トピック

フルHDで180Hz、PS5の120Hz動作にも対応したMSI「G244F E2」はゲーミングモニター入門機に最適だ!!

23.8型/VRRサポートで約2.5万円の良コスパで画質も◎ text by 芹澤 正芳

 これからゲーミング液晶を買いたい。“なるべく低予算”で“なるべく高性能”なヤツはないの!? というハングリーな方は多いと思う。それなら、ぜひとも注目してほしいのがAmazon専売となるMSIの「G244F E2」だ。180Hzの高リフレッシュレート、1msの高速応答、VRR(可変リフレッシュレート)対応、PS5の120Hz駆動も可能なのに加えて、IPSパネルの採用で画質も良好。それで約2.5万円の価格を実現しており、まさに入門機として最適の1台となっている。その使い勝手をさっそくレビューしていこう。

MSI「G244F E2」。Amazon専売で原稿執筆時点の価格は24,800円。セールでさらに安くなる場合も!

ミドルレンジのゲーミングPCとの組み合わせに最適な“格安で高性能”モデル

 MSIのG244F E2は、23.8型サイズでフルHD解像度のゲーミング液晶だ。DisplayPort、HDMI接続とも最大180Hzの高リフレッシュレート駆動に対応、一般的な液晶は60Hzなので実に3倍に達する。

パネルサイズは23.8型で解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)
ゲーミングモニターらしいリフレッシュレート180Hz&応答速度1ms(GTG)の高速パネルを搭載

 リフレッシュレートは1秒あたりの画面の描き換え回数なので、“180Hz”なら“1秒間に180コマの描き換えできる”ことになる。1秒間に描き換えられる回数が増えるほど、動きのある映像の描画はどんどん滑らかになっていくので、本機でのゲームなどの描画は非常に滑らかだ。

リフレッシュレートはDisplayPort、HDMI接続とも最大180Hz

 1秒間に180コマも画面を描画する(=フレームレートで180fps以上)には、PC性能、とくにGPUも高いレベルが求められる。しかし、本機の場合は表示解像度がフルHDなので、ハードルはそこまで高くなく、人気の対戦型FPSゲームをプレイすることを想定すると、NVIDIA GeForce RTX 3060/RTX 4060クラスのビデオカードを搭載したミドルレンジのゲーミングPCでOK。本機の“リフレッシュレート=180Hz”を活かし切れるPCの幅が広いというのも大きなポイントだろう。

 また、色表現に優れたRAPID IPSパネルの採用により、sRGBカバー率は93%、DCI-P3カバー率も88%、視野角は上下左右とも178°といずれも広く、一般的なIPSが苦手とする応答速度も1ms(GTG)と高速。この価格帯のゲーミングモニターとしては非常に優秀だ。

 なお、輝度は300cd/m2、コントラスト比は1,000:1。HDRには非対応だが、価格とゲーミングモニターの機能としての優先度を考えれば、総合的には十分満足の仕様と言える。

RAPID IPSパネルの採用により、広い視野角と色域を実現

 ディスプレイとビデオカードのフレームレートを同期させることで、画面ズレを起こすテアリングやカクツキのスタッタリングを防ぐVRR(可変リフレッシュレート)にも対応。NVIDIAのG-SYNC Compatibleへの対応はうたわれていないが、筆者が試す限りでは、有効化が可能で問題なく動作していた。

表示画面内の一部が大きくズレてしまう“テアリング”現象のモデル図。画面右側にズレが生じているのが分かる(ビーム剣が直線になっていないあたりが特に分かりやすい)。VRR機能を使うことで大幅に軽減できる
VRRとしてAdaptive-Syncに対応。筆者が試したところ、NVIDIAのG-SYNC Compatibleを有効化できた

 23.8型は現在の液晶として大きくはないが、画面全体を視野に収められるサイズとしてゲーマーに人気が高い。「画面が大きいほうが細部が見やすいのでは?」という意見もあるが、FPS/TPSでは画面上の情報を素早く把握し、即座に状況を判断する必要がある。そのためには、大画面で細部を見るよりも、視線を動かさず画面全体を見ることのほうが重要になってくるので、多くの“ガチゲーマー”には24型前後のサイズが好まれているのだ。

 本体のサイズは幅542mm×奥行き232mm×高さ425mmで重量は約4.2kgと軽いので設置しやすいのも便利なところだ。

暗部補正や残像感の軽減などゲーミング系機能もキッチリそろえる

 背面にあるスティック状のNaviキーでOSDメニューを呼び出し、ディスプレイに関する設定を行える。暗部を明るくして敵や地形の把握を助ける「ナイトビジョン」、画面中央にFPS/TPSで照準をしやすくするためのマークを表示させる「ゲームアシスタンス」、液晶特有の残像感を軽減する「MPRT」などゲーミング液晶では定番の機能もしっかりとそろえている。

OSDメニューは背面の左下(正面から操作する際は本機右側裏)にあるスティック状の「Naviキー」を押すことで呼び出せる

MPRTはアンチモーションブラーとも呼ばれ、フレーム間に目には見えない速度で赤色を挿入して、残像感を軽減する。VRRとは排他仕様なので、画面ズレと画面ブレ、どちらの軽減を優先するかはユーザーの好みやプレイするゲームに合わせて選ぶとよいだろ。

暗部を明るくする「ナイトビジョン」のサンプル。右側がOFF(通常の見え方)、左側がON(暗部が見えるようになっている)。通常、強い、最も強い、A.I.の4モードを用意
OSDメニューにある「リフレッシュレート」を有効にすれば、現在のリフレッシュレートを画面上に表示できる。VRRが動いているかの確認にも便利だ

 OSDメニューにはゲームモードとして、ゲームジャンル別にFPS/レーシング/RTS/RPGのプリセットも備わっている。FPSでは輪郭が際立つチューニングが行われ、ナイトビジョンがA.I.設定で有効になる。レーシングはコントラストが強め、ナイトビジョンは通常設定で有効に。RTSは輝度、コントラストともほどほどで見やすい画面に調整、ナイトビジョンは無効だ。RPGは長時間プレイを想定しているのかちょっと暗めで落ち着いた画面になり、ナイトビジョンは無効となる。

入力は3系統、スタンドも安定感バツグンで使い勝手良好

 映像の入力はHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.2a×1の3系統を用意しており、複数のデバイスを同時接続できるようになっている。スピーカーは非搭載だが、ヘッドホン出力は用意。HDMI端子はPS5の120Hz駆動は可能だったが、VRRは利用できなかった(PS5のVRRはHDMI 2.1対応が求められる)。

映像入力はHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.2a×1の3系統
PS5の120Hz駆動もサポートする

 スタンドの機能はチルト(下方向-5°、上方向+20°)だけとシンプルな作りだが、台座が広めで安定感がある。台座が大きいと設置スペースが広めに必要になるが、キーボードやマウスをちょっと激しめに操作しても揺れにくいのは、ゲーマーとしてはありがたいところ。付属のネジを使うことでVESA100規格に対応できるので、スタンドではなくモニターアームの取り付けも可能だ。

スタンドは高さ調整やスイベルはなくシンプルだが、台座が大きめで安定感があるのがグッド
チルトは+20°から-5°まで動かせる
スタンド固定のネジ穴はVESA 100に対応。アダプターネジを取り付けることでVESA 100対応のモニターアームなどの器具を利用できる
電源は36W出力のACアダプター。比較的コンパクトなので取り回しは楽々

 また、MSIのWebサイトからダウンロードですることで、Windowsで解像度やリフレッシュレート、カラーの設定を変更できるユーティリティ「MSI Display Kit」の利用も可能だ。2つまたは3つのウィンドウをキレイに並べられる「分割ウィンドウ」といった機能も用意されている。

Windows上で解像度などを設定できる「MSI Display Kit」」
カラー設定の変更も可能だ
指定したウィンドウをキレイに並べる分割ウィンドウ機能も備える

見やすいサイズで機能も充実かつ低価格

 高リフレッシュレートに高速応答、VRRもサポートなどなど、ゲーミング液晶に求められる機能をそろえて約2.5万円という圧倒的なコストパフォーマンスのよさが本機の強み。色の再現性も良好でPS5での120Hz駆動もOKで、いろんなタイプのゲーム好きにオススメできる製品だ。FPS/TPSゲーマーにとくに人気の23.8型なので、ゲーミングモニターを購入してこれからゴリゴリ戦っていくぜ!と考えているならチェックして損のない1台だ。