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横出しケーブルで配線スッキリ!?「Corsair Gaming RM1000x SHIFT」【Power Supply Unit診断室】
DOS/V POWER REPORT 2023年夏号の記事を丸ごと掲載!
2024年1月30日 15:05
ケーブルのチラ見せ厳禁!!「ケブチラ」警察のPSU登場!
みんな大好き!「鉄板電源」の一つとして人気のCorsair GamingのRMシリーズ。現在、ゲーミング向けの「RMx 2021」シリーズ(550/650/750/1,000W)、エコスパ重視の「RMe」シリーズ(750/850/1,000W)によって、幅広い出力帯、価格帯をカバーしている。
今回紹介する「RM1000x SHIFT」は、RMxシリーズの新モデル。80PLUS Gold認証の「RMx」の系統ではあるのだが、そこで気になるのは「何がSHIFT」したのかだ。製品写真をよくご覧になれば分かるとおり、通常ならPC前方を向いているはずのプラグインコネクタが“側面”にSHIFTしたのだ。見た目あまりにも違和感があるので思わずツッコミを入れてしまいそうになる外観だ。
ただし、よく見ていくと実はこれこそが将来スタンダードになるヤツかもしれないという結論に達した! 出力ラインナップは850、1,000、1,200Wと大出力寄りでハイエンドの位置付け。鳴り物入りの電源、RM1000x SHIFTをじっくりと観察していこう。
※実売価格は6月上旬時点のもの
製品名 | 出力 | 奥行き | 80PLUS認証 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
RM1200x SHIFT | 1,200W | 18cm | Gold | 31,000円前後 |
RM1000x SHIFT | 1,000W | 18cm | Gold | 26,000円前後 |
RM850x SHIFT | 850W | 16cm | Gold | 20,000円前後 |
横出しケーブルで配線スッキリ!?
RMx SHIFTは「サイドパネル越しにケーブルが見えるのは悪!」という方向けのパンチラならぬ「ケブチラ」防止電源だ。本製品は電源ファンが底面向きになるよう搭載したときに、プラグインコネクタがケース正面から見て右の裏面配線スペースを向くよう設計されている。たとえ電源カバーのないケースと組み合わせた場合でも、マザーボードやビデオカードなどデバイス側の端子に接続する部分以外、ほぼほぼケーブルが露出することがない。流行りの「中を見せるPC」にバッチリの電源だ。
ケーブルはすべてフラットタイプなので裏面配線スペースの隙間にも通しやすく、もちろんエアフローにも効果的だ。公式では横幅が21cm以上あるケースなら対応可としているが、心配な方は対応ケース一覧( https://www.corsair-crew.jp/rm_shift/ )が公開されているので参照してほしい。
PCI Expressがとくに安定 ゲーミング向けの大出力電源
ATX3.0に準拠した80PLUS Gold認証電源。ラインナップには850、1,000、1,200Wが用意されており850Wは奥行き16cm、1,000W以上は18cm。PCI Express 5.0に対応した12VHPWRケーブル(最大600W)も標準添付されているので、GeForce RTX 40シリーズにも安全・確実に電源を供給できる。
またPCI Expressへの安定的な電圧供給もポイント。基準電圧は12.1Vでほぼ理想的な上に、高負荷時のPCI Expressの電圧降下も0.3V弱なのでハイエンドのビデオカードを積んだシステムにオススメ。EPS12Vも降下幅0.2Vできわめて安定。ATX24ピンの降下幅は0.7Vと大きなところが気になるものの、CPUとビデオカードに全振りのPSUという点をかんがみれば、まず問題なしと見てよいだろう。またノイズも非常に少ない。
プラグインコネクタを側面に移動したことで、内部も革新的になっている。基板を新規に起こしており、電解コンデンサなど熱に弱い部品と発熱するパワートランジスタを可能な限り離したレイアウトも秀逸。しかも熱源は排気口の近くに配置しているので、排熱でコンデンサが熱を持ちにくいなど、エンジニアの細かい設計思想が見られておもしろい。
診断票:今は変態電源かもしれないが将来スタンダードになるかも
LEDイルミネーションやクリアサイドパネルのPCケースなど、当初はエッ!? と思うようなものがその後トレンドになることもある。本製品も同じかもしれない。今は「使いやすいの!?」と躊躇されるかもしれないが、ケーブルマネジメントのしやすさ、基板レイアウトなどを見ていくと、将来スタンダードになるかもしれないと思った。Corsairよ、新しい気づきをありがとう!
CPU | AMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG X570 GAMING PRO CARBON WIF(I AMD X570) |
メモリ | Kingston HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 3090 Founders Edition |
SSD | Solid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express 3.0 x4)、240GB] |
OS | Windows 11 Pro |
室温 | 20℃ |
暗騒音 | 34.3dB |
アイドル時 | ベンチマーク終了10分後の値 |
高負荷時 | 3DMarkを実行中の最大値 |
動作音測定距離 | ファンから約15cm |
電力計 | Electronic Educational Devices Watts Up? PRO |
電圧計測方法 | 三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測 |
リプル計測方法 | Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測 |
[TEXT:藤山哲人、検証協力:長畑利博(アイティースリー)]
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