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お手頃価格の大きめ湾曲ゲーミングモニターという提案。 PCもゲーム機も動画もすごい MSI「G32C4X」

250Hz対応の本格仕様も魅力 text by 芹澤 正芳

 PCとゲーム機をつなげて、動画も楽しめる自分用のモニターがほしい。テレビは大き過ぎし高いから違うんだよね……という声はよく聞かれる。そんな方に注目していただきたいのが、MSIからお手頃価格で登場した31.5型ゲーミングモニター「G32C4X」だ。高リフレッシュレート、高速応答、VRR(可変リフレッシュレート)対応、PS5の120Hz駆動も可能とゲーミングモニターとしての基本スペックをしっかり押さえた、大画面モデルの使い勝手をレビューしていこう。

MSI「G32C4X」。実売価格は40,000円前後。31.5型の大画面のVAパネルで、コントラストが高く、広色域(sRGBカバー率97.72%、DCI-P3カバー率91.08%)、HDR対応ということもあってメリハリのある映像が楽しめる

大きめゲーミングモニターはいろんなコンテンツが楽しい!

 MSIのG32C4Xは、31.5型サイズでフルHD解像度の大型ゲーミングモニターだ。DisplayPort接続時で最大250Hzの高リフレッシュレート駆動に対応し、応答速度は1ms(MPRT)と高速。パネルには、液晶が苦手な“黒”の表現力に優れるVAパネルを採用し、3,000:1の高コントラスト比を実現している。視野角も上下左右とも178°と広く、sRGBカバー率97.72%、DCI-P3カバー率91.08%と色域も十分広く、メリハリのある映像が楽しめるのが強みだ。

視野角は水平/垂直ともに178°の高視野角
リフレッシュレートは240Hz(オーバークロック時250Hz)。応答速度も1ms(MPRT)と高速
リフレッシュレートを250Hz設定にするにはDisplayPort接続にし、OSDメニューでDPオーバークロックをONにする必要がある

 また、明暗の表現がより向上するHDRにも対応。輝度は300cd/m2なので、最低400cd/m2が必要なDisplay HDR認証はこそ取得していないが、MSIではHDRに対して、本機に限らず多くのモデルでやや明るめで立体感があるチューニングをしており、筆者個人としては非常に好みの画質に仕上がっている。

 サイバーパンク2077などAAA級ゲームではHDR対応が多く、YouTubeなど動画配信サービスでもHDRコンテンツは充実してきている。“映像美”を重視するならあってうれしい機能だ。なお、液晶がHDRに対応していれば、Windows 11でHDR非対応ゲームをHDR化できる「自動HDR」機能を利用できるのもポイント。

HDRにも対応。Windows 11なら自動HDRも利用できる

 ディスプレイとビデオカードのフレームレートを同期させて画面ズレを起こすテアリングを防ぐVRR(可変リフレッシュレート)機能はAMDのFreeSync Premiumに対応。NVIDIAのG-SYNC Compatibleへの対応はうたわれていないが、筆者が試す限りでは、有効化が可能だった。

VRRはAMDのFreeSync Premiumに対応。公式スペックには明記されていないが、NVIDIAのG-SYNC Compatibleも有効化でき、問題なく動作した

 湾曲仕様である点も大きな特徴だ。曲率1,500Rなのでやや緩やかな曲がりだが、湾曲と31.5型の大型サイズが相まって視野全体を画面にしやすく没入感はかなりのもの。31.5型なので画面の隅々まで見るには視線移動が必要で、画面全体の素早い把握が重要になるFPS/TPSをガチでプレイするには少々向かないが、レースやオープンワールドなどゲームの世界に浸るタイプのタイトルにはピッタリ。とはいえ、高リフレッシュレートでもあるので、FPS/TPSでもカジュアルに楽しむには快適だ。

 大画面でフルHDだと荒さが目立つように思えるが、集中してプレイしている最中にはさほど気にならなかった。フルHDなら、それほどハイスペックではないゲーミングPCでも高フレームレートを出しやすいというメリットもある。ちょっと重めのアクションRPGなどを迫力重視(=大画面でプレイ)で遊びたいときなどにピッタリだ。

 また、湾曲タイプはパネルが曲がっているためにゴツく重くなりがちだが、本機は重量6.25kgと31.5型としては非常に軽め。設置がラクなのもナイスなポイントとして挙げておきたい。本体のサイズは幅709.4mm×奥行き248.7mm×高さ509.4mmだ。

1500Rのなだらかな湾曲パネルでフレームレスデザイン。マルチモニター環境にも向く
湾曲パネルと31.5型の大きさの相乗効果で没入感は高い

暗部補正や残像感の軽減などゲーミング系機能も充実

 各種設定を行なうOSDメニューは、背面にあるスティック状のNaviキーで呼び出して利用する。暗部を明るくする「ナイトビジョン」、FPS/TPSでAIMしやすいように画面中央にマークを表示させる「Smart Crosshair」、液晶特有の残像感を軽減する「MPRT」といったゲーミングモニターでは定番の機能は一通り網羅。スティックタイプで操作しやすくレスポンスも良好、使いやすいOSDメニューだ。

本体背面。OSDメニューは左側(パネル正面から見た場合は右裏側)にあるスティックタイプの「Naviキー」を押すことで呼び出せる
画面ブレを軽減するMPRTはVRR(OSDメニューではAdaptive-Sync)と排他仕様だ
暗部を明るくし、敵や地形を見やすくする「ナイトビジョン」。“通常”、“強い”、“もっとも強い”、“A.I.”の4モードを用意

 ちなみに、MPRTは、フレーム間に目には見えない速度で黒色を挿入して、残像感を軽減するというもの。アンチモーションブラーとも呼ばれ、その仕組上、明るさは多少落ちてしまう。また、VRRとは排他仕様なので、画面ブレと画面ズレのどちらを防ぎたいかは好みしだいだ。

 OSDメニューにはゲームモードとしてゲームジャンル別にFPS/レースゲーム/RTS/RPGのプリセットが用意されている。FPSではナイトビジョンが自動的にA.I.設定が有効となり、輪郭がハッキリしたエッジの効いた画面に調整される。レースゲームではコントラストが高められ、メリハリのついた迫力ある画面に、RTSはコントラストは強めでエッジを立たせつつ輝度は低めの画面に、RPGでは明るいがコントラストを押さえて長時間プレイでも目が疲れにくいように調整される印象だ。それぞれ異なる絵作りでなかなかおもしろい。

ゲームモードの「FPS」。ナイトビジョンが有効になるので暗部が見やすく、敵の判別をしやすくするためか輪郭がハッキリした調整が行なわれる
「レーシング」設定。ナイトビジョンは無効で、コントラストが強く迫力重視の調整といった印象だ
「RTS」設定。こちらもナイトビジョンは無効。コントラストは強いだが輝度は抑えめ
「RPG」設定。ナイトビジョンは無効、輝度は高く設定されるが、コントラストが抑えめなので落ち着いた画面になる
アンチフリッカーフリー、ブルーライトカットといった長時間使用時の疲労を抑える昨日も搭載

入力は3系統、PC+PS5+Switchもいける

 映像の入力はHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.2a×1の3系統を用意。HDMIにはPS5やNintendo Switchを、DisplayPortにはPCと複数のデバイスを同時接続できるのは便利だ。スピーカーは非搭載だが、ヘッドホン出力は搭載している。HDMI端子はPS5の120Hz駆動をサポート。ただ、VRRは有効にできなかった。

映像入力はHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.2a×1の3系統
PS5ではHDMI接続で120Hz設定が可能
4K対応のPS5だが、フレームレートを考慮するとアクション性の高いゲームではフルHDがベター。本機なら120Hz駆動にも対応するので快適度はさらにアップ
Nintendo SwitchのTVモードはフルHD出力なので、本機と相性はよい。31.5型の迫力でゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムを楽しむのもアリだろう

 スタンドの機能はチルト(下方向-5°、上方向+20°)だけとシンプル。ディスプレイ本体との接続にはネジ止めが必要だ。ワンタッチでスタンドを取り付けできるようになってほしいところだが。VESA100規格に対応しているので、スタンドではなくモニターアームの取り付けも可能だ。

電源は65W出力のACアダプタ
スタンドは高さ調整やスイベルはなくシンプルな作り
チルトは-5°から+20°まで動かせる

一人暮らしや自室用のディスプレイとしてオススメ

 MSI「G32C4X」の31.5型の大型サイズでフルHDという仕様は、オフィスワークやクリエイティブ作業にバリバリ使うためのPCディスプレイとしては解像度がやや物足りないが、最大250Hzのリフレッシュレートでゲームをなめらかな描画でプレイ可能、広色域&高コントラストなので映像美も上々、HDRコンテンツに対応、PS5の120Hz駆動が可能と、多彩なコンテンツを湾曲パネル特有の没入感で楽しめるのが強み。一人暮らしや自分の部屋用の“コンテンツ消費”用ディスプレイとしてオススメの1台だ。

 1台のモニタでマルチにコンテンツを楽しみたい、そんな使い型には24~27型サイズでは満足できそうにないという人への選択肢となる本製品。価格的にも高リフレッシュレートモニターとしては比較的手頃なので、ぜひともチェックしてみてほしい。

[制作協力:MSI]