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15.6型/Core i7-8550U「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」を1TB SSDへ換装、HDD環境から一気に快適に
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 浅倉 吉行
2022年12月24日 00:00
今回SSD換装の事例として紹介するのは、2017年に発売されたNECのノートPC「LAVIE Note Standard(NS700/JAシリーズ)」。
15.6インチ/フルHD(1,920x1,080)解像度に対応したディスプレイや、CPUにCore i7-8550Uを搭載するなど、デスクノート的に使用するならまだまだ使用できる性能を持った製品だ。
用意したのは、8GBのメモリと1TB HDDを搭載した型番「PC-NS700JAW」のモデル。換装用には1TBのSATA SSDを用意し、高速化を図ってみた。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)のHDDを1TB SSDへ換装
今回の「NEC LAVIE Note Standard(PC-NS700JAW)」(以下、NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA))はCore i7搭載した15.6インチのビジネスノートPC。厚さ22.6mmで重量は約2.4kg。
新品ではないので構成などが若干変更されている可能性もあるが、今回の個体の大まかなスペックは、CPUが Core i7-8550U (4コア/8スレッド/ベース1.8GHz/最大ブースト4GHz)、メモリがDDR4-2400 8GB(SO-DIMM 4GB×2/換装可)、ストレージが1TBのSATA HDD。ディスプレイは15.6インチ/1,920x1,080ドットで、OSはWindows 10 Home 64bit。
搭載インターフェイスは、USB 3.2 Gen1 ×3、HDMI出力、有線LAN、オーディオコンボジャック、SDXC対応カードリーダーなどを備える。無線LANはIEEE802.11a/b/g/n/ac対応で、Bluetooth 4.1も利用可能。Blu-rayドライブを搭載している点も特徴だ。
標準搭載のHDDからSSDへ換装するだけで大幅に快適性を向上させることが見込めるので、1TBのSSDを使いNEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)の高速化を図ってみたい。
NEC LAVIE Note Standard(PC-NS700JAW) | |
---|---|
CPU | Core i7-8550U(4コア/1.8GHz/最大ブースト時4GHz) |
メモリ | DDR4-2400 8GB |
ストレージ | SATA HDD 1TB |
GPU | Intel UHD Graphics 620 |
ディスプレイ | 15.6インチ/1,920×1,080ドット |
OS | Windows 10 Home |
換装に使うのは1TBのSamsung SSD 870 QVO
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 870 QVOの1TBモデル(MZ-77Q1T0/IT)。最大速度リード560MB/s、ライト530MB/s。SATA接続の2.5インチSSDだ。
Samsung SSD 870 QVOは1TB~8TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
古いHDDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
2.5インチSATAドライブ向けの外付けケースは1,000円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用している外付けケースはORICOの「ORICO-2189U3-BK-EP」。ツールレスでドライブを搭載可能なSATA対応の外付けケースで、扱いやすい製品だ。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
今回の換装では不要であったが、Windows Updateの過程でCドライブ領域がBitLockerにより暗号化されている場合がある。そういった場合にはクローン作業の前に暗号化の解除が必要だ。
パーティションが暗号化されているのかどうかは、Windows設定内の「デバイスの暗号化」または「BitLockerの設定」から状態で確認できる。暗号化されている場合はデータをクローンする際に解除してから行おう。暗号化されたままではデータのクローンは行えなず、途中で止まったりと正常に作業が完了しない。
また、表示上はBitLocker無効だが、実際にはデータが暗号化されている場合もあるので注意が必要だ。その際は「Bitlockerを有効にする」を選択し、その後無効化すれば解除される。
暗号化を解除すれば、Samsung Data Migrationで正常にクローンを完了できる。
OSの起動を高速化する機能に「Fast Boot」があるが、SSD換装時はこの機能が原因で換装後に起動しなくなる場合がある。そうした場合は「Fast Boot」の機能を無効化して使用しよう。
NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)には設定項目が見当たらなかったが、多くのノートPCはUEFIのメニュー内に「Fast Boot」に関する設定項目があるので、SSDを換装する前に無効化し、その後にSSD換装作業を行うとより万全な体制で進められる。
NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)の分解は工程が多め、工具も一式必要
ここからはNEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)の分解になるが、一般的なプラスのドライバーに加え、パネルの爪をあけるためのヘラ、キーボードを外すための金属かプラスチックの極薄のプレートやカードが必要になる。事前に必要になる道具は揃えておこう。
また、比較的分解するまでの工程が多いモデルなので、どこにどのネジを使うのかわからなくなったりしないように、写真を取りながら進めるのが良いかもしれない。
なお、SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。
一番初めにメモリスロットにアクセスできるパネルを外す必要があり、その中にあるネジを含め背面パネル側のネジを全て外すところから作業は始まる。
ネジを外したらキーボードを外して表面側の固定ネジを取り外す必要がある。キーボードを取り外す際に極薄の金属やプラスチップのプレートやカードなどが必要になるので、ここが若干手間になる部分ではある。
キーボードを接続するフィルムケーブルは、接続されているラッチの白いパーツを上側に向けるとケーブルが引き抜けるようになっている。電源周りのボタンとタッチパッドもそれぞれフィルムケーブルが金属プレートについており、これらも白いパーツを上側に向けてケーブルを引き抜く必要がある。
無理にケーブルを引き抜いて壊したりしないよう、注意しながら作業は行おう。
キーボード部分が取り外せてしまえばあとは簡単で、HDDが固定されているトレイを外し、SSDに交換して元に戻すだけだ。この部分はわかりやすい構造なので困ることもないだろう。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
とはいえ、ストレージ以外の部分に不満が無いのであれば、PCを買い替えるよりもSSD換装はコストパフォーマンスが高いアップグレード方法になる。
SSDへの換装でリード/ライトともに4倍以上高速に、SSD化で快適なPCへ
換装前後の速度をCrystalDiskMarkで確認してみたが、リード/ライト共に大幅に向上している。
換装前のWestern Digital WDC10SPZX-08Z10はシーケンシャルアクセスがリードライトともに約127MB/s前後だったが、換装後のSamsung SSD 870 QVO(MZ-77Q1T0/IT)ではリードが約562MB/s、ライトが約521MB/sまで向上している。
HDDからSSDになることでレスポンスも大幅に向上するので、換装の効果は非常に大きいものだ。
HDD環境からWindows 11へアップグレード時はレガシーモードか否かの確認を
今回使用している「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」は、ハードウェア的にはWindows 11へ対応しているが、元々インストールされていたOSのパーティションテーブルがMBRで、設定の関係か簡単にパーティションテーブルをMBRにも変更できず、OSからはWindows 11へアップグレード不可と判定されてしまった。
BIOSの設定はLagacyモードで動作しており、Windows 11を利用するにはUEFIモードでSecure Bootを有効にする必要があるので、LagacyモードでOSがセットアップされてしまっていると、変更するのはなかなか手間がかかる。こういった環境でWindows 11を利用したい場合は、データのバックアップをしっかり取り、Windows 11を新規インストールしてしまった方が良いかもしれない。
SSDからSSDへの換装の際はこうした問題にあたることはほぼないと思うが、HDD環境のPCは互換性を考慮してレガシー環境向けの設定でOSがセットアップされていることもあるので、Windows 11へのアップグレードも検討している人は注意して欲しい。
なお、Windows 11へアップグレード可能かどうかはPC 正常性チェック アプリ」で確認可能で、そのままではWindows 11へアップグレードできなくても、PCの設定などを変更することで対応可能になる場合もある。長くPCを使うのであれば確認してみてもらいたい。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。
今回とりあげた「NEC LAVIE Note Standard(NS700/JA)」は、15.6インチ/フルHDのディスプレイを備え、4コアCPUのCore i7-8550Uを搭載しているので、デスクノート的に使うのであれば普段使いのPCとしてまだ長く使えるモデルだ。メモリの換装も可能なので、SSDと合わせメモリも大容量の物に変更するというのも快適性を向上させるのには有効だろう。
PCを買い替えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてもらいたい。
[制作協力:Samsung]