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冷却デバイス間を1本のケーブルだけで連結する「iCUE LINK」をCORSAIRが発表

最小限の配線でPCが組み立て可能。着せ換えできるDDR5メモリも展示(COMPUTEX AKIBA出張所 / CORSAIR編)

最小のケーブルでファンや水冷機器を接続可能にする「iCUE LINK」、ファン同士ならケーブルレス接続に

 CORSAIRは5月31日、PC関連の展示会「COMPUTEX 2023」が開催されている台北市でメディア向けの内覧会を実施し、30日に発表したデスクトップPC用冷却機構の新システム「iCUE LINK」などを実機を交えて紹介した。さらにDDR5メモリの「着せ換え」機能による新たなカスタマイズ提案も行なっていた。

CORSAIRのメディア向け内覧会が行なわれた会場
発表会は各プロダクトの担当とCORSAIR ジャパンマーケティングマネージャーの神 冬旗氏、CORSAIR Country Sales Maneger. Japanの古賀 基子氏が案内する形で進行した。写真は神氏。

冷却ファンの細かなケーブルを排除、取り回しに悩む時間も削減できる「iCUE LINK」PCが組みやすく配線もきれいに

 CORSAIRが開発した「iCUE LINK」は、冷却ファンや水冷ヘッド、ポンプなど、デスクトップPCの冷却用デバイスをスマートに接続するためのシステム。

「iCUE LINK」を詳細に解説
中心的存在である「iCUE LINK SYSTEM HUB」

 従来は、たとえば複数の冷却ファン(RGBファン)を搭載しようとすると、個々のデバイスの電源ケーブルを引き回し、連結させたり、マザーボードに直接接続したりしなければならず、取り回しに時間がかかる上、スタイリッシュとは言い難い見た目になることがあった。

 それに対して「iCUE LINK」対応製品は、専用のコネクタを内蔵し、冷却ファン同士であればケーブルなしで簡単に連結が可能。それらのデバイスから「iCUE LINK SYSTEM HUB」という製品に最小限のケーブルで接続することにより、デイジーチェーン的に連結した最大14個のデバイスを制御できるようになる。もちろん接続した個々のデバイスは、温度に応じた回転やイルミネーションのコントロールが可能だ。

iCUE LINK対応の冷却ファンには専用コネクタが内蔵
ケーブルレスで連結が可能になっている
ケーブルを使うことなしに冷却ファン同士を簡単に連結。マグネットも内蔵しているため軽い力で着脱できる
ハブとの接続に使う専用ケーブル
もしくはアダプタを介することで冷却デバイスとハブをじかに接続することもできる
ファンには温度センサーも内蔵されている。これを用いてケース内の温度に応じた回転数制御が可能

 ハブは複数個を並列で使用することもでき、その場合は15個以上のデバイスを制御できる。ハブ自体にはマグネットが内蔵されているため、PCケース内部に自由度高く配置できるのも特徴となっている。各種制御はWindowsにインストールした「iCUE」を通じて行ない、STREAM DECKやスマートフォンからの操作にも対応する。

最小限のケーブルで7個のデバイスが接続されていることが分かる
ケーブルはストレートタイプと低背タイプを用意

 「iCUE LINK」対応製品としてラインナップしている冷却デバイスは、RGBファン、CPUおよびGPU用の水冷ブロック(ポンプ)、リザーバータンクなど。ハブに接続するための専用ケーブルも通常のストレートタイプと、90度の角度が付いた低背タイプを用意するほか、ホワイトとブラックの2種類のカラーがあり、長さも各種取り揃える。

 完成例として展示されていたPCの組み立て例では、ハブをマザーボード取り付け面の背面側に設置し、そこから最小限のケーブルで簡易水冷のファンやケースファン、CPUの水冷ポンプなどに接続していた。電源ケーブルがほとんど目立たないシンプルで見栄えのよい仕上がりになっており、組み立てにかかる時間も短縮できそうだ。

白いPCケースに組み込んだ例。ハブが背面側にあり、そこから各種冷却デバイスへ
細かなケーブルは目立たない。
16個の冷却デバイスを制御している例。
背面側にハブを2個搭載することで実現している
汎用性を高めたGPU用水冷ブロック「iCUE LINK XG3 RGB」
水冷ブロックのGPU接地面
CPU用水冷ブロック「iCUE XC7 RGB ELITE」と「iCUE XC7 RGB ELITE LCD」
リザーバータンク・ポンプ「iCUE LINK XD5 RGB ELITE」
リザーバータンク・ポンプ「iCUE LINK XD5 RGB ELITE LCD」
こちらは従来型の接続方法のRGBファン
「iCUE AF RGB SLIM」(中央)は薄型で、薄型ケースにも最適としている

DDR5メモリは「着せ換える」時代に!?将来的にはメモリのクロックやレイテンシの設定を直接メモリに記録可能に

 ケースやファンだけでなく、メモリメーカーとしても知られるCORSAIR。近年普及が進むDDR5メモリの新たな「着せ換え」によるカスタマイズ提案も行なっていた。

DDR5メモリの新シリーズ「DOMINATOR TITANIUM」

 DDR5メモリの新シリーズとして展開する「DOMINATOR TITANIUM」は、ヒートスプレッダに挟まれたメモリ本体上部が着脱できるようになっており、そこにLEDライトのモジュールや、光らないダミーモジュールなどを装着できる仕組を設けている。

 上部のモジュールは単純にネジで固定するようになっているため、好みに応じて容易に交換できるほか、上級者であれば3Dプリンターなどを使ってオリジナルデザインの装飾を作り、メモリを独自の見た目にカスタマイズするのもOK。単純に光らせるだけではない新しい楽しみ方を探求できそうだ。

メモリの上部を取り外し、イルミ機能付き(奥)にするのも、イルミなし(手前)にするのもOK
LEDライトのモジュールを固定する部分を3Dプリンターで作成したカスタム例。オリジナルデザインを追求できる

 なお、同社のDDR5メモリは将来的にユーティリティ「iCUE」からユーザーが独自のメモリ設定をXMPに記録できる仕組を提供予定とのことで、動画編集であれば帯域幅優先の設定で動作させたり、レスポンスが重視される用途であればレイテンシを詰めた設定を読み込んで使ったり、といった方法が提案された。

 メモリはどんな設定でも動作するわけではなく個体差もあるので、設定可能な範囲に制限が設けられるのか、どこまでの設定がユーザーに解放されるのかなど、細かい仕様は明らかにされなかったが、2パターンの設定をXMPプロファイルとして記録できるようにする予定とのことだった。

Elgatoのストリーマー向けデバイスの解説や、PCケース/ゲーミングモニターの展示も

 発表会では、CORSAIRのグループの一つで動画配信向けのデバイスを多く手掛けるElgatoの機器のデモンストレーションも行なわれた。こちらでは、Web会議中に視線をずらしても正面を見ているように動画に補正をかけることが可能な開発中ソフトのデモも実施。

 これらのほかにもCORSAIR製ケースの展示、有機EL湾曲ディスプレイのゲーミングモニター「XENEON FLEX 45WQHD240 OLED」の3画面デモなども行なわれた。

同社グループのElgatoの担当者から配信者向けデバイスの解説が行なわれた
CORSAIRの入力デバイスや、STREAM DECKシリーズを用いた、ゲーム配信だけに止まらない用途提案も行なっていた。
こちらはゲーム配信のPC環境をイメージしたもの。STREAM DECKやアンプを軸に、カメラ、マイク、ヘッドホンなど多数のアイテムを管理・制御している
テレワーク環境をイメージしたブース。
ホワイトで統一感を出しつつ、Web会議なども快適になるよう「STREAM DECK MK.2」も組み合わせている
Webカメラ用ソフト「CAMERA HUB」では、視線を自動でカメラ方向に合わせる機能を現在テスト中
このように視線が画面(下方向)に向いていても、カメラ映像ではしっかりカメラ目線になっている
「iCUE」ソフトウェアでは画面内の映像をもとにライティングを変化させたりできる
各種機能をスマートフォン上で表示・操作可能だ
マイク「WAVE:3」と「STREAM DECK MK.2」のポップなカスタマイズモデルも展示
Mini-ITXフォームファクター対応のケース「2000D AIRFLOW」シリーズ
ごく一部のモデルを除き、GeForce RTX 4090などのハイエンドビデオカードも内蔵できるという
ATXフォームファクター対応のミドルタワー「iCUE 4000D RGB AIRFLOW」
同じくミドルタワーの「iCUE 5000D RGB AIRFLOW」シリーズ
4000D/5000Dシリーズでは別売りのオプションでフロントパネルを木や竹などに変えることもできる
45型WQHD解像度(3,440×1,440ドット、240Hz)の有機EL湾曲ディスプレイ「XENEON FLEX 45WQHD240 OLED」
同モデルを3台連結したデモ。左右方向の視界のほとんどをカバーするためレースゲームの没入感もMAX
CORSAIRのブランドアンバサダーを務めるCHEMISTRYの川畑要氏も来場していた