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DDR5が安くなった!IntelもAMDも対応!価格、性能、使い方を今こそチェック!!
仕様混載はトラブる!?“4枚挿し”の注意点も text by Windlass
2023年4月28日 00:00
DDR5メモリの登場から1年半近くが経ち、極端な品薄状態だった発売当初に比べると、在庫状況、価格ともに大幅に買いやすい状況になっている。しかし、長く続いたDDR4メモリ時代に入手した“流用できるメモリ資産”があるユーザーも少なくなく、PCパーツ全体の高騰も続く中で、DDR5への乗り換えに躊躇している人も少なくない。
とはいえ、AMDがRyzen 7000シリーズ/AM5プラットフォームでDDR5メモリに完全移行したことからも分かるように、今後の方向性は確実にDDR5への移行に舵が切られているのも事実。AMD、Intelから魅力的な最新CPUが登場している昨今の状況を考えると、そろそろDDR5への乗り換えを考えるべきところに来ているのではないだろうか。本稿では、DDR5メモリの現状や現在のパフォーマンスの状況、気になる“DDR5メモリとの付き合い方の注意点”などを紹介する。
・現在のDDR5メモリの仕様や価格はどうなってる?
・高負荷で真価を発揮するDDR5の実力
・DDR5-5600メモリでRyzenは速くなる?
・DDR5メモリの4枚挿しは危険!? 安全な使い方は?
・DDR5メモリモジュール4枚挿しでの挙動を検証してみた
現在のDDR5メモリの仕様や価格はどうなってる?
前述のとおり、かつての状況とは一変し、現在ではDDR5メモリの流通はかなり潤沢で、オーバークロックメモリも各種出回っている。とはいえ、メモリの基本はやはり“JEDEC準拠”の製品。現状のJEDEC準拠製品の仕様を見てみよう。
現在流通しているJEDEC準拠のDDR5メモリ製品は、DDR5-4800、DDR5-5200、DDR5-5600の三つ。1モジュールあたりの容量は8GBから32GBが主流で、容量とメモリクロックの面から自分に適したものを選べるのは大きな利点となる。一昔前までは手に届かなかった、メモリ128GBの環境が今ではメインストリーム帯のマザーボードで構築できるようになっている。
型番 | 動作クロック | レイテンシ | メモリタイミング | 動作電圧 |
---|---|---|---|---|
CT8G48C40U5(8GB) CT2K8G48C40U5(8GB×2) | PC-38400 (DDR5-4800) | 40 | 40-39-39 | 1.1V |
CT16G48C40U5(16GB) CT2K16G48C40U5(16GB×2) | ||||
CT32G48C40U5(32GB) CT2K32G48C40U5(32G×2) | ||||
CT16G52C42U5(16GB) CT2K16G52C42U5(16GB×2) | PC5-41600 (DDR5-5200) | 42 | 42-42-42 | 1.1V |
CT32G52C42U5(32GB) CT2K32G52C42U5(32G×2) | ||||
CT16G56C46U5(16GB) CT2K16G56C46U5(16GB×2) | PC5-44800 (DDR5-5600) | 46 | 46-45-45 | 1.1V |
次に価格について。DDR5メモリは、発売当初の2021年秋ごろの段階では流通量が少なく市場で品薄で、実売価格が高いだけでなく、単体購入が困難でマザーボードとセットで購入しないと手に入らない、という状況が見られた。1年半が経過した2023年春現在では、流通量も安定している。DDR4メモリとの価格差も小さくなってきており、当初抱いていた「DDR5はいくらなんでも高過ぎる」というイメージとはまったく異なる状況になっている。この春に新しくPCを組むなら、今後長く使えるDDR5を採用してよいタイミングだろう。
ただ、DDR5メモリは、これまでのメモリ以上にシビアなメモリでもある。超高クロックのオーバークロックメモリが期待どおりに動作してくれない、ということは今までにも見られたが、DDR5メモリでも使いこなすには十分な知識や調整が必要になるだろう。普及の初期段階にある現状では、多くのユーザーにとってはJEDEC準拠の定格メモリがベターな選択だろう。詳しくは後述するが、長く安心して安全に使うなら、JEDECのDDR5規格に完全に準拠したMicronのCrucialブランドのDDR5メモリモジュールのように、品質的にも確実な製品をオススメしたい。
高負荷で真価を発揮するDDR5の実力
今回はMicron製チップ採用DDR4-3200、CT2K16G48C40U5(Crucial DDR5-4800)、CT2K16G56C46U5(Crucial DDR5-5600)で各種ベンチマークを走らせて、それぞれ消費電力を計測した。機材に関してはASRockのZ790 PG Lightningと、そのDDR4モデルであるZ790 PG Lightning/D4を使用、そのほかは同じパーツと設定となっている。
使用メモリ | DDR5-5200/5600 | DDR4-3200 |
---|---|---|
メモリ容量 | 16GB×2 | |
CPU | Intel Core i7-13900K | |
マザーボード | ASRock Z790 PG Lightning | ASRock Z790 PG Lightning/D4 |
CPUクーラー | 36cmクラス 簡易水冷クーラー | |
ビデオカード | GeForce RTX 3080搭載カード | |
SSD | M.2 NVMe SSD 1TB(PCI Express 4.0 x4) | |
OS | Windows 11 Pro | |
電源プラン | バランス |
まずは基本的な性能を見てみよう。
「Sisoftware Sandra 20/21」を使用して“メモリー帯域”と“メモリーレイテンシ”を比較してみた。メモリ帯域はDDR4-3200が37.81GB/sに対して、DDR5-4800では58.12GB/sと54%、DDR5-5600では65.68GB/sと73%の帯域幅となっていることから、メモリのクロックが高速になればなるほど帯域は大きくなることが分かる。
一方で、メモリレイテンシはDDR4のほうが小さくなる。DDR5同士で比較した場合は、DDR5-5600がDDR4-4800に比べ3%ほどレイテンシの値は小さくなっている。
また、CPUの性能を確認できる定番ベンチマークの「CINEBENCH R23」でメモリの違いを比較してみた。DDR4とDDR5でのスコア差はほとんど同じか、わずか1%ほどであるが、DDR5モデルのほうが高速になっている。
ここからは、アプリケーション利用における差を見てみよう。
まずは、日常的に利用するアプリの使用感を比較できる「PCMark 10 Extended」。DDR4と比較すると、総合スコアはDDR5が微妙に上だが微差。サブスコアを見ると、クリエイティブ用途関連のDigital Content Creationで3%程度、Gamingで2%程度の差が見られた。
Adobe Lightroom ClassicとAdobe Photoshopを使用し、画像編集や複数の画像にレイヤーを適用する処理のパフォーマンスを計測する「UL Procyon Photo Editing Benchmark」についてはほとんど差は付かなかった。
これらのベンチは、DDR5の実力を見るには負荷が低過ぎるようで、マルチコアCPUをもっと有効に活用するアプリケーションで高い負荷がかかるような用途になると、状況が変わってくると思われる。
続いて、3D処理やFF14ベンチマークにても計測して比較した結果を見てみよう。結論から言うとFire StrikeでもTime Spyも傾向はほぼ同じだ。DDR5はDDR4に比べて確実にスコアは上積みされていることが分かるが劇的なものではない。
FF14ベンチマークでは少しおもしろい結果となっている。総合スコアはいずれもフルHDで31,000台、WQHDで25,000台。微差ではあるがDDR5優位の結果となった。フレームレートを見てみると、平均はほとんど差がないものの、最低フレームレートはDDR4-3200に対してDDR5が4~7%上回った。パフォーマンスの底上げという点で効果があり、もっと負荷の高いゲームでは、より効果が出てくると考えられる。
また、「Handbrake」によるエンコード時間を計測している。3分5秒の動画ファイル(MP4形式、4K/30fps)をソースとして読み込み、プリセット“Super HQ 1080p30 Surround”と“Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround”にてエンコードを行なっている。
このエンコードではDDR5メモリはDDR4よりエンコード時間が短縮されているのが分かる。Super HQ 1080p30 Surround設定でDDR4-3200のときは2分27秒かかっていたのに対し、DDR5-5600では2分21秒と約4%、Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround設定のときはDDR4-3200のときは11分15秒かかっていたのに対して、DDR5-5600のときは10分53秒とこちらは約3%、それぞれ短縮された。
最後にテスト中の消費電力について見てみよう。第12世代CoreとともにDDR5が世に出た頃は、DDR5環境のほうがDDR4環境よりもシステム全体の消費電力がかなり大きいという例が多く見られた。しかし、今回計測したテストではその差はわずかな場合がほとんどだったが、UEFIやドライバのアップデートが続いた結果、改善されたとみるべきだろう。上記は一例だが、この結果を見る限りは消費電力の大きさを理由にDDR5を避ける必要はほとんどないと言ってよさそうだ。
これらの各種ベンチマークを行なった結果は、基本的にはDDR4とDDR5にはあまり差はないが、エンコードなど巨大なデータを扱うときにDDR5のほうが有利になる傾向は確認できた。PCの利用目的がエンコードや動画編集などを含むクリエイティブな用途のユーザーであれば、将来性も加味してDDR5メモリがオススメだ。
また用途に限らず、新しくPCを組もうとするユーザーは、価格差が縮小し、今後さらにOSやアプリの最適化が進むことが期待できるという恩恵も考慮すると、DDR5メモリを選択するほうがよいだろう。
DDR5-5600メモリでRyzenは速くなる? DDR5-5600とDDR5-4800で性能を比較
続いては、最新世代でいよいよDDR5への完全移行を果たした、AMD Ryzenでの状況をチェックしていこう。AMD Ryzenは、過去メモリによって性能に変化が出やすい世代もあった。今回最新のRyzen 9 7950X3Dを使用して、DDR5-5600とDDR5-4800で性能に変化が出るのか比較してみた。テスト環境は以下のとおり。
使用メモリ | DDR5-5600 | DDR5-4800 |
---|---|---|
メモリ容量 | 16GB×2 | 16GB×2 |
CPU | AMD Ryzen 9 7950X3D | |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X670E-PLUS | |
CPUクーラー | 36cmクラス 簡易水冷クーラー | |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition | |
SSD | M.2 NVMe SSD 2TB(PCI Express 4.0 x4)+ M.2 NVMe SSD 2TB(USB 10Gbps接続) | |
OS | Windows 11 Pro | |
室温 | 約24℃ |
SiSoftware Sandra 20/21/AIDA64 Extremeによる帯域幅テスト
メモリの帯域幅を計測するベンチマークテストの結果はDDR5-5600が有利で、SiSoftware Sandraで約10.9%、AIDA64 Extremeで2.7~5.4%、それぞれDDR5-4800を上回った。メモリクロックの上昇は帯域幅の向上に寄与していると言えるだろう。
メモリレイテンシを計測するベンチマークテストでももDDR5-5600のほうが優勢。SiSoftware Sandraで約5.2%、AIDA64 Extremeで約3.9%、DDR5-4800より短いレイテンシを記録している。
Ryzenのメモリコントローラはメモリクロックと連動しており、DDR5-5600で2,800MHz、DDR5-4800で2,400MHzで動作する。このCPU側の仕様もメモリ帯域幅とレイテンシに影響するものと思われる。
CINEBENCH R23/HandBrakeによるクリエイター用途テスト
CINEBENCH R23では、Multi Coreで約0.1%、Single Coreで約1.0%、DDR5-5600がDDR5-4800を上回ったが、計測誤差の範囲を超える明確な差と言えるほどではない。
HandBrakeでは、ソースの4K動画をCreatorプリセットでフルHDと4Kにエンコードした。フルHDで約2.8%、4KではDDR5-4800を約5.2%上回る速度を記録した。
同じようにCPU負荷の高いアプリでも、CPUコア性能への要求が高いCINEBENCH R23では差が付かなかったが、メモリアクセスが多いHandBrakeではある程度の差が付いた。
定番の3Dベンチマーク
定番の3D系ベンチマークとして、3DMarkとファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでテストを行なった。
3DMarkでとくにGPU負荷の高いテスト(Speed Way、Port Royal)では差が付かず、比較的GPU負荷が低いFire Strike、Wild Lifeなどでは、DDR5-5600がやや優勢だった
一方、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、必ずしもDDR5-5600のほうが高速とはならず、DDR5-5600がDDR5-4800をわずかに下回った。
実ゲームを使用したフレームレート計測
実際のゲームを使用したフレームレートの計測結果も見てみよう。テストにはオーバーウォッチ2、サイバーパンク2077、モンスターハンターライズ:サンブレイクを使用した。
平均フレームレートはDDR5-5600がDDR5-4800を上回っている結果のほうが多いが僅差となっている。GPU負荷が高くなる4Kより、フルHDのほうがメモリ性能の差が反映されている。
一方、興味深い差が見られたのは最低フレームレートだ。平均フレームレートでは僅差だったが、最低フレームレート(1% Low)で見た場合、高クロックメモリが性能の底上げに役立つ傾向がみられた。どのゲーム、どの条件でもDDR5-5600のほうが最低フレームレートはDDR5-5600のほうがやや高く、今回テストできた範囲では、メモリ性能の向上は最低フレームレートを改善するのに役立つと見ることができる。
DDR5メモリの4枚挿しは危険!? 安全な使い方は?
最後に、DDR5ではトラブルが起きやすいと言われている“メモリモジュール4枚挿し”について、現状を確認してみよう。「JEDEC」によって規定されているはずなのに、なぜトラブルが起きやすいのだろうか。
いわゆる「JEDEC」とは、半導体技術の標準化を行なうための団体で、自作PCユーザーの間ではとくにメモリモジュールの標準規格化でよく知られている。“CPUの定格”で“JEDEC準拠のメモリ”がもっともスタンダードで、安定して安全に使える状態でもある。
JEDEC準拠のメモリであれば、メーカーや製品が違っていたとしても混載して使用できる。そのための標準規格だ。ところが、DDR5メモリに関しては、「メーカー違い、製品違い、ロット違いの混載は危険」という情報がある。これはどういうことだろうか。
メモリモジュールにはSPD(Serial Presence Detect)と呼ばれるデータが記録されており、ここにJEDECが定める規格に準拠した値が記録されていることが“JEDEC準拠”の基本中の基本。さらにDDR5の規格においては、メモリモジュール上にPMICを持つことも定められている。このPMICによって、DDR5のメモリモジュールは、従来よりも安定したこまやかな電力の供給・調整が可能になっているのだ。
しかし、ここで問題になってくるのがこのPMIC。JEDECでは、このPMICについて「モジュールに供給された電力を1.1V±3%に変換して各チップに電力を供給できるもの」と定められているというのだが、一部の製品(とくに初期のモジュールに多いと見られる)において、この「1.1V±3%」を満たせないPMICが搭載されているモジュールがあるというのだ。
この状況についてCrucialの担当者に聞いたところ、「Crucialブランドの“JEDEC準拠”のメモリモジュールについてはSPDはもちろん、PMICも含めてすべてJEDECに準拠している」とのことだったが、市場では0.9V~1.5V程度で動作してしまっているPMICが載ったモジュールが流通していることも確認していると言う。
ラボでの検証では、このようなJEDECの基準を満たさないPMICが載ったモジュールは、2枚挿しでは問題なく動いていても(マザーボードなども優秀になっているので、メモリ上での問題をある程度吸収してくれている模様)、PMICの“実際の電圧”が異なるもの同士を混載するとトラブルが生じる可能性が高く、安定して動作しない、定格よりも高い電圧で動作してしまう、最悪の場合、メモリモジュール自身もしくはCPUのメモリコントローラなどに深刻なダメージを与えてしまう、という状況も確認できているとのことだ。
このような状況が起きた遠因は世界的な半導体不足の影響があると見られる(初期のDDR5メモリモジュールの品薄の原因はPMIC不足)。最近ではPMIC不足や品質のばらつきという状況は改善しつつあるようではあるが、一般ユーザーがPMICの品質を見きわめることは非常に困難であり、とくに初期型のDDR5メモリモジュールには不安もある。Crucialによると「JEDECに完全に準拠したメモリモジュールであれば混在して使用することは可能」とのことなので、もし、モジュールを買い足して4枚挿しにするといった場合には、Crucialのメモリモジュールのように確実に準拠しているものであることを確認してから利用するようにしたい。また、ほかの製品との混載不可を明示している製品もあるので、そのような製品は混載は控えるべきだろう。
DDR5メモリモジュール4枚挿しでの挙動を検証してみた
4枚挿しを行なう際に生じる可能性の高い混載に関する問題点を確認したところで、実際に4枚のDDR5メモリモジュールを用意してテストを行なってみた。使用したメモリはJEDECに完全準拠したCrucialのDDR5-5600の16GBモジュールで、2枚組のパッケージを2セット用意した。
従来よりもさらに高速になったDDR5はやはり動作にシビアなところがあり、以前は4枚搭載してDDR5-4800で安定動作するどうかは環境しだいといった状態だったが、最新の環境ではどうなっているのか、Intel Z790チップセット搭載マザーボード(LGA1700)環境と、X670チップセット搭載マザーボード(Socket AM5)環境でメモリを4枚搭載して挙動を確認してみた。
まずIntel環境だが、今回使用したCore i9-13900K+GIGABYTE Z790 AORUS ELITE AX(BIOS F3)でテストしたが、DDR5-5600メモリを搭載した場合、2枚のときはDDR5-5600(CL 46-45-45-89)動作、4枚のときはDDR5-4533(CL 46-45-45-89)動作が標準値となっていた。
Core i9-13900K+GIGABYTE Z790 AORUS ELITE AX(BIOS F3)環境 | |
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2枚挿し | DDR5-5600(CL 46-45-45-89) |
4枚挿し | DDR5-4533(CL 46-45-45-89) |
※BIOS項目Load Default後の動作 |
AMD環境は、Ryzen 9 7950X3D+ASUS TUF GAMING X670E-PLUS(BIOS 1222)でテストしたが、DDR5-5600メモリを搭載した場合、2枚のときはDDR5-5200(CL42-42-42-84)動作、4枚のときはDDR5-3600(CL30-29-29-58)動作が標準値となっていた。
Ryzen 9 7950X3D+ASUS TUF GAMING X670E-PLUS(BIOS 1222)環境 | |
---|---|
2枚挿し | DDR5-5200(CL42-42-42-84)動作 |
4枚挿し | DDR5-3600(CL30-29-29-58)動作 |
※BIOS項目Load Default後の動作 |
どちらの環境でも、メモリを4枚搭載しても動作しないといったことはないようで、DDR5メモリ登場初期と比べると高クロックでも動作するようになってきており、以前に比べると4枚挿しの状態でも動作はさせやすくなっているようだ。
今回使用しているメモリにはJEDECの規定値と同値のXMPとEXPOの設定値も入っている。これは、本来のDRAMの仕様“以上”の設定で動作させるいわゆるオーバークロックのためのXMP/EXPO設定値ではなく、4枚挿しなどの特殊な状況で強制的に下げられてしまった設定値を“JEDEC準拠の本来の値に戻す”ために用意されたものだ。
安定動作するかどうかは使用するCPUやマザーボード、マザーボードのBIOSのバージョンなど使用環境に依存するとは思われるが、メモリを4枚搭載した際でも、Intel環境であればDDR5-5600(CL46-45-45-89)、AMD環境ではDDR5-5600(CL46-45-45-90)、すなわち“JEDECと同値の設定”で動作させることが可能となる。今回は確実に安定動作するかまでは追い込んで検証・確認できていないものの、テストした2環境でも4枚挿しでDDR5-5600で動作していた。
メモリを4枚搭載する際の注意点は前述のとおりで、JEDECに完全準拠しているかどうかがキモとなる。Crucialによると、同社のメモリはJEDECに完全に準拠のものとなっており、JEDEC準拠のSPDでの動作においてメモリを原因とした不具合が起こる可能性は低く、製造時期などが異なるメモリを複数枚搭載した際に、動作しないことはあっても故障することはないとのこと。CrucialのJEDEC準拠モデルは、こういったケースで安心感の高さが違ってくるというわけだ。
なお、オーバークロックメモリには十分に注意が必要。JEDECと同値のSPDを持っていたとしても、電源部分の仕様がJEDECに準拠したものではない可能性があり、「クロックやレイテンシはネイティブで動いているように見えるが実は電力はJEDECよりも高い値」ということもある。その場合、混載が原因で故障につながる可能性があるようだ。オーバークロックメモリの場合は、混載についてはより注意深い確認が必要で、避けたほうが無難だろう。
[制作協力:Crucial]