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第13世代Core最上位“Core i9-13900K”を早速ブン回し!! MSI「MPG Z790 CARBON WIFI」ならここまで行ける

定格超えでも安定感十分のアッパーミドル定番モデルを試す text by 芹澤 正芳

 2022年10月20日、Raptor Lakeこと第13世代Coreプロセッサと対応チップセットの「Intel Z790」搭載マザーボードが発売された。最上位CPUのCore i9-13900Kは24コア32スレッドでMTPは253Wと、前世代のCore i9-12900K(16コア24スレッド、MTP 241W)に比べて、コア数も消費電力もアップ。その性能を最大限引き出すには、最新チップセットを搭載し、強力な電源回路を備えたマザーボードが必須となってくる。

 今回紹介するMSIの「MPG Z790 CARBON WIFI」は、同社のミドルレンジ製品“MPG”カテゴリーの中では最上位に位置付けられたモデル。いわゆるアッパーミドルと呼ばれる製品にあたる。同社のMPG/CARBONを冠する製品は毎回、アッパーミドルクラスの製品の中でもかなり見ごたえのある製品が多いのだが、今回のMPG Z790 CARBON WIFIもなかなかに豪華な仕様に仕上がっている。ここでは、マザーのスペック紹介に加え、Core i9-13900Kをパワーリミット無制限で動作させたときの消費電力や電源回路(VRM)の温度、動作クロックなどを交えたレビューをお届けする。

MSIのZ790チップセット搭載マザーボード「MPG Z790 CARBON WIFI」。実売価格は80,000円前後

Core i9-13900Kでの運用は万全。水冷クーラーを選べばPL無制限設定に!

 まずは第13世代Coreの最上位であるCore i9-13900Kの実際の挙動や消費電力、性能をチェックしていこう。組み合わせたマザーボードはMSIの「MPG Z790 CARBON WIFI」。このマザーについては後半で詳しく解説する。そのほかの検証環境は以下のとおりだ。

Intelの最新CPU、Core i9-13900K。Pコア×8、Eコア×16の24コア32スレッド構成。Turbo Boostの最大クロックは5.8GHz。コア数、クロックともに一段と強化されている
【検証環境】
CPUIntel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
メモリDDR5-5600 32GB(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
SSDM.2 NVMe SSD 1TB(PCI Express 4.0 x4)
ビデオカードMSI GeForce RTX 3080 Ti VENTUS 3X 12G
(NVIDIA GeForce RTX 3080 Ti)
CPUクーラー簡易水冷(36cmクラス)
電源1,200W(80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro(22H2)

 UEFIは初回起動時に搭載するCPUクーラーに合わせてパワーリミットを選ぶ、MSIのマザーではおなじみの仕様だ。簡易水冷向けのWater Cooler設定ではパワーリミットが4,096Wで事実上の無制限。大型空冷クーラー向けのTower Air Coolerは288W、リテールクーラー向けのBoxed Coolerでは定格の253Wに設定される。CPUクーラーに合わせた項目名となっているが、実際にはパワーリミットを手軽に切り替えできるのが一番便利なところ。この設定はOCメニューのCPU Cooler Tuningからいつでも変更が可能だ。

UEFIの初回起動時はCPUクーラーに合わせたパワーリミットを選ぶ画面が表示される
この設定はCPU Cooler Tuningの項目で変更が可能だ

 テストに使用したDDR5メモリは、IntelのOC規格「XMP」とAMDのOC規格「EXPO」の両方に対応している製品(Kingston FURY Beast DDR5 KF556C36BBEK2-32)を使ったのだが、本マザーではどちらのプロファイルも読み込みが可能だった。EXPO対応のみのOCメモリも安心して使える製品も多く、XMP/EXPO両対応なら単純に使用できるメモリの選択肢が増えることになるので、非常にナイスな仕様と言える。

メモリOC用のXMP、EXPOどちらのプロファイルも読み込める

 また、同社マザーの機能として注目したいのが「MSI Driver Utility Installer」だ。UEFIでは標準で有効化されているもので、OSインストール後、ネットワークに接続されていると、自動的にマザーボードのドライバ類を自動的にインストールしてくれるユーティリティが起動するというもの。今回のテストの段階では、Windows 11 Pro(22H2)のクリーンインストール時にはネットワーク関係のドライバが自動的に入らず、マザー付属のUSBメモリから導入したが、UEFIのバージョンアップなどでネットワーク関係のドライバ問題が解決すれば、かなり便利な機能になってくれるはずだ。

ドライバ類を自動的にインストールしてくれる「MSI Driver Utility Installer」。標準では有効化されている
OSインストール後、インターネットに接続されていれば、自動的に起動し、ドライバ類を手軽に導入できる

Core i9-13900K性能テスト! パワーリミット設定でどこまで変わる?

 では実際に、Core i9-13900Kを使用した挙動やパフォーマンスのチェックを進めていく。パワーリミットは無制限(Water Cooler設定)と定格253W(Boxed Cooler設定)の2種類でテスト。DDR5はXMPプロファイルを読み込んでDDR5-5600駆動、簡易水冷のファン設定はiCUEアプリで「最速」とした。

 まずはもっとも気になるCore i9-13900Kの性能をチェックしよう。パワーリミットは無制限(Water Cooler設定)と定格253W(Boxed Cooler設定)の2種類で、CPUパワーを測る「CINEBENCH R23」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、3D性能を測る「3DMark」を計測した。

CINEBENCH R23の計測結果
PCMark 10の計測結果
3DMarkの計測結果

 パワーリミット無制限のほうがCINEBENCH R23のMulti Coreのスコアは約15%も高くなる。CGレンダリングやエンコードなど、全コアに100%負荷のかかる処理では、253Wのリミットが足かせになる場合がある。無制限にしたときの温度や消費電力は前述のとおり大きくアップするが、そこはトレードオフだ。

 PCMark 10はそれほど負荷の高いテストではないので、スコア差はほとんどない。3DMarkは、Fire StrikeはCPUの計算力を見るPhysics testが含まれているので多少スコア差はあるが、GPU依存率の高いPort RoyalやSpeed Wayは誤差レベルだ。

 続いて実ゲームの性能もテストしておこう。根強い人気のFPS「レインボーシックス シージ」、注目のヒーロー対戦FPS「オーバーウォッチ2」、美麗なオープンワールドレースゲーム「Forza Horizon 5」、重量級の代表と言えるオープンワールドRPGの「サイバーパンク2077」を用意した。レインボーシックス シージ、Forza Horizon 5、サイバーパンク2077はゲーム内蔵のベンチマーク機能を使用、オーバーウォッチ2はトレーニングモードの練習場でヒーローにアッシュを選び、トレーニング・ボットを倒しながら一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測した。

レインボーシックス シージの計測結果
オーバーウォッチ2の計測結果
Forza Horizon 5の計測結果
サイバーパンク2077の計測結果

 GPUがボトルネックになりにくい軽めのゲーム&フルHD解像度では、パワーリミット無制限のほうがフレームレートが出ている。フレームレートを少しでも絞り出したい人にはよいかもしれないが、それでも2.5~4.5%程度の差。描画負荷の高いForza Horizon 5、サイバーパンク2077に関しては誤差レベルだ。

 また、詳しいテスト結果は後述するが、サイバーパンク2077のCPU温度や消費電力の計測結果を見ると、253W設定のほうが圧倒的に低くなる。ゲームではGPUのほうが性能限界に達しやすく、CPU負荷がそこまで高まりにくいので、253W設定で運用したほうがワットパフォーマンスはよさそうだ。もちろん、CPU負荷が強烈なゲームもあるので必ずしも253W設定が優位というわけではない。もしこの点を重視するなら、ゲームの特性を見極めつつ設定を使い分ける、という使い方も有効だろう。

 続けて、各テストの際の温度面の変化をチェックしてゆく。「CINEBENCH R23」のMulti Coreテスト、「サイバーパンク2077」(フルHD、画質“レイトレーシング:ウルトラ”、DLSS“バランス”)をそれぞれ10分間実行したときの、CPU温度、VRM(電源回路)温度、Pコアの実行クロック、CPUの消費電力の目安となるCPU Package Powerおよびシステム全体の消費電力チェックする。

 それぞれの確認にはハードウェア情報を表示できるアプリ「HWiNFO Pro」を使用し、CPU温度は「CPU Package」、VRM温度は「MOS」、Pコアの実行クロックは「P-core 0 T1 Effective Clock」、CPU Package Powerは同じ名称の「CPU Package Power」という項目を追った結果だ。システム全体の消費電力はラトックシステムの電力計「REX-BTWATTCH1」を使用している。室温は23度。

CPU温度の推移
VRM温度の推移

 CPU温度を見ると、パワーリミット無制限では、36cmクラスの簡易水冷クーラーでもCPUが許容できる温度の最大値である100℃に一瞬で到達。フルパワーで動作させているのが分かる。ところどころ温度が落ちているのは、処理と処理の合間だ。その一方で定格の253Wなら最大84℃、おおむね74℃前後で推移とかなり大人しくなる。その分、253Wでは無制限から約15%ほどスコアは低下するが。サイバーパンク2077はCPU負荷が高いゲームだが、それでも全コアに負荷がかかるほどではなく、無制限でもCPU温度は最大で84℃だった。253Wでは64℃前後で推移するほど低くなる。

 VRMの温度も同じ傾向だ。CINEBENCH R23のパワーリミット無制限はさすがにほかのテストに比べて温度は上がるがそれでも最大64℃とまったく心配のいらないレベル。19+1+1フェーズと巨大なヒートシンクの組み合わせで負荷分散と放熱はうまくいっているのだろう。

Pコアのクロック推移

 Pコアの実行クロックの推移を見ていこう。サイバーパンク2077はゲームの状況に合わせて、負荷のかかるコアが細かく変化するので参考程度にしてほしい。CINEBENCH R23は無制限では約5.2GHzで推移。253Wでは4.7GHzで推移と、パワーリミットの制限によって動作クロックが落ちているのが分かる。

CPU Package Powerの推移

 CPU Package PowerはCPUの消費電力の目安となるもの。あくまでHWiNFO Proで読み取った数値ではあるが、CINEBENCH R23の無制限では定格の253Wを大きく超え、最大で289Wに到達。Core i9-13900Kは文句なしに高性能だが、パワーリミット無制限では発熱も消費電力もかなり大きい。しかし、253W設定なら最大でも191W程度。CPU温度も低くなり、扱いやすさは一気に向上する。サイバーパンク2077も無制限と253W設定では、おおむね10Wほど差がある。どちらの設定で運用するかは、個人の考え方・使い方にもよるところだが、なかなか悩ましいところだ。

システム全体の消費電力

前世代の最上位クラスと同等の19+1+1フェーズ電源回路

 ここからは検証で使用したMSIのマザーボード「MPG Z790 CARBON WIFI」の詳細を解説する。ここまでのテスト結果から分かるように、性能も消費電力も強力なCore i9-13900Kをブン回すことができる1枚だ。シブいカーボンブラックを基調としたデザインに採用し、上位クラスのCPUも安心してフルパワーで運用できる設計のアッパーミドルマザーとして人気の“CARBON”シリーズの最新モデル。同社のZ790マザーはどれも従来より強力な電源回路を採用しているのが大きな特徴となっているが、今回もかなり強烈だ。

ヒートシンク/カバー類を取り外したマザーボード全景。電源回路部、M.2回りの充実ぶりがインパクト十分

 前モデルのMPG Z690 CARBON WIFIも18+1+1フェーズの電源回路に75A SPSのMOSFETを組み合わせた強力なものだったが、本機は19+1+1フェーズの電源回路と105A SPSの組み合わせに強化。これは前世代のハイエンドマザー「MEG Z690 UNIFY」と同規模だ。安心してCore i9-13900Kをパワーリミット無制限で運用できる設計と言えるだろう。

 大電力が流れることを想定した電源回路だけに冷却も強力。7W/mKと熱伝導率の高いサーマルパッドをMOSFETとチョークコイルの両方に貼り付け、そこにヒートパイプで連結された巨大な二つのヒートシンクを搭載している。さらに、サーバーグレードの8層基板には放熱効果を高める2オンス銅層を設けて、より冷却力を高めているのもポイントだ。

電源回路は19+1+1フェーズでフェーズダブラーを使わないダイレクト駆動。MPG Z690 CARBON WIFIの18+1+1フェーズからさらに強化された
電源回路はヒートパイプで連結された大型ヒートシンクを備える。サーマルパッドには7W/mKと熱伝導率の高いものを採用
PWMコントローラはハイエンドマザーではおなじみと言えるルネサスの「RAA229131」
MOSFETはルネサスの「RAA22010540」。105AのSmart Power Stageだ

インターフェース類も全体に強化、PCI Express 5.0デバイスが待たれる

 そのほかの部分もチェックしていこう。PCI Express x16スロットは2基あるが、CPUに近い方がPCI Express 5.0対応。もう1基はPCI Express 4.0対応でx4動作になる。PCI Express x1スロットも1基あり、PCI Express 3.0対応だ。

CPUに近いx16スロットはPCI Express 5.0対応だ

 M.2スロットは5基と充実。そのうち1基はPCI Express 5.0 x4対応、のこり4基はPCI Express 4.0 x4対応と高速なストレージ環境を構築できる。さらに、すべてのM.2スロットにヒートシンクを搭載し、サーマルパッドもすべて両面仕様。MPG Z690 CARBON WIFIは、両面仕様が1基だけだったので、M.2スロットの冷却面も強化されている。

M.2スロットは5基も搭載
5.0 x4対応はCPUから2番目のM.2スロット。高速なデータ転送による発熱を意識し、ヒートシンクは厚め
CPUに一番近いのは4.0 x4対応でワンタッチでヒートシンクを取り外せる仕様なのが非常に便利
すべてのM.2スロットはフックを回すだけでSSDを固定できる作り

 ちなみに、CPUに一番近いM.2スロットに取り付けたCrucial P5 Plusに対して、ヒートシンクを接続した状態で10分間連続で書き込みを行う高負荷なテストを行ったが温度は最大64度とそれほど高くならず、サーマルスロットリングによる速度低下も見られなかった。十分な冷却力が確保されていると言ってよいだろう。

連続書き込み時のSSD温度の推移

 メモリはDDR5対応で、スロットは4本。シングルランクが2枚ならDDR5-7800までサポートしている。最大128GBまで搭載が可能だ。

対応メモリはDDR5。中間の仕切り部分に金属を使うなど、前モデルに比べてスロットの耐久性も強化されているようだ

 そのほかのインターフェースもチェックしておこう。バックパネルのUSBは、USB 3.2 Gen 2x2(Type-C)が1ポート、USB 3.2 Gen 2(Type-C)が1ポート、USB 3.2 Gen 2が6ポート、USB 3.0が2ポートだ。内蔵GPU用の映像出力としてHDMIが用意されている。PCケースのUSBポート用として、USBピンヘッダで、USB 3.2 Gen 2x2 Type-Cが1ポート分、USB 3.0が2ポート分、USB 2.0が4ポート分が用意されている。ネットワーク機能は、有線LANが2.5G LAN、無線LANはWi-Fi 6(IEEE802.11ax、ハードウェア的には6Eもサポート)対応だ。5GHz(160MHz)で最大2.4Gbpsの通信が可能となっている。Bluetooth 5.2もサポート。

バックパネルカバーは一体型のタイプ
オーディオ回路部分もヒートシンクに覆われている。オーディオコーデックは定番「Realtek ALC4080」。バックパネルにはS/P DIF出力も用意されている
無線LANはWi-Fi 6E対応。アンテナも付属する

13900Kの性能をフルに引き出せる1枚

 MPG Z790 CARBON WIFIは、Core i9-13900Kをパワーリミット無制限でフル稼働させても安定、安心の電源回路を備えるアッパーミドルマザーとして高い完成度を誇る。円安の影響もあって価格は前世代の同格モデルから上昇しているが、パフォーマンスに影響を及ぼす各部の仕様の大幅な強化に加え、ワンタッチでヒートシンクを取り外せるM.2スロットやドライバの自動インストールユーティリティの搭載など、細かい使い勝手も確実に向上している。ガチなゲーマーはもちろん、ハイパフォーマンスなPCが活きるクリエイティブ用途にもオススメの1枚だ。

[制作協力:MSI]