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170Hz/1ms&IPSで驚異の2.6万円! 超高速と高画質を両立するMSIのハイコスパゲーミングモニター「G244F」
初めてのゲーミングモニターにも、PC&PS5兼用にも text by 芹澤 正芳
2023年1月27日 00:00
性能や価格の違いで多数の製品が登場しているゲーミングモニター。性能はよいに越したことはないけど予算は3万円以内に抑えたい、高リフレッシュレートはもちろんパネルは色味のよいIPSタイプが欲しい、できれば残像の少ない高速応答がよい……と要望を上げだしたらキリがないところ。分かってはいても妥協したくないのが我々PCゲーマーである。そんなときにまず注目してほしいのがMSIの「G244F」だ。実際にゲームをプレイしたときの使用感も含め、実力をチェックしてみよう。
“ほしい”スペックが漏れなく揃っている低価格機
G244Fは23.8型でフルHD(1,920×1,080ドット)解像度のゲーミングモニターだ。最大の強みはコストパフォーマンスの高さにある。実売価格が3万円以下のクラスでは144Hz~165Hzのリフレッシュレートが中心だが、本製品はちょっと高めの170Hz。また、パネルも視野角に優れ、色の再現性にも優れるIPSを採用。視野角は上下とも178度と非常に広く、sRGBカバー率97.7%の広色域とそれがスペックにもしっかり現われている。
IPSパネルは構造的に応答速度(色の切り替わり)が遅いというゲーミングモニター向きではないウイークポイントを持っているが、本製品は従来のIPSに比べて4倍速い駆動速度を実現したという「RAPID IPS」を採用しており、1ms(GTG)の高速応答を実現している。
映像入力はDisplayPort 1.2a×1、HDMI 2.0b×2と3系統が用意されており、PCとPS5など複数のデバイスを同時に接続しておける。スピーカーは非搭載だが、ヘッドホン端子は用意されているので、音声の出力は可能だ。なお、付属のケーブルはDisplayPort用が1本だけ。HDMIケーブルは付属していないので、使う場合は別途用意が必要となるほか、ゲーミングモニターでは比較的よく見るUSBハブ機能はない。
VRRに暗部補正、ブレ防止などゲーミング機能はキッチリ揃えている
では本機に搭載されているゲーミングモニターならではの機能を見ていこう。
PC側とディスプレイ側の描画タイミングが合わないことで発生する画面ズレの“テアリング”や画面がカクつく“スタッタリング”を防ぐ可変リフレッシュレート(VRR)はもちろん備えている。VRRにはいくつかの規格はあるが、本機は「FreeSync Premium」に対応。VRRに加えて、低フレームレート時でもなめらかに表示するLFC(Low Framerate Compensation)機能を備えるのが特徴だ。また、NVIDIAのVRR技術であるG-SYNC Compatibleへの対応は明記されていないが、筆者が試す限り、問題なく有効にでき、動作していた。
ゲーミングモニターの定番と言える暗部を明るくする「ナイトビジョン」、モーションブラーと呼ばれる液晶特有の画面ブレを軽減する「MPRT」、画面中央に照準を表示させてFPSやTPSでのエイミング(照準を合わせること)の補助的ガイドとなる「ゲームアシスタンス」も備えている。
ナイトビジョンは通常/強い/最も強い/A.I.の4パターンを用意。A.I.はシーンに合わせて明るさを自動調整してくれる。暗い場所にいる敵を発見しやすくなるので、対戦プレイ型のFPSやTPSで有効な機能と言えるだろう。
モーションブラーは、画面を素早く動かしたときにロープのような細いオブジェクトがあると顕著に見える。ロープの残像が出るような感じだ。MPRTはフレームとフレームの間に赤色を挿入することで、このブレを軽減する機能(完全になくなるわけではない)。アンチモーションブラーとも呼ばれる機能でゲーミングモニターによっては黒色を挿入する。どちらにしても目では認識されない速度で挿入されるのでプレイに支障はないが、輝度は若干落ちる。また、VRR(FreeSync Premium)とは排他仕様である点は注意したい。
このほか、ゲームジャンル別の「ゲームモード」も用意。これもゲーミングモニターによくある機能だが、「FPS」、「レーシング」、「RTS」、「RPG」と四つのプリセットが備わっている。たとえば、FPSを選ぶとナイトビジョンが自動的にA.I.に設定され、暗部を持ち上げてエッジが際立ち、細部が見えやすく調整する。ジャンルごとに特徴があるので、気になる人は試してみるとよい。
設置しやすいサイズでVESAにも対応
23.8型ということもあり、サイズはスタンド込みで幅541.9mm、奥行き231.9mm、高さ424.3mm、重量は4.2kgとかなり軽くてコンパクトなので、小さめのデスクにも設置しやすい。昨今のゲーミングモニターは32型以上などの“大型化”も進んでおり、迫力の面では大型製品に譲るが、画面全体を視野に入れやすく、FPSやTPSにおいては状況を把握しやすいというメリットがある。小さめの24型ならではの強みがあるわけだ。
なお、スタンドの機能は下に5°、上に20°のチルトのみと最小限。高さ調整やスイベル、ピボットには非対応だ。ディスプレイアームを取り付けるためのVESA75規格(75×75mm)に対応しているので、設置の自由度を広げたい場合には市販のアームを利用するのがよいだろう(利用時は付属のスペーサーネジの取り付けが必要)。
Apex Legendsとオーバーウォッチ 2で170Hz/1msを体感する
ここからは、実際にゲームをプレイしたときの使用感を紹介しよう。170Hzのリフレッシュレートを活かすには、激しい動きがあり、一瞬の判断と射撃の精度の高さが勝敗を左右するようなタイプの対戦ゲームを、常時170fps以上のフレームレートを出せるPCでプレイする、という組み合わせがベスト。ということで、今回はCore i9-13900K+GeForce RTX 4080の自作PCを用意して、定番FPSのApex Legendsとオーバーウォッチ 2を60Hzと170Hzの両方でプレイした。
筆者はすでに40代半ばと大会に出るほどガチなFPSプレイヤーだったのは20年以上前だが、それでもリフレッシュレート60Hzと170Hzの違いは思い切り体感できる。1秒間に描画できるコマ数が約2.8倍にもなっているので当たり前だが、170Hzと比べると60Hzでは反転など画面を大きく動かしたときに明らかに描画が追い付いておらず、ガクガクとした感じを受ける。24型という画面サイズも、画面からゲームの状況を最小限の視点移動で把握するという点でストレスが少ないため、シビアなプレイに適している。
画面のブレ(モーションブラー)に関しては、Apex Legendsのロープなどでとくに感じやすいのだが、MPRTを有効にすると、とくに注意深く見てみるなどしない限りは感じられないほどにほとんど気にならないレベルに軽減される。オーバーウォッチ 2ではとくにブレは気になるシーンはほぼなかった。
また、本機の輝度は最大250cd/m2だ。DisplayHDRに対応した液晶は輝度が400cd/m2以上になるので、それほど明るくないのでは、と思うところだが、これでも輝度を最大にすると明る過ぎると感じるので、スペック的には十分でまったく問題はない。IPSパネルで広色域ということもあってゲーム画面も鮮やかだ。色域が広いと色のメリハリがハッキリして、グラフィックスに立体感が出るのがよいところ。Apex Legendsでは、岩肌などを見ると「おお、立体的!」と感じられるほどだ。
このほか、HDMI接続にてPS5のリフレッシュレート120Hz駆動に対応していることも確認できた。可変リフレッシュレート(VRR)には非対応なのはちょっと残念だが、PS5用でもヌルヌルとなめらかに動く描画を“低予算で”楽しみたい人にもオススメだ。
フルHDゲーミングモニターとしてナイスなバランス
2万円台半ばという価格ながら、170Hzの高リフレッシュレート、広色域のIPSパネル、1msの応答速度とゲーミングモニターとして妥協をあまりしたくない部分のスペックをキッチリとよくしているのが最大の強みだろう。VRRへの対応やナイトビジョンといったゲームを快適にする機能も一通り揃え、PS5の120Hz駆動にも対応。
解像度はフルHDでOK、競技性重視なので視点移動の少ない24型がベスト、という人ならばぜひとも注目してほしい1台。超ハイエンドPCではなくても高フレームレートが維持しやすく、本機自体がお財布にも優しい価格設定なので、初ゲーミングモニターにもオススメだ。
[制作協力:MSI]