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Seasonicから新たなる王者現わる!「VERTEX-GX-1000」編【Power Supply Unit 診断室】
DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!
2024年3月28日 14:05
Sea Sonicから新たなる王者現わる!
2023年になって各社から続々とATX 3.0対応の電源がリリースされ始めている。今回の製品はSea Sonicで初めてこの規格に対応した80PLUS Gold認証電源「VERTEX-GX」シリーズだ。出力は1,000Wと1,200Wが用意され、価格はそれぞれおよそ4万円と4.9万円となっている。
おそらく読者のほとんどは「高い!」と声を漏らすだろう。むろん筆者も漏らした。しかし本記事の実験結果などを見てもらえば、おそらく納得できるはず。パーツの品質はもちろん、電圧の安定性、ノイズの少なさ、そしてパーツレイアウトにいたるまで、Sea Sonicの職人魂がブチ込まれた珠玉の逸品。寿司でたとえるならVERTEXは銀座の高級寿司だ。
1,000Wという大出力なのでRTX 40シリーズで採用されている12VHPWR(600W対応)も装備。10月末にリリースされGPUパフォーマンスをメッチャ要求されそうな都市開発SLG「Cities: Skylines Ⅱ」のためにVERTEX-GXとGeForce RTX 4090で武装して待機せよ!!
※実売価格は9月上旬時点のもの
製品名 | 出力 | 奥行き | 80PLUS認証 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
VERTEX-GX-1200 | 1,200W | 16cm | Gold | 49,000円前後 |
VERTEX-GX-1000 | 1,000W | 16cm | Gold | 40,000円前後 |
少し大きめのサイズ感で内部に余裕&冷却よし
「1,000Wにしちゃぁデカくネ?」という第一印象だろう。最近の小さいPSUを見慣れてしまった僕らには、1,000/1,200Wで奥行き16cmは大きく感じる。しかしその分熱源から熱に弱いコンデンサを離したり、PSU内部のエアフローをよくしたりすることで、より長く使える電源に仕上がっている。
また本電源は20年ぶりに改訂されたATX3.0規格を採用しており、消費電力の大きなGPUを搭載した現状のPCに寄り添った仕様になっている。一応PCI Express 5.0対応をうたってはいるが、肝心のビデオカード側はというと、補助電源のみハイエンドのGeForce RTX 40シリーズが12VHPWEを先取りで導入したのみ。そのほかの仕様はPCI Express 4.0世代のままにとどまっている。
とはいえ電源はPC内部パーツの中でも数世代にわたって流用されることの多いパーツだ。将来を見込んだ電源として、静音かつ省エネで、ハイパワーなビデオカードにも対応できる製品と言える。作業性も高く、ケーブルはスリーブ仕様になっていて、ワンランク上のケーブルマネジメント環境を用意してくれる。
誰もが納得する高品位な直流と安定した電力がパネェ!
ATX 3.0に対応したことで、ATX24ピン、EPS12V、PCI Expressともに基準電圧を12.2Vに設定でき、さらに負荷検知による昇圧機能も3系統すべてに設けたことで、電圧降下はもはや過去の出来事となった。さらには芸術的なまでに一直線な直流は、ノイズも非常に小さい。こうして高品位の直流を、高負荷時でも電圧降下することなく安定して供給できるのが本製品だ。
熱源となるパーツとコンデンサは距離を取った余裕の配置になっているので、準ファンレス運転も可能だ。温度と負荷を総合的にかんがみてファン停止から回転数制御まで行なうSea Sonic独自の「プレミアムハイブリッドファンコントロール」で制御する。しかも搭載されている13.5cm角ファンは非常に静か。高負荷時でも音が気になることはない。
1,000Wの電源が必要なシステムなら内部の発熱もそうとうなものになるはずで、少しでもPC内部温度を下げる意味では背面スイッチで常時回転としておいてもよいだろう。コンデンサのストレスを減らすことで、電源がより長く使えるようになる。覚えておいてほしいのは、使用温度が10℃上がるとコンデンサの寿命は半分になる。逆に10℃下げれば寿命は2倍になるのだ。
診断票:たとえ高価に感じても長く使える信頼設計
ATX 3.0規格を思いっきり味方に付け、これまでの電源をぶっちぎる性能を叩き付けてきたSea Sonic。「2023年の金レコはもらった!」と言わんばかりだ。ハイエンドビデオカードが必要なTPS/FPSやSLGにはVERTEX-GXを強くオススメしよう。10年保証はダテじゃなく、マジで10年持ちそうなので5万円でも高くはないだろう。
CPU | AMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG X570 GAMING PRO CARBON WIF(I AMD X570) |
メモリ | Kingston HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 3090リファレンス(NVIDIA GeForce RTX 3090) |
SSD | Solid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express 3.0 x4)、240GB] |
OS | Windows 11 Pro |
室温 | 30℃ |
暗騒音 | 34.9dB |
アイドル時 | ベンチマーク終了10分後の値 |
高負荷時 | 3DMarkを実行中の最大値 |
動作音測定距離 | ファンから約15cm |
電力計 | Electronic Educational Devices Watts Up? PRO |
電圧計測方法 | 三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測 |
リプル計測方法 | Pico Technology PicoScope 2204を使用しアイドル時に計測 |
[TEXT:藤山哲人]
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