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新ASSASSINは斬新なアイディアでここまで進化した!DeepCool「ASSASSIN Ⅳ」【CPUクーラーマニアックス】
DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!
2024年3月11日 07:05
新ASSASSINは斬新なアイディアでここまで進化した!
CONCEPT:高性能でも簡単セットアップ!
DeepCoolのハイエンド空冷と言えば、2019年に登場しいまだ最強との呼び声が高いASSASSIN Ⅲが知られる。2023年、このASSASSINがASSASSIN Ⅳへと進化した。
ASSASSIN Ⅳでは前世代のⅢからファンレイアウトやデザインに大きな改良が加えられており、見た目が大幅に変わった。また、カラーリングではⅢがシルバーのヒートシンクにブラックのファンだったが、Ⅳではヒートシンクを含めてブラックに統一。ファン上部に金属製カバーを取り付けることでスッキリとしたボックス形状を実現している。
またファンレイアウトにも大きな特徴がある。ASSASSIN Ⅳのファンはツインタワーのヒートシンク間に1基、そして、メモリスロット側ではなく後部VRM側に1基という一風変わった配置だ。メモリスロット上にファンがかぶさらない構造なので、大型のヒートスプレッダを搭載したメモリを挿しても干渉しない。見た目のよいPCを自作したい方にとって大きな強みだ。
ファンのサイズは中央のものが14cm径で後部が12cm角。後部のファンが見た目的に前面に向けて吹き付けているような印象だが実のところヒートシンクから吸気するファンとして機能している。これによりフィンを通ったエアフローが弱まることなく、拡散することもなく、直接背面のケースファンに送り込むことができるというわけだ。なお、付属ブラケットを使うことで前面メモリスロット側にさらに1基ファンを追加し、トリプルファン構成にすることもできる。
ヒートパイプは6mm径× 7本と競合製品よりも多く、対応TDPは280Wとされ、発熱量の大きなハイエンドクラスのCPUでもしっかりと冷却することができる。
CPUクーラー組み込み時にトップカバーおよび中央のファンを一旦取り外す必要があるが、この部分はツールレスで簡単。よくあるクリップによるファンの固定方法と比べて煩わしさがない。クーラー上部にはファンの回転数を冷却性能重視、静音性重視で切り換えるスイッチを搭載している。
リテンションキットはソケットごとの部品が分かりやすく、組み立ても簡単。専用のドライバーが付属するので別途工具を用意する必要がない。またベースプレートなどは金属製で剛性が高く、重量級の本製品を装着してもマザーボードのたわみを抑えてくれる。
本製品はデザイン、性能、レイアウトなど全方位に新機軸を多数詰め込んだ意欲作だ。ハイエンドCPUクーラーの代名詞となったASSASSINシリーズの名に恥じない製品に仕上がっている。
FAN:異なる径!一つは排気!一つは吸気!
前モデルでは14cm径ファンを2基搭載していたが、本モデルでは14cm径と12cm角ファンという異径の組み合わせとなった。ファンは流体軸受け。耐久性だけでなく、前世代より静音性も向上している。14cm径ファンはツインタワーヒートシンクの中央部に、12cm角ファンはクーラー後部に搭載される。メモリスロットのある前部にはファンがない変則的な構成だ。
CLEARANCE:フロントファンレスでメモリとの干渉は一切なし
大型のCPUクーラーにありがちな周辺パーツとの干渉は極力抑えられている。とくに、メモリに覆いかぶさるようにファンを搭載しない構造のためメモリと干渉することはまずない。また側面も突起物などがないボックス型の構造のためバックプレート付きのビデオカードを装着しても干渉することはないだろう。ただしマザーボードのヒートシンクには注意が必要だ。あらかじめ使えないマザーボードは製品ページに記載されているので購入前に確認しておくとよいだろう。
BENCHMARK TEST
冷却では空冷最強クラス、静音性も良好!
検証はPerformanceモードに設定して行なったが、ASSASSIN Ⅲよりも高負荷時で2℃低く、冷却性能の向上を確認できた。新しいファンレイアウトや7本のヒートパイプなど新設計の効果が現われていると言えるだろう。
静音性ではアイドル時、高負荷時ともにASSASSIN Ⅳのほうが静かだった。とくにアイドル時は26.4dBとケースの中に入れてしまえばほとんど音が聞こえないほど静かだった。また高負荷時の50.7dBもこのクラスとしては静かで、音質でも耳障りに感じることはなかった。Silentモードもあるので、より静かにすることも可能だ。
ファンの回転数カーブがASSASSIN Ⅲよりも低回転に設定されているのか、中程度の負荷であるFF14ベンチマークに関しては、冷却はASSASSIN Ⅲが上、静音性ではASSASSIN Ⅳが上、という結果に。3DMark中の温度推移もASSASSIN Ⅳのほうが高めだが、50℃台前半なので不足はなく、「この程度の負荷ならまだ本気は出し切らない」ということのようだ。アイドル時もそうだったように、ASSASSIN Ⅳは冷却性能が必要な高負荷時にのみ全力を出し、それ以外は静音性を重視する設計と考えるのがよいだろう。
常識を打ち破るアイディアを多数盛り込んだ最強のCPUクーラー
・空冷最強クラスの冷却能力
・ツールレスでファンを取り付けが可能な便利な新機能
・メモリと干渉しない斬新なファンレイアウト
外観がスタイリッシュになり、各部の斬新な設計も期待を超えてきた。新たなファンレイアウトは冷却性能の向上に加え、メモリとの干渉を抑えている。また、動作音も静かで、組み立ての手間も少ない。これなら上級者から初心者まで幅広くオススメできるが、一つネックなのが価格だ。実売価格15,000円前後では36cmクラスの簡易水冷も視野に入ってくる。実用温度域で静音性と冷却性能を両立可能な「空冷ハイエンドCPUクーラー」にこだわる方にお勧めしたい。
CPU | Intel Core i7-12700K(12コア20スレッド) |
マザーボード | MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(Intel Z690) |
メモリ | Micron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti) |
SSD | Western Digital WD Blue SN570 NVMe WDS500G3B0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB] |
電源 | MSI MPG A850GF(850W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro |
グリス | 親和産業 OC Master SMZ-01R |
室温 | 25℃ |
暗騒音 | 30dB以下 |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
高負荷時 | CINEBENCH R23 Multi Coreを10分間連続実行した際の最大値 |
CPU温度 | HWiNFOのCPU Packageの値 |
そのほかの温度 | HWiNFOの値 |
動作音測定距離 | ファンから20cm |
[TEXT:Windlass 監修・検証:清水貴裕]
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