論、低音が厚めではありつつも高音域もシャリシャリせずにクリアに聞こえるので、銃声や金属音なども聞き取りやすい。
また、個人的に嬉しい点として、マイクのオンオフ状態がわかりやすいのもメリットに感じた。プレイヤー間の連携が重要となる最近のゲームは、ボイスチャット有無が戦局に大きく関わるため利用シーンも多いのだが、ミュートを忘れたり、ミュートのままになっていたりと失敗することもある。
その点、HS65 SURROUNDはマイクを跳ね上げるとマイクミュートになる仕様なので状態がわかりやすく、席を離れる際はマイクミュート、戻った時にはミュート解除といった基本操作を忘れて失敗するようなうっかりミスを防げる。
好きな音を選んでいくだけで音質を簡単カスタマイズSoundIDでユーザーの好みの音質をプロファイル化
音質の好みは個人差が大きく、いくらヘッドフォン性能が良くとも万人が100点をつけるようなモデルは存在しない。
好みに合わせイコライザーで調整している人も多いかと思うが、設定を1つ1つ微調整しては音を聞きというような作業を繰り返すなかなか骨の折れる作業になる上、はっきりした指標がない為、慣れも必要になってくる。
初めてサウンドカードを導入したり、イコライザー設定可能なユーティリティを備えるゲーミングヘッドセットを初めて使うといったユーザーにはなかなか敷居が高い作業だ。
そんな時に便利なのが本機が対応するSoundID機能。HS65 SURROUNDでは専用ユーティリティiCUEから有効化・設定する事で、細かいイコライザー調節をする手間を省いて音質を自分好みに最適化する事ができる。実際にSoundID有効時のゲームや音楽鑑賞でどのように差が出るか聞き比べて確認していこう。
細かい調整不要で初心者にも簡単な音質調整
設定は容易で、テスト音源を流しながらAとBの2パターンから好きな傾向の音の調整を選択、これを何度か繰り返し行う事で使用ユーザーの好みの傾向を分析し最適化する仕組みになっている。
2択を直感的に選択するだけなので特に難しい操作などもなく、全くつまずかずに設定を終えられた。
SoundIDを使って音楽鑑賞、自分の好みに合った音楽鑑賞にがっちりハマる調整を手軽に実現
早速設定したSoundIDのプロファイルを使用して音楽を聴き、実際に自分の好みの音質を再現出来ているのか、デフォルトのSoundIDを切った状態と比較してみて効果の程を見てみよう。
筆者は音楽を聴く際は高音/低音の強調が無く、フラットな音質が好みだ。ゲーミングヘッドセットは銃声や効果音を聞き取りやすくするための音質チューニングが施されているので、ゲーミングヘッドセットで音楽を聴く場合、心地よい音質にするにはイコライザーのスライダーをがっつり動かして調整せねばならず、かなり手こずることになる。
しかし、SoundIDであれば前述の通り1回の調整が容易で、何度も音質を確かめながら調整しなくても好みの音質にバチッとハマる。実際にクラシックを聴いて確認してみたが、自分好みの方向の音質になっていることが確認できた。
初心者でも簡単に自分の好みの音質を見つけやすく、耳が慣れた頃にそれの設定値を指標にして他の環境でも自分好みにイコライザー設定を調整するというような事もしやすくなるはずだ。自分好みの音質を知るということにもこの機能は役立つ。
SoundIDで調整した音質でゲームプレイ、好みの音質と実用的な音質は異なる?
続いてはSoundIDで作成した音質のプロファイルを有効化した状態でのゲームプレイをテストしてみた。シビアな索敵が必要で、音を聞き分けることが重要となるFPSゲーム「VALORANT」をプレイして使用感を確認した。
SoundIDは、設定方法の通り基本的には音楽を聴く際の音質調整を行うものなので、ゲームで重要になる銃声や足音などの特定の音域をピンポイントに調整するものではない。このため、プレイしているゲームによっては必要以上に音が抑制/強調されてしまって、音質は好みの傾向でも、足音や銃声はむしろ聞き取りにくくなってしまう場面もある。HS65 SURROUNDはベースの音質がゲーム向きなので、ゲーム用にSoundIDを無理に使用する必要はなく、デフォルトの音質と好みが大きく違う場合に使うのが良いのかもしれない。
なお、SoundIDは一度プロファイルを作ってしまえば切り替えは容易なので、音楽を聴いたり動画を見たりする普段使いの際はSoundIDをオンに、足音や銃声を聞き分けたいゲーム用途で使う場合にはSoundIDをオフにというような、使い分けて運用するのが便利だ。
ゲームも音楽もそれぞれにあった音質で楽しみたいユーザーへ初めてのUSB接続ゲーミングヘッドセットとしてマストピックになりえるモデル
Dolby Audio 7.1chが使用可能かつ、USB/アナログどちらでも使用可能な汎用性や、派手な光り物などはないが地味すぎる事のないデザイン、耐久性を考慮した各部パーツの素材など長く使えるモデルとなっているのが非常に好印象だ。
また設定の容易さから、エントリー向けからそろそろ脱却したいなと思っているゲームユーザーにもおすすめできる。ゲーミング用途向け、音楽鑑賞向けと、好みに合わせ音質を切り替えての使用も簡単なので、一台で様々な用途をこなせるゲーミングヘッドセットと言えるだろう。
[制作協力:CORSAIR]