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15.6型/Core i7-8550U「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」を1TB SSDへ換装、HDD環境から一気に快適に

SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 浅倉 吉行

 今回SSD換装の事例として紹介するのは、2017年に発売されたNECのノートPC「LAVIE Note Standard(NS700/JAシリーズ)」。

 15.6インチ/フルHD(1,920x1,080)解像度に対応したディスプレイや、CPUにCore i7-8550Uを搭載するなど、デスクノート的に使用するならまだまだ使用できる性能を持った製品だ。

 用意したのは、8GBのメモリと1TB HDDを搭載した型番「PC-NS700JAW」のモデル。換装用には1TBのSATA SSDを用意し、高速化を図ってみた。

※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。

NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)のHDDを1TB SSDへ換装

 今回の「NEC LAVIE Note Standard(PC-NS700JAW)」(以下、NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA))はCore i7搭載した15.6インチのビジネスノートPC。厚さ22.6mmで重量は約2.4kg。

 新品ではないので構成などが若干変更されている可能性もあるが、今回の個体の大まかなスペックは、CPUが Core i7-8550U (4コア/8スレッド/ベース1.8GHz/最大ブースト4GHz)、メモリがDDR4-2400 8GB(SO-DIMM 4GB×2/換装可)、ストレージが1TBのSATA HDD。ディスプレイは15.6インチ/1,920x1,080ドットで、OSはWindows 10 Home 64bit。

 搭載インターフェイスは、USB 3.2 Gen1 ×3、HDMI出力、有線LAN、オーディオコンボジャック、SDXC対応カードリーダーなどを備える。無線LANはIEEE802.11a/b/g/n/ac対応で、Bluetooth 4.1も利用可能。Blu-rayドライブを搭載している点も特徴だ。

 標準搭載のHDDからSSDへ換装するだけで大幅に快適性を向上させることが見込めるので、1TBのSSDを使いNEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)の高速化を図ってみたい。

NEC LAVIE Note Standard(PC-NS700JAW)
CPUCore i7-8550U(4コア/1.8GHz/最大ブースト時4GHz)
メモリDDR4-2400 8GB
ストレージSATA HDD 1TB
GPUIntel UHD Graphics 620
ディスプレイ15.6インチ/1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Home

搭載されていたのは1TB SATA HDDの「Western Digital WDC10SPZX-08Z10」

 「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」には1TB SATA HDDの「Western Digital WDC10SPZX-08Z10」が搭載されていた。接続インターフェースは6Gbps SATAで、回転数は5,400rpm。SSD化することでレスポンスの改善が期待できる。

PCに搭載されていたWestern Digital WDC10SPZX-08Z10。
CrystalDiskInfoによるステータス。

換装に使うのは1TBのSamsung SSD 870 QVO

 今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 870 QVOの1TBモデル(MZ-77Q1T0/IT)。最大速度リード560MB/s、ライト530MB/s。SATA接続の2.5インチSSDだ。

換装に使用するSamsung SSD 870 QVO(MZ-77Q1T0/IT)。
CrystalDiskInfoによるステータス。

 Samsung SSD 870 QVOは1TB~8TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。

古いHDDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介

 ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。

 2.5インチSATAドライブ向けの外付けケースは1,000円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。

換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう

 PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。

 今回使用している外付けケースはORICOの「ORICO-2189U3-BK-EP」。ツールレスでドライブを搭載可能なSATA対応の外付けケースで、扱いやすい製品だ。

●1 SSD外付けケース「ORICO-2189U3-BK-EP」と換装するSSDを準備。
●2 外付けケースの蓋をスライドさせて外す。
●3 SSDを外付けケースに装着する。
●4 外付けケースの蓋をしめて、PCに接続すれば作業は完了。

データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単

 今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。

 Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。

●1 Samsung公式サイトのSSDツールとソフトウェアのページから「Samsung Data Migration 4.0」をダウンロードする。
●2 Samsung Data Migration 4.0をセットアップし、起動させる。
●3 画面下側にあるターゲットドライブの項目を指定する。移行先のSSD(今回はSamsung SSD 870 QVO 1TB)を選択しよう。
●4 移行先のドライブのデータが全て消去される旨のダイアログが表示されるのでOKを選択。なお、安全にデータ移行時を行うため、他のアプリケーションを起動したり、ながら作業をするのはやめよう。
●5 進行状況はプログレスバーで表示される。コピーされるデータ量は28GBほどで、実際に要した時間は19分20秒程度だった。
●6 データのコピーが完了すると自動的にPCはシャットダウンされる。
●ドライブを暗号化するBitLockerに注意!

 今回の換装では不要であったが、Windows Updateの過程でCドライブ領域がBitLockerにより暗号化されている場合がある。そういった場合にはクローン作業の前に暗号化の解除が必要だ。

 パーティションが暗号化されているのかどうかは、Windows設定内の「デバイスの暗号化」または「BitLockerの設定」から状態で確認できる。暗号化されている場合はデータをクローンする際に解除してから行おう。暗号化されたままではデータのクローンは行えなず、途中で止まったりと正常に作業が完了しない。

 また、表示上はBitLocker無効だが、実際にはデータが暗号化されている場合もあるので注意が必要だ。その際は「Bitlockerを有効にする」を選択し、その後無効化すれば解除される。

 暗号化を解除すれば、Samsung Data Migrationで正常にクローンを完了できる。

●SSDを換装する前にFast Bootの設定を変更しよう

 OSの起動を高速化する機能に「Fast Boot」があるが、SSD換装時はこの機能が原因で換装後に起動しなくなる場合がある。そうした場合は「Fast Boot」の機能を無効化して使用しよう。

 NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)には設定項目が見当たらなかったが、多くのノートPCはUEFIのメニュー内に「Fast Boot」に関する設定項目があるので、SSDを換装する前に無効化し、その後にSSD換装作業を行うとより万全な体制で進められる。

NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)の分解は工程が多め、工具も一式必要

 ここからはNEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)の分解になるが、一般的なプラスのドライバーに加え、パネルの爪をあけるためのヘラ、キーボードを外すための金属かプラスチックの極薄のプレートやカードが必要になる。事前に必要になる道具は揃えておこう。

 また、比較的分解するまでの工程が多いモデルなので、どこにどのネジを使うのかわからなくなったりしないように、写真を取りながら進めるのが良いかもしれない。

 なお、SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。

●1 PCをシャットダウンし、NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)の背面パネル側のネジ位置を確認しておこう。シールの下などにネジは無いようだ。
●2 本体ヒンジ部分にあるバッテリーを外す。
●3 右下側にメモリスロットへアクセスできるパネルがあるが、まずはこのパネルを取り外す。
●4 中には背面パネルを固定するネジがあるのでこれも外す必要がある。この部分と合わせ背面パネルのネジを全て外そう。
●5 背面側のネジをすべて取り外したらキーボードを取り外す。上側が爪で止まっており、薄い金属ヘラなどを入れて慎重に外そう。
●6 ある程度爪が外れると一般的な分解用のヘラなどが入るので、爪を慎重に外していく。なお、ケーブルが繋がっているので、無理に持ち上げてケーブルが断線したりしないように注意して欲しい。

 一番初めにメモリスロットにアクセスできるパネルを外す必要があり、その中にあるネジを含め背面パネル側のネジを全て外すところから作業は始まる。

 ネジを外したらキーボードを外して表面側の固定ネジを取り外す必要がある。キーボードを取り外す際に極薄の金属やプラスチップのプレートやカードなどが必要になるので、ここが若干手間になる部分ではある。

●7 キーボード部分の爪が外れたらケーブルを取り外す。
●8 ラッチは白い部分を上側に向けるとフィルムケーブルが外れる仕組みになっている。
●9 ラッチを持ち上げるとケーブルを引き抜けるようになるので、キーボード部分のパーツを取り外す。
●10 キーボードの下にある金属プレートはネジとケーブルで固定されており、まずはネジを取り外す。
●11 金属プレート上部側が電源スイッチなどに繋がるケーブルが接続されており、このラッチも白い部分を上に向けるとフィルムケーブルが抜けるようになっている。
●12 下側のフィルムケーブルはタッチパッドのもので、こちらも白いパーツを上に向けるとケーブルを引き抜ける。

 キーボードを接続するフィルムケーブルは、接続されているラッチの白いパーツを上側に向けるとケーブルが引き抜けるようになっている。電源周りのボタンとタッチパッドもそれぞれフィルムケーブルが金属プレートについており、これらも白いパーツを上側に向けてケーブルを引き抜く必要がある。

 無理にケーブルを引き抜いて壊したりしないよう、注意しながら作業は行おう。

●13 ケーブルとネジを全て外したら本体側面にヘラを入れ、固定されている爪を外していく。
●14 爪を外すと表面のパネルが外れる。
●15 これで基板側にアクセスできるようになった。
●16 HDDはトレイで固定されているので、トレイのネジを外す。
●17 SATA+電源ケーブルを外すとHDDを取り外せる。
●18 トレイからHDDを外す。
●19 トレイに換装用のSamsung SSD 870 QVO 1TBを固定する。
●20 基板に戻し、SATA+電源ケーブルを接続しネジて固定する。

 キーボード部分が取り外せてしまえばあとは簡単で、HDDが固定されているトレイを外し、SSDに交換して元に戻すだけだ。この部分はわかりやすい構造なので困ることもないだろう。

●21 SSDを固定したら表面皮の金属プレートを元に戻しねじ止め。
●22 上下にあるスイッチ類とタッチパッドのフィルムケーブルをラッチに差し込み、白い固定具をおろしてしっかりと固定する。
●23 キーボードのフィルムケーブルを戻し固定する。向きを間違えないように注意しよう。
●24 キーボードの下側を先に挿し込む。
●25 差し込んだ後に上から押せば爪がはまり元通りに。
●26 背面側のネジをしめて元に戻す。
●27 最後にバッテリーを戻す。
●28 電源を入れてPCが起動すれば換装作業は成功だ。

 冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。

 とはいえ、ストレージ以外の部分に不満が無いのであれば、PCを買い替えるよりもSSD換装はコストパフォーマンスが高いアップグレード方法になる。

SSDへの換装でリード/ライトともに4倍以上高速に、SSD化で快適なPCへ

 換装前後の速度をCrystalDiskMarkで確認してみたが、リード/ライト共に大幅に向上している。

 換装前のWestern Digital WDC10SPZX-08Z10はシーケンシャルアクセスがリードライトともに約127MB/s前後だったが、換装後のSamsung SSD 870 QVO(MZ-77Q1T0/IT)ではリードが約562MB/s、ライトが約521MB/sまで向上している。

 HDDからSSDになることでレスポンスも大幅に向上するので、換装の効果は非常に大きいものだ。

換装前の1TB HDD「Western Digital WDC10SPZX-08Z10」。
2.5インチ/5,400rpmのHDDとしては平均的な速度ではある。
換装後の1TB SSD「Samsung SSD 870 QVO(MZ-77Q1T0/IT)」。
シーケンシャルアクセスはリード/ライトともに4倍以上高速化されており、大幅に向上。

HDD環境からWindows 11へアップグレード時はレガシーモードか否かの確認を

 今回使用している「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」は、ハードウェア的にはWindows 11へ対応しているが、元々インストールされていたOSのパーティションテーブルがMBRで、設定の関係か簡単にパーティションテーブルをMBRにも変更できず、OSからはWindows 11へアップグレード不可と判定されてしまった。

 BIOSの設定はLagacyモードで動作しており、Windows 11を利用するにはUEFIモードでSecure Bootを有効にする必要があるので、LagacyモードでOSがセットアップされてしまっていると、変更するのはなかなか手間がかかる。こういった環境でWindows 11を利用したい場合は、データのバックアップをしっかり取り、Windows 11を新規インストールしてしまった方が良いかもしれない。

 SSDからSSDへの換装の際はこうした問題にあたることはほぼないと思うが、HDD環境のPCは互換性を考慮してレガシー環境向けの設定でOSがセットアップされていることもあるので、Windows 11へのアップグレードも検討している人は注意して欲しい。

 なお、Windows 11へアップグレード可能かどうかはPC 正常性チェック アプリ」で確認可能で、そのままではWindows 11へアップグレードできなくても、PCの設定などを変更することで対応可能になる場合もある。長くPCを使うのであれば確認してみてもらいたい。

Windows 11の公式サイトでは「PC 正常性チェック アプリ」が公開されており、使用中のPCがWindows 11の要件を満たしているか確認できる。
今回使用している「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」はレガシー環境向けの設定でセットアップされてしまっていたため、そのままではWindows 11へアップグレードできない状態だった。。

 ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。

 今回とりあげた「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」は、15.6インチ/フルHDのディスプレイを備え、4コアCPUのCore i7-8550Uを搭載しているので、デスクノート的に使うのであれば普段使いのPCとしてまだ長く使えるモデルだ。メモリの換装も可能なので、SSDと合わせメモリも大容量の物に変更するというのも快適性を向上させるのには有効だろう。

 PCを買い替えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてもらいたい。

[制作協力:Samsung]