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木の質感を活かした洗練されたデザイン「Fractal Design North Chalk White」【竹内亮介の オレにPCケースを使わせろ!】
DOS/V POWER REPORT 2023年夏号の記事を丸ごと掲載!
2024年1月11日 09:05
Fractal Design North Chalk White
CPUやビデオカードと異なり、PCケースは長く付き合っていくパーツだ。冷却性能やメンテナンス機能と同等、あるいはそれ以上に、自分の好みのデザインであることが重要になるだろう。
今回紹介する「North」シリーズは、木材の質感を活かした前面パネルを採用する、非常にユニークなPCケースである。筆者も長いことPCケースの評価を行なっているが、箱から取り出すと周囲に木の香りが広がるというのは初めての経験だった。
カラーバリエーションはブラックとホワイトを用意し、今回試用したホワイトの「North Chalk White」では明るい色合いのオーク材、ブラックの「North Charcoal Black」では暗褐色のウォールナット材を組み合わせている。木材の色と本体色を合わせることで、デザインの相乗効果を狙っているのだろう。木材の質感としっとりとした色合いの本体塗装も相まって、かなり高級感がある。
Northシリーズの優れた部分はデザインだけではない。木材の隙間をスリット状の通気口として利用する前面パネルの奥には、風の直進性を高めた14cm角ファンを2基装備し、PCケース内部にたっぷりと外気を取り込んで各パーツを冷却できる。また、側面にファンを増設できるファンマウンタを同梱している。上部、中央、下部と3カ所から固定場所を選べるので、エアフローをさらに強化したい場所に追加しよう。こうしたユニークなギミックを採用することもあり、左側板は通気性のよいメッシュ構造になっている。
PCケースの内部には構造物がないので、組み込み作業は楽に行なえる。左側面の前面に近い場所に帯のようなフレームがあるが、これもネジ止めされているだけなので外せる。対応サイズギリギリのビデオカードを組み込んだり、前面にラジエータを付けたりする場合にはあらかじめ外しておきたい。
前面ファンの回転数は、アイドル時で600rpm前後。Webブラウズや動画再生などの軽作業時であれば、動作音はほぼ聞こえない状態だった。また、14cm角サイズが2基のみという構成ながら、CPU温度は今までテストしてきたPCケースの中でもトップクラスの成績を収めた。ビデオカードの温度も十分低く、高性能なゲームPC向けの構成でも問題なく利用できるだろう。
簡易水冷クーラーは前面と天板に取り付け可能 天板は24cmクラスまでで余裕あり
前面に簡易水冷型CPUクーラーを組み込む場合は、前面に固定されている14cm角ファンを外す必要があるが、天板に付け換えられるのでムダにはならない。ただビデオカードの長さが30cmまでに制限されることもあり、簡易水冷型CPUクーラーは天板に取り付けたほうがよいだろう。
今回は24cmラジエータを備えるFractal Designの「LumenS24」を天板に組み込んだところ、前面と背面の余裕は十分確保していた。ファンの一部がマザーボードの上部に少しかぶって一部のコネクタにアクセスしにくい。ケーブル接続はラジエータを固定するまでにすませておきたい。
木のぬくもりを感じるフロントパネル、着脱が簡単で清掃がラク
オーク材を採用した前面パネルの木材は、すべすべとした手触りで高級感がある。ケース全体の仕上げも美しく、デザインに優れる大型の空気清浄機のようなたたずまいだ。無骨なミドルタワーケースをリビングに置きたくない、というユーザーにとっては、唯一無二の存在になるだろう。
この前面パネルは、マグネットで固定されており、前面パネルの下部に手を当てて引っ張るだけで簡単に外せる。またもとに戻すときも、マグネットの位置を合わせて前から押し込んでやればガチャッと音がして固定される。防塵フィルタは前面パネルの裏側にフックで固定されており、防塵フィルタだけを外してたまったホコリやゴミなどを簡単に清掃できる。このように防塵フィルタがメンテナンスしやすいPCケースは、冷却性能を維持しやすい。
メッシュ構造の効果か高い冷却性能を発揮
空冷時のCPU温度は高負荷時で72℃と、今までテストしてきたトップクラスの高機能スタンダードケースと比べても上位の温度だった。搭載するケースファンの数が2基であることを考えれば驚きの結果だが、通気性に優れたケースの構造が功を奏しているのかもしれない。ビデオカードの温度も十分低い。
天板に24cmラジエータを備えた簡易水冷型CPUクーラーを組み込むと、CPU温度とGPU温度の両方が若干下がった。ただ、簡易水冷型CPUクーラーを利用していることを考えると、CPU温度の変化は少なめだ。Ryzen 9 5900Xクラスなら、空冷でも十分冷えるということだろう。より発熱の大きな最新世代のハイエンドCPUを利用したいなら、28 ~ 36cmクラスのラジエータを備える簡易水冷型CPUクーラーを前面に組み込もう。
こんなPCを作りたい!
意外なほど高い冷却性能を活かして、ハイミドルクラスのゲーミングPCを作りたい。リビングの大画面テレビにつなげば楽しそうだ。
CPU | AMD Ryzen 9 5900X(12 コア24 スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX B550-F GAMING(AMD B550) |
メモリ | CFD 販売 W4U3200CM-8G(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB × 2) |
ビデオカード | GIGA-BYTE GeForce RTX 4070 WINDFORCE OC 12G(NVIDIA GeForce RTX 4070) |
SSD | Western Digital WD Black SN750 NVMe WDS500G3X0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB] |
電源ユニット | Corsair RM750x(750W、80PLUS Gold) |
CPUクーラー | サイズ MUGEN5 Rev.B( サイドフロー、12cm 角) / Fractal DesignLumen S24(簡易水冷型、24cm クラス) |
室温 | 24.4℃ |
アイドル時 | OS 起動10分後の値 |
動画再生時 | 解像度1,920 × 1,080 ドットの動画ファイルを1 時間再生したときの最大値 |
3DMark時 | 3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値 |
高負荷時 | OCCT12.0.7のPOWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値 |
Fan Xpert 4の設定 | Auto |
各部の温度 | 使用したソフトはHWMonitor1.50で、CPUはTemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesのGPUの値 |
[TEXT:竹内亮介]
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