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「MAG」シリーズで統一したら“渋カッコよく”なった!価格も意識した質実剛健の骨太ゲーミングPCを自作する
準ハイエンド構成で30万円を切る実戦的構成 text by 竹内 亮介
- 提供:
- MSI
2023年8月28日 00:00
最近のPCゲームは、ストリートファイター6やエルデンリングといったでもヒット作が続いており、PCゲーム全体でプレイ人口が広がっているようで、“自作のゲーミングPC”に興味を持つ人も増えている様子。しかしいざ作るとなると、性能や予算、さらにはデザインも気になってなかなか難しかったりもする。そこで今回は、そんなお悩みポイントを一挙に解決するプランの例として、MSI製品を中心にパーツをセレクトすることで、“20万円台半ば程度の予算”と“統一感のあるデザインコンセプトを楽しめる”を同時にクリアできるPCを目指してみた。
オールMSIで渋カッコいい今回の自作PCをライブ配信でも解説!
耐久性に優れるゲーミングブランド「MAG」で揃える
MSIと言うと、「マザーボードやビデオカードを扱うメーカー」というイメージが強いだろう。しかし実は簡易水冷型CPUクーラーやPCケース、最近ではSSDなど、PCパーツを広く扱っている総合パーツメーカーだったりする。MSIのゲーミング製品は、価格と性能のグレード、コンセプトの違いにより、上から、エンスー向けのフラグシップ「MEGシリーズ」、個性とパフォーマンスを追求したいハイエンド向け「MPGシリーズ」、より多くのユーザーが使いやすいミドルレンジ「MAGシリーズ」に分類されている。
PCパーツは、同じ役割・基本性能のパーツでも、品質や冷却性能、耐久性などによりグレードの差があることが多い。MSIの3段階のシリーズ分類は、このような自作PCを作るうえで悩ましい「どのくらいのグレードのパーツを買えばいいのか」を検討するときの目安にもしやすい。
今回は、PCの基本性能は準ハイエンドクラスを目指しつつ、予算的には少し抑制していくことを狙い、ミドルレンジの「MAG」ブランドのパーツを中心にチョイスした。また、同じパーツメーカーやブランドで揃えることで、デザインコンセプトが統一されたカッコいいPCも目指してみたい。
MSIによれば、MAGは「厳しい品質検査を経て誕生した、頑丈さと耐久性を象徴するブランド」ということだ。価格はMEG/MPGの製品に比べると抑えめの設定で、実用性とコストパフォーマンスのバランスに優れている。今回の作例も、質実剛健なデザインと華麗なイルミネーションがマッチする美しいPCに仕上がった。また「耐久性の高さ」は、システムへの負荷が高くなりがちなゲーミングPCには必要不可欠な要素である。
もう一つは、一つのユーティリティでさまざまなデバイスをまとめて制御できること。今回はCPUの設定やファンの制御、搭載するイルミネーションパーツの発光状況などを、マザーボードに付属している「MSI Center」というユーティリティでまとめて制御できた。
CPU/GPUは準ハイエンド~アッパーミドルCPUクーラーは余裕ありの36cmラジエータ簡易水冷
ここからは今回選択したパーツを紹介していこう。まずCPUには、Intelの第13世代Coreシリーズの準ハイエンドの一角、Core i7-13700を選んだ。
Core i7-13700は、Performanceコア(高性能コア、Pコア)を8基、Efficientコア(高効率コア、Eコア)を8基で合計16コア24スレッドにも対応しており、PCゲームだけでなくクリエイティブ業務でも活躍できる。倍率ロックフリーによるオーバークロックには非対応だが、コスト面も考えれば“普通のハイエンドPC”として常用する分にはこれで十分だろう。
マザーボードはMSIの「MAG B760 TOMAHAWK WIFI」だ。チップセットにはある程度機能を絞ったIntel B760を採用しながら、12+1+1フェーズの強力な電源回路や大型ヒートシンク、6層のサーバーグレードPCBを採用する。負荷が高い状況になっても、各パーツを安心して利用できることが特徴となる。必要にして十分な仕様と優れた耐久性を備えた、MAGシリーズらしい設計だ。
そんなCPUと組み合わせるCPUクーラーには、MAGシリーズの最新簡易水冷「MAG CORELIQUID M360」を選択した。36cmクラスの大型ラジエータを利用する冷却性能に優れたモデルで、無骨ながらもシンプルで美しいデザインの水冷ヘッドには、水平にアドレサブルLEDのスリットが走っている。また3基の12cm角ファンにもアドレサブルLEDが組み込まれており、美しいイルミネーションが楽しめる。
ちょっとおもしろいのが、水冷ヘッドの接触面がわずかにカーブ(中央部がわずかに高い)しているところ。これによりしっかり固定したときのCPUと水冷ヘッドの密着が高まり、冷却の効率がよりよくなるということだ。また内蔵ポンプには耐久性の高い三相モーターを採用しており、長時間駆動でも故障しにくく、振動を最小限に抑えているとのことだ。
倍率変更によるOCには対応しないにせよ、今回組み合わせるCore i7-13700は上位ブランドのCPUだ。またこうしたCPUは冷却性能が高ければ高いほど、性能を自動的に引き上げるCPUが持つブースト機能が働く。また季節を問わず高い性能を維持するためにも、MAG CORELIQUID M360のような大型で冷却性能の高いCPUクーラーは絶対に必要だ。
ゲーミングPCを作る上で一番重要なビデオカードは、MSIの「GeForce RTX 4070 VENTUS 2X 12G OC」を選んだ。“VENTUS”を冠するMSI製ビデオカードは、コストパフォーマンス重視の製品。MAGブランドとのバランスもよいグレードと言える。
搭載するNVIDIAのGPU、GeForce RTX 4070は、独自のフレーム補間技術「Deep Learning Super Sampling 3」(DLSS3)が利用できる最新世代のGPUで、価格と性能のバランスに優れる。GPUのグレードとしてはアッパーミドルクラスで、今回の予算で考えるならぴったりの製品だ。
銅製プレートやヒートパイプ、アルミフィンで構成されたヒートシンクを、2基のファンで冷却する強力なGPUクーラーを搭載しており、オーバークロック(OC)されたGPUをしっかりと冷却できる。負荷や温度が低い状態ではファンの回転を止める「Zero Frozr」機能をサポートしており、軽作業時には静かに利用できるのもうれしい。
こうしたパーツに安定して電流を供給するため、やはりMAGシリーズから出力が750Wの電源ユニット「MAG A750GL PCIE5」を選択。80PLUS Gold認証を取得したフルプラグインの高効率な電源ユニットで、今回は使わないが次世代の補助電源ケーブル、12VHPWRケーブルも付属しているので、先々のビデオカード交換への備えも万全だ。
PCケースもMAGブランドの「MAG VAMPIRIC 300R」だ。前面にアドレサブルLEDの発光部分を設けたATX対応のミドルタワーケースで、背面ファンと合わせて統一感のあるイルミネーションを構築できる。構造面ではビデオカードを支えるホルダーや、簡単に内部にアクセスできる扉式の左側板などが光る。
ゲーミングPCということで、ストレージには十分な容量と速度を備えたSSDが欲しい。MSIはSSDもリリースしており、今回はGen 4 SSDの「SPATIUM M461 PCIe 4.0 NVMe M.2」の1TBモデルを選択した。本格的に使い込むなら、2TBのSSDに変更する、セカンドSSDを追加する、というプランもありか。このほかメモリはMicronの「Crucial Pro CP2K16G56C46U5」で、16GBモジュールを2枚組み込んでいる。
組み込みは容易、ゲーミングPCとしての適性も十分
PCケースのMAG VAMPIRIC 300Rは、奥行きが47.1cm、高さが49.7cmと、ATXケースとしてはそれなりに大きめだ。またマザーボードやビデオカードなどを組み込むエリアにはほとんど構造物がないため、組み込み作業自体はスムーズだった。
簡易水冷型CPUクーラーのMAG CORELIQUID M360は前面か天板に取り付けが可能だが、今回は前面を選択。今までの検証してきた結果をかんがみると、CPUクーラーのラジエータを外気をたっぷり取り込んで冷却できる“前面吸気”での組み込みが効果的な例が多いからだ。
ちなみに今回の作例では、電源ケーブルや各種ファンケーブル、LEDケーブルやピンヘッダケーブルなど整理すべきケーブルが多い。マザーボードベース裏にあるスリットや面ファスナーを使ってケーブルの流れをいくつか作り、上から下に流すようにまとめるとスムーズに整理できる。
まずはスタンダードに、PCMark 10と3DMarkを実行してみた。Scoreは準ハイエンド~アッパーミドルクラスのPCとしては十分で、Windows 11の各種操作や画面移動、アプリの起動などで不満を感じる場面はない。アイドル時やWebブラウズ、書類作成といった軽作業時は、前面と背面のファンの回転数は600rpm前後まで低下し、動作音は非常に静かだった。
さらにゲーミングPCとしての適性を調べるため、いくつか実際のPCゲームのベンチマークテストを実行した。またフルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3とおりでテストを行ない、今回のゲーミングPCの適性な解像度がどのくらいなのかを検証している。
まずはスクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果だ。下のグラフは、グラフィックス設定を一番高い「最高品質」、フルスクリーン状態にしてテストを行なった結果だ。
「リポート出力」で確認できる平均FPSと最低FPSをまとめている。4K解像度でも最低FPSは60を超えており、実際のゲーム画面でも描画がカクつくことはなかった。
次にテストしたのは、レーシングシミュレータとしてだけでなく、レーシングカーのカスタマイズやチーム運営にもリアリティを追求したエレクロトニックアーツのF1ゲーム「F1 23」の結果だ。グラフィックス設定はやはり一番高い「超高」、解像度ごとに平均FPSと最高FPS、最低FPSを比較した。
WQHD解像度まではかなり余裕のある描画状況だが、4Kではギリギリ平均で60を超えるといったところで、フレームレートが落ち込む場面では60を切ることもあるようだ。ただ検証時点では未対応ながら、今後のDLSS3対応がアナウンスされており、対応が進めば4K解像度でももっと快適にプレイできそうだ。
最後にCD PROJEKT REDの一人称RPG「サイバーパンク2077」のテストプレイも行なった。描画設定はレイトレーシングを有効にした状態では2番目の設定となる「レイトレーシング:ウルトラ」で(一番上のオーバードライブは今回のビデオカードでは現実的ではない)、ベンチマークモードでの平均FPS、最大FPS、最低FPSを比較している。
さすがに最新技術を多用したタイトルだけあって、描画負荷はかなり高めだ。WQHDまでは問題はないが、4K解像度ではところどころで描画がカクつくなどスムーズではなかった。ただ、このタイトルはDLSS3に対応しており、この機能を有効にすると最低FPSも60を超えスムーズな描画でゲームを楽しめる。GeForce RTX 40世代の面目躍如だ。
高コスパなCPUクーラーの冷却性能は十分。長時間ゲームプレイも安心
ゲーミングPCとしての適性は十分ということが分かったので、最後にCPUやGPUの温度の状況をチェックしていこう。Core i7-13700はオーバークロックに対応しないCPUであり、また36cmクラスのラジエータを備える簡易水冷型CPUクーラーを組み合わせているため、CPU温度はそれほど上昇しないのではないか、と考えていた。
とくにCPUに対して高い負荷をかけ続けるCINEBENCH R23時の温度を見ると、CPUのダイが許容できる最高温度である100℃に達する状況も多かった。このときのPコアの動作クロックは約5.1GHz、Eコアは約4.1GHzで、Turbo Boost Max Technology 3で設定された上限クロックに達している。ラジエータのファンの回転数も2,000rpm前後に達しており、ここまでになるとかなりの動作音になる。
ただこうした状況でも、温度が高くなり過ぎたときにクロックを極端に低下させる“サーマルスロットリング”が発生している様子は見受けられない。CINEBENCHほどのCPU負荷は、一般的なPC利用ではなかなかお目にかからないので、その点も考慮すると、今回組み合わせたMAG CORELIQUID M360の冷却性能の十分な実力を示す結果とも言えるだろう。
ビデオカードの温度は、ミドルレンジのGPUなので発熱はそれほど大きくないこともあり、3DMark時の負荷の高い状況でも74℃前後だった。長時間のゲームプレイでも問題になることはないだろう。
MAGブランドのパーツを組み合わせることによる相乗効果
MAGブランドではゲーミングPCへの適性をアピールしており、今回の作例でもそれはいかんなく発揮された。とくに質実剛健ながらもイルミネーションで遊び心もあるPCケース、耐久性に優れたマザーボード、そして冷却性能に優れる簡易水冷型CPUクーラーの組み合わせは、高い負荷をかけながら長時間利用するゲームPCにとってはベストの組み合わせだ。
マザーボードには、PCI Express 5.0対応の拡張スロットや、計3基のPCI Express 4.0対応のM.2スロットが搭載されている。将来的にさらに先の世代のビデオカードに交換したり、ストレージ容量が足りなくなったらM.2 SSDを追加したりすることがもちろん可能だ。初心者の方にも作業しやすい余裕のあるサイズ感のPCケースを採用したので、誰でも自作PCらしい拡張の楽しみも存分に味わえるだろう。しばらくじっくり付き合っていける、ベースマシンとなってくれそうだ。