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人気のポータブルゲーミングPC「ROG Ally」の容量不足はSSD換装で一発解決!再セットアップまでの手順を解説
Micron 2400で性能を維持。microSDとの比較も text by 芹澤 正芳
- 提供:
- Micron
2023年9月5日 00:00
ポータブルゲーミングPCとして高い性能を持ちながら、上位モデルを約11万円で購入できるコストパフォーマンスのよさで大人気となっているASUSの「ROG Ally」(アールオージー エイライ)。不満点があるとすれば、SSDの容量が512GBしかないこと。最近では100GBを超えるゲームが珍しくないことを考えると少々心許ない。microSDでストレージ容量を増やすことはできるものの、こちらはSSDにパフォーマンスで劣る。ROG Allyはハイコスパ機だからここは妥協するしか……と考えるのは待って欲しい。じつはこのROG Ally、SSDを換装することで性能を落とさずに、ストレージ容量を増加できてしまうのだ。そこで今回は、ROG AllyのSSDの強化にチャレンジしてみたい。
動画で解説! ROG Allyの大容量SSD換装!!
M.2 SSDのサイズが「2230」なのには注意せよ!
ROG AllyのSSD換装のポイントになるのは、“SSDのサイズ”、“カバーの開け方”、“Windowsのリカバリー方法”の3点。ここさえ押さえておけば、作業はそれほど難しいものではなく、SSDの性能を落とさず、容量不足をスッキリ解消できる。
まず重要になるのが、換装用のSSDだ。ROG Allyには、PCI Express 4.0 x4(Gen 4)接続のM.2 SSDが搭載されているが、サイズが一般的な「2280」ではなく、短い「2230」となっている。2230サイズのM.2 SSDは種類が少なく、さらにGen 4接続で大容量となるとさらに選択肢は限られてくる。しかし、NAND型フラッシュメモリの開発から製造まで手がけ、個人向けブランドとしては“Crucial”がよく知られるMicronから、この条件にぴったりのSSDがリリースされている。
今回紹介する「Micron 2400 SSD」は、一般コンシューマー向けのCruciaブランド製品ではないが、各種ECサイト、PCパーツショップから家電量販店まで、幅広い店舗で購入できる、2230サイズのSSD。容量は512GB/1TB/2TBの3種類があり、DRAMレス設計だがメインメモリの一部をキャッシュとして使うHMBに対応している。ROG Allyの容量アップを目指すなら、1TBまたは2TBモデルを購入しよう。今回は1TB版を使用した。詳しいスペックは以下のとおりだ。
容量 | 512GB | 1TB | 2TB |
フォームファクタ | M.2 2230 | ||
インターフェース | PCI Express 4.0 x4 | ||
プロトコル | NVMe 1.4 | ||
NANDフラッシュメモリ | Micron QLC NAND(176層) | ||
コントローラ | 非公開 | ||
シーケンシャルリード | 4,200MB/秒 | 4,500MB/秒 | |
シーケンシャルライト | 1,800MB/秒 | 3,600MB/秒 | 4,000MB/秒 |
総書き込み容量(TBW) | 150TB | 300TB | 600TB |
保証期間 | 3年(制限付き保証) | ||
実売価格 | 8,000円前後 | 14,000円前後 | 26,000円前後 |
分解に必要なのは精密ドライバーとオープナー
ここからは実際に換装作業を行なっていこう。用意したROG AllyはAPUにRyzen Z1 Extremeを採用する上位モデル(型番:RC71L-Z1E512)だ。また作業に使う工具として、“プラスの精密ドライバー”と、スマホなど電子機器の分解に使用する“オープナー”が必要になる。オープナーはなじみのない人も多いと思うが、Amazonなどで400円前後から購入できる。ギターのピックのようなプラスチックのシンプルなもので十分だ。Micron 2400は1TB版を使用している。
なお、今回の換装手順ではOSが初期状態に戻る。データはすべて消えてしまうので必要なものは、あらかじめUSBメモリや外付けSSDなどにバックアップしておこう。また、PCにおけるSSD換装のお約束だが、作業は自己責任、メーカー保証を受けられなくなる可能性がある、という点はお忘れなく。
SSDや道具を用意して換装作業をスタートする前に、ASUS製PCの集中管理アプリである「MyASUS」を実行し、UEFIを最新状態に更新しておこう。今回はSSD換装後の再セットアップに、UEFIに搭載されている再セットアップ機能「Cloud Recovery」を利用するが、過去のUEFIのバージョンによっては不安定な場合があるため、最新状態にしておこう。
次は背面のカバーを開く手順になる。背面には6カ所のネジがあり、それをプラスの精密ドライバーで外していく。下部中央のネジだけはカバーから引き抜けない構造になっているので作業時には注意したい。
一番難関と言えるのが、背面カバーの取り外しだ。素手で取り外すのは難しいのでオープナーの利用を強く推奨する。
側面のミゾにオープナーを挿し込み、持ち上げるようにオープナーをずらしていくことで徐々にカバーが外れていく。筐体上部のトリガーあたりがオープナーを一番挿し込みやすい。
背面カバーが外れたら、作業中に誤って電源が入ってしまわないように念のためバッテリーのケーブルを抜く。中央の黒いシートをめくると搭載されているSSDが見つかるので、精密ドライバーでSSDを固定しているネジを外し、SSDを引き抜く。
ちなみに、今回使用したROG Allyには、同じMicron 2400の512GBモデルが使用されていた。すべてのROG AllyにMicron 2400が採用されてるという保証はないが、換装後のSSDが同じシリーズの大容量モデルであれば問題は起きにくいと考えるのが妥当。Micron 2400のチョイスはその意味でも安心だ。
元のSSDが取り外せたら、換装用のMicron 2400の1TB版をM.2スロットに差し込み、ネジで固定。あとはバッテリーのケーブルと背面カバーを戻せば、ハードウェア部分の作業は終了だ。
UEFIを起動してCloud Recoveryを実行する
ここからは換装したSSDにOSを再セットアップしていく。今回は、ROG AllyのUEFIに搭載されている機能で、インターネット経由で必要なデータをダウンロードして初期状態に戻す「Cloud Recovery」を利用する。作業にはWi-Fiによるインターネット接続環境が必要だがほかにはとくに必要なものはない(ただし待ち時間はかなり長い)。
Cloud Recoveryによる換装後のSSDへの再セットアップの工程は以上だ。作業自体はシンプルだが、要所要所でしばらく待たされる工程があるので、慌てず騒がず作業の完了を待とう。
換装前後でのSSD性能をチェックする
作業が完了したところで、SSDを標準の512GBからMicron 2400の1TB版に換装した際の性能もチェックしておこう。合わせて一部テストではmicroSD(Micron i400の1TB版)を使用した際の結果も加えている。ROG AllyはmicroSDスロットを搭載しているので、microSDにゲームをインストールしようと考えている人の参考にもなるはずだ。
まずはストレージの速度を測定する定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 8.0.4」を試そう。
Micron 2400の1TB版はほぼ公称通りの速度を発揮。換装前よりシーケンシャルリードは若干向上、シーケンシャルライトは大幅に速度アップとなった。ランダムリード、ライトはほぼ同等だ。microSDはSSDよりも劇的に遅く、大容量ファイルを扱うには向いていないのが分かる。
続いて、Microsoft Office、Adobeのクリエイティブアプリ、ゲームでのレスポンスをテストするPCMark 10のFull System Drive Benchmark、ゲームの起動、丸ごとの移動、録画などゲームに関するさまざまな処理の速度をテストする3DMarkのStorage Benchmarkを試そう。
Micron 2400の1TBに換装することで若干のスコアアップと、アプリのレスポンス性能に関しても悪くならないことが分かる。
次はゲームの起動やロード時間をチェックしてみよう。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークとBLUE PROTOCOL Benchmarkは、実行後に集計されるローディングタイム、ディアブロIVは起動時間を3回ストップウォッチで計測したときの平均値を掲載する。
SSDについては換装前後でロードや起動時間がほぼ変わらないのが確認できる。microSDに関してはゲームによって差はあるが、すべてSSDよりも遅いという結果。ゲームの動作自体は可能だが、起動やロードは遅い。
ゲーム好きほどSSDの容量アップはやっておきたい
とここまでがROG AllyのSSD換装方法だ。背面カバーを開けるのがちょっと難しい程度で、SSDの容量アップが可能なのはうれしいところ。標準の512GBでは、大作ゲームなら数本しかインストールできない。ROG Allyでプレイできずにいる“積みゲー”を消化したいと考えているゲーマーも多いハズ。多くのゲームをインストールできる環境作りに挑戦してみてはどうだろうか。