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ホールエフェクト式のゲームパッドは現在の最適解?高精度な操作も実現する「GameSir T4 Kaleid」

 今回紹介するのは、ホールエフェクト式センサーのスティックとトリガーを採用した有線接続のゲームパッド「GameSir T4 Kaleid」。購入時の価格は6,299円で、6千円台前半~後半の価格帯で販売するショップが多い。

 T4 Kaleidは、ゲーミングデバイスブランドGameSirの有線接続ゲームパッドで、ボタンやスティックの配置はXboxコントローラー準拠。

Type-C接続部分は奥まっているので付属品以外のケーブルを使う場合は干渉に要注意
3.5mm音声出力

 振動モーターのほか、6軸ジャイロセンサー、ヘッドホン用の3.5mm音声出力、2つの背面ボタンも備えている。

 Windows 10以降のほか、Nintendo SwitchやAndroid 8.0以降に対応する。パッケージ内容はゲームパッド本体のほか、2mのUSB-A to Cケーブルが付属する。

GameSir T4k App
LEDは細かなライティングの設定も可能

 専用ユーティリティの「GameSir T4k App」は、Microsoft Storeからインストールでき、ボタンのマッピング、スティックのデッドゾーン調整、トリガーのデッドゾーン調整、振動の強度、LEDライティングの調整、モーションコントロールの設定などが可能だ。

ホールエフェクトスティックは驚きの高精度を実現

 本製品最大の特徴はホールエフェクト式のジョイスティックセンサーを採用している点だ。

 一般的なゲームパッドのジョイスティックは、スティック位置の測定センサーとして可変抵抗器(ポテンショメーター)を採用している。これは物理的な接点に基づき電圧値を読み取って位置を把握しており、摩耗や経年劣化などによって電圧値が変化してしまい、無操作状態でも一定方向に入力が入ってしまう、いわゆる“スティックドリフト”が発生、悪化するリスクがある。

 一方、ホールエフェクトセンサーの場合、ローレンツ力によって発生する電位差を位置測定に用いている。ポテンショメーターと異なり物理的な接点が不要なため、摩耗や劣化に強いという利点がある。

PCB上にHALL EFFECTの文字
K-SILVER製のホールエフェクトスティックを採用

 前述の通り、本製品は専用アプリからデッドゾーン(スティックを傾けた際に反応するまでのマージン)の調整が可能だ。初期ニュートラルデッドゾーンは5となっている。

 アプリから0(デッドゾーンなし)に設定し、「Gamepad Tester」で確認してみると、AXIS値は左右両スティックともにX/Y:0.00002/-0.00002を示した。スティックを倒してから離すと、わずかな“遊び”で0.017(1.7%)程度までブレることもあったが、一般的なポテンショメータースティックと比べるとブレ幅は非常に小さい部類だ。

T4K Appスティック設定画面

 なお本製品ではスティックのニュートラル状態のデッドゾーンだけではなく、外周部のデッドゾーン(スティックを傾けた際の認識される範囲)も設定可能で、円形に合わせる100のほか、正方形に近い入力まで拡張する「最大」モードも設定可能となっている。

 Gamepad Testerで確認できるCircularity(真円度)エラー率も、0-100設定時で0.3%と、ポテンショメータースティックと比べて非常に低い水準である点もポイントだ。

無操作時のGamePad Tester結果
Circularityテストの結果。左スティックは0-100設定、右スティックは0-最大設定

 デッドゾーンを0-100に設定し『Apex Legends』で試してみたところ、設定プレイヤーが多いと聞く「4-3/リニア/デッドゾーンなし」でも無操作時に視点が動かない、または非常に小さな動きに収まった。

 デッドゾーンを小さくすることで、繊細な操作や左右への切り返しといった動作がより機敏に行えるため、極僅かなドリフトのみでデッドゾーンをオフにできるのは既存製品のスティックと比べて優位性があるポイントと言えるだろう。

初心者のおぼつかないパッド操作でも、少々の練習で簡単にダミーが倒せるようになった

LT/RTトリガーもホールエフェクト式、ABXYボタンはマイクロスイッチ採用

 本製品ではスティックだけでなく、トリガー(LT/RT)にもホールエフェクトセンサーが採用されており、高感度と滑らかな押し心地を実現している。

 スティック同様のデッドゾーン設定のほか、「鋭敏トリガー(ヘアトリガー)」モードのオンオフも可能。ヘアトリガー有効時は、トリガーを押した度合いによらず、1mmでも押せば100として出力されるため、反応速度や連打が必要なゲームに適した機能だ。

 ABXYボタンは一般的なメンブレン式のスイッチではなく、マウスなどに使われるマイクロスイッチを採用。やや固めの押し心地で、カチカチとした明確なクリック感と動作音が特徴だ。

トリガー設定画面
マイクロスイッチ採用のABXYボタン

ジャイロセンサー搭載でNintendo Switch用コントローラーとしても使える

 ジャイロセンサーを利用したモーションコントロールの設定も可能で、同機能からはジャイロセンサーの入力を左右スティック操作として割り当てることで、視点移動やハンドル操作をジャイロで操作できる。

 またNintendo Switchとの接続では、上記「モーションコントロール」機能を使わず、純正コントローラーと同様のネイティブなジャイロ操作も可能。筆者が『スプラトゥーン3』で試してみた限りでは、Nintendo Switch Proコントローラーと比べ操作感に大きな差は感じられず、実用に足る動作だ。

ポーリングレートで実測1,000Hzを達成

 各設定は3つのプロファイル毎に設定できるため、ゲームや接続先の機器別に変更したい場合にも役立つ。

 またプロファイル画面からは、ゲームパッドとしては珍しくポーリングレートを設定できる。

 最大ポーリングレートは1,000Hzで、ゲームパッドのポーリングレートを計測できるツールによる測定でも、1,000Hz超のポーリングレートを確認できた。

プロファイル設定は3つ保持できる
ポーリングレートの実測値

視点が勝手に動く煩わしさから開放してくれる高コスパなゲームパッド

 今回の実際に試してみて、ホールエフェクトスティックは想像していた以上のポテンシャルを秘めていた。

 有線接続に限定されるものの、この完成度の製品が6,000円台というのはコストパフォーマンスに優れるといって差し支えないだろう。

 どのゲームパッドを購入するか迷っているという諸氏は、本製品も検討してみてはいかがだろうか。