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Core i9-14900Kを使いこなす!最高性能もエコ動作も狙える最新マザー「MSI MPG Z790 EDGE TI MAX WIFI」
エコ動作時は消費電力も大幅ダウン、PCIe 5.0 SSDにも対応した白PC向けの1枚 text by 坂本はじめ
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- MSI
2023年10月17日 22:00
10月17日に正式発表されたIntelの最新デスクトップ向けCPU「第14世代Intel Coreプロセッサー」の登場に合わせて、マザーボードメーカーからも最新環境に合わせリニューアルされた製品がリリースされている。Intel Z790チップセットを搭載する「MSI MPG Z790 EDGE TI MAX WIFI」もそんなマザーボードのひとつだ。
今回は最新設計でリニューアルされたLGA1700対応マザーボードの特徴をチェックするとともに、「Core i9-14900K」を搭載した際のパフォーマンスと、より効率的にCPUを動作させる方法をチェックしてみよう。
白いヒートシンクが印象的な最新鋭Z790マザーPCIe 5.0のビデオカード/SSDに対応
MSI MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIは、チップセットに「Intel Z790」を採用したLGA1700対応マザーボード。デスクトップ向け最新CPUである第14世代Intel Coreプロセッサーに標準対応していることはもちろん、従来の第13世代/12世代のCPUも利用できる。
フォームファクターはATXで、基板サイズは243.84×304.8mm。白く彩色された大型ヒートシンクを搭載しており、近頃流行りの白を基調としたPCパーツとの親和性も高いビジュアルに仕上がっている。
MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIは、90A対応SPSを採用する16+1+1フェーズのVRMや、オーバークロックによって最大DDR5-7800+動作に対応するメモリスロットを搭載しており、Core i9-14900KなどK付きのCPUとの組み合わせに好適だ。
また、2.5GbEやWi-Fi 7(日本国内ではWi-Fi 6Eまでに対応)/Bluetooth 5.4といったネットワーク機能を備えるほか、ビデオカード接続用に金属補強を施したPCIe 5.0 x16スロット「LIGHTNING GEN 5 PCI-E WITH STEEL ARMOR」を採用するなど、ハイエンドゲーミングPC向けのモデルとして求められる機能をしっかり備えている。
MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIは合計5本のM.2スロットを搭載しており、その全てにSSD冷却用ヒートシンクを備えている。5本のM.2スロットのうち、4本はPCIe 4.0 x4接続に対応、CPU直結のM.2_1スロットについてはPCIe 5.0 x4接続が利用できる。
高発熱なPCIe 5.0 SSDを搭載できるM.2_1スロットに関しては、SSDの表裏から冷却できるヒートシンクが搭載されているほか、表面側にワンタッチで着脱可能なEZ M.2クリップ採用ヒートシンク「スクリューレスM.2 Shield Frozr」が採用されている。
なお、M.2_1スロットのPCIe 5.0は、CPUが備えるGPU接続用PCIe 5.0 x16からレーンを分割して利用するものであるため、M.2_1スロット利用時はPCIe x16スロットのレーン数が8レーンに制限される。現代のハイエンドGPUでもゲーム中はPCIeの帯域幅を持て余している場合が多いので、この仕様がボトルネックになることはそうそう無いはずだ。
「Core i9-14900K」と組み合わせて基本性能をテストエンコードもゲームも優秀なスコア
第14世代Core向けに新造されたMPG Z790 EDGE TI MAX WIFIの実力を確かめるべく、「Core i9-14900K」を搭載して性能テストを実施する。
Core i9-14900Kのほかには、MSIが近日発売予定の白い360mmオールインワン水冷クーラー「MSI MAG CORELIQUID E360 WHITE」や、ハイエンドビデオカード「MSI GeForce RTX 4080 16GB GAMING X TRIO」などを用意。MTP=253WのハイエンドCPUであるCore i9-14900Kからどれだけの性能を引き出せるのかに注目だ。
CPUベンチマークテストの「CINEBENCH 2024」で、Multi CoreとSingle Coreを実行した結果が以下のスクリーンショットだ。
16+1+1フェーズのVRMを備えるMPG Z790 EDGE TI MAX WIFIは、Core i9-14900Kに対して標準で電力リミット無制限での動作設定が適用可能であるため、Multi Coreで「2,202pts」という非常に高いスコアをたたき出してみせた。Single Coreの「129pts」も実に優秀なスコアである。
重量級のゲームとして知られるサイバーパンク2077にて、グラフィックプリセット「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、DLSS3の超解像(自動)とフレーム生成を有効にした条件でベンチマークモードを実行した結果が以下のグラフ。
今回、SSDをM.2_1スロットに接続しているためビデオカードのPCIeレーン数は8に制限されているが、ベンチマークモードで取得した平均フレームレートはフルHDで「210.5fps」、WQHDで「172.4fps」、4Kでも「113.5fps」と申し分のないものとなっている。この高い平均フレームレートは、GPUとCPUの両方から十分に性能を引き出せていることを示すものだ。
安定性を損なわない電力/温度リミットチューニング最新世代CPUを効率的に使う簡単な方法
標準設定でもCore i9-14900Kの性能をしっかり引き出せているMPG Z790 EDGE TI MAX WIFIだが、CPUのKモデルとZ系チップセットの組み合わせと言えば、オーバークロックをはじめとする自己責任でのチューニングも楽しみの一つ。
当然、MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIも上級者向けのチューニング機能をしっかり備えている訳だが、今回は安定性を損なうことなくCPUの動作をチューニングできる「電力リミット」と「温度リミット」のチューニング方法を紹介しよう。
電力と温度のリミットのチューニングは、基本的にリミットを下げる方向でCPUをより効率的に動作させるものだ。逆にリミットを引き上げる方向はパーツの故障リスクを高めたり安定性を損なうたりするリスクがあるが、下げる方向であれば、極端な数値を設定しない限り原則として標準状態から不具合などが発生することは無い。
MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIのBIOSにおいて、電力や温度のリミットをチューニングする項目はAdvanced ModeのOCタブ内にある「Advanced CPU Configuration」に用意されている。電力リミットは「Long Duration Power Limit(W)」と「Short Duration Power Limit(W)」がPL1とPL2に対応した項目で、温度リミットは「CPU Over Temp. Protection」がTjMaxに対応している。
MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIとCore i9-14900Kの組み合わせでは、デフォルトで電力リミットが4096W(=無制限)、温度リミットが100℃に設定されている。そこで今回は、電力リミットのみをMTP相当の253Wに引き下げた場合と、温度リミットのみを80℃に引き下げた場合の2パターンで、標準設定と動作を比較してみることにした。
テストでは、CPU負荷の高いCINEBENCH 2024のMulti Coreテストを各設定で実行してスコアを取得。同時に、実行中の温度や消費電力をモニタリングソフトのHWiNFO64 Proで計測し、CPUの性能や動作がどのように変化したのかを比較した。
ベンチマークスコアに関しては標準設定の「2,194pts」に対し、電力リミット=253W設定が「2,141pts」、温度リミット=80℃設定が「2,105pts」となっている。それぞれリミットを引き下げたことでスコアが低下してはいるものの数パーセント程度の差でしかなく、そこまで極端な性能低下はみられない。
CPU温度に関しては、標準設定が平均98.2℃(最大104℃)というテスト実行中の大部分で温度リミットに達していたことが分かる温度である一方、電力リミット=253W設定は平均84.5℃(最大93℃)、温度リミット=80℃設定も平均79.3℃(最大83℃)となっている。
温度リミット=80℃設定は当然80℃のリミットに到達しているスロットリングしている訳だが、電力リミット=253W設定の方は電力リミットによって消費電力(=発熱)が抑制された結果として、温度リミットの100℃に達しなかったようだ。
CPU消費電力については、標準設定が平均314.4W(最大384.7W)を記録する一方、電力リミット=253W設定は平均251.7W(最大287.1W)、温度リミット=80℃設定は平均238.5W(最大283.4W)だった。
どちらのチューニングでもCPUの消費電力は標準設定から大きく低下しており、その減少率は数パーセントの性能低下より遥かに大きい。つまり、より電力効率の良い動作にチューニングされたという結果であると言える。
MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIの標準設定のように高いリミット設定で最大限の性能を発揮できるようにしておくのも悪くはないが、デフォルトの温度リミットである100℃に達した状態で処理を実行している時のCPUは電力効率的には良くないのも事実。
今回の例であれば、電力リミット253W設定は、標準設定からCINEBENCH 2024のスコアは3%程度の差で、動作温度と消費電力は大きく下げることができている。それぞれの設定をワットパフォーマンスで比較すると大きく向上していることがわかってもらえるだろう。
CPUクーラーに応じた電力リミットの設定や、適切な温度リミットの設定を行うことで、第14世代のIntel Coreプロセッサーをより効率的に使うことができる。
高性能CPU向けに設計された16+1+1フェーズのVRM性能をチェック
MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIが、ピーク時に300Wを超えることもあるCore i9-14900Kに対して電力リミットを標準で無制限に設定できるのは、90A SPSを採用した16+1+1フェーズのVRMを搭載していればこそである。
強力な電力供給能力を有するMPG Z790 EDGE TI MAX WIFIのVRMだが、長時間の高負荷にどの程度耐えることができるのだろうか。CPUの電力リミットをMTP相当の253Wに設定し、オープンエアの無風状態というVRM冷却に非常に厳しい環境下にて、CINEBENCH 2024のMulti Coreテストを最低実行時間=30分で実行してみた。
テスト開始前とテスト開始30分後に撮影したサーモグラフィの画像では、テスト前は45℃前後だったVRM周辺の温度がテスト開始30分で70~80℃程度にまで上昇している様子が確認できる。HWiNFO64 Proで計測したVRM温度も平均74.8℃(最大84℃)となっており、253Wの電力を供給し続けた際の発熱が大きいことが伺える。
それでも、VRMの温度はテスト終盤になるとほぼ横ばいになっており、発熱と放熱が釣り合っている様子がみられる。また、VRM温度の上昇に伴うCPUクロックの低下などは確認されておらず、無風状態で253Wの電力を供給し続けるという厳しい条件でもMPG Z790 EDGE TI MAX WIFIはその機能を全うしてみせた。
そもそも、VRMはCPUクーラーやケースのエアフローによって冷却すべきものであり、今回のようなテストはVRMを適切に冷却するという基本に反するものだ。そんな厳しい条件下でもこれだけの放熱性を示したMPG Z790 EDGE TI MAX WIFIのVRMは、オールインワン水冷クーラーのようなVRM冷却能力の低いCPUクーラーを使うユーザーにとって心強い存在であることは確かだろう。
多数のM.2スロットとハイスペックなVRMを搭載最新上位CPUとの組み合わせに好適なハイスペックマザーボード
MSI MPG Z790 EDGE TI MAX WIFIは、全てのストレージをM.2 SSDにすることも可能な5本のM.2スロットや、長時間の高負荷運用でもCPUに大電力を供給し続けることが可能な強力なVRMを備えている。第14世代Intel Coreプロセッサーの上位モデルと組み合わせ、ハイスペックなゲーミングPCを構築するなら好適といえる。
また、白いカラーリングのヒートシンクを多用したビジュアルの良さもMPG Z790 EDGE TI MAX WIFIの魅力。白いPCパーツやガラスパネルを採用したケースと組み合わせれば見映えの良いPCを構築できる。性能はもちろん、見映えにもこだわりたいというユーザーにおすすめの一枚だ。