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Seasonicから新たなる王者現わる!「VERTEX-GX-1000」編【Power Supply Unit 診断室】

DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!

Sea Sonicから新たなる王者現わる!

 2023年になって各社から続々とATX 3.0対応の電源がリリースされ始めている。今回の製品はSea Sonicで初めてこの規格に対応した80PLUS Gold認証電源「VERTEX-GX」シリーズだ。出力は1,000Wと1,200Wが用意され、価格はそれぞれおよそ4万円と4.9万円となっている。

 おそらく読者のほとんどは「高い!」と声を漏らすだろう。むろん筆者も漏らした。しかし本記事の実験結果などを見てもらえば、おそらく納得できるはず。パーツの品質はもちろん、電圧の安定性、ノイズの少なさ、そしてパーツレイアウトにいたるまで、Sea Sonicの職人魂がブチ込まれた珠玉の逸品。寿司でたとえるならVERTEXは銀座の高級寿司だ。

 1,000Wという大出力なのでRTX 40シリーズで採用されている12VHPWR(600W対応)も装備。10月末にリリースされGPUパフォーマンスをメッチャ要求されそうな都市開発SLG「Cities: Skylines Ⅱ」のためにVERTEX-GXとGeForce RTX 4090で武装して待機せよ!!

Sea Sonic Electronics VERTEX-GX-1000 実売価格:40,000円前後
規格:ATX、定格出力:1,000W、ファン:13.5cm角(底面)、80PLUS認証:Gold、ケーブル:フルプラグイン、電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×18、ペリフェラル×3、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×3、サイズ(W×D×H):150×160×86mm

※実売価格は9月上旬時点のもの

Lineup
製品名出力奥行き80PLUS認証実売価格
VERTEX-GX-12001,200W16cmGold49,000円前後
VERTEX-GX-10001,000W16cmGold40,000円前後

少し大きめのサイズ感で内部に余裕&冷却よし

マルチGPUユーザー御用達!ほぼ900Wを+12Vに回せる
+3.3/5Vは25A仕様なので電力配分は標準的。とはいえ総出力は1,000Wあるので、+12Vに900W程度回せるだろう計算だ。ハイエンドビデオカードを12VHPWRでブン回してもよし、複数のGPU環境でディープラーニングPCにするもよいだろう

 「1,000Wにしちゃぁデカくネ?」という第一印象だろう。最近の小さいPSUを見慣れてしまった僕らには、1,000/1,200Wで奥行き16cmは大きく感じる。しかしその分熱源から熱に弱いコンデンサを離したり、PSU内部のエアフローをよくしたりすることで、より長く使える電源に仕上がっている。

プラグインコネクタ裏にもおびただしいパスコンの嵐!
基板に隠れて見えにくいが、これでもかっ! ってぐらいにパスコン(バイパスコンデンサ:ノイズを低減して電流を平滑化する)を詰め込んだコネクタ裏。理想的な直流のためなら手段を問わないという気迫が怖い! Sea Sonicマジだよ!

 また本電源は20年ぶりに改訂されたATX3.0規格を採用しており、消費電力の大きなGPUを搭載した現状のPCに寄り添った仕様になっている。一応PCI Express 5.0対応をうたってはいるが、肝心のビデオカード側はというと、補助電源のみハイエンドのGeForce RTX 40シリーズが12VHPWEを先取りで導入したのみ。そのほかの仕様はPCI Express 4.0世代のままにとどまっている。

長めのフラットケーブルで裏面配線でも余裕の長さ
ATX24ピンは61cm、EPS12Vは70cm、PCI Expressと12VHPWRは75cmあり余裕のケーブル長。Serial ATAは1段目が50cmで以降15cm間隔の4コネクタのものと1段目が40cmで2コネクタのものが付属。ペリフェラルは1段目が45cmで以降12cm間隔の3コネクタ。すべてが長い!

 とはいえ電源はPC内部パーツの中でも数世代にわたって流用されることの多いパーツだ。将来を見込んだ電源として、静音かつ省エネで、ハイパワーなビデオカードにも対応できる製品と言える。作業性も高く、ケーブルはスリーブ仕様になっていて、ワンランク上のケーブルマネジメント環境を用意してくれる。

アイドル時はそれほど差がないが、高負荷時はLEADEX V G130X 1000Wと比べて8Wほど高くなった。とはいえ比率で見ればほぼ誤差レベルだ
背面のボタンで「プレミアムHybridモード」に切り換えると、負荷と温度を検知してファン停止〜回転数制御を行なう

これぞ怒濤の安定性!不動の直流をとくと見よ!

1次側にはハイグレード品のKMZシリーズが使われ、390+470で860μFの大容量。熱源からもそこそこ離れていて、その上105℃仕様なので安心の設計だ
3,300μFの電解コンで大きなリプルを、固体コンで細かいリプルを取り除こうという2段構えの作戦。小型ながらコイルも入っていて、高品位な直流を狙っている感じだ
プラグインコネクタの基板に擬装していて分からなかったがコイツが超小型のDC−DCコンバータだ。このドーターボード1枚で3.3と5Vを作り出している! やるねぇ
【藤山の注目ポイント】
イマドキの電源にしてはデカい奥行き16cmには意味がある。最近増えている小型ハイパワー電源に対するSea Sonicからのアンチテーゼだ。熱源となるパーツの間にさまざまな制御系の回路を仕込んで空間を設けることで電源内隅々まで13.5cm角ファンのエアフローを行き渡らせ、コンデンサをできるだけ冷やし、より高品質な電源をより長く使ってもらうようにとの配慮と思われる

誰もが納得する高品位な直流と安定した電力がパネェ!

 ATX 3.0に対応したことで、ATX24ピン、EPS12V、PCI Expressともに基準電圧を12.2Vに設定でき、さらに負荷検知による昇圧機能も3系統すべてに設けたことで、電圧降下はもはや過去の出来事となった。さらには芸術的なまでに一直線な直流は、ノイズも非常に小さい。こうして高品位の直流を、高負荷時でも電圧降下することなく安定して供給できるのが本製品だ。

規格改変で思いっきり基準電圧を↑↑
今までなら基準電圧を上げて高負荷時の電圧降下に備えていた。しかしATX 3.0になり晴れて12.2VまでOKとなったことで、ATX24ピン、EPS12V、PCI Expressの基準電圧を12.2Vに昇圧!高負荷時は電圧を持ち上げるようになっているため、電圧降下どころか電圧上昇している。なお、A T X 3.0規格では+12Vの下限が11.2Vに緩和されたため、グラフの描画範囲も変更している

 熱源となるパーツとコンデンサは距離を取った余裕の配置になっているので、準ファンレス運転も可能だ。温度と負荷を総合的にかんがみてファン停止から回転数制御まで行なうSea Sonic独自の「プレミアムハイブリッドファンコントロール」で制御する。しかも搭載されている13.5cm角ファンは非常に静か。高負荷時でも音が気になることはない。

芸術的な直流! 感動した!花丸あげちゃう!
おいおい!乾電池じゃねーか?というぐらい美しい直流。これは2023年の金レコにノミネート確実だ。オーディオマニアに悟られないように内緒にしておきたい電源

 1,000Wの電源が必要なシステムなら内部の発熱もそうとうなものになるはずで、少しでもPC内部温度を下げる意味では背面スイッチで常時回転としておいてもよいだろう。コンデンサのストレスを減らすことで、電源がより長く使えるようになる。覚えておいてほしいのは、使用温度が10℃上がるとコンデンサの寿命は半分になる。逆に10℃下げれば寿命は2倍になるのだ。

この波形は額に入れて美術館に飾れるほど直流!
うねりの「う」の字もないほど直流。コロナの間じっくり開発したのか?ちょっとレベチの直流を供給してくれるPSUだ

診断票:たとえ高価に感じても長く使える信頼設計

 ATX 3.0規格を思いっきり味方に付け、これまでの電源をぶっちぎる性能を叩き付けてきたSea Sonic。「2023年の金レコはもらった!」と言わんばかりだ。ハイエンドビデオカードが必要なTPS/FPSやSLGにはVERTEX-GXを強くオススメしよう。10年保証はダテじゃなく、マジで10年持ちそうなので5万円でも高くはないだろう。

【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド)
マザーボードMSI MPG X570 GAMING PRO CARBON WIF(I AMD X570)
メモリKingston HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 3090リファレンス(NVIDIA GeForce RTX 3090)
SSDSolid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express 3.0 x4)、240GB]
OSWindows 11 Pro
室温30℃
暗騒音34.9dB
アイドル時ベンチマーク終了10分後の値
高負荷時3DMarkを実行中の最大値
動作音測定距離ファンから約15cm
電力計Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
電圧計測方法三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測
リプル計測方法Pico Technology PicoScope 2204を使用しアイドル時に計測

[TEXT:藤山哲人]

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 今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年秋号」の記事をまるごと掲載しています。

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