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一般向けノートの性能も大きく上がる?第11世代Core「Tiger Lake」搭載PCの実力

高性能ノートPCの目印にもなる「Intel Evo platform」 text by 浅倉吉行

dynabook V8/P(P1V8PPBB)
GPUにXe-LP(Iris Xe)を搭載した第11世代Core CPUを採用。

 Intelの最新のモバイル向けCPUである「Tiger Lake」こと第11世代Coreは、新設計のCPUコア「Willow Cove」に、強力なGPUコア「Xe-LP(Iris Xe)」を統合した注目の新世代CPUだ。

 この以降のノートPCであれば、最低限3Dゲームが動くという性能の節目になる可能性も秘めたモデルで、メーカーを問わずPC全体の性能を引き上げてくれることを期待したくなるCPUでもある。

 今回は、Tiger Lake搭載モバイルノート「dynabook V8/P」で、強力なGPUコアを手に入れたTiger Lakeが本当に3Dゲームが遊べるほどの性能を持っているのかチェックしてみよう。

「5in1」スタイルで使えるモバイルノートPC「dynabook V8/P」Intel×ノートPCメーカーコラボの高性能PC「Intel Evo platform」モデル

 dynabook V8/P(P1V8PPBB)は、CPUにTiger Lakeベースの4コア8スレッドCPU「Core i7-1165G7」を搭載した13.3型モバイルノートPC。今回紹介するものは製品版ではなく試作モデルであるため、製品版とは仕様が異なる可能性がある点に留意してもらいたい。

dynabook V8/Pは「Intel Evo platform」対応モバイルノートPC。このマークはIntelとノートPCメーカーのコラボレーションによって設計された特別なモデルに冠されるもの。
レスポンスの良さはもちろん、スリープからの復帰の速さ、長時間バッテリー駆動への対応や充電の速さ、Wi-Fi 6とThunderbolt 4の搭載など、高性能PCの新たな目印となっている。

 本機は「ワンランク上の使用感」をコンセプトに「Intel Evo platform」に準拠して開発されたモデルだ。この指標は快適なユーザー体験をもたらすPCの基準としてIntelが定めたもの。

 CPUにIris Xe Graphics搭載の第11世代Coreプロセッサー(Core i5以上)、8GB以上のメモリ、256GB以上のNVMe対応SSD、Wi-Fi 6にThunderbolt 4といったパーツ類を規定しているだけでなく、OSやアプリの起動の快適さや、長時間のバッテリ駆動(フルHD液晶モデルで9時間以上)、高速レジュームと言った使い勝手まで細かな要件が定められており、これらをクリアしたPCのみ「Intel Evo platform」を名乗ることができる。

 位置付けは過去にIntelが定めた「Centrino Mobile Technology」や「Ultrabook」に近いが、それらがどちらかと言えばスペックを重視していたのに対して、「Evo platform」ではよりよいユーザー体験に比重が置かれているのが特徴。そして、PCメーカー各社と協力してPCのコンセプトに関わる部分まで作り上げている点は、業界最大手にして、各社と強力なコネクションを持っているIntelならではの特徴と言える。

dynabookが提案する「5in1」の基本形となる「Note PCスタイル」。Tiger Lakeの性能や24時間駆動のバッテリー、最新インターフェイスの採用により、レスポンシブで使いやすいノートPCに仕上がっている。

 今回取り上げているdynabook V8/Pは、「Intel Evo platform」の要件を満たしつつ、上位のCore i7に16GBのメモリ、512GBのNVMe SSD、24時間駆動が可能なバッテリーなど、さらなる高性能化が図られている。また、サウンド機能はDolby Atmos対応で、これにあわせチューニングしたharman/kardonステレオスピーカーを搭載。ディスプレイはタッチ/ペン操作対応のフルHD液晶。これだけ詰め込んで重量は1kgを切る979gとなっている。

 また、このモデル特有の部分としては、「5in1」の使用スタイルが提唱されており、ノートPCとしての基本形である「Note PC スタイル」の他、利用シーンに応じて「Tabletスタイル」、「Penスタイル」、「Monitorスタイル」、「Flatスタイル」を使い分けることができる。用途に適した形態を変えるモバイルPCというdynabook V8/Pのコンセプトは、ユーザーのベネフィットを重視するIntel Evo platform対応製品らしいものだ。

「Tabletスタイル」。ディスプレイを約360度開くことでタブレット端末のような形態に変形する。
「Penスタイル」。同梱されているWacom製アクティブ静電ペンを用いることで、液晶ペンタブレットとして利用可能。
「Monitorスタイル」。360度開閉ヒンジと狭額縁液晶ディスプレイの採用により、動画視聴に適したMonitor スタイルをとることができる。
「Flatスタイル」。ディスプレイを180度まで開いたスタイルで、複数人で画面を見ながら情報を共有できる。

dynabook V8/P搭載のCore i7-1165G7をCPUベンチマークでチェック

 dynabook V8/Pが搭載するCore i7-1165G7は、Tiger Lakeベースの4コア8スレッドCPUで、GPUコアには「Intel Iris Xe Graphics」を搭載している。Core i7-1165G7のメモリコントローラはDDR4-3200とLPDDR4-4266をサポートしているが、今回借用したdynabook V8/Pの試作機には16GBのLPDDR4-4266が搭載されていた。

 今回はTiger Lakeのゲーミング性能をチェックするのが主な目的ではあるのだが、せっかくなので、新アーキテクチャ「Willow Cove」を採用するCPUコアの性能をCINEBENCHでチェックしてみよう。

CINEBENCH R23。スコアは、スレッドが5,170ptsで、シングルスレッドは1,455pts。
CINEBENCH R20。スコアは、マルチスレッドが2,072ptsで、シングルスレッドは493pts。

 実行したのは、最新版である「CINEBENCH R23」と、長らく定番ベンチマークとして用いられてきた「CINEBENCH R20」。どちらのテストでも、シングルスレッド性能はベンチマーク内に表示されている参考データのCore i7-7700Kを上回るスコアを記録しており、Willow Coveが1コア当たりの性能と電力効率に優れたCPUコアであることが伺える。

Tiger Lakeのゲームでのパフォーマンスをチェック

IntelはIris Xe Graphicsでのゲーム動作の検証も行っており、安定動作が確認できたタイトルに関しては特設サイトで公表している。

 それでは、Intel Iris Xe Graphicsを備えるCore i7-1165G7のゲーミング性能を実際のゲームを使ってチェックする。テストしたゲームは、VALORANT、フォートナイト、レインボーシックス シージの3タイトルだ。それぞれ、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)で描画設定を変えながら、どの程度のフレームレートで動作するのかをテストした。

 なお、Iris Xe Graphicsに関しては、ゲームの安定動作の検証が行われ、確認されたタイトルが「インテル Iris Xe グラフィックス検証サポートプログラム」のサイトで公表されている。検証が取れていないと動作しないというわけではないが、よく遊ぶタイトルが正式対応しているのか購入前に確認しておくと良いだろう。

VALORANTは画質「高」でも60fps超え、性能は十分!

VALORANT

 VALORANTでは、描画品質を最高にした「高」、描画品質を最も軽量にした「低」、その中間となる品質設定の「中」、以上の3通りの描画品質設定で平均フレームレートを測定した。

 測定の結果、すべての描画品質設定で平均フレームレートは60fpsを上回った。特に「低」では平均フレームレートが100を超え、描画負荷の高くなるロケーションでも、60fpsを下回ることがほとんどなかった。Core i7-1165G7の実力は、VALORANTをプレイするのに十分なものであると言える。

描画品質「低」では、多くのシーンでは100fpsを超えるフレームレートを記録している。
描画負荷の高い場面でも60fps以上を維持できていた。(描画品質「低」)

フォートナイトもカジュアルに遊べる、画質をさげれば60fps狙いも

フォートナイト

 フォートナイトでは、レンダリング解像度である3D解像度を100%(=フルHD解像度)に固定して、4種類の描画品質プリセット(低・中・高・最高)での平均フレームレートを測定した。なおグラフィックスAPIはDirectX 11を利用した。

 描画品質「低」では60fpsを超えるフレームレートを記録しており、描画品質「中」でも、最低限維持したいフレームレートである30fpsを超えている。Core i7-1165G7のゲーミング性能は、フォートナイトをフルHD解像度でプレイできるものであると言える結果ではあるが、プレイの快適性を重視するなら完全なフルHD解像度にこだわらず、3D解像度を引き下げてフレームレートの向上を狙ってみても良いだろう。

描画品質「低」なら、3D解像度100%でも60fps前後のフレームレートを実現できる。
描画品質「低」で3D解像度を100%に設定しなかった場合。グラフィックの精細感は損なわれるが、90fps前後の動作が狙える。

レインボーシックス シージもでガッツリ遊べる、「中」画質で60~80fpsターゲット

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージでは、4種類の描画品質プリセット(低・中・高・最高)でベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIにはVulkanを選択している。

 測定の結果、Core i7-1165G7はすべての描画品質プリセットで60fpsを超える平均フレームレートを記録した。描画品質「中」以下であれば、ほとんどのシーンで60fps以上を維持可能であり、レインボーシックス シージをプレイするのにパフォーマンスを得ることができた。

描画品質「中」であればほぼ60fps以上を維持した状態で快適に遊べる。
描画品質「中」のベンチマーク結果。最低でも52fpsなのので、ほとんどのシーンで60fps以上で遊べることがデータからもわかる。

一般向けPCでもゲームが当たり前に遊べる時代が来る「Tiger Lake」のゲーミング性能PC選びに迷ったら「Intel Evo」を目印に

 dynabook V8/Pが搭載するCore i7-1165G7とIntel Iris Xe Graphicsは、今回試した3タイトルをプレイできるだけの性能を発揮した。これは、Tiger LakeがCPUとGPUの両面で優れた性能を備えていることを示すものだ。

 5in1スタイルや24時間駆動のバッテリーを備えるdynabook V8/Pは、携帯性と汎用性を両立するコンセプトのモバイルノートPCだが、Tiger Lakeを採用したことによって、オフィスワークだけでなくゲームやクリエイティブアプリも使えるほどの性能を獲得している。

 また、「Intel Evo platform」を冠するモデルは、今回のdynabook V8/Pのように一定以上の性能を持った高性能モデルであることが保証されている。「Intel Evo platform」は画一的な新世代ノートPCを作り出すためのブランドではないので、dynabook V8/Pの「5in1スタイル」ように「高性能 + ユーザーエクスペリエンスの向上」といったかたちでメーカーやモデルごとに異なる特色を持った製品が投入されているが、「Intel Evo」のマークの有無でそのPCが良いものなのかをある程度判断することはできる。PC選びに迷ったときの判断材料になるはずだ。

 メーカー独自のコンセプトを採用しつつ、Tiger Lakeによって裏打ちされた性能を備えた「Intel Evo platform」対応PCは、モバイルノートPCを求めるユーザーにとって注目すべき製品となるだろう。

[提供:Intel]